ずっと自分でゲームを作りたいという思いがあった
──そんなフリーゲームのことで、先生が制作されているゲームのことになりますが、今回外に発表してみようと思った最大の動機はなんだったのですか?
真島氏:
……なんででしょうね?(笑)
ただ、今まで作ってきたのはオリジナルだったんですが、今回は自分の漫画のキャラクターを使って作っているんですね。なので、「これを完成させたら漫画の宣伝になったりするのかな」という感覚で、外に発表してみようと思いましたね。
──いや、でも週刊連載を抱えてる漫画家さんが、自分でツクールなりUnityなりを使ってゲームを作り、外に発表するというのは前代未聞ですよ!
真島氏:
そうですかね? なんとなく、今までにもあった気がするのですが……。
──連載を抱えてない時期とかならあったかもしれませんが……。週刊少年マガジンクラスの作家さんでは、今まで聞いたことがないですよ。
真島氏:
え、本当ですか? それは……光栄ですね!(笑)
──そのゲームを発表されたのが、先日Twitterで開催されたスペースだったとのことですが、あれはどのような経緯からだったのでしょう?
真島氏:
実はちょうど、スペースの翌日、クリエイターズラボで担当者さんとお話する予定があったんです。
ラボ担当:
クリエイターズラボと真島先生でインディークリエイターさんの方々に今回の企画についての話がいろいろできればなと思って、それの事前段階みたいな形でしたね。
真島氏:
そうです。僕はTwitterのスペースを使ったことがなかったので、テストも兼ねて「とりあえず1回やってみよう」ぐらいの感覚で始めたものだったんです。 なので特に内容も決めていなくて、ベラベラ僕ひとりで喋っていました。ただ、途中から他の作家さんも参加してもらって、ワイワイ賑やかに終わった感じでした。
──ということは、制作中のゲームの具体的な話もされたんですか? あまりに急に開催されたのもあって僕は全然見れなく、悔しい思いをしたものでして……。
真島氏:
いや、全然そんなものではなかったです。
──けど、参加されたメンバーは凄い方々だったとお聞きしています。
真島氏:
後半はそうなんですけど、前半は本当に僕ひとりで。何か喋らなきゃと思って最近の出来事とか、今、何しているのかみたいな話題で喋っている中で、実はゲームを作っているんです、という話が出てきた感じでした。
──ゲームを作っている、というツイートはTwitterでも本当にたくさんの方が驚いていますよね。
真島氏:
まあ、そうでしょうね(笑)。
──(笑)。ちなみに「こんなゲームを作りたい」という方針や目標はあるんですか?
真島氏:
それについてはありすぎて困る感じです(笑)。ツクールだったらこうしたい、Unreal Engineならこういうことをやりたい、Unityならこんなものを作りたいとか、いっぱいあります。けど、さすがに全部同時に進行するのはできませんから、今回はツクールということで、簡単な脱出ゲームを作るという方針で取り組んでいます。本業である原稿の傍らですけどね。
──先ほど、「お金を払って手伝ってもらっている」とおっしゃっていましたが、実際の制作もチームでやっているのですか?
真島氏:
いや、僕ひとりだけです。
──ひとり!?
真島氏:
はい、漫画のアシスタントと同じ感覚です。「お金を払うから、この部分だけやっておいて」みたいな割り振りです。
──じゃあ自分で仕様を切る、とかだと大げさかもしれませんが、まず「こういうことをやりたい」というのがあって、自分で作りつつ、他の方に手分けして担当してもらうみたいな感じなのですね。
真島氏:
はい、そうですね。まあ、キャラクターものですから、最低限の絵は自分で描きます。ただ、イベントの処理みたいな面倒くさい部分があるんですよね。そういう部分やマップは手伝いの人に任せる、みたいな感じで進めています。
──しかし、真島先生ご本人による同人作品って、「そんなのアリ?」となりますね(笑)。
真島氏:
ははは(笑)。まあ、漫画家が作るならそこは外せないですよね。スチル(1枚絵)も本当に小規模な脱出ゲームにしてはかなりの枚数が入っているんじゃないのかな、と思いますね。
──何十枚とか、それぐらいの規模なのですか?
