無法者を蹴散らして島々を巡る海賊がテーマの『ドミニオン』型ローグライク・カードバトル。デッキ圧縮で勝負!【レビュー:Pirates Outlaws】

 昨今、『Silent Abyss』『Card Quest』『Slay the Spire』といったデッキ構築型ローグライク・カードゲームが人気になっていますが、また新たな同ジャンルの作品が登場しました。
 海賊だらけの海に挑む『Pirates Outlaws』です。

 この作品は、他のローグライク・カードゲームとはちょっと趣が異なります。

 『Silent Abyss』や『Card Quest』はカードに多彩な効果が付いており、それを組み合わせて戦うゲームでした。
 一方、このゲームに登場するカードは「敵に6ダメージを与える」、「敵の攻撃力を下げる」といった、シンプルなものが多め。
 手札を次のターンに残すこともできないので、プレイングにあまり戦略性はありません。

 そのぶん、デッキ構築がとても重要。
 必要なカードを強化し、いらないカードを外して、デッキを圧縮していくことが勝利に繋がります。
 まさに“デッキ構築型”の、ローグライク・カードゲームです。

 プレイルールや用語(お邪魔カードを「呪い」と呼ぶ点など)が、デッキ構築型カードゲームの元祖『ドミニオン』を踏襲しており、『ドミニオン』でRPGをするようなゲームともいえるでしょうか。

 価格はiOS版120円、Android版110円で、かなり格安。
 ただ、無課金だと追加カードのアンロックなどに時間がかかります。
 Steam版は4月6日に発売予定。
 ※Steam版の公開は8月6日に延期されました。

 開発は中国のメーカーですが、あまり中国っぽさはありません。
 メッセージは日本語化されています。

 初期のデッキ(山札)構成はキャラクターごとに決められています。
 最初に使えるキャラクターは「射撃手」のみ。
 マップ画面で向かう先を決めると、すぐにバトル開始。

 ターン開始時、デッキから5枚のカードが配られます。
 敵にダメージを与える「パンチ」や「射撃」、敵の攻撃を防ぐ「盾」、次の遠距離攻撃が威力2倍になる「発令」などのカードがあり、これを対象とするキャラにドラッグして攻撃や防御を行います。

 カードには「弾薬コスト」があり、銃攻撃やスキルカードの多くは「弾薬」を消費します。
 弾薬は主に「弾薬カード」を使って回復し、これが他のカードゲームの「マナ」に相当します。
 近接攻撃は弾薬を消費しませんが、最前列の敵しか狙えません。

 カードを使える枚数に制限はありませんが、ターンを終了すると手札はすべて捨てられます。
 次のターンに残すことは(特殊な効果のカードを除き)できません。
 ただ、デッキのカードがなくなると捨て札がシャッフルされて新たなデッキとなり、そこからまたカードが補充されるので、使ったり破棄したカードも後で戻ってきます。

 ターン終了すると敵が一回ずつ行動を行って、再びプレイヤーのターンに。
 これをどちらかが全滅するまで続けます。

ボス敵、ふたり組の海賊。前衛が盾役となり、後衛が銃撃をしてくる。敵の位置を動かすカードが欲しい。
ただ、このゲームはプレイごとにマップが変化し、出てくる敵も変化します。
ボスも複数用意されていて、どれが出てくるかはランダム。
日本語化されているのでカードの効果で悩むことはないと思いますが、この「補給品」だけは意味がわからないかも。
「捨てた際に弾薬を補給する」のですが、このゲームに「カードを捨てる」というコマンドはありません。
ただ、「手札を一枚破棄して防御を得る」という「バリケード」といったカードがあり、こういうカードを使うときには捨てるカードを選びます。
このときに補給品を選択すれば「捨てた際の効果」が発動します。つまり単体では使えません。

 敵を倒すと「コイン」を得られ、さらにカードが3枚提示されて、その中の1枚をデッキに加えられます。
 加えないという選択はできません。
 欲しいものがない場合、コインを使ってシャッフルできるようになりましたが、コインの無駄遣いは墓穴を掘るので悩みどころ。

 報酬を選んだらマップ画面に戻り、次に向かう場所を選択します。
 ただ、移動するごとに船の耐久力が減っていき、0になると沈没してゲームオーバーになるので、できるだけ船が傷まないルートを選びたいところ。

 マップ上にはカードの購入と強化を行える「市場」、回復とカード除去を行える「酒場」、さらにランダムイベントが起こるマスがあり、特にカードの強化は強敵との戦いでは必須です。

 そしてもっと重要なのが「カード除去」。
 こうした『ドミニオン』型のカードゲームは、デッキの枚数が増えるほど各カードの回転率が悪化し、強いカードがなかなか来ない、回復カードが巡ってこない、という状況に陥ります。
 よってカードは増やせば良いというものではなく、むしろ強いカードだけで構成された枚数の少ないデッキの方が、強カードを回しまくれるので強力です。

 どのカードを強くして、どのカードを除去するか、それを実行するためのコインをどこで稼ぐかを考えて、ルートを選ぶことが攻略のポイントになります。

 各マップのラストにはボスが待ち受けており、倒すと次のマップに進むか、帰還するかを選べます。
 途中でやられると成果が減るので、自信がないなら帰るのも手。
 3つ目のマップをクリアできればエンディングとなり、大きな成果を得られます。

