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書籍『FINAL FANTASY XV の人工知能 -ゲームAIから見える未来-』が6月4日に発売。最先端のゲームAIをわかりやすく解説。ゲームの未来がここに

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 書籍『FINAL FANTASY XV の人工知能 – ゲームAIから見える未来 -』が、ボーンデジタルより6月4日に発刊される。サイズはB5判、全248ページ。価格は3200円(税抜き)。著者はスクウェア・エニックス『FFXV』AIチーム。

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(画像はFINAL FANTASY XV の人工知能 | ボーンデジタルより)

 2016年に発売された『ファイナルファンタジーXV』は、主人公ノクティス王子が、3人の友人であるイグニスグラディオラスプロンプトと共に結婚式を執り行うため、旅に出るオープンワールドのRPGだ。

 『ファイナルファンタジーXV』では一部例外はあるものの、ゲーム全編を通して3人の仲間キャラクターたちと行動を共にする。

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(画像はFINAL FANTASY XV TGS2016 トレーラー/ファイナルファンタジー15 – YouTubeより)

 そのため主人公の振る舞い、起きた出来事や景色、町の中やバトルシーンといった状況によって、仲間たちは多彩なリアクションを示す。ゲーム中では、キャラクターたちはまるで生きているかのような人間味あふれる存在として感じられるはずだ。

 このような「オープンワールドで、友人たちと旅を共にする」、「キャラクターたちは生きているように振る舞う」というコンセプトをしっかりと実現するため、最先端のゲームAIの技術がふんだんに取り入れられている。

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(画像はFINAL FANTASY XV TGS2016 トレーラー/ファイナルファンタジー15 – YouTubeより)

 特に核となるのが、キャラクターの頭脳といえる「キャラクターAI」だ。2Dグラフィックス時代では「スクリプテッドAI」と呼ばれる、

 ゲームデザイナーが想定した反応をあらかじめ組み込んでおき、それによってキャラクターの生態系を擬似的に再現していたが、3Dグラフィックスの時代になると、キャラクター自身がゲームの世界で起きていることを主体的に判断する「自律型AI」に変わる。

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(画像はFINAL FANTASY XV の人工知能 | ボーンデジタルより)
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(画像はFINAL FANTASY XV の人工知能 | ボーンデジタルより)

 さらにキャラクターが主人公を追尾したり、移動を補助する「ナビゲーションAI」と呼ばれるものがある。オープンワールドのゲームでは複雑な地形があるため、AIたちが複雑な地形でも対応できるように、人間のようにスムーズに振る舞うためには不可欠なAIだ。

 これらのキャラクターAIやナビゲーションAIを制御したり、マップを自動生成し、そこに敵を配置したりと、さまざまな個々のAIを制御するのが「メタAI」だ。まるで映画監督のようにキャラクターAIに指示をして、ストーリーやバトルを管理することによって、よりドラマチックで、つねに新鮮なゲーム体験を演出することができる。

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(画像はFINAL FANTASY XV の人工知能 | ボーンデジタルより)
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(画像はFINAL FANTASY XV の人工知能 | ボーンデジタルより)
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(画像はFINAL FANTASY XV の人工知能 | ボーンデジタルより)

 本書ではそういったAIを背景に、アニメーションとしてどのように出力しているかについても触れられている。『ファイナルファンタジーXV』という具体例でもって示されているので、ゲームAIの仕組みがわかりやすく理解できるはずだ。最新のゲームAI事情を理解するのに必読の書といえるだろう。

推薦のことば:

 

『FF』づくりのレシピ
MISTWALKER/CEO 坂口 博信

 

本書は人工知能の専門家である著者が、FINAL FANTASY XV のゲーム作りを通じて、関連するAI技術を解説しています。ゲームとAIの深い関わり、そしてゲームの未来を感じられる本だと思います。
東京大学大学院工学系研究科/教授 松尾 豊

 

いつの時代もビデオゲームには “技術的ロマン” が必要で、現代のそれはAIである
ゲームデザイナー 上田 文人

目次:


・はじめに


・[PART 1 基礎編]
・1. ゲームAI入門
・2. 意思決定ツール
3. ナビゲーション システム
・4. AI とアニメーション
・5. 位置検索システム


[PART 2 コンテンツ編]
・6. 仲間AI
・7. モンスターAI
・8. 兵士AI
・9. アンビエントAI
・10. 写真AI


[PART 3 未来編]
・11. 会話AI
・12. AIモード
。13. ロギングと可視化
・14. これからのゲームAI技術

 

[対談]
プログラマー編:「FFXV」のゲームAIはどこまで進化したか?
デザイナー編:キャラクターの格好よさは髪型と普通っぽさで決まる!
チームリーダー編:「FFXV」の基礎AI作りクロニクル

ライター/福山幸司

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 21世紀に「海の向こう」で驚異の進化を遂げてきた、ゲームAIの歴史。
 今回は、大手ゲーム会社で第一線のエンジニアとして働きながら、日本デジタルゲーム学会理事を務め、さらには『人工知能のための哲学塾』や数々のAIの啓蒙書を執筆してきた、AI開発者・三宅陽一郎氏を迎え、詳しくお話を伺ってみた。

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ライター
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福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

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