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クレーンゲームを対戦型にしたような『シューフォーズ』はキュートな見た目と裏腹に「誰もが熱くなれるゲーム」だった。オンラインテストから見えた“練られた対戦バランス”

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 ゲームセンターにある「クレーンゲーム」といえば、100円玉を投入して景品を取るためにアームを縦や横に動かすゲームである。この誰もが知ってるゲームが、もし“ふたりプレイ用ゲーム”になって、景品をリアルタイムで奪いあうような対戦型の作品になったら……というようなタイトルが『シューフォーズ』だ。

 “UFO対戦アクション”と銘打たれた本作は、2021年秋にリリース予定。第二回オンラインテストが9月11日(土)から9月12日(日)にかけて期間限定で開催されている。

 実際にプレイしてみると、キュートな見た目とは裏腹に、予想外に熱くなれるゲームだった本作。この記事ではその体験内容をお伝えしよう。なお、9月12日(日)18時から21時までは次なるテストが実施予定となっており、Steamのストアページから体験版をインストールすれば誰でもプレイすることが可能だ。

文/久田晴
編集/ishigenn



UFOを動かしてカプセルを破壊&アイテム回収、操作はとにかくシンプル

『シューフォーズ』は1対1で行う2D対戦アクションゲーム。プレイヤーは自機であるUFOを操作して、画面上に出てくるカプセルからランダムで出現するアイテムを自分側のゴールに入れていく。

 アイテムにはターゲットが設定されており、目標のものをゴールに入れると1ポイント獲得、先に3ポイントを取った方が勝利となるルールだ。冒頭で述べたように、クレーンゲームで景品の取り合いをしているようなイメージを頭に浮かべるとわかりやすいだろう。

 本作の操作系統はとてもシンプルで、UFOの上下左右の移動と「ブッコワシ」「シューシュー」というふたつのアクションのみ。ブッコワシでカプセルを破壊し、出てきたアイテムをシューシューで引き上げゴールまで運ぶ、というのがゲームの基本となる。この辺りの操作は誰でもすぐに覚えることができるはずだ。

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ターゲットは画面中央上に表示され、さらに固有エフェクトがかけられる

 今回のオンラインテストで使えたキャラクターは全部で3人、製品版ではさらに多くのキャラクターが登場するようだ。それぞれブッコワシのパワーや、シューシューの範囲や吸引力といった性能に明確な差異がある

 プレイした限りでは一概に強い弱いを感じることはなかったが、筆者がおもにプレイしたのは「アダムス」。おしとやかそうな見た目と裏腹に、大型のカプセルを一撃で破壊し、相手を長時間スタンさせる強力なパンチ力を持つ彼女に惚れ込んでしまった。

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キャラクター選択画面では特徴も紹介される

「奇跡」も起こる対戦バランスとキュートな見た目で誰もが遊べる

 『シューフォーズ』はとてもシンプルな操作性とルールのパーティーゲームに見えるかもしれないが、対戦ゲームとしてよく練られたバランス調整に「奇跡」も起こる仕様が組み込まれている。

 たとえばゲーム中では、相手との上下の位置関係がとても重要になる。ブッコワシは基本的に同高度から下にしか当たらず、シューシューはおそらくだが根元に近い方が吸引力が高くなるので、盤面を見て上を取るのか下を取るのかを判断しなければならない。
 また、シューシューでアイテムを集めている間は移動速度が遅くなるといったルールもあり、相手に追いつかれて攻撃されやすいといったデメリットもある。

 相手をスタンさせるか、アイテムを持ち逃げするか、といった駆け引きにくわえ、ランダムに落ちてくるカプセルや、後述する「ステージのギミック」で予想外の動きをしてしまうこともある。操作や駆け引きの面はしっかりと実力が出るが、奇跡が起きる可能性も秘めたゲームバランスだと感じた。

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物欲に任せて回収を焦ると攻撃されて気絶してしまう

 その「ステージのギミック」についても紹介しよう。今回のオンラインテストで遊べたステージはふたつ。ステージに関係なく共通して登場するギミックと、ステージ固有のギミックが用意されていた。
 
 共通ギミックのひとつは、両者のゴール前にそびえたつポール。このポールは「ターゲットではないアイテムをゴールに多く入れた方がより低くなる」という設計になっている。

 つまり、積極的に得点にはならないアイテムを回収するとポールが下がり、ターゲットのアイテムをゴールに運びやすくなる。とはいえ、アイテムを運んでいる間に相手の割ったカプセルからターゲットが出現すると争奪戦で大きく後れを取ってしまうので、どこまでポールを下げるのかが悩ましい。

