皆さんは「バットマン」と聞いて、どんな姿を思い浮かべるだろうか。
漆黒のマントを翻し、犯罪が渦巻く夜の街を冷徹に見下ろす「ダークナイト(闇の騎士)」。あるいは、1939年の初登場から90年近くにわたり、数多の作品で語り継がれてきた孤高にして「世界最高の探偵」の姿か。
そんな長きにわたる歴史の集大成にして、「最高のバットマンゲーム」を標榜するタイトルが、2026年5月22日にいよいよ発売となる。
それこそが、今回紹介する『レゴ バットマン:レガシー・オブ・ザ・ダークナイト』だ。
このたび電ファミでは、イギリス・ロンドンにて開かれた本作の試遊会に参加することができた。
胸を躍らせながらプレイを開始し、そこで筆者が目撃した驚愕の光景とは……
まばゆいダンスクラブのネオンに照らされ、満面の笑みでノリノリのステップを踏むバットマンの姿だった──!!
そう、今回のバットマンはひと味もふた味も違う。
しかめっ面で己の正義に苦悩する、超シリアスな姿だけが『バットマン』ではないのだ。本作は、レゴブロックならではの感情豊かでコミカルなヒーローやヴィランたちが、画面狭しと躍動する超ユカイな作品に仕上がっている。
そして、コミカルでユカイな楽しさを後押しするのがフィールドの探索、戦闘、そしてストーリーというゲーム部分の圧倒的なクオリティだ。
息を呑むほどに美しく作り込まれた、ゴッサム・シティのオープンワールドの夜景!
群がる敵をボコスカなぎ倒していく爽快アクション!
さらに、開発陣が絶対の自信を覗かせるストーリーラインにも注目だ。
それは、「バットマンの誕生から、彼が伝説の存在へと昇華するまでをイチからオリジナルで描く」という気合の入りよう。
聞けば、「バットマンを知らない人でも1本のゲームとして楽しめる作品」に仕上がっているとのこと。
まさに、数々の名作を手掛けてきたTT Gamesの「バットマン愛」が詰め込まれた、渾身の大作と呼ぶにふさわしい。
そんな注目の期待作を一足先に体験してきたのでその模様をお伝えしよう。
また、記事の後半では開発者へのインタビューに加え、映画『ダークナイト』で使用された衣装や小道具など、会場の展示物も紹介しているのでぜひ合わせてお読みいただければ幸いだ。
取材・文/海ソーマ
ダンスシーンがノリノリ!アクロバットやボス戦などレゴらしい遊び心あふれるゲームプレイ
プレイを始めてまず飛び込んだのは、ゲーム序盤のミッションだ。
前述の通り、本作はバットマンの誕生から描かれるため、ここで操作するのはまだ荒削りな「新米ヒーロー」時代の彼となる。目的は、マフィアの首領である悪役カーマイン・ファルコーネを捕らえるべく、怪しい熱気に包まれたクラブへ潜入することだ。
圧倒的なバットマン・パワーで入り口の見張りを軽々と蹴散らした後は、お馴染みのガジェットが火を噴く。「バタラング」を投擲して監視カメラを鮮やかに停止させ、頼れる相棒・ゴードンの持つ「泡てっぽう」を駆使して巧妙な仕掛けを解き明かし、ステージの奥深くへと突き進んでいく。
高所へのスピーディーな移動には、もちろん「バットクロー」が大活躍だ。ワイヤーを射出し、スーッと上層へ引き上げられていく、あの浮遊感とスピード感は何度やってもたまらなく気持ちがいい(製品版では、このバットクローでの移動はオープンワールドの探索で愛用することになるだろう)。
道中では次々と襲い掛かる敵をバカスカなぎ倒していくのだが、ここで注目してほしいのが「敵の倒し方のバリエーション」だ。
背後から気づかれずに忍び寄ったり、ダメージを与えて隙を作ったりすると一撃必殺の「テイクダウン」が発動できるのだが、このモーションがとにかく多種多様かつユーモラスに仕上がっているのだ。
振り向いた瞬間に「ワッ!」と驚かせて気絶させたり……
敵を風船にくくりつけて飛ばしたかと思えば、容赦なく紐を切って落下させたり……
極めつけは、ギターの爆音をかき鳴らして敵を始末する超絶ロックなモーション!
