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人を魅惑する『ペルソナ』『メタファー』のキャラ、その根源は「色気」にあり? アトラス副島成記とLAMが語り合う、絵に込める欲<フェティシズム>と、イラストレーターが辿り着く「終点」とは

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一言で言うなら、「色気」なんですよね。

いきなりインタビュー中のLAM氏の発言を引用してしまったが、これはまさにその通りだと思う。

魅力的なキャラクターや、圧倒的なデザインセンスから世界中の人々を魅了している『ペルソナ』シリーズ、そして最新作である『メタファー:リファンタジオ』(以下、『メタファー』)。

『ペルソナ3』(以下、『P3)以降、観る人を魅了するキャラクターを描き続けている人物こそ、アトラスの副島成記である。

『P3』の主人公やアイギス、”番長”という愛称で親しまれている『ペルソナ4』の主人公、『ペルソナ5』(以下、『P5』)のジョーカー、そして『メタファー』のヒュルケンベルグなどなど……作品を彩る数々の名キャラクターを生み出してきた副島氏。

副島成記×LAM対談:『ペルソナ』『メタファー』キャラの魅力、その根源は「色気」にあり?副島キャラの魅力徹底解剖_001

そんな副島氏の色気たっぷりなキャラデザインに衝撃を受け、アトラスに入社し、現在は独立してさまざまなコンテンツで大活躍をされているのがイラストレーターのLAM氏だ。

LAM氏は、ゲームのキャラクターデザインのほか、小説の挿絵やMVイラスト、イベントビジュアルなど、多岐にわたって活躍しており、現在は初の画集を発売し、個展も開催。いまノリにノっているイラストレーターと言っていいだろう。

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LAM画集 いかづち 版元:パイ インターナショナル

「ずっと憧れのイラストレーターである副島さんと、ぜひ対談をしたい!」

……そんなLAM氏の熱い思いによって実現したのが、今回の対談である。ちなみに冒頭の一文は、LAM氏から見た副島キャラの魅力です。LAMさん、私も本当にそう思います。

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左から、LAM氏、副島氏。

ということで、そんなLAM氏の熱い思いとともに、改めて「副島成記のキャラクターの魅力」を徹底解剖してみたのが、今回の対談となっている。

私たちは、なぜ『ペルソナ』のキャラに心を奪われるのか。
なぜ『メタファー』のキャラに色気を感じるのか。
この対談を読むと、あのキャラたちへの「解像度」がグッと上がるかも?

そして同時に、副島氏とLAM氏の「イラストレーターとしてのあり方」にも迫っている。自分の描いたキャラやイラストがアニメ化して、ゲーム化して……世界中の人々に愛されている。そんなイラストレーターは、最終的にどこへ辿り着くのか? イラストレーターに、「終点」はあるのか?

LAM氏の憧れから始まったこの対談、想像以上に「イラストレーターの人生」にも踏み込んだ内容となりました。『ペルソナ』『メタファー』のキャラが好きな方、LAMさんのファンの方、そしてイラストレーターを志している方……みなさん必見です!

聞き手/TAITAI
文・編集/ジスマロック
撮影/松本祐亮


店頭の『ペルソナ3』に、「こんなカッコいいRPGがあるのか!!」と心を掴まれた。いま明かすLAMの原点

―今回の対談は過去アトラスに務められていたLAMさんから、「対談の機会をいただけるのであれば、ぜひ副島さんとお話がしてみたい」とのお声があり、実施に至りました。まず、LAMさんがアトラスに入社されて、副島さんとどういったやり取りがあったのかをお聞きできればと思います。

LAM氏:
もともとの経緯を話すと、僕が副島さんの作品に出会ったのは10代のころでした。『ペルソナ3』をゲーム屋でたまたま見かけたのが始まりです。もう、キャラクターデザインも、UIも、音楽も、「なんてカッコいいんだ!!」「こんなカッコいいRPGがあるのか!!」と衝撃を受けました。

副島さんが手がけた絵との出会いも、そこが初めてでしたね。次の『ペルソナ4』も大好きでしたし、学生時代からずっと『ペルソナ』が好きで……。

そして、アトラスの就職試験を受けたのですが……そのときはアート部門ではなくて、グラフィックとUIのデザインで合格をいただきました。その後、UIデザイナーとして『真・女神転生』『ソウルハッカーズ2』『世界樹の迷宮』などを作っている「第一プロダクション」に配属されたんです。

そこから数年が経ち、僕が『ペルソナ』シリーズを手掛けている第二プロダクションに一時的に部署移動をして、『ペルソナ5』のUIデザインに関わることになったんです。そのときは、僕と副島さんの席が本当に近くて!

