混乱と恐怖でとまどう探索者たちへと襲い掛かる、本シナリオ第二の刺客「幼児退行ロール」!!ヒロインNPC・美咲ちゃんも出てきて、展開は一気に加速
本シナリオのラスボスの手により小学4年生ほどの肉体年齢にされてしまった探索者たちは、まさに見た目は子ども、中身は大人!
さすがに中身は成人なので、いきなり子どもっぽくなったりはしませんが、そこで出てくるのが思い出ダイスに続く、シナリオのおもしろギミック・その2。「幼児退行ロール」!!
正気度判定に失敗した時や、特定の状況により、「一時的にキャラクターが幼児退行してしまう」という特殊な異常が発生します。
出た目に応じて「あまえんぼ」になったり「かんしゃく」を起こしたりと、いずれも探索者たちが子どものような精神へと退行してしまうのを表現するギミックです。
「このまま子どもへ戻ってしまうかもしれない」という恐怖を感じるか、ノリノリでおこちゃまロールプレイを楽しむかはそれぞれの卓次第! 自然と、プレイ環境に適した盛り上がり方になることでしょう。
そして、突然の子ども化にてんやわんやしている探索者たちが出会う、かわいいNPCヒロイン・美咲ちゃん。ふわりとしたロリータファッションでみずからを「人形」と称する、謎だらけのあどけない少女です。

こんなプリティNPCと一緒に探索できるんですよ! ドキドキしないはずがない! それは胸の高鳴りか、はたまた生命の危機に対してなのか。
脱出するべく彷徨う探索者たちは、「黄昏の人形館」に潜む恐るべき秘密を暴くことになります!
さすがに探索するマップの細かな紹介や重要なイベントの配置・中身まで書いてしまうと興ざめですので避けますが、せっかくの紹介ですから少しだけ探索パートについても触れさせていただきましょう。
探索者たちが閉じ込められた人形館の地下室にはいくつもの部屋があり、それぞれ子ども向けの玩具や、給食の献立で盛りつけられた食卓などが存在します。これを見て、探索者たちはなにかを思い出すことでしょう。
1 :「今の昼食事情」と「給食・おやつの思い出」
2 :「今欲しいもの」と「子供のころ欲しかったおもちゃ」
そう。オープニングで登場する、思い出ダイスです。これは単に探索者同士やプレイヤーとキャラクターの距離を縮めるためだけにあるのではなく、この探索パートにおいて、探索者たちの「童心をくすぐる」ためにも機能するのです。

オープニングでプレイヤーが思いつくままに喋った内容がシナリオに出てくる、というのはとてもおもしろいですよね。アドリブを拾って反映させる、名キーパーにでもなったような気分が味わえます。
そして、自身の懐かしい記憶と遭遇してしまった探索者には、そのたびに「幼児退行ロール」が襲い掛かります。まずはロールプレイの側面から、身も心も子どもになってもらいましょう。
オープニングに登場する思い出ダイスと、探索パートで振ることになる幼児退行ロール。シナリオ固有ギミックふたつを、本シナリオは探索という行為によって結び付けているんですね。「さすがにうまいことできてるな~!」と感心してしまいました。
はたして、探索者たちを幼児に戻してしまった怪現象の正体や理由はなんなのか!? その真相は、物語を進めていくうちに明らかとなるでしょう……。
プレイ後の感想と、実際に遊ぶ際のアドバイス
最後に、本シナリオを実際に遊んだうえでプレイヤーから寄せられた感想や、その感想を踏まえたキーパーからのアドバイスを書かせていただきます。
まず、プレイヤー側からは冒頭の飲み会シーンがたいへんよろこばれました。とくに、探索者たちが「思い出ダイス」によりなじむ流れが“リアル”だと好評。縁遠かった友人とのぎこちない会話から、昔語りを経て徐々に打ち解けていく過程が実感できたようで、おおいに盛り上がりました。
思い出ダイスを順番に回すことで、各キャラが語るターンを用意でき、「ロールプレイ格差をなくせる」のも良かったそうです。また、プレイヤーどうしで世代が離れていたとしても、探索者を介して同じ年代を“過去”として懐かしめるのも、おもしろい体験でした。
KPも友人NPCとして参加できるので、いっしょにワイワイしつつ、探索者たちとの関係性もしっかり作られます。ここでの情報が、あとあと探索者を恐れさせるためのギミックに活かされるのも、良くできていますよね。
本シナリオはいわゆるクローズド脱出系シナリオですが、探索者たちが囚われるまでの導線がきちんと用意されており、それでいて人形館に移動して怪事件に巻き込まれるまでの展開が速いのも魅力。テンポ良くいろいろなことが起こるので、セッションがダレる心配も少なくてGOOD!

