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「どれだけ豪華か伝えるのは不可能」。『ゴッド・オブ・ウォー』がMetacriticで2018年最高点を記録

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 2005年にプレイステーション2で発売され、北米を中心に大きな人気を博したアクションアドベンチャーの名作『God of War』。まったく同じ名を冠したプレイステーション4向けシリーズ最新作『God of War』(ゴッド・オブ・ウォー)が、2018年4月20日に全世界で発売予定だ。

 PlayStation Japanが公開したプロモーション映像にて「約束された“神”ゲー」と公式みずからが“神ゲー”であることを謳うなど、発売前から日本でも注目を集めていた。

 タイトルが『God of War』、さらには神々が登場するゲームであることを利用したユニークなプロモーションだが、実際の評価も“神”の名に負けないものとなっている。
 ローンチを前に同作のレビューが海外にて解禁され、各メディアで軒並み高得点を叩き出しているのだ。

 メディアによるレビューを収集するMetacriticでは、記事執筆時で92メディアのスコアが収集されており、平均値は95点。すべてのレビューがポジティブな評価を下している。
 2018年に発売されたビデオゲームにおいては、これまでは2Dアクションゲーム『Celeste』のXbox One版が平均点94点で年間1位を記録してきたが、新生『God of War』はそれを抜き単独一位に躍り出た。

「どれだけ豪華か伝えるのは不可能」。『ゴッド・オブ・ウォー』がMetacriticで2018年最高点を記録_001
(画像は『God of War』公式サイト | Galleryより)

 長きに渡りプレイステーションの代表的アクションゲームとして続いてきた『God of War』のIPとしての強さや、SIEサンタモニカスタジオのファーストパーティとしての意地もあっただろう。そういった要素が今回の高評価につながったと考えられるものの、率直に言って公開されたレビューの内容から新生『God of War』のなにが素晴らしいのかは、なかなかわかりづらい。

 どのレビューでも言及されているもっとも大きな変化は、主人公クレイトスのポジションの変化だ。

“『God of War』は父と子がどう一緒に生きていくのかを学ぶ物語だ。”(Business Insider)
●Business Insider | The new ‘God of War’ on PS4 is the first must-play game of 2018

“今作はプレイヤーに、クレイトスを暴力の道具ではなくひとりの人として見ることを望んでいる”(The Guardian)
●The Guardian | God of War review violent, vital and more brilliant than ever

 ギリシャ神話をベースに物語が展開されていった旧『God of War』シリーズでは、クレイトスはスパルタの軍人であり、戦いの神アレスから力を借りて戦うキャラクターだった。
 アレスの駒となり心を喪失してしまったクレイトスは、ある村で自分の妻と娘を殺してしまい、その因縁をきっかけに神々との戦いに挑むことになる。

 一方で今作のクレイトスは、もう復讐のために戦う孤独な戦士ではない。物語上は息子であり、ゲームプレイ上はコンパニオンである「アトレウス」とふたりで旅をする父親
 そして若々しい怒りの戦士ではなく、どこか落ち着きが感じられる老練の戦士だ。そのふたりのあいだにある絆が、ストーリーとゲームプレイ部分に融合しているとの評価は多い。

“父と子の関係性は、開発者によって抜け目なく築かれている。ストーリーラインはプレイヤーとアトレウスの関係性と同一の弧を描いている。
 当初、弱い矢を撃つことしかできないアトレウスに対しクレイトスは厳しく接するが、バトルスキルを覚えていくことによって必要不可欠な存在になっていく”(ワシントンポスト)
●The Washington Post | A more nuanced Kratos makes the new ‘God of War’ a mighty success

 この点は、これまでの『God of War』シリーズと比較して非常に大きな変化として捉えられており、ほとんどのメディアはその変化を成功と捉えているようだ。
 大半のレビュアーは、『God of War』の世界観に親子という普遍的な愛情の物語を強く盛り込んだことに驚き、そのデリケートな心情の描写に賞賛を贈っている。

 特にコンパニオンとしての優秀さに関しての発言も多い。たとえば、『The Last of Us』のエリーのように、ステルスシークエンスで敵の眼の前に出ていってしまうといった行動がない。つまり物語の没入を阻害する要素がなく、優秀なAIが用意されているようだ。
 ただし、一部心情的な移入のフックに弱点があり、”最初の20時間程度、アトレウスがうろうろしているのは目障りだ”(Twinfinte)という意見もある。

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(画像は『God of War』公式サイト | Galleryより)