真島氏:
10~20枚ぐらいは入っていると思いますね。
──しかし、「スチルはこれだけ、工数もこのぐらい」みたいな完成までのビジョンがしっかりあるのが凄いですね。
真島氏:
そこは本当に小さいゲームだからだと思いますよ(笑)。大体1時間ぐらいでクリアできるんじゃないのかと。
──ちなみに制作期間はどれぐらいなのでしょう?
真島氏:
おおよそ3ヶ月ぐらいかかっています。まあ、仕事の傍らですから、集中してやれば1ヶ月で今のところまでこれたと思うのですが、どうしても本業がありますので。その傍らだと1時間のゲームを作るのに3ヶ月かかってしまいますね。
──完成は2022年中にも?
真島氏:
はい。あと1~2ヶ月ぐらいはかかるんじゃないのかなと思っています。
──でも、そんなに早くできちゃうんですね。
真島氏:
予定ではおそらく……ですけどね。
──ちなみに完成版はフリー(無料)で配信されるのですか?
真島氏:
もちろん!
──それはまた、大きな話題になりそうですね……。
真島氏:
正直、まだどうなるかは分かりませんけど、ぜひフリーで配信したいと思っています。
──現在作られているゲームは『RPGツクール』によるものとのことで、Unreal Engine、Unityなら先ほどそれぞれこういうしたいとの思いを語られていましたが、具体的にはどういうことをしたいのでしょうか? もし、いま言っておけば、このインタビューを見た誰かが手伝ってくれるかもしれませんよ。
真島氏:
ははは(笑)。やっぱりUnreal Engineであれば3Dアクションや3DのRPGを作りたいという思いはあります。
ただ、ツクールでもまだやりたいことはありまして、本当にオリジナルのキャラクターでオリジナルのゲームを作ってみたいですね。もちろん、外に発表する形で、となります。
──オリジナルのゲームと言えば最近、スクエニさんとのタッグで『Gate of Nightmares(ゲート オブ ナイトメア)』というRPGがスマートフォン向けの配信中ですが、あれはスクエニさんからのオファーがあったのでしょうか?
真島氏:
そうです。ただ、『ゲート オブ ナイトメア』については「ゲームシステムをもうちょっとこうしてほしい」みたいな要望を伝えるなど、キャラクターデザインの範疇を越えたことにも関わらせていただいています。まあ、もちろん僕の伝えたことが全て反映されている訳ではないですけどね。
──たとえば、どのような提案をされるのでしょうか?
真島氏:
たとえば……うーん、言える範囲が難しいんですけど(笑)。仕様に関して「僕はこうしてほしい」と提案して、それを開発チームの方々ができるかどうかを検討してくれる感じです。あくまでも「検討します」と言ってくれるので、必ずその通りできるとは限らないのですが、結果できてもできなくてもありがたいと思いますね。
普通、ゲームのキャラクターデザイナーというのはゲームに口を出すことができませんから。基本的には先方から仕様書が送られてきて、その通り描くという仕事です。ただ、今回は全く逆でして、「僕の方からキャラクターのアイディアを作って提出して、良かったものを採用してもらう」という形を取ってもらっています。
なので、キャラクターの仕様書も無いんですよ。もう僕が全てを担っている感じです。それこそキャラクターの名前、一人称、性格みたいなものは全部自分で作って、提出している形になっていますね。
──それは最初からそのようなオファーとして来たのですか? いわゆるキャラクターデザインの仕事という形ではなくて。
真島氏:
はい。「真島さん、ゲームが好きと聞いているので一緒に作りましょう!」という、それぐらいのテンションで来ました。
──それにしても、アニメを作りたいのではなく、先生の「ゲームを作りたい」という思いの強さに驚かされます。実際、先生としてはゲームにどういった可能性を感じられているのでしょう?
