2024年9月30日に4周年を迎えた『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(以下、『プロセカ』)は、全世界で累計ユーザー数3900万人を超える人気ゲームである。
2024年1月10日、そんな『プロセカ』で新コンテンツ「マイセカイ」が実装された。
内容としては、プレイヤーの想いが具現化した箱庭のような「セカイ」の中で、木々を伐採、アイテムを収集。家具を作って配置して、時折訪れるキャラクターたちや、他のプレイヤーたちとコミュニケーションが取れるというものになっている。
そして、「マイセカイ」のコンセプトとなっているのが「キャラクターに関する体験を広げる」こと。普段見られないキャラ同士の掛け合いを見られるのはもちろん、好きなキャラグッズだらけの「祭壇部屋」を作ることも可能だという。
今回は、そんな「マイセカイ」がなぜ作られたのか。どのような体験をユーザーに提供してくれるコンテンツなのか。Colorful Paletteにて「マイセカイ」の開発ディレクションを担う大平真也氏と、企画・プランニングを担当する杉山裕起氏にインタビューを実施。
「マイセカイ」の開発エピソードはもちろん、リズムゲームとして人気の『プロセカ』における「キャラクターゲームとしての側面」についても語っていただいた。
※この記事は『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』の魅力をもっと知ってもらいたいセガさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
「マイセカイ」のコンセプトは「キャラ体験の拡大」
──まずは今回の大型アップデートで「マイセカイ」を実装する意図をお聞かせ願えますでしょうか。
杉山裕起氏(以下、杉山氏):
「キャラクターに関する体験を広げる」というのが「マイセカイ」のコンセプトになっています。
大平真也氏(以下、大平氏):
これを大きく分けると2パターンあると思っていて、ひとつは自分の「好きなキャラクターの部屋」を作るということです。
「マイセカイ」では、これまで『プロセカ』内で手に入れた「カスタムプロフィール」のコレクションアイテムや缶バッチなど、さまざまなものを家具として並べることができます。
いわゆる「祭壇」的な部屋を作れますので、自分のキャラクター愛を最大限に表現できるようになっています。
──グッズをたくさん並べる、あの「祭壇」が『プロセカ』内で作れるようになると。
大平氏:
そうですね。そして、もうひとつは「キャラクターの新しい側面を見る」という体験です。
「マイセカイ」には、訪れたキャラクターが、置いてある家具に対していろいろな会話をしてくれるという機能があり、キャラクターの日常的な側面を見せてくれるような細かな会話が、たくさん実装されています。
ぜひ、キャラクターたちが「どんな反応をしてくれるんだろう」とワクワクしながら、新しい家具を作って楽しんでいただけると幸いです。
──キャラクター同士の掛け合いのようなものも見られるのでしょうか。
大平氏:
はい、あります。たとえば、大きなソファーを置いたら、そこにふたりで座って会話をしてくれることもあります。
彼女たちはもちろん知り合い同士なので、そうした日常のシチュエーションみたいなものも見ることができます。
──「マイセカイ」に訪れるキャラクターには、なにか法則性はありますか?
杉山氏:
ユニットに対応した「ゲート」があり、そのゲートを設置することで対応したユニットのキャラが登場するようになっています。ゲートはどれか1ユニット分設置できるので、登場するキャラクターをユニット単位で選ぶイメージです。
各セカイのバーチャル・シンガーに関しては、初期から登場していたバーチャル・シンガーが登場します。「Leo/need」であればミクとルカ、「Vivid BAD SQUAD」で言えばミクとレンとMEIKO、といった形ですね。
ストーリー進行によって登場したバーチャル・シンガーに関しては、初期のリリース段階では登場しませんが、そのあたりは今後のアップデートなどでの対応を検討中です。
──今回の取材に際して、事前に「マイセカイ」試遊をさせていただいたのですが、デフォルメされた3Dキャラクターが印象的でした。
杉山氏:
ありがとうございます。3Dキャラクターに関してはまだまだブラッシュアップ中で、頭身や表情、モーションなど、現在も細かい調整を重ねています。
「マイセカイ」開発用の社内チャットが作られたのが2022年の12月なんですが、その当初から「キャラクターをどう見せるか」という話をしていました。キャラクターの頭身に関して言えば、「頭の大きさを1.2倍にしてみよう」や「逆に0.8倍にしてみよう」など、数多くのパターンを検証しました。
──ちなみに、現在のキャラクターの頭のサイズは、開発当初から大きくなったんでしょうか? それとも小さくなったんでしょうか?