もう、「副島さんがすぐそこにいる」という、夢のような環境でした。

副島氏:
そうですよね。柱にくっついた席で……(笑)。
あと、中庭で休憩しているときに、ちょいちょい話したりもしましたよね。

―『P5』制作時代のやりとりで、印象に残っていることはありますか?

副島氏:
これも中庭での休憩中だったと思うんですが、LAMさんがプライベートで描いている絵をスマホで見せてもらったことがありましたね。たしか、LAMさんがアトラスから独立する直前くらいだったと思います。「これ(イラスト)でやっていこうと思うんです」という話を聞いた覚えがありますよ。

LAM氏:
『P5』チームで働かせていただいたあと、一度「第一プロダクション」に戻り、初めてアート班に入れてもらえたんです。そこで『幻影異聞録♯FE』『ソウルハッカーズ2』のアートチームに在籍しながら、並行して趣味の同人誌を出す活動をしていました。

そんな中で、『東京クロノス』【※】というVRゲームのキャラクターデザインのお仕事をいただいたんです。そこで「このタイミングでチャレンジしてみよう」と決断し、アトラスを退社しました。入社して5年目くらいのころでしたね。

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【※】『東京クロノス』……MyDearestが開発し、 2019年にSekai Project より発売されたVRビジュアルノベル。LAM氏はキャラクターデザインやパッケージアートで参加。(画像は東京クロノス VRミステリーアドベンチャーゲームより)

LAM氏:
そして、そのタイミングで副島さんには進退についてのご報告をさせていただいて……まさに絵柄もそうですし、僕にとって副島さんは本当にたくさんの影響を受けた「憧れの人」でした。

「あこがれの人への決意表明」という思いと同時に、「またいつかお会いできたら……」という気持ちを込めて、自分の描いた絵を見せていたのだと思います。

実は、『ペルソナ』も『メタファー』も、キャラの絵を描いても「〇〇」は書けない

―まさに、会社に在籍している副島さんと、独立して活躍されているLAMさんがいらっしゃるということで、「イラストレーターとしての生き方」といった話もできればと思っていました。

LAM氏:
副島さんも、イラストレーターとして悩まれることがあるんですか?

副島氏:
ありますあります。つねに悩んでいます。

「今後どうしようか」とも思いますし……アトラス内にいると、「会社の中だと、大きなことができる」というメリットもあります。でも、個人の欲の視点で考えれば全てを好きにできない訳です。当然ですけど。

たとえば、色紙などで自分もキャラクターを描きはするのですが、その中でひとつ「ルール」として決めてることがあります。これは『ぺルソナ』や『メタファー』でも同じことなのですが、キャラの絵を描いても「吹き出し」は書けないんですよ。

LAM氏:
そうだったんですか!?

副島氏:
吹き出しはキャラクターがなにかを話しているわけで、そこは僕の領域じゃないんですよね。シナリオライターさんの領域なんです。

LAM氏:
なるほど、そこで「自分だけのものじゃないな」と。

副島氏:
そう、まさに「自分だけのものじゃない」という感覚があって。

もちろん、大勢で制作するのは「いろいろな人の能力を借りて、一人では生み出せないものを作る」というすごさがあります。だからこそ沢山の方に愛される作品やキャラクターが産み出されるわけで。でも、それとは関係なく、欲としてやっぱり「自分で作ったもの」はほしくなるんですよ。

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副島氏:
フリーランスの人は全部が「自分で作ったもの」ですよね。だから、そういう悩みはあります。自分の創作活動をしてみたくて、個人的にマンガを描いてみたこともありますから。

LAM氏:
え、そうなんですか!