真島氏:
うーん……やっぱりアニメはアニメで魅力はあるんですが、どうしても漫画の延長線上のように感じるんですよね。多分、漫画家さんでもアニメを作れる方ってそれなりに多いと思うんです。なんといっても、絵が描けますから。実際は作るに当たっては動画を作る技術が求められますので別物ですけど、やろうと思えばできなくはないのかなと。
一方で、ゲームはインタラクティブなものなので、そこがやっぱり漫画とは全くの別物なんですよね。絵は描けても、それ以外のところで漫画とは全然違った発想が求められる。だから、絵が描けてもゲームは簡単には作れないと思っていまして。けど、逆に絵が描ける人がゲームを作れば、デザインや見栄えがよくなるのではとの思いはあります。なので、自分自身でやってみたいという思いはずっとありました。
もちろん、アニメも好きで、一時期は自分で作ったりすることもしていたんですけどね。
ただまあ……難しい! アニメもアニメで、ゲームとは違う難しさがありますね。
──いずれにせよ、そのようなゲームを作りたいモチベーションはけっこう根っこの部分からあるということなのですね。
真島氏:
本当にその通りです。UnityやUnreal Engineに触れるようになってから、3Dモデリングの勉強を始めましたし、ゲーム中の映像を作るためにエフェクトについても勉強しないといけないと思ったりとか、とにかくやりたいことがたくさんあって、それを学んだ上で「何か作りたい!」という気持ちはずっとありますね。
漫画家になって最初の目標はアニメ化でも映画化でもなく、ゲーム化だった
──なるほど……。そのようにご自身でゲームを作りたい気持ちが強いとなると、ゲーム業界の方とも交流はあるのでしょうか。
真島氏:
過去に電ファミさんで『ダンガンロンパ』シリーズの小高さん(小高和剛氏)と鼎談したことはありましたが、仕事以外ではあまりないですね。
あと、プライベートでお会いしたことのある方も何人かおります。プライベートなので、そこから仕事に繋げるということは無いんですけどね。
──直接会ってみたいクリエイターさんはいらっしゃるのですか?
真島氏:
今まで、色々なクリエイターさんにお会いする機会がありました。堀井雄二さん、小島秀夫監督、桜井政博さんにはお会いしたことがあります。
ただ、任天堂の宮本茂さんはさすがにお会いしたことがないです。あの御方は伝説として崇めたい感じですね。他にもお会いしたい方はいますが……名前を挙げるとキリがないですね!(笑)
──けど、これほど前のめりにゲーム制作に関わられている漫画家さんは、本当に珍しいと思いますので、ぜひ将来的に何か形になってほしいです。それこそ、昔の『ドラゴンクエスト』と鳥山明先生のように。
真島氏:
ありがとうございます! もう昔からゲーム大好きで、漫画家を始めた時もゲーム化が目標でしたから! 多くの漫画家さんの最初の目標って、アニメ化が圧倒的なんですよ。アニメ化以外にもドラマ化、映画化などのメディアミックスを目標にされているんです。ただ、僕の最初の目標はゲーム化でした(笑)。
──おお(笑)。昔の漫画家さんだと、原体験は映画という方が多いですけど、真島先生は、やはりゲームを原体験としてもつ世代の作家さんなんだなということを、お話を聞いていて強く感じました。
同時にゲームが原体験としてあるからこそ、設定などを考える際にゲームのことを頭の中に浮かべたりもすることもあると思うのですが、やはりそのように意識するのはあるものなのでしょうか。
真島氏:
僕はモロに意識してしまいますね! ゲーム化を見据えて設定を作っちゃいます。
──ただ、周りの漫画家さんはゲーム化を見据えて、という方はそんなにいらっしゃらないと?
真島氏:
はい、周りだとゲーム化よりアニメ化、ドラマ化、映画化をやりたい方が圧倒的です。
──誰か同じようにゲーム化を意識して作品作りをされている漫画家さんで思い当たる方はいらっしゃらないのでしょうか?
真島氏:
あまり居ないですね。多分、みんなそこまで意識していないと思います。
ただ、ゲーム化されている作品って、基本の作りがいいからこそ、ゲームにできていると思うんです。そんなに意識せずとも、良作ならいくらでもゲームに落とし込めると僕は思うんですよね。
──なるほど。その点でいうと、「ゲームを意識することによって描かれるもの」って意外とあると思っているんです。
たとえば『ドラゴンクエスト』は鳥山明先生がデザインをしている訳ですけど、ドラクエのモンスターの目線って必ず主人公、プレイヤーを見ているんですよね。これは細かい部分ですが、やっぱりゲームだからこその表現と言いますか。
そのような表現を追求するために漫画家さんにはもっと踏み込んでもらって、そうすれば海外のゲームとの差別化とか、その辺で強みとして活きてきそうな気がするんです。
真島氏:
そうですね。それに最近は漫画家さんがキャラクターデザインを担当するゲームって減ってきているんですよね。僕としてはそういうお仕事がもっとほしいんですよ。ゲームのキャラクターデザインをしたくて、したくて!(笑)
──ははは(笑)。ただ、公表すれば本当にたくさん来るんじゃないんですかね。
真島氏:
いや、今、ちょうどそこは空いていますので! 全然来ても大丈夫です!!
