お正月、とうとう実装されたマーヴィカを引いて、ナタの魔神任務のクライマックスを進めようと思っていた。思いっきり課金してマーヴィカのモチーフ武器も引いたし、とりあえず三が日は予定をフルに空けておいたし、もう準備万端である。
さて、進めるか……と思った時、ネットである意見を目にした。
「ナタの魔神任務(第5幕)は、他の任務を網羅してからやった方がいい」
え、マジで?
しかも誰かひとりが言っているというより、割といろんな人が同じことを言っている。そして私は、見聞任務も世界任務もほぼ全スルーで魔神任務ばかり進めていた。なんか、このままだとマズい気がする。
ということで、見聞任務などを網羅したうえで、実際にナタの魔神任務(第5幕)を遊んでみることにした。正真正銘の「お正月返上企画」といったところだろうか。三が日も休めなかったよチクショウが!!
だから、ある意味「実際に、サイドの任務を網羅するとメインストーリーの見え方が変わるのか?」という検証企画っぽい側面も、あるような……ないような……とにかく、あの話が本当かどうか気になっている方、ぜひ読んでみてください。
※この記事には、『原神』ナタの魔神任務第5幕(クライマックス)とマーヴィカの伝説任務のネタバレがかなり含まれています。お気をつけください。
※この記事は『原神』の魅力をもっと知ってもらいたいHoYoverseさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。(※ただ、記事の内容は筆者個人の感想です)
意識しないうちに、「ナタの解像度」が上がる
そもそも、なぜ私が魔神任務以外をスルーしていたのかを書かなければならない。
決して「やる気がないから」とかではないことを最初に言っておきたい。
実は私、あらゆるゲームにおいて「サブクエスト」があまり好きではない。
いわゆる「寄り道」の要素にイマイチ魅力を感じないというか、どうしても「はやくメインストーリーを読みたい!」という気持ちが勝ってしまう。結果として、どのRPGを遊んでも、ほぼサブクエは全スルーでクリアする。サブクエ好きの人は「外道ーッ!!」と思うかもしれない。すいません。
だから、実は「森林書」や「水仙十字」もノータッチなのだ。
いや、知ってるんだ。『原神』の世界任務はやたらと気合が入っていることは知ってるんだ。きっとやれば感動するってわかってるんだ。でも、私の「サブクエアレルギー」がそれを遠ざけてしまう!!
ただ、ひとつだけ例外がある。
それは、「サブの要素を遊ぶことでメインストーリーの体験が変わる」というケース。過去に『FF15』を遊んだ時、この例外を思い知らされた。サブ要素をかき集めていくことで、どんどん「メインストーリーで得られる感動」がスタックしていき、最後にそれが爆発する。
そして、『原神』のナタ編もその匂いを感じ取った。
だから、正月も休まないことにした。ナタのために! ナタのために!!
ひと口に「サイドの任務」といっても、結構種類がある。
その中でも特に重要なのは、この「見聞任務」。
ナタの各地にいる部族ごとに用意されているクエストで、その部族と竜のことを知ることができるようになっている。同時に、その部族を担当しているキャラの「伝説任務」的な役割も兼ねている。
流泉の衆、懸木の民、こだまの子、花翼の集、謎煙の主……各部族ごとに用意されているだけあって、これを順番にプレイしているだけでも結構なボリュームを堪能できる。当然私はほとんどスルーしていたので、正月に一気にやった。心は箱根駅伝の選手とシンクロしている。ナタマラソンの開幕だ。
そしてもうひとつ重要なのが、「オシカ・ナタの世界任務」。
正確には「流灰の国の迷える旅人」シリーズですね。
新マップ「オシカ・ナタ」に用意されていた大ボリュームの世界任務で、この地の謎と、ナタという国の歴史に迫るようなストーリーが展開される。これまた単独で見聞任務に負けず劣らずな大ボリュームの物語が展開されるのだけど……当然スルーしていたので、一気にプレイした。
しかし、設定もマップもすごいのに、この世界任務自体は一切触らなくてもメインストーリーを進行できてしまうのが結構すごい気がする。この天空のマップ、サブ要素なんですか? マジで?