副島さんのキャリアとこれまでの実績を考えるとすごい次元の話だと思いつつ、「たしかにそういう想いは自分にもあるな」と商業の案件に関わり続けている中で感じることはあります。僕もいつかマンガは描いてみたいと思っています。

あと、率直に副島さんのマンガもすごく見てみたいです(笑)。

副島氏:
じつは、ぜんぜんうまくいかなかったんですよね。

LAM氏:
でも、副島さんは『P5』のキャラ設定やイメージボードなどを制作されていたときに、結構カートゥーンコミック調のアートとかも描かれていましたよね?

モノクロで、ちょっとアメコミっぽさのあるアートをたくさん描かれていて……それがめちゃくちゃかっこよかったんです。正直、僕はあれを見て「副島さんはマンガも描けるんだ!? なんでも描ける人なんだな……」と思っていました。

副島氏:
アレは、スタッフからも「マンガ描けるじゃないですか!」って言われてました(笑)。

一同:
(笑)。

副島氏:
だから、マンガのような体裁の「絵」は描けるんですよね。
原作者がいれば描けるのかな……?

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実際に『P5』には、コミック調の表現も多く取り入れられている。

LAM氏:
でも、シナリオとなる部分はキャラクターデザインの文脈とはまた違いますよね。僕自身も、「オリジナル作品やIPを作りたいな」と思いついたときに、ストーリーの部分で悩むことばかりです。

外から見ていると、副島さんには昔から「ファンタジーが好きな気持ち」と「モダンでハイセンスなファッションが好きな気持ち」があって、ずっとキャラデザをされてきているんだろうと感じるんです。

それをずっと続ける中で、「こういう物語を作りたい」という種とか想いみたいなものが、渦巻いているんじゃないかと……。

副島氏:
渦巻いている「はず」なんですけどね(笑)。

―ちなみに、マンガはいまも描かれているのでしょうか?

副島氏:
諦めてないですよ(笑)。
あくまでプライベートの時間で、模索を続けている感じです。

LAM氏:
副島さんが「マンガを描きたい」と思った源泉が気になります。

絵を描ける人間が生み出せるものは、1枚のイラストやその集合体であるマンガ、もしくはアニメーションだったりすると思うのですが……やっぱり副島さんの中にも選択肢として「マンガ」があったのでしょうか?

副島氏:
小学校のときに、「将来なにになりたいか」って絶対書くじゃないですか。

LAM氏:
僕、「マンガ家」って書きました。

副島氏:
そう、「マンガ家」って書きますよね!
そこに「イラストレーター」って書く人は、あまりいないはずです。

もちろん、いまならいるかもしれないのですが……少なくとも僕が学生だったころは、「マンガ絵」を描く仕事というと、マンガ家やアニメーターくらいしかなかったんです。

そして「アニメーターはちょっと専門的すぎる」と考えて、ふわっとした夢として「マンガ家」と書くじゃないですか。マンガって、絵だけじゃないのに……。

LAM氏:
たしかに、僕も同じですね。

10代のころはずっと週刊少年ジャンプのマンガの模写をしていて……。原稿とGペンを買ってきて、原稿用紙に線画を描いたりトーンを貼ったりしていたのに、なぜかいまはイラストレーターなんですよね。

副島氏:
それは「絵に特化していたから」なんでしょうね。
自分もそうなんですよ。物語がなく、「絵だけ」になってしまった感じです。

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副島氏:
LAMさんもキャラクターの設定を考える人やシナリオ担当の方にキャラクターデザインを提供するというお仕事があると思うんです。イラストレーターって、どうしてもそのときに「予定調和のものは出さないでやろう」という気持ちが……(笑)。

LAM氏:
あ、変化球を投げたくなるやつですね! わかります!

