KADOKAWAグループの創業75周年を記念し、関係者向けに配布された書籍『KADOKAWAのメディアミックス全史 サブカルチャーの創造と発展』が、11月30日(火)までの期間限定で無料配布されている。
執筆を担当したのはゲーム雑誌「コンプティーク」の創刊に携わったことで知られ、角川グループホールディングスの代表取締役社長も務めた佐藤辰男氏。鎗田清太郎氏の著書『角川源義の時代――角川書店をいかにして興したか』と、佐藤吉之輔氏の著書『全てがここから始まる――角川グループは何をめざすか』に続く3作目のKADOKAWA社史となる。
本書では1945年に端を発するKADOKAWAグループが「サブカルチャー」の分野で創造した価値と、その領域におけるメディアミックス戦略の意味が書き記されている。同時に、角川書店の上場や、持株会社化、ドワンゴとの統合など、メガコンテンツ・パブリッシャーの実現の軌跡となる、重要な転換点の理由も掘り下げられている。
サブカルチャーに焦点をあてていることから、創業に始まる通常の社史とは異なる構成が取られていることが特徴だ。第1章から第4章ではサブカルチャーの育成と、メディアミックスという手法を発明したKADOKAWAの40年を解説。1982年の「ザテレビジョン」の創刊から、2010年代の出版界におけるデジタル革命の影響までが描かれている。
第5章から第7章は「ネット・デジタルへの対応」、「海外展開」、「業態変革」といったテーマごとに歴史を振り返る内容となっている。グローバル化が進む中、KADOKAWAの理想の業態の実現に向けた取り組みに触れられており、特に第7章の「業態変革」は本書全体のキーワードともされる。
サブカルチャー界における巨大な存在であり、さまざまな変転を経てきたKADOKAWAとは何者なのか、この先どこへ向かおうとしているのか、というテーマを解き明かすのには欠かせない文献となるだろう。
本書はもともと一般に販売されておらず、入手した関係者によるツイートなどから日本のサブカルチャー史に関する資料的価値が非常に高いことで話題を呼んだ。
すごい本が出た。ただし非売品。メディアワークス創業の頃とか詳しい詳しい。そして何よりサブカルチャーやメディアミックスの同時代的証言と資料的論証がミックスしてこの30年ほどの文化景色を映し出す。 pic.twitter.com/VTlpdSuklf
— タニグチリウイチ:2023年も引き続き週何日か三鷹通い (@uranichi) October 29, 2021
『KADOKAWAのメディアミックス全史』、角川歴彦会長が徳間康快社長にどんな思いを抱いていたかも描かれているなど、角川の正史でありながら、ライバルや協業者たちも活写されている、メディアミックス業界三国志のような面白さもありますね。
— 松下正孝 (@kadokawamtst) November 8, 2021
https://twitter.com/km_straightedge/status/1453888046189797377
市販されないことを嘆く声も多々見られたが、今回、KADOKAWA直営の電子書籍ストア「ブックウォーカー」に会員登録することで無料で入手することが可能となった。
キャンペーン期間は11月30日(火)の23時59分までとなっており、2022年の3月中まではブックウォーカーの「文庫・ラノベ読み放題サービス」に加入することでも読むことができる。キャンペーン期間終了後にどのような扱いになるかは明らかにされていないため、早急に入手しておくことを推奨したい。