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プレイ時間30分で味わえるVR開発の最先端 話題作『バットマン:アーカム VR』の到達点を語ろう【ドワンゴVR部体験レポ】

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研究しつくされたVRホラー

『P.T.』の影響【※】は多分あるだろうなあと。ホラーゲームとしては『P.T.』を踏まえてVRに生かしているんじゃないかな。

※『P.T.』:小島秀夫氏による、一人称視点のプレイアブルティザー。L字型の廊下をくり返し進むシンプルな動作だが、恐怖感を高めるように設計されている。

振り向きたくないホラーということですよね。

そうそう。VRで振り向くことはかなりの心理的負担なんですよね。

あと、私は何度でも言いますけど、VRホラーなのに突然目の前に刃物が来るみたいな演出をしなかったのは、いくら褒めても褒め足りないと思う。

前回の座談会でも出てきた、パーソナルスペースの問題ですよね。

身体的危険を感じる演出がほとんどなかったですよね。

刃物が目の前に迫ってこない。ただ幻覚が見えているだけなのに、ものすごく怖いし、バットマンというコンテンツ全体を流れる物語にも沿っている。

逆に言うと、ジョーカーを覗き穴ごしに見るシーンがあったじゃないですか。あそこは自分の前に保護してくれるものがないから、すごい怖かった。

でもあそこは、実はジョーカーのほうからは手を出してこないという演出がなされていましたね。

あれは本当にすごい。よくできてます。

自分の手が突然血まみれに!

他に素晴らしかった点はありますか?

なんといってもあの血まみれの手ですよ。自分の手にあたる部分が、気づいたら突然血まみれになっているという演出。

自分の手が赤く染まっている……。
自分の手が赤く染まっている……。
 

手が赤くなるのはVRならではの演出ですよね。

ああいう演出が他のゲームでも出てくるといいですね。

VR特性に配慮したゲームデザイン

ところで、VR酔いについての話をしてもいいですか? このゲーム、まったく酔わないんですよね

おっ、来ましたね。

移動がワープでも暗転でもない。超高速にヒュッと移動するんですけど、普通に移動すると酔っちゃうんですよ。このゲームは移動したと認識できるギリギリの範囲で高速移動しているので酔わないし、ブツ切り感もない。自然な移動を実現しているんです。

あれはフレームを落としているのかな? 時間あたりのフレーム数を減らすと高速移動でも酔わないみたいな話を聞いたことがあって。

そうかもしれないですね。もう一つ技術的な話をしていいですか?

ぐいぐい来ますね。

バットラング(手裏剣)を投げる操作がありますよね。VRってものを投げる表現が難しいんですよ。

コントローラーを本当に投げるわけにもいかないですしね。

そうなんです。なので、VRで投げる動作を実現するためには入力動作にかなり補正をかけないといけないんですけど、それが自然にできてましたよね。

VRゲームは30分が最適解

コンテンツの長さとしてもちょうどよかったですよね。30分という。

私はVRコンテンツにかける時間は、リアルな体験の4分の1くらいまでギュッと凝縮したほうがいいと前から思っていて。映画が2時間だから、VRは30分でちょうどいいんじゃないでしょうか。

VRゲームってこれまでのゲーム以上に疲れるんですよね。個人的には、30分くらいが限界かな。

VRゲームの最適解は30分かもしれないということですね。

もしくは30分で1プレイが終わって、別の日に続きを遊べるような仕組みだったらいいと思う。それなら総ボリュームは2時間、3時間のコンテンツでもいいかも。

映画を観ていないと分かりづらい?

ただ、映画版のバットマンシリーズを観ていないと物語の理解が難しいかもしれないですね。

バットマンの世界に自分が入ったんだって理解できるには、多少バットマンを知ってる必要はある。

バットマンや他の登場人物がどういうキャラクターか分かっていないと進行が厳しい部分もあります。たとえばあるものが特殊な扉の鍵であるということは、映画を観ていないと気づけないよね。

確かに、もともとバットマンを知っている人向けのコンテンツかもしれませんね。

とりあえず映画『ダークナイト』【※】を観てみてください。それだけで十分楽しめるので。

※『ダークナイト』:クリストファー・ノーラン監督の2008年の米映画。鬼気迫る演技でジョーカーを演じたヒース・レジャーがアカデミー助演男優賞を受賞した。

逆に世界観の説明をしていたらこんなにおもしろくないと思う。

ゴッサムシティという退廃した街があって、バットマンがダークヒーローですという説明が必要ないわけですよね。没入感を得るうえで世界観の説明が必要ないっていうのは、VRでは非常に強い

Scavengers Odyssey』もなんだかんだで最初の状況説明で5分、10分とっちゃいますからね。

ハードル上げすぎ!

それにしても、こんなゲームがローンチタイトルで出てくるものなんですね。

ふつうはローンチタイトルのキャラゲーでしょう? って思うじゃないですか。

正直、私もどこかでそう思ってました。

しばらくはこれ以上のゲームが出ないかも、とすらちょっと思った。

ハードル上げてきましたね。

まあでも、まだ未発売のゲームはいっぱいありますからね。

これから出てくるVRゲームがバットマンをどう超えていくのかは興味深いところですよね。今後もさまざまなVRゲームをドワンゴVR部のメンバーとプレイしていきたいと思います。皆さんありがとうございました。

ホラーパートのあまりの怖さに、いい歳して本気で悲鳴を上げるドワンゴVR部メンバー。
ホラーパートのあまりの怖さに、いい歳して本気で悲鳴を上げるドワンゴVR部メンバー。

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