 もうひとつは、上下に配置されたトンネルだ。色に注目していただくと分かりやすいが、下の穴にアイテムを落とすと、逆側の上の穴からアイテムが出てくるようになっている。自分のゴール手前で操作ミスなどで落としてしまうと、そのまま相手側にアイテムが落ちてゴールに大きく近づいてしまうリスクが生まれるというわけだ。

 さらに上の穴は左右に揺れ動いているため、落ちてくるアイテムは時に大きく横に飛ぶ。場合によってはそのまま逆側の下の穴に入ってしまい、飛び回るターゲットに翻弄される一幕もあった。

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ポールとトンネルのギミックが局面を彩る

 この共有のギミックとは別に用意されているステージ固有のギミックは、ステージの雰囲気やコンセプトにフィットした大掛かりな仕掛けで、画面上がにぎやかになるような演出が楽しめる。

 ステージ「サイハテスーパーアリーナ」では、画面が見えづらくなるほどライブ会場のようなスポットライトの光が駆け巡り、アイテムや敵、自分さえどこにいるのか見失いかねない。
 「ツキノウラファクトリー」では、謎のドヤ顔をした飛行物体(輸送船か何かだろうか)が画面を横切り、触れると長時間スタンしてしまう。

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迫る巨大飛行物体

 華々しいステージ固有の演出も含め、キュートなキャラクターとポップな音楽に代表されるアートの部分も本作の魅力のひとつだ。シンプルな操作性と相まって、対戦ゲームに不慣れな人でも楽しめるものとなっている。

 さらに、試合中にターゲットが出現するとBGMのテンポが上がるなど、音楽の力をしっかりと活かしている点も長所と言えるだろう。ブッコワシなどアクションの効果音も気持ちよく、ボタンを押すたびに楽しくなる。

 ビジュアルの面では、ステージ背景や勝利ポーズはもちろんのこと、表れるアイテムの多様さも面白い。トロフィー、ジャガイモ、工事現場ヘルメットをかぶったねこ、ゲーム機、その他もろもろがぶつかり、散らかる姿はとても爽快だ。

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見て楽しい、聞いて楽しい、遊んでも楽しい

誰でも遊べるし楽しい、でも熱くなるゲーム

 実際にオンラインでプレイしている間、思いのほか熱くなって遊んでいた。とくに、ポールの上下のシステムを理解してから、いかに有利な状況を作ってターゲットを迎えるかという視点を持てるようになったため、プレイの戦略性が一気に増したように思う。
 相手を妨害するか、自陣にアイテムを動かすか。操作が直感的だからこそ、そういった駆け引きの思考により集中できたように感じる。

 『シューフォーズ』の見た目はキュートで派手派手なパーティーゲームのようだが、対人で熱くなれるような戦略性をしっかり土台に仕込みつつ、ただ上手い人が勝つだけではない逆転可能なランダム要素も盛り込んでいる。そのポップな見た目でスルーせず、ゲーマーにもぜひ一度触れてみてほしいタイトルだ。

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どんなにかわいいゲームでも勝ちたくなってしまうのが人の性

 『シューフォーズ』開発元である「ブイブイラボ」は、2018年に4人の学生によって結成された日本のインディーゲーム開発チーム。彼らの処女作でもある本作は、2020年の京都eスポーツゲーム大賞で大賞を受賞した。まさに気鋭のゲームクリエイターたちであると言えるだろう。

 なお、今回のオンラインテストにあたり、じつは開始当初に重大なバグが存在した。こちらには筆者も遭遇したのだが、特筆すべきはバグの内容ではなく彼らの対応の素早さである。
 オンラインテスト開始後15分程度で、すでに改善のアップデートが配信され、その後にはTwitterでの告知も行われていた。こういった姿勢からも、彼ら「ブイブイラボ」のゲーム作りに対する真摯さ、意識の高さといったものがうかがえるのではないだろうか。

 本作は、PC(Steam)およびNintendo Switch向けに2021年秋のリリースが予定されている。オンラインだけでなく、オフラインでのふたりプレイにくわえ、両機種間でのクロスプレイにも対応するとされている。なお、あらためてとなるが、9月12日(日)18時から21時までは次なるテストが実施予定。Steamのストアページから体験版をインストールすれば誰でもプレイすることができる。

ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。

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