最終的には絵に限らず、モデリングからエフェクト、音楽もやりたい!
──以前から趣味でゲームは作っていたとのお話でしたけど、実際に外向けにゲームを作り始めるようになって、どうお感じになりました?
真島氏:
本当にゲームを作るというのは思いのほか大変なことなんだな、と思いますね。個人制作だからというのもありますけど、「ゲームは大人数で作り上げるものだ」というのはとてもよく分かります。3Dのタイトルは特にそうで、個人だと相当大変だなと思いますね。
──先ほどモデリングにエフェクトの勉強をしていると聞いた時は、「え、そこまでやるつもりですか!?」と思ったんですが……
真島氏:
最終的にはそこまでしたいと思っています。どうせだったら自分で全部やろうと。
──ということは作曲もですか?
真島氏:
作曲はできるとは言えないのですが……楽器はある程度触ったことがありますので、「やれなくはないかな」という謎の自信はありますね!(笑)
──でも、僕も先生と同じ40代ですが、このぐらいの年齢になると、趣味で大きなことをやろうとした時、「上手い人を集めてやっちゃおう」みたいな、”大人のやり方”をしてしまいがちだと思うんです。
真島氏:
はい、もちろんそれもできると思います。
──けど、そうではなくて自分で絵も音もプログラミングもしたいという思いがあると。
真島氏:
いや、できればプログラミングは任せたいですよ!(笑)。そこは本当、できればクリエイターズラボさんに紹介してほしいんですけどね。モデリングなどの絵の部分は僕が全部やりますから、という感じに。
ラボ担当:
(笑)。紹介と言えば、実は今、クリエイターズラボでもモーションキャプチャーがほしいよね、みたいな話をしているんですよ。
「3Dゲームを個人が作るためには何が必要なのだろう?」ということをクリエイターの皆さんにお聞きすると、「キャラクターごとに違う動きをさせたい、だからモーションキャプチャーが欲しい」という答えが多いんです。
真島氏:
まあ、そうですよね。アセットアニメそのままだと不満がありますよね(笑)。
ラボ担当:
アセットだと全員が同じような歩き方をするので、安っぽさが否めないんですよね。ただ、クリエイターの皆さんは「ちょっと動きが違うだけでも、モデルがアセットでも全然見違えたものになる」とがよくおっしゃられていますので、導入を検討し始めています。もし、使えるようになったらぜひ、使っていただければと思いますね。
真島氏:
そもそも講談社って一応、スタジオ棟があるんですよね。
ラボ担当:
そうなんですよ! なので、持たない手はないなとも考えていまして。本当にスクエニさんが使っているようなお高めの専用機材もあるのですが、それを導入しても悪くないかもしれませんね。
真島氏:
頼みますよ!
ラボ担当:
は、はい……真島先生も仰っていましたので、と伝えます(笑)。
真島氏:
グラビアを撮っているだけの場所がありますし! そこ使いましょうよ!(笑)
ラボ担当:
都内で広く使える環境があるのはありがたいことだと思いますので、それをインディークリエイターさんに貸し出すというのもいいんじゃないのかと、いろんな使い方を考えています。
──これは真島先生というよりは講談社さんへの質問になるのですが、ゲーム化した場合は講談社がパブリッシングを担当し、レベニューシェアにすると説明にありますが、そのレベニューシェアってどれぐらいのイメージなのでしょう?
