開発者のCosmiumことAndy Beale氏は、エイリアンの攻撃を退けながらクリスタルを集めるアクションゲーム『Quadron』をリリースした。itch.ioにて4.99ドルで販売されている。
対象プラットフォームは48K ZX Spectrumで、これはイギリスで1982年にリリースされたホームコンピュータ。近ごろはファミリーコンピュータやコモドール64といったレトロゲームコンソール向けに開発される新作がいくつかあるが、『Quadron』は1986年から開発されていたものの完成間際にお蔵入りになってしまったというタイトルだ。30年の時を経てようやく発売へ至ったことになる。
Beale氏がお蔵入りとなった『Quadron』を世に出そうと考えたのは、今年で本作が30周年を迎えたことに起因している。氏の投稿したプロフィールによれば、『Quadron』のソースコードは手元になかったが幸運にも開発当時のメモが残されており、それを元にコードを再構築し、バグを取り調整を加えていったという。
海外メディアEurogamerのインタビューを受けた氏は、すでに倒産したパブリッシャーの意向により同作の発売が中止された当時の経緯も語っている。氏はその後もゲーム業界でさまざまなタイトルにたずさわったが、過労の問題や家族との時間を考えた結果、2002年に発売された『Dead to Rights』を最後にゲーム業界を一時離れた。
しかし、近年のレトロゲーム人気に加え、2018年5月に発行されたRetro Gamer誌の181号で自身のことが取り上げられたのをきっかけに、ふたたびゲーム開発にチャレンジする気持ちになったそうだ。
2002年発売の『Dead to Rights』を最後に15年以上ゲーム開発からは離れていたBeale氏だが、現在はゲーム開発への情熱がふたたび燃え上がっている。今回の『Quadron』を皮切りに、今後もZX SpectrumやZ80で開発した個人的なゲームや、出版社の意向でお蔵入りとなったほかのゲームの再構築も予定しているという。
バーチャルコンソールでリリースされた北米版『マザー』である『EARTHBOUND BEGINNINGS』や、ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンに収録された『スターフォックス2』など、お蔵入りとなったゲームが復活する例はいくつかある。だが、30年以上前に発売中止となった作品を作者がほぼ一から完成させるという例は稀有だろう。作者の情熱を糧に30年の時を経てリリースされた、“最新のレトロゲーム”をプレイしてみてはいかがだろうか。
文/古嶋誉幸
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