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『ギ・クロニクル』第六夜(End A「夜明け」)

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Twitterスペースをお聞きの方へ:
本コンテンツはリアルタイムの興奮をみなさんと共有するため、声優さんにもあえて脚本を事前にお渡しせず、皆さんとおなじ画面を直接読んでいただいております。
そのため、つっかえや読み間違え等が発生することがあります。
ご不便をおかけしますが、コンテンツの性質としてご承知いただければ幸いです。

第九の分岐

『ギ・クロニクル』第六夜(End A「夜明け」)_043

奇跡が起きました。

物語が分岐します。

──ふ、ふふ、ふふふ。

 見せてもらいましたよ、
 あなた方の、
 本気の祈祷(プレイ)!

 約束通り
 命かけて

 のみ込んでみせましょおぅおお
 おぼおぁあああばばばべべえべ
 べえべああばあ゛あ゛あ゛あ゛
 あ゛あ゛あ゛あ゛ ! ! !

 の

 のみ込んだッ!!!
 いってきます!!!!!

 選ばれし異世界の亡霊が、
 人として生まれ変わる。


 その際に一瞬、
 垣間見えたものは──

「鍵の言葉」が書き換わります。

『おまえはいらない』
→ 『我は剣と盾になる』

『あなたの想いは醜い』
→ 『想いを刃に切り拓く』

『死ぬから許して』
→ 『許されざる命を生きよ』

『理を捨てよ』
→ 『理をもって愛せ』

『私はいらない』
→ 『夜明け前の我が道を行け』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヘルドラ大陸、北方の雪原。
 時刻は、未明。

 どうせ報告書には、
 デタラメを書くつもりだった。

 が、今回は……

 D級ギ・クロニクル
 『祈祷者(プレイヤー)の護符』による、
 A級ギ・クロニクル
 『戦乙女の冠』半無力化と、
 召喚体複数の受肉事案……、

 うん。正直に書いても、
 誰も信じねえわこれ。

「いや、手抜き報告は
 すぐバレて審問会ですよ。
 レイズル氏は根性無しだから
 ぜったい全部白状するでしょ?
 
 結果、あの方がたが、
 ホントに『聖域』に捕まるとか
 笑い話にもなりませんって!
 
 腹をくくって、筋の通った
 報告書を偽造なさいな!」

「わぁったって!
 
 ったく、最後まで
 世話の焼ける連中だったぜ。
 
 ……ったくよお……」

「不満そーですね。
 『聖域』を脱走して
 みなさんに合流したいんじゃ
 ないですか?」

「バカ言うな。
 職場放棄は上等だが、
 あんな連中は願い下げだよ。
 
 結局、連中が選んだのは
 ただの破滅だ。
 
 それしか無かった。
 だから俺はヒロイズムも
 一発逆転も涙もない、
 ただの悲劇を用意した。
 
 なのに連中、
 全部自前で用意して
 『永遠』と名付けやがった」

「いくらその光景が美しくとも、
 その本質は、集団自殺。
 
 『祈祷者(プレイヤー)』ども
 がそれに価値を見い出して、
 奴らを生かしたのは、結果論。
 
 俺は臆病だ。
 死にたくねえし、
 死で買う奇跡の話は苦手でね。
 
 奴らに起きた奇跡を、
 手放しじゃ祝福できねえさ」

「死すら糧(かて)とする
 『クロニクル』
 まがい物としては、
 コメントに困りますが……
 
 その割に、見逃すんですね?
 認められない奇跡なら
 消しちゃおう、なんて
 思いませんでした?」

「お前なあ……
 そもそも世の中なんて
 ユルいもんだろ。
 多少の例外に目くじら立てて
 どうすんだ。
 めんどいだけだろ。
 
 それにまあ、
 
 好き嫌いとは別にして、
 たかが5つのちっぽけな奇跡に
 水差すほど野暮でもねえよ」

「……お別れも、不要で?」

「要らねーよ!
 面倒の極みだろ!
 
 生きてりゃどっかで
 会うこともあるさ。
 
 その頃までヘルドラが
 残ってりゃの話だがな!
 頑張れよ~境界騎士諸君!」

「あなた方だって失敗したら
 世界の一つや二つは
 軽く吹っ飛ぶでしょうに!
 ま、わたしもですけど!
 いやー、不可避とはいえ、
 冒頭の三巫女世界を
 何度吹っ飛ばしたことか」

「……
 
 うう……
 うるさい……
 
 我……
 寝てたのか……
 
 うう……
 あたまがいたい……
 蜂蜜酒(ミード)の……
 のみすぎか……」

「おっと!
 
