2月24日(木)に始まったロシアからウクライナへの軍事侵攻。世界各国の企業の取った措置により、ロシア国内でのエンターテインメントはいちじるしく制限された状況へと加速しており、ビデオゲームの大手各社もデジタルを中心に製品の販売停止といった対応を進めている。
3月2日(水)、ウクライナの副首相兼デジタル担当相である「Mykhailo Fedorov」氏がSIEやマイクロソフト、任天堂などを含むすべてのゲーム開発会社とeスポーツ産業界に向け、ロシアからのアクセスをブロックすることを訴えた。これと同時に多くのゲームデベロッパー、パブリッシャーがコンテンツの販売を停止する事態となっており、購入が難しいのみならず、販売さえ強く制限されているという状況に陥っている。
@Xbox @PlayStation
— Mykhailo Fedorov (@FedorovMykhailo) March 2, 2022
You are definitely aware of what is happening in Ukraine right now. Russia declare war not for Ukraine but for all civilized world. If you support human values, you should live the Russian market! pic.twitter.com/tnQr13BsSv
具体的には、マイクロソフトはロシアでの同社の製品およびサービスの新規販売を停止した。現在はウクライナの従業員の安全に尽力しているほか、ウクライナ政府のサイバーセキュリティ対策にも協力していることを公式ブログにて明らかにしている。
ゲームエンジン「Unreal Engine」の開発元であるエピックゲームズは対話ラインは開いておくべき、との考えからアクセスのブロックこそ行っていないものの、ゲーム部門におけるロシアとの商取引を停止している。
Epic is stopping commerce with Russia in our games in response to its invasion of Ukraine. We’re not blocking access for the same reason other communication tools remain online: the free world should keep all lines of dialogue open.
— Epic Games Newsroom (@EpicNewsroom) March 5, 2022
また『バトルフィールド』シリーズなどで知られる大手パブリッシャーのエレクトロニック・アーツも、ロシアとベラルーシでのゲームおよび追加コンテンツの販売を停止。同社はサッカーゲーム『FIFA』、アメリカンフットボールゲーム『NFL』においてもロシアの代表チームを削除する意向を表明している。
このほか『アサシン クリード』や『ファークライ』のユービーアイソフト(ロイター報)、『グランド・セフト・オート』シリーズで知られるテイクツー・インタラクティブ(gamesindustry.biz報)、『コール オブ デューティ』や『オーバーウォッチ』のアクティビジョン・ブリザード、『ウィッチャー』や『サイバーパンク2077』のCD Projektグループなど、多くの大手ゲーム企業がロシアでの販売停止措置などに乗り出す構えだ。
ゲーム業界以外でも、フェイスブックやインスタグラムの親会社であるMeta、半導体大手のインテルやAMD、さらにはTikTokやNetflixなど、多くの企業やサービスがロシアへの制裁措置を行う旨を明らかにしている。
その上、現在は「PayPal」がロシア国内でのオンライン決済サービスを停止。クレジットカード大手であるビザ、マスターカード、アメリカン・エキスプレスなどもロシアでの業務を停止することを発表している。アメリカ政府およびEUの経済制裁の影響もあり、アップル・ペイやグーグル・ペイにも制限がかかった状態だ。以上のことから、インターネットを経由したモノやサービスの購入が困難になっていることが推測される。
また制裁措置ではないが、任天堂はロシア向けのダウンロードタイトル販売サイトを3月4日(金)より、一時停止していることを朝日新聞の取材にて明らかにした。ロシア国内には販売機能を担う支社が1社あり、ビジネスにも一部影響があるとのこと。なお、現地でゲーム機やソフトの販売を継続するかどうかについては「伝えられることはない」と述べているという。