『原神』の特大世界任務をプレイしたのは、この「オシカ・ナタ」が初めてだったんですけど……うわさに聞いていた通り中々にヤバいですね。うーん、森林書とかちゃんとやろうかな。
サブ要素をある程度終わらせたので、魔神任務に着手してみる。
そしてメインストーリーを読み始めて真っ先に感じたことが、「意識しないうちに、ナタという国の解像度が上がっていた」ということ。
それこそ旅人が「希望(トゥマイニ)」の古名を与えられるところとか、なんかもうここだけでグッと来てしまう。こだまの子の見聞任務で語られていた、「名前とは、過去から未来への祝福」がここでクリティカルヒットしてる感じ。古名とか、最初「なにそれ?名札?」と思ってたんですけどね。
ほら、ドラゴンボールでもあったじゃないですか。
「毎日重い胴着を着て修行していたら、本人も気づかないうちに強くなっていた」みたいな……見聞任務と世界任務を見てきたことで、もう無意識のうちにナタという国の理解が進んでいた。
あと、旅人の古名を作るために、ナタのみんなが集まってくれるところもかなりグッとくる……というか、ここでようやく「聖宵の旅織りってこのためにあったのかよ!!」と思いました。
なんかスタンプラリーみたいなもんなのかと思ってたら、これはまさしく旅人の足跡を「記録」するためのアイテムだった。ナタでは、すべての英雄が記録される。見聞任務や世界任務で戦ってきた記録が、仲間と結んだ縁が、旅人に「古名」を与え、「ナタの英雄」にする。
うわっ、なんか自分で書いてて感動しそうになってきた。
でも、マジでクライマックスに突入してもいないのにグッと来ます。
とにかく、ナタ編を進めるにあたって、「各部族の見聞任務」と「オシカ・ナタの世界任務」を事前に進めておくことは結構強めにオススメします。
このふたつをやっておくと、第5幕の冒頭からかなりグッとくるから。
とりあえず「聖宵の旅織り」をいい感じに埋めるべし!
「我々は独りで戦ったりしない」を理解するための旅
アビスとの最終決戦に向かう直前、仲間たちが応援にやってきてくれる。
そう、ここで「見聞任務」が本格的に回収され始める!
懸木の民で出てきたコンガマトー、流泉の衆のヌウおじさん、こだまの子のニペカ、チャスカの姉のコヤ……あっヤバいすでにちょっと泣きそう。いや見聞任務マジでやっといてよかった! 逆にここ見聞任務やってなかったらどうなるの!? 「我々は独りで戦ったりしない」なんだよね!!!
ここで出てくるキャラ、本当に「見聞任務のキャラ」なんです。
コンガマトーやコヤに関しては見聞任務をやっていないと何者なのかすらわからない……はず。いろんな意味で危なかった! これサイド任務回収してなかったら「ナタの魔神任務はよくわかんなかったですね」とか言ってた可能性あるぞ!?
夜神の国に突入すると、すでに死んだキャラクターが魂となって旅人を助けてくれる。
流泉の衆のアテア、こだまの子の見聞任務で登場したニエガ……「戦争の国」というだけあって、ストーリー上で死亡してしまったキャラも過去最多数なんじゃないかと思うナタだったけど、同時に夜神の国で旅人を助けてくれる人もたくさんいる。
で、ここで参戦してくるのが「ポーナ」!
この子、オシカ・ナタの世界任務に出てくる子なんですよ!!
これが「オシカ・ナタの任務をやった方がいい」理由のひとつ!!
「数百年前の冒険者が死者の国で旅人を助けるために駆けつける」って……もうこれだけで壮大すぎるロマンを感じます。実際のストーリーの物量もそうですが、時間的なスケールも壮大。これぞ『原神』。
そしてポーナと同時に、ココウィクが駆けつけてくるのも熱い。もう実質的に「オチカンが助けてくれた」のと同義なのが……世界ってすごいぜ! 歴史ってすごいぜ!!