ラボ担当:
そこはクリエイターさんたちと詰めていく形になりますので、今の時点ではまだ具体的にはお話しできないというのが実情ですね。ただ、今後もクリエイターさんがゲームを作っていけるようにしたいと思っていまして、そのためのお金が入る仕組みはきちんと作りたいと思っています。
クリエイターさんが儲かり、その後で講談社にも入りますが、優先順位はクリエイターさんだろう、と。そのようにしないと後が続かなくなるでしょうし、そこは大事にしたいと思っています。
──クリエイターズラボの取り組みについては僕も以前、インタビューしましたけど、本当に「出版社の文脈でゲーム制作を支援する」というのは本当に面白くて珍しいと言いますか、ゲーム業界側からだと「そんなことが成立するの?」と思ってしまうくらいの取り組みだと思うんですよね。
ラボ担当:
まあ、ゲーム業界の方から見ると邪道なところはあるかもしれませんね(笑)。
──けど、新しいものが出る時ってそういうものかなとも思います。
真島氏:
本当に新しい取り組みですよね。
ラボ担当:
そうですね、あまりないですね。逆に考えてみれば、なぜ無かったのかとの思いもあります。
──それに先ほど、900個ぐらい応募があったという話がありましたけど、「そんなに埋もれていたの!?」という驚きがあります(笑)。
ラボ担当:
ちょうど、とあるゲーム会社の方が仰っていた話によれば今、インディークリエイターは潜在的には1万人ぐらいはいるとのことでした。それが今後数年で、約5倍に増えていくだろうとの予想が立てられているんですよね。なので、これからさらに増えていくだろうと思っています。そして、真島先生みたいに漫画家をやられながらゲームを作られる方も出てくるだろう、と。
今まではクリエイターごとの溝があったと思うんですよ。漫画家の人は漫画だけやるとか、ゲームの人はゲームだけやるとか。そういうところがどんどん分け隔てなくなっていくのでは、みたいなことをおぼろげに思っていますね。
連載を持つ今も、1日2~3時間を設けて必ずゲームを遊ぶ!
──ここで少し話を戻したいのですが、今、真島先生はインディーゲームを手がけているのとは別に、プライベートでもゲームを遊んだりするわけですよね? その1日のスケジュールと言いますか、どんな時間配分でゲームをプレイされているんですか?
真島氏:
これはその時々によってルーティーンが若干変わるのですが、最近は基本、午前中に仕事を終わらせてしまうんですよ。
大体1日5ページぐらいやればノルマが終わりますので、午前中に済ませて、午後は漫画以外の仕事や趣味のゲーム制作、ゲームに関わる技術の勉強の時間に当てていますね。それで大体、夜9時から12時ぐらいまで3時間ぐらいゲームを遊ぶ、という感じです。
──さ、3時間!? え、1日3時間ということですか!?
真島氏:
これでもだいぶ減らしている方ですけどね。
──え、ええ……最近の僕より遊んでいますよ、マジですか……!
真島氏:
いやいやいや(笑)。
まあ、時間がある時はもっとたくさん遊びますし、逆に時間が本当にない時はできませんので。
──ちなみに最近遊んでこれは良かったな、というゲームはありますか?
真島氏:
インディーゲームですと『HADES』は凄く良かったですね!
──遊ばれる時はゲーム機ですか? PCでも遊ばれたりするのでしょうか?
真島氏:
はい、PCにしか出ていないゲームはPCで遊びます。ただ、Nintendo Switchにも出ていれば、遊びやすさからそちらを選びますね。
今、一番遊びたいゲームは今更ですけど『Among Us』なんですよ。ただ、友達を集められないからできないという深刻な悩みがありまして(笑)。いつかそれができればと思っているんですけどね。
──『Among Us』は動画で見ていると遊びたいな、と思いますよね。
真島氏:
まあ、動画でけっこう満足してしまっていたりもするんですけど(笑)、リアルの友達とぜひ遊びたいんですよね。正直、知らない人と一緒にやる勇気がありませんので……。
──そのようなインディーゲームをけっこう積極的に遊ばれている感じなのですね。
真島氏:
はい。ただ、大作も有名タイトルで話題のものはなるべく遊びたいと思っています。
──『HADES』以外にこれいいな、これは凄いと思ったタイトルはありましたか?
真島氏:
インディー以外でも大丈夫でしょうか? 最近だとテイルズの新作、『テイルズ オブ アライズ』は良かったですね。
──話題のものでインディーと言えば、たとえば『グノーシア』などは遊ばれましたか?
真島氏:
はい!『グノーシア』も遊びましたね。
──じゃあ、本当にいろいろ遊ばれているんですね。凄いです。
真島氏:
もちろん、全部ではないですよ? なるべくやりたい、という気持ちでやっています。ですから、積みゲーも多いんですよ(笑)。
買ったっきりとか、ダウンロードしたけどやっていないとか、メチャクチャありますよ。ダウンロードしたまま1回も遊ばず、ストレージの容量確保を兼ねて泣く泣く消したとかもありますから(笑)。
──それはありますよね……(笑)。大作が続くとなりがちですよね。
真島氏:
そうなんですよ……!