副島氏:
そして、それがクセになっていると、「自分の絵」がつけられなくなるんですよね。自分の考えたものを、自分で予定調和にしたくなくなっちゃうんです。そこで、マンガが変な噛み合わせになってしまう。

LAM氏:
でも、そこが副島さんの「キャラデザの妙」を生んでいるところな気がします。

『メタファー』のキャラデザがまさにそうですが、副島さんの描かれるキャラクターって、「王道感」と「邪道感」の融合なんです。あの「すごく印象に残るし、食べやすい」キャラデザは、本当に絶妙なバランスです。

僕は『ペルソナ』の現代的な学生スタイルのルックが大好きだったのですが、僕がアトラスを辞める前に、副島さんは「ファンタジーが好きだ」とお話をされていて。「ファンタジーをまたいつかやれたらな」とおっしゃっていたんですよ。

そこで、いざファンタジーの『メタファー』が出て、そのキャラデザを見たときに……なんかもう「爆発してるぜ!!」と。

一同:
(笑)。

LAM氏:
「ただのファンタジー」ではなくて、モダンで現代的な要素や模様パターン、シルエットが取り入れられているんです。だけどファンタジーの要素もあり、副島さんの色気のあるキャラクターデザインも重なっている。その「融合具合」がすさまじいんですよね。

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副島さんのキャラデザ、一言で言うなら「色気」

―もう少し「LAMさんから見た、副島さんのキャラデザのすごさ」を詳しく聞かせてください。

副島氏:
いやー、ないと思いますよ。

LAM氏:
めちゃくちゃありますよ!
僕の好きな副島さんを侮らないでください副島さん!

一同:
(笑)。

LAM氏:
ひと言で言うなら、「色気」なんですよね。

僕は男性キャラクターに「セクシーだな」と思ったのは、副島さんのキャラデザが初めてでした。『P4』の番長もそうですし、『P5』のジョーカーもそう。とくにジョーカーは「なんてセクシーなんだろう!」と。

副島さん自身も「癖(へき)」を込めて描かれているんだろうなとは思うんですが……やっぱり副島さんのキャラは、老若男女問わず「古くない」んですよね。「いまっぽい」新しさ、爆発するような色気、セクシーなキャラデザ、服のシルエット……それが相まって作り上げられていると思っていて。

女性キャラクターはもちろん、男性キャラクターも副島さんみたいに、魅力的に描きたいなと思っています。本当に尊敬していますね。

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LAM氏:
ありがたいことに、僕自身もキャラデザを担当させていただく機会が多いのですが……副島さんは「キャラデザの天才」だと思ってるんです。

僕は「引き算のデザイン」がすごく好きなんですよ。
つまり、要素過多じゃないものが好きなんです。人間って、たぶんパッと見で覚えられる要素は2つ~3つが限度じゃないですか。でも副島さんのデザインは、その「パッと見で覚えられる以内」に集約されているんです。

たとえば、『P5』の主人公だって、分解したら「黒髪で、癖っ毛のメガネの子」なんです。だけど、チェックのパンツや特徴的な赤いボタン、黒縁のメガネといったアイテムがあって……この「最小公約数でキャラクターデザインが完成している」というのが、僕にとっては理想なんです。

僕自身もこういうキャラデザを理想として目指しているのですが……どうしても、「ここ、ちょっと空きすぎてるかな?」と、なにかを足したくなる恐怖心があります。だけど、そんなときには副島さんの絵を思い出して、グッとこらえていますね。

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LAM氏:
代表的な例でいうと、『メタファー』のガリカ、すごくないですか?

だって、服で言えばただの黄色に水色の花柄ワンピースに、カチューシャなんですよ!? 「最小公約数」だけど、印象に残りますよね。

あと、『P5』のモルガナもそうですよね。
シンプルでありながらも、トリコロールが使われていて印象に残る。

だから、僕もメインにしたいキャラクターは、副島さんにあやかってトリコロールカラーを入れたりしています。そこも含めて、副島さんは僕のキャラデザ人生に多大な影響を与えている方です。

―その「副島さんのキャラの“色気”」について、もう少し詳しくお聞きできないでしょうか?