なんのこっちゃわからない人のために説明すると、この「ココウィク」というマスコットの中身(?)は「蛇王オチカン」。つまり過去のオシカ・ナタの王。
つまり、「ナタ」という国そのものが始まったばかりの、はるか昔の「英雄」が駆けつけてくれてるわけで……おっとここから先はオシカ・ナタの世界任務を読んでくれ! てか、これ以上説明するのが難しいくらい設定が入り組んだキャラなので、オチカン周りはみんなの脳内で補完すればいいと思うの。
そして「グーシィ・トース」との最終決戦ですが……ここで第5幕冒頭の「旅人の古名にみんなが込めた思い」がしっかり回収されるんですよね。これは単体でもいい演出だと思うんですけど、見聞任務を見ているからこそ、「各キャラクターへの思い入れ」がしっかり生まれてる。
ムアラニと一緒に神秘の島に行ったこと、キィニチと山の王を倒したこと、シロネンに古名を作ってもらったこと、チャスカの家族を知ったこと……すべて大切な「記憶」だった。あのー……マジで自分の中では「我々は独りで戦ったりしない」が泣きワードになってるんですけど………。
ただ、プレイ中リアルに号泣したのが、「パイモンの話」でした。
どの冒険もスリルに満ちてて、口から心臓が飛び出そうになったこともあるけど…いつだってあいつは希望を見つけて、ピンチをチャンスに変えてくれた…
あいつと一緒にいると、不可能なんてないって思えてくるんだ!
これからもずっと、ずーっと一緒に旅を続ける!
なんたってあいつとオイラは━━「最高の仲間」だからな!
これ泣かないヤツおる?
旅人の古名作る時に「パイモンだけめっちゃ長くしゃべってるの萌えすぎ……」とか思ってたら、ここでちゃんと全文見せてくれるという。これ、正真正銘「ラブレター」ですよ! 「愛」の言葉ですよ!!
でも、すごくナタのテーマに忠実な演出だと思います。
ナタは「記録(記憶)」と「仲間」を、設定的にもストーリー的にも重要な要素として扱っています。では、旅人の古名を作る時、最も「旅人との記録(記憶)」を持っている人は? いつも旅人のそばにいて、旅人とともに戦い続けた「仲間」は? もう、パイモンしかいないでしょう!!
『原神』のストーリーの語り方は、やはり「世界観」を強く押し出したものが多いと思っていました。「夢」を扱ったスメールの話、「正義と罪」を扱ったフォンテーヌの話……キャラも魅力的だけど、なにより「その国の世界観」によって独自の味を出してくる。
そして、ナタのストーリー構造は、「ナタの世界観」に強く結びついたものだと感じました。
我々は記憶と伝説を受け継ぎ
太陽と風と共に育ち
運命と未来を築き上げた
これらすべてナタの血、ナタの炎である
ストーリー中で幾度となく耳にするこの言葉の通り、ナタは英雄の記憶と伝説を受け継いできた。その記憶と伝説こそがナタという国を強くし、ナタを存続させてきた。だからこそ、見聞任務や世界任務で、「ナタの記憶と伝説」を知る必要があったのだ。
それぞれの部族には、どんな伝説があるのか?
はるか昔のナタには、どんな英雄がいたのか?
その記憶を集めていくことで、我々プレイヤー……旅人自身が「ナタの一員」として世界に入りこめる。これは、「我々は独りで戦ったりしない」という言葉の意味を理解するための旅でもあったと思う。現代を生きる英雄も、五百年前の英雄も、共に私たちと戦い続けている。それこそが戦争の国、ナタ。
もちろんメインストーリー上で、「サブ任務をやっておくとサプライズが!」的な喜びはある。だけどそれ以上に、「ナタのストーリーで描かれているもの」を理解するために、見聞任務と世界任務を触っておく意味はあると思う。ナタでは、すべての英雄は記録され、讃えられるべきなのだから。
うーん、結構面白いストーリーの作り方してますよね。
英雄の記憶と伝説によって強くなってきた国だから、サブ任務などで各地の伝説を知れば知るほど面白くなっていく……という。
ある意味、史上最大規模のストーリーかもしれない。
そんな「ナタの異常な規模のデカさ」を体感するためにも、見聞任務や世界任務を触っておくのはアリだと思います。