大平氏:
開発当初よりは小さくなっていると思います。
杉山氏:
そうですね。最初のころのミクさんはもっと大きかったような記憶があります。
大平氏:
もっと「ボン!」って感じだった気がしますよね。今はだいぶ「シュッ」としています。でもやっぱり今のほうが可愛くなっていると思います。
杉山氏:
可愛さや魅力が伝わるキャラクターにしたいという思いで、2年間ずっとキャラクターの表現技法については研究し続けていていますよね。
表情に関しても細かく仕上げています。見た目は小さいですし、デフォルメされていますが、その中にどれだけキャラクターの愛嬌や魅力を詰められるかというのは、議論をして作り上げてきました。
──キャラクターの表現は核になるところですよね。だからこそ、全力を尽くすところだと。
杉山氏:
そうですね。絶対に「ないがしろ」にはできない点です。キャラクターの「実際に生きている感じ」を表現したいというのは、ずっと話し続けてきました。
どう動いたら自然に見えるのか。実在している感覚を表現できるのか。どこかで満足するのではなく、最後まで「できることがないか」と探しています。
大平氏:
ここは最後まで……調整ですね。
「マイセカイ」では普段とは違うキャラクターの一面を楽しめる
──「マイセカイ」においては、本編ストーリーに登場しないプレイヤーとキャラクターとの交流が可能です。その点について、一部のユーザーからは「解釈違い」という意見もあがっています。そうした声に対しては開発サイドとしてどうお考えですか?
杉山氏:
プロジェクト内でも同様の意見は出ており、議論を重ねた部分でもあります。最終的には「箱庭」というゲーム性の中で、キャラクターの魅力を最大限に表現するには、プレイヤーとの会話は不可欠だという結論に落ち着きました。
たとえば、キャラクターがプレイヤー(のアバター)を通り過ぎる際に、何も反応がないと「無視されている」感覚になる可能性もあります。それに、「キャラクターとプレイヤーの交流」について、これまでまったくないわけではないんです。
──それは「コネクトライブ」のことでしょうか。
杉山氏:
はい。「コネクトライブ」では、キャラクターがプレイヤーを認識してリアクションをするという交流要素があります。
「コネクトライブ」で表現できたこととしては、ステージに立っている「演者としてのかっこよさ」のようなところと、「演者とオーディエンス」のような関係性だと思うんです。
一方「マイセカイ」に関しては、どちらかというと生活の中で見られるような、日常的な姿が表現されています。ステージに立つかっこよさも良いですが、自然体な姿のキャラクターと「会話」ができることで、キャラクターの魅力がさらに増すのではないか。そう考えたのも、会話を入れた理由のひとつです。
──「コネクトライブ」や本編のストーリーとはまた違った角度から、キャラクターの魅力を感じられるコンテンツになっているわけですね。
杉山氏:
「マイセカイ」はミクたちと一緒にキャラクター達を見守ってきたプレイヤーの「キャラクターを想う気持ち」が具現化したセカイなんです。
ですから、これまでの「キャラクターたちの想いで作られたセカイ」とは少し別の枠組みになっています。
──少し難しい話になってしまうかもしれませんが、「マイセカイ」に訪れるキャラクターたちは、本編ストーリーと繋がっている同一の存在として認識して良いのでしょうか?
大平氏:
繋がっているものだとお考えください。彼女たちのセカイになぜか扉があって「開けてみたらプレイヤーのセカイと繋がっていた」という感覚です。
──お話を聞いている限り、「マイセカイ」はキャラクターゲームを楽しんでいる層に向けたコンテンツに見えます。
大平氏:
おっしゃる通り、「マイセカイ」は、キャラクターのいろいろな側面を見てもらったり、会話を体験してもらったり、キャラクターコンテンツとして楽しめる点を重視しています。
ですので、「キャラクターと触れあうのはどんな体験なんだろう」というところから入っていただいて、少しづつ世界の広がりを感じてもらえると嬉しいです。
──このようなコンテンツを実装されるということは、『プロセカ』ユーザーの中でキャラクター、ストーリーを楽しんでいる層が多いというのもあるのでしょうか。
大平氏:
そうですね。たとえば、Vivid BAD SQUADが伝説の“RAD WEEKEND超え”を果たす「OVER RAD SQUAD!!」はかなりの反響がありました。
そのほかのイベントについても個人的にSNSをチェックする際に、ストーリーを楽しんでくれているユーザーさんを多く見かける印象です。
運営としても、ストーリーを楽しんでいただきたい思いがあるため、自分のストーリーの読破率を表示し、ストーリーを読むと報酬がもらえるようなアップデートも行いました。
杉山氏:
定期的に実施させていただいているユーザーさんへのアンケートでも、イラストやキャラクター、ストーリーを魅力に感じていると回答くださっている方は多いですね。