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廃業した伝説の銭湯「大黒湯」が3Dで復元、デジタル保存プロジェクトが無料公開。3650枚の写真を元にAR/VR化されアバターとなって入浴も可能

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 3DCG技術者の藤原龍氏は5月22日(日)、東京・北千住エリアの廃業した銭湯「大黒湯」をフォトグラメトリー【※】の手法によりデジタルアーカイブ化したAR/VR作品を無料公開した。AR対応のiOS/Android端末およびVRプラットフォームの『VRChat』または『cluster』を通じてアクセスできる。

※さまざまな角度から撮影した写真データを元に、立体的3DCGモデルを作成する技術。

 1923年の関東大震災以降、東京の銭湯では復興の願いを込めた寺や神社風の「宮造り」と呼ばれる建築様式が広く普及した。1929年に創業した大黒湯は、そのなかでも特に唐破風屋根などの豪華な意匠を持つ建物として知られ、愛好家らの間では“キング・オブ・銭湯”の呼び名で親しまれている。

 同銭湯は施設の老朽化やコロナ禍による高齢の従業員の退職などを理由に2021年6月、約90年の歴史へ幕を下ろした。常連客や銭湯ファンからは建物の保存を求める声も寄せられたものの、多額の費用を要することから惜しまれながらも解体が進んでいる

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別の有志団体による、唐破風屋根を保存するためのクラウドファンディングも展開されている。(画像はCAMPFIRE「日本の銭湯文化を遺したい!唐破風屋根保存プロジェクト!」より)

 そんな大黒湯を現地で撮影した3650枚もの写真を元に、3DCDモデルのデジタルデータへと落とし込んだのが藤原氏だ。マイクロソフト製のMR(複合現実)デバイス「HoloLens」向けにアプリ開発を行うホロラボのメンバーでもある同氏は、首里城や中銀カプセルタワービルをはじめとしたさまざまな建築物のデジタル保存化プロジェクトを手がけてきた実績を持つ。

 このたびAR/VR化された大黒湯においては、ロビーや浴室にくわえバックヤードのボイラー室までを含む、再現された銭湯の内部をじっくり観察して回ることが可能。『VRChat』版の浴室では湯気や浮力、声の反響といった要素が実装され、ロビーには飲む体験ができるコーヒー牛乳も用意されている。

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(画像は藤原氏のTwitterより)
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(画像は藤原氏のTwitterより)
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(画像は藤原氏のTwitterより)

 VR版へは公開直後から多くのアバターが訪れ、国境の枠を超えて同じ湯船に浸かるひと時を楽しんだという。仮想世界ならではの形で、憩いの場を再現する夢を叶えたAR/VR版大黒湯。興味が沸いたという方は、この機会に足を運んでみてはいかがだろうか。

ライター
フリーランスの翻訳者を経て、2021年より編集アシスタントとして加入。京都の町屋で猫と暮らす。
Twitter:@dashimaruJP

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