 ようやくお目覚めですか。
 ちゃんと正気です?
 わたしのことに見覚えは?」

「……なんだ……
 おまえのこと……
 夢で死ぬほど見たぞ……
 
 かましていいか……
 ヴァルメイヤキック……」

「マジ勘弁してください。
 ここでやられると
 ワンチャン消滅がみえる。
 
 というか……大丈夫かな、
 まだヴァルメイヤ信仰とか
 執着あったりします……?」

「おまえ
 おまえ
 おまえ……
 
 みなまで言わせるな……
 
 なんとなく
 夢のノリの続きを
 したくなっただけだ……
 
 いま……何歴の何年だ……」

「……え、えっとぉ!
 ヘルドラ新暦491年です!
 多忙ですよ~現代は!
 『ギ・クロニクル』の制御中枢(せいぎょちゅうすう)
 としてキリキリ働いて下さい!
 多少劣化してもあなたの能力は
 超強いですし!
 あとわたしもレイズル氏以外の
 話し相手ができるのはまあその
 多少嬉しい、えっとえっと、」

「……レイズル氏ぃ!
 もう出ますよね!?
 
 わたしは少し、野暮用が。
 ひとっとび、いいですか?」

「やれやれ。
 
 さっさと戻れよ?」

「もちろん!
 それではお二方、しばし失礼!」

 ……

『ギ・クロニクル』第六夜(End A「夜明け」)_044

「くっ……この吹雪では、
 先に進むのも一苦労ですね……」

「ビョルカさん、
 無理しないでください!
 夜の吹雪はガチすぎる!
 っていうか全員無理するな!
 もう生身なんだから!」

「よぉし小僧! 盾となれェ!!」

「聞いてんのかジジイィィ!」

「うるさ……
 
 使ってみる?
 『鍵の言葉』
 少しは使えそう。
 オスコレイアの力」

「ふふふ、ヨーズ!
 それはちょっと、
 もったいないとおもうの!
 
 せっかく体をもらったのよ、
 もっともっとさむがって、
 つらい旅をやりましょ?
 
 そのほうがきっと、
 のりこえたときに
 きもちいいわ!」

「ぬう……
 ゴニヤ、成長したのう……」

「屈折した、の間違いかも」

「……ふふ」

「ビョルカさん、
 嬉しそうですね。
 
 ……良かった。
 最後どうなったか、
 僕らには知れなかったから」

「私はね、フレイグ。
 あの試練によって、
 気付くことができたのです。
 
 思い出も、掟も、信仰も。
 心の後ろ盾は全て消え、
 我らのゆくえはちょうど、
 この夜明け前の道のよう。
 
 もしや、いえ、おそらくは、
 
 いずれ各々、別れてゆくことも
 あるのでしょう」

「でも、それが何でしょう。
 あのとき皆さんにいただいた、
 あの尊い一瞬が胸にあれば、
 どんな闇と孤独にあっても、
 私は前に進めます。
 
 そんな皆さんと、
 今、この瞬間をまた、
 共に過ごせている。
 その奇跡が、嬉しくて。
 
 ……へ、変でしょうか?」

「変じゃないですとも!!!!!
 
 変だとすればそれは僕だけだ!
 うおおおおおおおおおおお!!
 びょるびょるしてきたあ!!!」

『ギ・クロニクル』第六夜(End A「夜明け」)_045

「黙れ。熊糞(くまぐそ)。
 尻も蹴り潰すぞ。
 
 ……あとな、ビョルカ。
 
 負けないから」

「……
 
 ふふふ。
 いいですよ!
 
 ところで実際これホントに
 凍死しませんか!?
 アオイトリったら、
 防寒具はもう少し
 弾んでくれてもよさそうな
 ものでしょうに!」

「ぬう……!
 一度洞窟に戻るかの!?」

「……いや。
 
 嵐は、終わりが近い」

「あっ……
 
 みんな、みて!
 
 日がのぼるわ!」

『ギ・クロニクル』第六夜(End A「夜明け」)_046

「ああ。
 
 こんな夜明け、見たことない。
 
 そりゃそうか。
 
 これが、
 僕らがヘルドラで見る、
 最初の日の出なんだから」

かくして、
偽典もまた
祝福されたのです

巡礼者も
監視者も
祈祷者も

みんなみんな

めでたし めでたし
  
 ですね!!!

【ギ・クロニクル 完】

『ギ・クロニクル』第六夜(End A「夜明け」)_047

 

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