SIE JAPAN Studioのメンバーや関係者から、ゲーム制作に関する熱いトークや裏話を聞くことができる、JAPAN Studio公式番組『Jスタとあそぼう』。
JAPAN Studio シニアプロデューサーの長井伸樹氏と女優の結さんがMCを務めるこの番組。2016年12月26日(月) に放送された第10回は“SIE ゲームクリエイター大忘年会2016!”と題して、忘年会だからこその、通常回以上の深く踏み込んだトークが展開された。
そんな濃い放送内容の中でも、ゲストとして登場した週刊ファミ通編集長の林克彦氏と電撃PlayStation編集長の西岡美道氏を交えて行われたトークが、ゲーム業界と出版業界の裏側も垣間見ることもできる、ひと際興味深い内容だったのでピックアップして紹介したいと思う。なお、この回の放送にはふたりのゲストのほかに、SIE ワールドワイド・スタジオ プレジデント、吉田修平氏も登場した。
Jスタとあそぼう #10 SIE ゲームクリエイター大忘年会2016! | ||||
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配信チャンネル | SIE JAPAN Studio公式チャンネル | |||
配信日時 | 2016/12/26 19:30〜 | |||
備考 | タイムシフト視聴可能(2017/1/18現在) |
2016年のPSシーンはここがポイント! やはり2016年はVR!
林:
2016年はVR元年と言われていましたが、それを一番象徴的に盛り上げたのがPSVRだったと思うので。西岡:
『サマーレッスン』が、VRのすごさが一番わかりやすかったですよね。“そこにひかりちゃんがいる”というのが。
さすが両名とも大手ゲーム雑誌の編集長だけあって、目の付け所が近いのか、どちらも1位が「PS VRの発売」になっているなど、似た回答となっていた。
その後もVRタイトルのクリエイターや、業界の動きなどVR自体の盛り上がりについての話題が続いた。そんな中、林氏からはPS初期の頃のように、「なにこれ?」というようなタイトルがたくさん出てきてほしいというコメントも。
そして、話題は2017年に期待するVRタイトルへ。西岡氏は『バイオハザード7』を挙げつつも……。
西岡:
逆に心配なんですよね。あれをプレイして色々起きないか。結:
人間の心臓はどこまで持つのか、みたいな。西岡:
そうですそうです。怖すぎるんで(笑)。
『バイオハザード7』のVR体験の怖さのレベルが高すぎるゆえに逆に心配だという話に。林氏は、まだタイトル数が純粋に少ないので、もっと新しいタイトルが出てきてほしいとのことだ。
JAPANスタジオのここが良かった! 祝『トリコ』発売!
林:
ゲームファンとしての思い入れがありますよね。出てよかったなと。本当に。西岡:
何年も頭の片隅にありましたからね。
と、両名とも1位は、プラットフォームをPS3からPS4へ変更するなど、発売までに紆余曲折があった『人喰いの大鷲トリコ』の発売を喜ぶ内容。ネタバレを避けて、深く内容に踏み込んでのコメントはなかったが、放送日の時点で両名ともクリア済みとのことだった。
それに続いては、『アンチャーテッド』シリーズに代表される、質の高いローカライズについての話題に。ローカライズはメーカーや個人の色が出るという話がありつつ、『アンチャーテッド』シリーズのローカライズプロデューサーである安次嶺クリス氏が、以前ファミ通の編集部に勤務していたことがあり、林氏の後輩だったという意外な繋がりに関するエピソードも話題に上がった。
ちょっと言わせてJAPANスタジオ! ゲームの発売延期には、出版業界だからこその苦労も?
結:
やっぱり、延期すると問題なんですか?林:
問題です(笑)。
第一位はどちらもゲームの発売遅延に関する話題。これについて結さんから、上記の質問に続いて、ゲームが発売を延期すると、ゲーム雑誌はどうなるのか? という質問が投げかけられた。それに対して林氏は……。
林:
その昔『グランツーリスモ』が、発売される直前で延期が発表されたときは、編集部がひっくり返りました。すでに手元に表紙のイラストがあるんですよ(笑)。結:
そういうときはどうするんですか?林:
差し替えです(笑)。西岡:
完成発表会で、延期を発表したときですよね。吉田:
まだ完成していないのに、発表会をやったことがあるんですよね……。発表会をやることを発表していたので、その延期ができなくて(笑)。
過去を振り返りつつ、それぞれの立場からの暴露トークが繰り広げられた。かなり危険な発言も入り混じっており、まさに忘年会といった雰囲気だ。
林:
土壇場で何があるのかわからないというのはわかりますし、ユーザーとしては、クオリティがちゃんと上がって、しっかりとした状態で発売されるのが一番いいので、待ちますが、メディア的にはやばいなと(笑)。
という林さんからのコメントに対して、吉田氏から、
吉田:
イベントがあると発表したくなるんですよ(笑)。
という返答が。やはり、ユーザーの期待に応えたい、注目してもらいたいという気持ちが強く、そこから発売日の発表につながることもあるようだ。
そこで林さんから「何月から何月に発売予定というような、アバウトな発表でもいいのではないか?」という提案があると、吉田氏も今までの反省を元に、今後は早い段階での発売日発表を控えて、季節など多少アバウトな発表をしていこうと思っているというコメントが。
それに関して、『トゥモローチルドレン』が話題に上がり、
吉田:
『トゥモローチルドレン』は秋に出たからね。一年違ったけどね(笑)。
と、2015年秋発売予定だったが結局2016年秋に発売になった『トゥモローチルドレン』に関するブラックなジョークも飛び出した。
そのほか、林氏からの家族で遊べるPS4タイトルがもっと増えてほしいという意見や、西岡氏からの国産タイトルを多く出していってほしいというコメントも。
国産タイトルに関しては、吉田氏から、『人喰いの大鷲トリコ』と『グラビティデイズ2』の開発を終えたスタッフが、2017年からは新規タイトルの開発に移ることになるという言葉が。あくまでも「そうなるだろう」という予想の言葉ではあるが、吉田氏からの言葉ということもあり、期待が高まるところだ。
そして、2017年のJAPANスタジオに期待すること。という両編集長への最後の質問が投げかけられた。それに対し両名は、
林:
ゲームファンが「面白い!」と思うタイトルを作ってほしいですね。西岡:
JAPANスタジオには面白い人がたくさんいるので、面白いゲームをたくさん出してほしいです。昔出していた『パラッパラッパー』や『IQ』などのように尖ったゲームを。今サードパーティーさんがああいったゲームを作るのは勇気がいると思うので、プラットフォームホルダーとして、“遊び心のある”というか、余裕のあるところを見せていただきたいです。
と、それぞれ今後のJAPANスタジオへの期待を込めた言葉を残して、このコーナーは締めくくられた。