哀れな敵たちはバラバラに砕け散っていく。正義のヒーローとはいえ、今作のバットマンは完全に「やりたい放題」である。
そして、忘れてはならないレゴシリーズの代名詞「組み立て(ビルド)」もバッチリ健在だ。
ステージ攻略の要所要所では、周囲のオブジェクトをぶっ壊してパーツを生み出し、それを一瞬にして「まったく新たなオブジェクト」へと組み替えて活路を切り開く。このレゴならではの「破壊と創造のカタルシス」が、アクションの程よいスパイスとなっている。
今回のプレイでは、下の階へ向かって床を突破するために巨大なドリルを「組み立て(ビルド)」した。
冷静になって考えてみれば、室内に突如として巨大ドリルが爆誕するなんて到底あり得ない状況なのだが、そこはなんといっても「レゴ・マジック」。このブロックで構築された世界では、すべては己の想像力次第なのだ。
ドリルで豪快に床をブチ破った先は、なんとギラギラと輝くダンスフロア。敵に怪しまれないよう、バットマンたちがとった作戦は……まさかの「周囲の空気に溶け込む」ことだった。
すると突如として画面のUIが切り替わり、ダンスのミニゲームがスタート。
タイミングに合わせてボタンを押す、まさかの“音ゲー”要素の登場である。
これぞレゴゲームの真骨頂とも言える、最高にユーモラスでハチャメチャな展開だ。長い歴史の中で未だかつて、これほどまでに満面の笑みで楽しそうにステップを踏むバットマンの姿を見たことがあっただろうか?
さらには、お堅いイメージの相棒・ゴードン警部補まで負けじとフロアに乱入。あろうことか、バットマンを凌駕するほどのノリノリなダンスを見せつけてくるではないか。
そして最後は、息の合ったふたりのコンビネーションポーズで完璧なフィニッシュ。
……いや、ふたりとも良い笑顔過ぎるだろう。
幼い頃に両親を失い、悪への復讐を誓った孤高のヒーローが、極悪非道なマフィアのボスと血で血を洗う対決をしに来たとは到底思えない、あまりにもピースフルでカオスなひとときである。
フロアの奥へと進んだ先で待っていたのは、今回のメインターゲットであるファルコーネ。しかし驚くべきことに、彼は別のヴィランである「レッドフード・ワン」と言い争っていた。この辺りは今後のストーリー展開を予感させる。

そして、クラブではレッドフード・ワンの手下たちとファルコーネの手下たちとの乱闘が発生。ドサクサに紛れて逃げ出すファルコーネと怒涛の追いかけっこを挟んで最後には無事逮捕。こうして今日もまた1つ、ゴッサム・シティの夜に平和がもたらされたのだった。

次に体験したのは、バットマンの相棒「ロビン」こと、若き日のディック・グレイソンとの出会いを描くミッションだ。
ブルース・ウェイン(バットマン)は、キャットウーマンをデートに誘ってサーカスを見学中。その夜の目玉こそが、「フライング・グレイソンズ」によるアクロバットショーである。
ここではプレイヤー自身がフライング・グレイソンズの若きスター・ディック君を操作し、「火の輪くぐり」や「人間大砲」といった華麗な演目を実際にプレイ。スリル満点のパフォーマンスに、会場のボルテージは最高潮に達する。
しかし、興奮冷めやらぬサーカス会場が、突如として凶悪なヴィラン「トゥーフェイス」の襲撃を受ける!
会場内に仕掛けられた時限爆弾を止めるため、バットマンはディック君と即席のタッグを組むことに。
ここからの主役はディック君だ。トゥーフェイスの子分たちを蹴散らした後は、彼の特技であるアクロバット能力とケーブルランチャーを駆使し、複雑に入り組んだ高所ステージを駆け上がっていく。
いわゆるプラットフォーマー(ジャンプアクション)要素なのだが、これが結構本格的。グラフィックがきれいなのも相まって、高所でのアクロバットはヒヤヒヤする。
正直に告白すると、初プレイの筆者は操作に焦って何度か奈落の底へ落下してしまった……。
だが安心してほしい。本作ではステージ途中でミスをしても、面倒な巻き戻しなしでその場で即座に復活できる超親切設計なのだ。
だからこそ、どれほどデンジャラスな仕掛けにもストレスゼロで何度でも果敢にリトライできる。(腕に自信のあるプレイヤー向けに、ライフ制限ありの高難易度モードも用意されている)
最後はバットマンとディック君の息の合った連携プレイで見事に爆弾を解除!