ラボ担当:
なんかその間のサンドウィッチと言いますか、そんな感覚でインディーゲームを遊びたくなるんですよね(笑)。
──(笑)。けっこう、面白そうな新作があったらとりあえず買う、みたいな感じなのですね。
真島氏:
はい、とりあえず買っちゃいます!
──その手の情報ってどこから得ているんですか? Twitterですかね?
真島氏:
ネットの記事もありますが、メインはTwitterですね。
──アシスタントさんとも一緒にゲームを遊ばれたりとかはされるのでしょうか?
真島氏:
スタッフもゲームが好きな人がいれば話しますし、担当も、リアルの友人でも同じような人がいれば話す程度ですね。ただ、自分ほどコアな人はいませんね……(笑)。
──いや、僕もゲームメディアでずっと働いていますが、40代になって1日2~3時間遊べる方は本当に稀ですよ。大体、みんなほかのことに時間を取られて徐々に遊ばなくなっていく感じですから……。
真島氏:
まあ、そうですよね……。この歳になると周りにはほとんどいませんね(笑)。
──そうなんですよ……昔はみんなゲームばっかりやっていたのに。
真島氏:
ねえ! 懐かしいな、あの頃は(笑)。
──それを今もなお実践されているというのは素晴らしいですね。ちなみにゲーム機は基本ほぼ全て持っているのですか?
真島氏:
全部持っていると思います。バーチャルボーイもあります!(笑) あと、携帯機で言えばPSP、Vita、DS系統は全部で10台以上ありますね。
──10台以上!?
真島氏:
はい、友人やスタッフに配るために買ったものですね。
──配るというのは……?
真島氏:
『モンハン』(モンスターハンター)が出たら一緒にやろうぜ、みたいな感じです。マルチプレイのゲームを一緒に遊ぶため、配るために買ったのが10台ぐらいあるんです。あと、限定版を率先して買っちゃうのもありますね。ゼルダモデル、マリオモデル、モンハンモデルとか、そういうのは片っ端から買ってしまいます。
さすがに今は全部集めていないですが、それでも『デス・ストランディング』のPS4本体は2台あります。本当、限定版には弱いですね(笑)。ひたすらそういうのを集めちゃいます。
──ははは(笑)。けど、そこまでゲームが好きでいてくれる社会人の方というのは素晴らしいですよ!
真島氏:
あっはははは(笑)。まあ、同じような人は他にもいると思いますけどね。
──では、最後に『FAIRY TAIL』の企画に関しての話題に戻りますが、これからそれこそ、このインタビュー記事を見て、自分も応募してみようという方や、どうしようか迷っている方に向けてメッセージをいただければと思います。
真島氏:
はい! これは自分が出したメッセージにも書いたのですが、本当に『FAIRY TAIL』の原作を知らなくても参加できます。賞金目当てでも大丈夫ですので、ぜひ参加してほしいと思っています。それに『FAIRY TAIL』というIPを使うことによって、クリエイターさん自身の宣伝にもなればいいとも考えていますから、本当にたくさんの人に応募してきてほしいと思っています!
僕も個人でゲーム制作に取り組んでいて、ゲームを作る楽しさとか、大変さというのは理解していると思うのですけども、今回『FAIRY TAIL』のゲームを皆さんの力で何か1本形にしたいなと思っております。
──本日はありがとうございました!想像以上にいろんな話を聞けて楽しかったです。何か機会があれば、業界のクリエイターさんとの対談みたいなものが提案できればと考えていますので、その時はよろしくお願いいたします。
真島氏:
ぜひお願いします!楽しみにしています!(了)
真島先生のディープなゲーマーぶりは、インタビュー中にも話題に出た、2019年に電ファミで掲載された漫画『ねじまきカギュー』の中山敦支先生と『ダンガンロンパ』シリーズの小高氏との鼎談においても紹介されている。「『モンスターハンターG』を2000時間遊ぶ」、「好きなゲームの発売日の直後は絶対に一週間休むことに決めている」など、そのゲームに対する並々ならぬ愛の深さに関しては、すでにネット上では広く知られていることだろう。
実はゲーマーの『FAIRYTAIL』真島ヒロがドラクエ・FFから受けた影響とは?──マガジンで新連載を手がける『ダンガンロンパ』小高和剛・『ねじまきカギュー』中山敦支コンビが訊く!