シナリオ全体のボリュームを見ても、オフライン/オンラインセッションともに想定されていそうな短さにまとまっており、キーパーの管理する情報がそこまで多くないのでやりやすいです。
ただ、探索パートでは、どうしても探索者たちが情報収集や打開策の相談に集中してしまい、そちらへの返答がメインになるキーパーとしてもNPCのロールプレイを忘れがち。
結果として、美咲ちゃんの影が薄かったかも……というのがキーパーの反省点です。せっかくだから、もっとやればよかった!(プレイヤー的には、美咲ちゃんより友人NPC「町田」への思い入れが強かったそう。設定的にも幼馴染だし、最初に飲み会で語って仲良くなるので納得)

終盤付近で探索者がNPCの生殺与奪を握る場面がありますが、これは探索者としてもプレイヤーとしても「つらい……」と言われました。いちおう、探索者が手を汚さずともシーンが進むようになっているので、そこはありがたい……とのことでした。
最後には戦闘もあります。敵の火力が高いので、ハラハラして楽しいけど怖かったです。「探索者を殴りたい(ビビらせたい)けど、殺したくはない」というさじ加減にキーパーはいつも悩まされます。
プレイの感想を踏まえたアレンジポイントとしては、導入シーンの「思い出ダイス」でしゃべる内容を増やす、というものがあります。
今回のセッションはプレイヤーが3人だったのですが、ひとり1回(合計3回)だと情報が足りず、探索パートで用意されているギミックが不発になるケースもあったんですよね。せっかくなら2周するとか、それぞれが出したお題について全員で話すとかでもいいかも知れません。
ただ、思い出ダイスは使えば使うほどプレイヤーに求めるロールプレイ量も増えるし時間も掛かるので、あくまでも余裕がある卓でのみ検討するぐらいが良さそうです。
また、本シナリオの探索パートは、探索場所こそ多いものの部屋ごとの情報数はそれなりで、手分けして効率的に動くとあっさり調べ終わってしまいます。
「幼児退行ロール」はロールプレイのフレーバーとして機能し、デメリット自体はほぼありません。なので「探索者の幼児プレイをもっと浴びたい!」という場合、団体で行動してもらい、ひとつひとつの調べ物を全員で判定してもらう、としてもいいかもしれません。
これなら探索しつつ適度にロールプレイを挟めるので進行の調整もしやすいでしょうし、探索者のロールプレイに呼応する形で美咲ちゃんを絡ませ、その存在感をアピールすることもできます。
最後に。本シナリオはNPCも死ぬし、探索者ロストの危険性もそこそこあります。そういうのが苦手なプレイヤーがいる場合、なるべく配慮してあげてもいいかもしれません(追加の救済手段や、ロスト判定の条件緩和など)。
以上、本シナリオの魅力について、実際にプレイしたうえでのプレイヤーとキーパーの感想なども交えながら、紹介をさせていただきました。
とはいえ、同じシナリオでセッションをしても、参加したプレイヤーによりストーリーは変化します。シナリオはおおまかな流れは決まっているものの、即興劇のように揺れ動きます。
集まるメンツが変われば、物語の展開が変わる可能性があるのもTRPGの醍醐味ですよね。
このシナリオを通して「子どものころに味わった気持ち」や「大人になるとはどういうことか」をキャラクターといっしょに考えてみるのも、趣深いでしょう。
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