この夜の出来事を経て、若きアクロバット少年はバットマンの「相棒」としての新たな道を歩み始めるのだ。
このミッションからも分かる通り、本作はバットマン自身だけでなく、彼を取り巻く魅力的なキャラクターたちの「出会い」や「誕生のドラマ」までもしっかりと用意されているようだ。確かにこれなら膨大なバットマン作品群を知らなくても、キャラクターたちに愛着が持てそう。
かくいう筆者も、実は「ロビン」の誕生エピソードについてはそこまで詳しくなかった。しかし、このミッションを通じて小さな相棒が立ち上がる瞬間を肌で体感したことで、彼に対する愛着と理解が深まったのを感じている。
さらにハンズオンの興奮冷めやらぬ後半戦、「ポイズン・アイビー」との手に汗握るボスバトルも体験することができた。
彼女は母なる大地の代弁者として、無慈悲な環境破壊が進むゴッサム・シティに対し、冷酷な復讐の牙をむく美しくも恐ろしい強敵である。
戦闘の幕が開くやいなや、アイビーはツルのムチや獰猛な人食い植物など、植物の特性を凶悪に活かした猛攻を仕掛けてくる。
怒涛の攻撃を紙一重でかわし、一瞬の隙を突いて「バットクロー」を撃ち込む!
そのまま彼女を地面へと豪快に引きずり下ろし、ひるんだ隙に一気に畳み掛けるのだ。
そして第一形態を突破すると、事態はさらにスケールアップ。なんと彼女は、巨大なふたつ首の花の竜「スナップドラゴン」を召喚してきた!
もちろん、この巨大怪獣もレゴブロックで構築されている。デザインチームの造形力が光る。
スナップ・ドラゴンは、衝撃波を伴う巨体の踏みつけや、広範囲を薙ぎ払う酸のブレスで容赦なくこちらを追い詰めてくる。しかし、絶望的な状況でも冷静に反撃の糸口を探るのがダークナイトの戦い方だ。
敵が背を向け、巨大な尻尾を叩きつけてきた瞬間……尻尾の先端に「取っ手」が出現したのを見逃さない。すかさずバットクローを引っ掛けて渾身の力で引っ張ると、竜は派手に目を回して大ダウン。
そこへ怒涛のパンチをお見舞いする!
さらに、ロビンのケーブルランチャーも大活躍。竜のふたつの頭をケーブルで強引に結びつけ、大激突を誘発!
再び無防備にひるんだところを、最後はロビンが鮮やかなアクロバットでフィニッシュを決める。
まさに、バットマンとロビンを表す「ダイナミック・デュオ」のニックネームを象徴するような大立ち回りだ。ヒーローになりきって巨大な怪物に挑むという、大迫力のボス戦を体験することができた。
死闘の末、ポイズン・アイビーは無事に逮捕され、事件は一件落着。しかし、現場を立ち去るバットマンとロビンの背中を、遠くの闇の中からねっとりと見つめる不気味な視線が……。
その正体は、実写映画作品でも絶大な存在感を放った超大物ヴィラン「ベイン」そして「ミスター・フリーズ」のようだ……。
彼らの言う「ディープフリーズ作戦」とは? 果たしてゴッサムに真の平和は訪れるのか!? 今後が気になるところだが、ストーリー体験は惜しくもここでタイムアップ。この先の展開は、製品版のリリースを楽しみに待とう。
トータルで2時間弱ほどの試遊体験だったが、レゴブロックのキャラクターたちが感情豊かに、そして縦横無尽に動き回るその姿は、ハイクオリティなアニメーション映画を自らの手でプレイしているかのような高品質の体験であった。





