だが、実は昔から『RPGツクール』を始めとするクリエイター系のツールに触れ、趣味の一環でゲームを作り続けてきたという“いにしえのツクラー”としての一面があったことは、今回のインタビューにて初めて明らかにされた素顔と言えるかもしれない。
しかもツクールに限らず、本業の傍らUnity、Unreal Engineといったゲームエンジンも触れ、モデリングやプログラミングも個人的に勉強しているというのだから驚きだ。それに加え、趣味として1日2~3時間は必ずゲームを遊ぶという徹底ぶり。
なるほど、それならば先日に突如明かされた『EDENS ZERO』原作のツクール製脱出ゲームがほぼ出来上がっているに等しい状態でお披露目されたこと、「講談社ゲームクリエイターズラボ」の取り組みにも関心を寄せ、自腹を切るの前提に今回の企画を提案されたのも納得するしかないの一言に尽きるばかりだ。
企画発表と同時に公にされたメッセージでも書かれているが、真島先生は今回の企画を通して募集しているゲームには“尖っている”こと、“なんでもあり”ことを特に重視されていることをインタビュー中に熱弁されていた。『FAIRY TAIL』という題材に当たる原作こそあるが、過度に縛られる必要はない、それこそゾンビゲームとかでもよい、と。
『FAIRY TAIL』に限らず、漫画などの原作が存在するゲーム、特に昨今発売されるタイトルについては、なるべく原作から逸脱しないように作ることのが暗黙の了解となっている。それを意識せず、インディーゲームの精神に基づいて自由に作っていいと掲げる今回の企画。最低限、原作が好きな人も楽しめるようにという最低限の決まりごとがある点には注意が必要だが、一体、どのような個性的すぎるゲームが集まるのか? そして、『FAIRY TAIL』というすでに完結を迎えた作品に新たなる可能性を切り開くのか?
応募の締め切りは2022年の1月17日までとなっている。我こそは、と思う方はぜひ挑戦してみていただきたいところである。遊び手側としても、どのようなゲームが出てくるのか、募集作品が公にされる時を心待ちにしたい。
【あわせて読みたい】
『カイジ』を担当したベテラン編集者が語る、編集の極意。ゲームの話を聞きに行ったら、講談社111年の歴史に触れることになった「年間1000万円をお渡ししますから、好きなゲームを創りませんか?」とのキャッチコピーで注目を集めた講談社ゲームクリエイターズラボ。
しかし、疑問に思うことが多くあるはずだ。なぜ大手出版社である講談社がゲームを、しかもインディーゲームを支援するのか。漫画や小説などゲーム業界外の人々が、どのように開発者をサポートするのだろうか。こういった投資企画では権利は投資元に帰属するのが普通だが、作家に帰属させるのにはどういう意図があるのだろうか。
そこで今回は、立ち上げ人である講談社取締役の森田浩章氏と『ヤングマガジン』編集次長の鈴木綾一氏に、講談社ゲームクリエイターズラボについて詳しくお話を伺った。 ……のだが、そこでは思いがけず、インディーゲームへの取り組みだけではない、講談社そのものについての話を聞くことができた。作家と1対1で話すとはどういうことなのか。編集者とはどういう存在なのか、そしてどうあるべきなのか。紙の本が厳しくなるこれから、出版社が社会の中で担うべき立場とは。
【プレゼントのお知らせ】
真島ヒロ先生のサイン入り『FAIRY TAIL』色紙を1名様にプレゼント!
真島ヒロ先生のサイン入り
— 電ファミニコゲーマー (@denfaminicogame) January 13, 2022
『FAIRY TAIL』色紙を
1名様にプレゼント!
当選者様のお名前を記入してお送りします。@denfaminicogame をフォロー&本ツイートをRTで応募完了
▼週刊連載漫画家なのに、ゲームは1日3時間!?
“RPGツクールガチ勢”な真島ヒロ先生の素顔に迫る!https://t.co/56VoTtM1vk pic.twitter.com/YNJw06BrIm