LAM氏:
いい意味で、書き手の性別を感じない「ユニセックスさ」がすごいんですよね。

あまりいまの時代だとよくないかもしれないですが……やっぱり、描き手によって異性のキャラクターの方向性が偏ってしまうことはあると思うんですよ。女の子をかわいく描く作家さんもいれば、男性をカッコよく描く作家さんもいる。

そんな中、副島さんは物語に登場する「人物」を俯瞰して見ている感じがするんですよ。

だから、性別によるキャラクターの差や、魅力の差が生まれない。
老若男女を問わず、美しくてカッコいいんですよね。

副島氏:
このあたりは、どっちかっていうと「ゲームのファン層」にある気がします。

もちろん『ペルソナ』にも男性のファンは多いのですが、同時に女性のファンも多いんですよね。だからこそ、「女性ファンにも嫌われないように、女性キャラを描く」ことを大切にしています。

やっぱり自分も男性なので、美少女キャラをベタベタに描きたくなってしまうときがあるのですが……そこは大切にしていますね。

LAM氏:
副島さんは、そこの距離感を昔から大事にされていますよね。

ご自身のデザインを女性スタッフに見せて、意見を聞いていたり……。会社でアートのリーダーを担当して、どうしても自分のデザインを絶対的なものとしてしまう方もいる中で、副島さんは柔軟にいろいろな意見を取り入れてらっしゃるなと。

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(画像はP4 – ペルソナ4 – 公式サイトより)

LAM氏:
「色気」の話で思い出したのですが、副島さんのデザインは、「目、唇、鼻」がポイントだと思っています。僕はとくに「唇」が好きで……モノクロの絵だと顕著なのですが、副島さんは唇を描かれる時に「墨だまり」を描かれるんです。

もう僕はかぶれにかぶれましたね。
モノクロは副島さんに多大な影響を受けています。

僕自身、顔のパーツとしては「目」が好きなのですが、副島さんの描かれたキャラクターの中では『P4』の花村陽介のデザインで「Tライン」を意識されたとおっしゃられていたのが印象的でした。顔や目鼻立ちのバランス感覚にすごくフェチ(フェティシズム)が込められていて、それが色気に繋がっているんだろうなと。

だから、副島さんはクリーンなクリエイティブの中にも、かなりのフェチを込められていると思っています。その意味でうれしかったのが、副島さんが以前「女の子のキャラクターにいっつもカチューシャを描いちゃう」と言っていたことで……そういう抑えきれないリビドーみたいなものが副島さんにもあるんだと(笑)。

副島氏:
周りのスタッフにも「抑えきれない」と言われているし、若干ネタにされつつあるので……『メタファー』ではもうやっちゃおうと思って(笑)。

LAM氏:
まさに、『メタファー』のキャラクターが発表されたときに「今回は誰についてるんだ?」と思ったら、主人公にカチューシャがついちゃってるんですよね! 「あ!カチューシャ!」と思いました(笑)。

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―カチューシャで言うと、やはり『P3』のアイギスが印象的です。

副島氏:
アイギスは、当時「やりすぎてしまったとき」があって、周りのスタッフに「ちょっと気持ち悪い」と言われたことがありましたね……。

アイギスの胴体って、まったくディティールのない真っ白な部分がありますよね。普通だったら、あそこにラインやボタンを入れたりするのですが、なにも入っていないから真っ白なスクール水着みたいになっているんです。あのデザインをやれてしまうのが、「気持ち悪い」と。

LAM氏:
えっ、むしろあれがいいじゃないですか!

副島氏:
自分もそう思うのですが……まぁ、見る人によってはそう見えてしまうんですよね。

大人数で作っていると、ひとりのフェティシズムを押し通すのはだんだん難しくなってくるんです。でも、だからこそ、そこは「捨てちゃいけないな」とは思います。

―アイギスはあの絶妙な「フェチ」感がいいですよね。

LAM氏:
アイギスは脚のシルエットもいいですよね。
『鉄腕アトム』のアトムじゃないですけど、あの手塚治虫メカのようなシンプルさというか……。

そして僕がアイギスに出会ったのは思春期まっさかりの高校生のころだったので、絶大な影響を受けましたね(笑)。

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編集長
電ファミニコゲーマー編集長、およびニコニコニュース編集長。 元々は、ゲーム情報サイト「4Gamer.net」の副編集長として、ゲーム業界を中心にした記事の執筆や、同サイトの設計、企画立案などサイトの運営全般に携わる。4Gamer時代は、対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」などの人気コーナーを担当。本サイトの方でも、主に「ゲームの企画書」など、いわゆる読み物系やインタビューものを担当している。
Twitter:@TAITAI999
ライター
転生したらスポンジだった件
Twitter:@yomooog

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