Microsoftは3月15日、ゲーム開発エコシステム「Microsoft Game Stack」を正式発表した。対象となるのはインディーデベロッパーからトリプルA級の作品を開発するスタジオまで。開発者はAzureやVisual Studio、DirectXやHavokといったMicrosoftのプラットフォームやツール、サービスをエコシステム内で利用することができる。
また今回の発表にあわせ、Xbox LIVEが「Microsoft Game Stack」に導入され、さらにiOSやAndroid向けの新たなSDKが紹介されることも明らかにされた。これはXbox LIVEに対応したiOS/Androidゲームが今後制作できることを意味している。
なお先日には、ゲーム開発者向けカンファレンス「GDC 2019」にて実施されるMicrosoftの公演概要に情報が一時掲載され、そこではXbox LIVEがiOSとAndroid、さらにはNintendo Switchにも対応することが記されていた。ただし、今回Nintendo Switchへの対応は発表されていない。
Microsoft Game Stackには3つの軸となる要素があり、そのひとつがクラウドプラットフォームである「Azure」だ。開発者はデータ処理やストレージ、マシンラーニングやAI開発などにAzureを利用することができる。また発表では、Microsoftが先日発表したスマートフォン対応ゲームストリーミング技術「Project xCloud」にも触れられており、世界54リージョンにて利用可能なAzureを通じてデバイスや場所に関係なく素晴らしいゲーム体験をプレイヤーに提供できるとしている。
そのほかにも軸として紹介されているのが、Microsoftが昨年買収したクラウドを利用するゲーム向けのバックエンドサービス「PlayFab」で、こちらはマッチメイキングやユーザー作成コンテンツ(UGC)などをサポートする。そして3つ目は、冒頭でも述べたようにiOSとAndroidにも対応する「Xbox LIVE」である。
このようにMicrosoft Game Stackは、Microsoftが提供するクラウド技術に重きを置き、スマートフォンにも対応するゲームストリーミングをも視野に入れ、コミュニティベースとサポートが拡張されてきたXbox LIVEを統合したものとなっている。さらにここへ、開発環境のVisual Studio、物理エンジンであるHavok、マルチメディア処理を担うAPIのDirectXなどが加わる。
マイクロソフト、ゲーム遊び放題月額サービス「Xbox Game Pass」をさまざまなプラットフォームで展開する意向示す
なおMicrosoftは先日、ゲーム遊び放題の月額サービス「Xbox Game Pass」をさまざまなプラットフォームで展開し、ゲームストリーミング技術も含むものへと拡張することを示唆していた。今回の開発エコシステムは、まさにそれとも符号するデベロッパーに対する動きと言えるだろう。GDC 2019の公演では、さらなる詳細が明らかにされそうだ。
文/ishigenn