 しかしこれは各人の考え方の差異であり、個人的にはいわゆる「親子関係を軸としたストーリーテリング」に対してネガティブな意見を持つレビュアーがもっと多くても不思議ではない気はする。
 扱うテーマ性によって多少得点が甘めになっている可能性は考慮すべきだが、逆にそれは親子の物語とゲームプレイングの連動が上手く行っている証明なのかもしれない。

 今までのシリーズと、ゲームシステムを大きく変えてきたことに関しても肯定的だ。

“リブートでありながらシリーズのDNAを感じることができる”(Gaming Nexus)
●Gaming Nexus | God of War(2018)

”クレイトスがファンを引き付けた要素を忘れずに、予想もしない方法で大きくフランチャイズを進化させた”(Push Square)
●Push Square | God of War Review(PS4)

 本作の特徴である、ロードのないワンショットでのゲームプレイ、変化した戦闘システムやカスタマイズ性、さらにはビジュアルとオーディオに関して言えば賛辞の嵐だ。一体いくつのレビューで「ゴージャス」という文字列を確認したか覚えられないほど。

“このゲームがどれだけ豪華か伝えるのは不可能である”(Gaming Trend)
●Gaming Trend | The apple doesn’t fall far from Yggdrasil ? God of War review

 つまり海外メディアはストーリー、ゲームプレイ、グラフィック、オーディオ要素まで含めて、ほぼすべての面で傑作だと述べている。とはいえ、その賛辞は『God of War』がいったいどんな形をしているのかを少し曇らせているという印象を受ける。

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(画像は『God of War』公式サイト | Galleryより)

 もしかしたら2005年に発売された初代『God of War』の評価自体が理解の助けになるかもしれない。

 当時レビューを公開していたメディアで現存しているものは少なく、詳細な内容を読み取ることは難しいが、初代『God of War』のメタスコアは94とすこぶる高い。
 ストーリー、ゲームプレイ、グラフィック、オーディオ要素まで含め、傑作であると評価しているメディアが多いことはわかる。2005年の『God of War』と2018年の『God of War』がまったく違うゲームプレイやテーマ性を持っているにも関わらず、使われている表現は酷似している。

 2005年に体験できる最高のグラフィックと、2018年に体験できる最高のグラフィック。最高のオーディオ、トレンドになっているゲームスタイルを高次元で融合させることによって完成された作品。
 『God of War』のDNAとは、クレイトスを依り代にした「その時の最高」の結晶体であり、要するに新生『God of War』はその理念を引き継いだリブートなのだろう。

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(画像は『God of War』公式サイト | Galleryより)

 2005年の『God of War』のレビューでは、QTEはそのダイナミックな演出の一因としてポジティブに捉えられており、粗く一本調子な人格はわかりやすいアンチヒーロー的な人気を博していた。
 しかし現在のビデオゲームで多すぎるQTEは、確実に非難の対象になり、主人公の背景はより明確なテーマ性の提示と物語性が評価の対象となる。たとえリニアな構造のゲームでも、カスタマイズやある程度の自由度は必要不可欠である。それはつまりその時代のゲームトレンドの写し鏡であり、そこから先に進むためのベンチマークとなりうる。

 そう思えば、”最近のゲームトレンドからのいいとこどり”(The Six Axis)というネガティブな評も的を射ているし、しかしそれこそが『God of War』の精神と呼べるのかもしれない。
 いずれにせよ、『God of War』は今の時点で2018年のゲーム・オブ・ザ・イヤー候補のひとつではあるし、ビデオゲームの「今」をもっとも強く感じさせる到達地点であるのは間違いないだろう。

文/Nobuhiko Nakanishi
編集/ishigenn

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著者
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Nobuhiko Nakanishi
大学時代4年間で累計ゲーセン滞在時間がトリプルスコア程度学校滞在時間を上回っていた重度のゲーセンゲーマーでした。 喜ばしいことに今はCS中心にほぼどんなゲームでも美味しく味わえる大人に成長、特にプレイヤーの資質を試すような難易度の高いゲームが好物です。
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ニュースから企画まで幅広く執筆予定の編集部デスク。ペーペーのフリーライター時代からゲーム情報サイト「AUTOMATON」の二代目編集長を経て電ファミニコゲーマーにたどり着く。「インディーとか洋ゲーばっかりやってるんでしょ?」とよく言われるが、和ゲーもソシャゲもレトロも楽しくたしなむ雑食派。
Twitter:@ishigenn

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