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『Nintendo Labo: VR Kit』発表と同時にTwitterでまさかの「バーチャルボーイ」がトレンド入り。これまで立体映像に挑戦してきた任天堂の歴史

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 2019年3月7日、任天堂が『Nintendo Labo: VR Kit』を発売すると明らかにした。任天堂がVR(バーチャルリアリティ)事業に参戦したことに対する驚き、段ボールでコントローラーを作る『Nintendo Labo』シリーズで展開したことに関心する声など、このニュースにはたくさんの反響が寄せられた。

スイッチで手軽にVR体験を楽しめる『Nintendo Labo: VR Kit』が4月12日発売。VRゴーグルと5種類の専用コントローラーを段ボールで作ろう

 そして同時に、もうひとつ話題になったものがある。それは「バーチャルボーイ」。Twitterでは『Nintendo Labo: VR Kit』と同時にトレンド入りしており、やはり任天堂のファンならばこれは必ず連想してしまうものなのだろう。

『Nintendo Labo: VR Kit』発表と同時にTwitterでまさかの「バーチャルボーイ」がトレンド入り。これまで立体映像に挑戦してきた任天堂の歴史_001

 バーチャルボーイは1995年に発売された3Dゲーム機。スタンド式のゴーグル型ディスプレイが本体となっており、それを覗き込むことによって立体映像によるゲームを楽しむことができた。発売されたタイトルは『マリオズテニス』、『V-テトリス』、『バーチャルボーイワリオランド アワゾンの秘宝』などで、赤と黒だけで描写されたインパクトある映像が特に印象的である。

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バーチャルボーイ
(画像は任天堂 | 社長が訊く『ニンテンドー3DS』より)

 しかしながら、バーチャルボーイは商業的には成功したとは言い難い。1994年にはPlayStationとセガサターン、1996年にはNINTENDO64が発売されていたわけであり、時代は立体視よりも3Dグラフィックスによる新たなゲームが支持を得ていた。そんな中、バーチャルボーイは方向性が違いすぎたのかもしれない。

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ハコスコ。ハコスコ社が展開するVRゴーグルで、スマートフォンを差し込んで立体映像が楽しめる。段ボールで作られているため安価に利用が可能。
(画像はハコスコ公式サイトより)

 そういった歴史を持つゆえに、任天堂はVRに対して慎重な姿勢を見せていた。にも関わらず、Nintendo Switchで再びVRゴーグルを販売する。あくまで段ボールで作る「ハコスコ」のような安価なものだが、それでも経緯を知るファンとしては大きな驚きとなったのだろう。

 ただし、任天堂はバーチャルボーイで失敗したあとにただ指をくわえて見ていただけではなく、自分たちなりの取り組みを行ってきた。その歴史をたどっていこう。

ライター/渡邉卓也


任天堂がこれまで手がけてきた、そして世に出てこなかった立体映像

 そもそもバーチャルボーイ以前から任天堂による立体映像への挑戦は始まっていた。1987年、ファミリーコンピュータ向けの周辺機器として「ファミコン3Dシステム」が発売された。これは左右のレンズが開閉することによりそれぞれで異なる映像が見え、それにより立体視が行えるアクティブシャッター方式のもの。ディスクシステムの『ファミコングランプリII 3Dホットラリー』などが対応タイトルとなっていた。

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「ファミコン3Dシステム」のシャッター式ゴーグル。
画像は社長が訊く『ニンテンドー3DS』|ニンテンドー3DS|Nintendoより)

 そして1995年にバーチャルボーイが発売。あまり良い結果にならなかったあとも、任天堂は立体視に挑戦し続ける。2001年に発売されたニンテンドー ゲームキューブには、実は3D対応回路が入っており、『ルイージマンション』も対応タイトルとして動いていたそうだ。ただし、3D映像を楽しむうえで必要になる専用の液晶ディスプレイが高価であったため、実際には採用されなかった。

 さらに、2003年に発売されたゲームボーイアドバンスSPの段階ですでに裸眼立体視のテストを行っていたという。しかしこのころのゲームハードはまだ解像度が低く、こちらもまた商品化することはなかった。

 ゲーム機ではないが、2006年に京都でオープンした展示施設「時雨殿」(現在は「嵯峨嵐山文華館」という名称になり、リニューアルも行われている)を任天堂の宮本茂氏がプロデュースした際、当時の任天堂代表取締役社長だった故・山内溥氏に、映像が「飛び出さへんのか?」と言われたそうだ。結果として立体映像は採用できなかったものの、関連ノウハウは得ることができたという。

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Newニンテンドー3DS LL。
(画像はNewニンテンドー3DS LL|任天堂より)

 それらが花開くのは2011年に発売されたニンテンドー3DSである。メガネやゴーグルなしに見られる裸眼立体視用の3Dディスプレイを採用し、立体映像を極めて手軽に楽しめるようにした。さらにニンテンドー3DSでは立体写真を撮ることが可能なほか、AR機能にも対応。現実世界にゲームキャラクターを呼び出すかのような遊びも可能になっていた。

 ニンテンドー3DSは全世界で約7484万台売れており、セールスとしては成功したと言えるだろう。とはいえ3D映像という部分で大成功したかというと難しいところで、確かに『スーパーマリオ 3Dランド』など立体視を活かした作品もあった。しかし最終的には、裸眼立体視機能を削除したニンテンドー2DSシリーズが登場する流れになっていく。

再び訪れたVRの時代で任天堂は成功を掴めるか

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PlayStation VR。
(画像はPS VR | 特長 | プレイステーションより)

 そして時は流れ、Oculus RiftHTC Vive、あるいはPlayStation VRなどヘッドマウントディスプレイ型のVR機器が支持を得て、VR元年と呼ばれるような時代がやってきた。少し遅れて任天堂も『Nintendo Labo: VR Kit』を発売することが決まったわけで、これは過去を知るファンからすれば嫌でも盛り上がることだろう。

 ユーザーからはバーチャルボーイのタイトルを『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』のように配信して欲しいという声もある。過去の『Nintendo Labo』シリーズでは作ったToy-Conを他のゲームで使うことが可能なため、VRゴーグルを流用してそのようなことをするのも不可能ではないかもしれない。いずれにせよ『Nintendo Labo: VR Kit』は、任天堂が再び立体映像に挑戦する記念すべきタイトルとなるだろう。この技術をどのように遊びに活かしてくるのか、今後の期待が高まる。

ライター/渡邉卓也

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ライター
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渡邉卓也
「マリオの乳で育った男」と自称するフリー・ゲームライター。いくつかのメディアでゲームニュース、レビュー、コラムなどを担当。自分が書いた記事で気に入っているのは「なぜこのゲームが「モンハン」の次に売れるのか…? 『Ice Station Z』から見る3DSという市場の特殊性とゲームの評価の難しさ」。好きなキャラクターは「しずえ」と「カービィ」。
Twitter:@SSSSSDM

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