洋上画面。新しいマップに入ったら、まずスクロールして全体を眺め、どういうルートを取るか考えましょう。
船の耐久力がなくなっても即ゲームオーバーになるわけではありませんが、移動時に一定確率で沈没してしまいます。そうなる前に酒場で船の修理をすること。
3つ目のマップを目指すなら、修理代を稼ぐことも必要になります。
酒場の画面。カードとレリック(装備アイテム)を買えますが、重要なのはアップグレード。
費用は50コインですが、同じ酒場で連続で「アップグレード」をしようとすると、費用が倍々になっていきます。
酒場での「カード除去」も費用は同じ。どんなデッキを目指すか、大まかに決めておきましょう。
こちらは勝利後の報酬カードの選択。左上のシャッフルボタンでカードを入れ替えられますが、費用の25コインは結構痛い。
欲しいカードがない場合は、とりあえずレリックを選んでおくのが良いです。レリックは酒場で売れるので、強化費用の足しになります。
使い捨てのレリック(その場でカードを強化する、回復するなど)も、使用後は酒場で売ってしまいましょう。
名前が緑色のカードは、すでにアップグレードされています。

 ゲーム終了後、成果に応じた「ゴールド」「名声」「経験値」を入手できます。
 経験値が溜まると新しいカードがアンロックされ、「ゴールド」と「名声」は新キャラクターや新海域、他のアップグレードの購入に使えます。

 ただ、難点に思うのは、これらの入手量が少なすぎること。
 慣れていないうちは最初のマップの突破も困難だと思いますが、その程度だと得られるゴールドは20や30、名声も10ぐらい。経験値も30程度。

 こんな状態で次のカードのアンロックには500とか700とかの経験値が必要で、キャラの入手もふたり目は1000、3人目は5000のゴールドが必要になります。正直、途方に暮れます。
 加えて、新海域と3人目以降の新キャラの入手には、名声の蓄積も必要で、これは課金しても得られない。

 ゲームに慣れて、3つ目のマップまで安定して進めるようになると入手量は増えていきますが、それでも十分ではなく、何度も繰り返さないと新要素は得られません。
 これではカードゲームが苦手な人だと、早々に挫折しそう……。
 『ダンジョンメーカー』のように、新要素がどんどん登場すればもっとハマれるのになぁ…… と思わずにいられません。

 アップデートで「ブースター」と呼ばれる課金が追加され、これを360円で購入するとゴールド・経験値・名声の入手量がずっと2倍になるため、長くプレイしたい人はこれを買うほうが良いでしょう。
 これを含めても120円+360円=480円ですから、決して高くはありません。

 また、ふたり目のキャラ「剣の達人」がゲームシステム的に強すぎるのも少し気になるところ。
 遠距離攻撃のカードには弾薬が必要なため、それを主体にするデッキは「弾がないのに銃カードばかり来た」、「弾薬カードばかりで攻撃カードがない」といった手札事故が避けられません。

 一方、剣の達人は弾が必要ない接近戦カードが主体なうえに、攻撃によって回復できる特性も持つため、剣でガンガン攻めれば良い、事故りづらくてわかりやすいキャラになっています。
 ちょっと有利すぎる印象がありますね。

挑戦する海域の選択。ただ、上位ワールドの解除に必要な名声やゴールドはかなり厳しい。
また、ふたつ目の海域「Skulls Island」は「呪い」カードをデッキに混ぜてくる厄介なアンデッドが登場するため、かなり難しくなります。
とりあえず最初のマップ「Pirates Bay」の突破を目指しましょう。
得られる報酬は、地図1のクリアでゴールド100と名声25、地図2のクリアでゴールド220と名声55、地図3のクリアでゴールド520と名声130。
これはふたつ目のワールドでも変わりません。途中でやられると減少。
キャラ選択画面。剣の達人は防御を得られませんが、HPが半分以下のときに攻撃で回復できるのが強い。
回避カードも持ちますが、確率に左右され、弾薬も必要なので、いっそ捨ててしまう手も……。
射撃手や探検家は盾カードで十分な防御力を確保しながら戦ったほうが良いでしょう。
探検家はレリックの保持数や、報酬カードの提示数が多いです。

 簡単ではありませんが、テンポ良く遊べ、システムが複雑ではなく、メッセージも日本語でわかりやすい、万人におすすめできるローグライク・カードゲーム。
 ビジュアルのセンスも良く、おまけに安いので、各国で人気なのも当然でしょう。

 前述したように課金しないと辛いところがあり、『ドミニオン』やTCG(トレーディングカードゲーム)の経験者でないとデッキ圧縮の大切さに気付きにくい点もありますが、このタイプのゲームとしては難易度は低めで、手軽に楽しめます。

 今後、さらにこのジャンルが広まりそうなのを感じさせる作品ですね。

Pirates Outlaws

海賊たちの海に挑む『ドミニオン』型ローグライクカードゲーム

(画像はPirates Outlaws – AppStoreより)

・ローグライクカードゲーム
・Fabled Game(中国)
・iOS版120円、Android版110円

文/カムライターオ

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著者
『Ultima Online』や『信長の野望 Online』、『シムシティ4』など、数々のゲームのファンサイトを作成してきた。
iPhone 解説サイト『iPhone AC』を経て電ファミニコゲーマーのお世話に。
シューティングとシミュレーションが特に好き。
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