ファンタジー・シミュレーションRPGの名作『ラングリッサー』シリーズがスマホに登場。オリジナルへの愛が感じられて好感触【レビュー:ラングリッサー モバイル】

 セガのハードを中心に展開された、光と闇の魔剣を巡るファンタジー・シミュレーションRPG『ラングリッサー』シリーズ。
 戦略性の高さ、分岐するストーリー、育成の多彩さに加え、美男美女ぞろいで「色気」が強めなキャラクターデザインでも知られる、1990年代の人気作です。

 そんな『ラングリッサー』のソーシャルゲーム版が、iOS/Androidで公開されました。
 『ラングリッサー モバイル』です。

 開発は中国のメーカー「紫龍」(正式名:天津紫龍奇点互動娯楽有限公司、Zlong Game)で、国外のメーカーが原作をちゃんと再現してくれるのか心配されていましたが、むしろ『ラングリッサー』に対する愛情を感じる内容で、技術的なクオリティも非常に高いです。

 ストーリーが重視されており、オリジナルキャラクターによるメインストーリーはもちろん、過去作の物語を追体験するモードも含まれていて、どちらも会話シーンのセリフはほとんどボイス付き(もちろん日本の声優)。
 比較するのは良いとは言えませんが…… ストーリーの魅力や演出に乏しかった『ファイアーエムブレム ヒーローズ』と比べると、その点の力の入れようは段違いです。

 ストアレビューには「Lv25~Lv35の難易度バランスがおかしい」という意見が多いですが、少なくとも現在(5月以降)は、言われるほど厳しいという印象ではありません。

 ただしオリジナルの『ラングリッサー』と同様に、相応に戦略性と難度が高めのゲームで、他の簡単なソーシャルゲームとは同じように考えないほうが良いでしょう。
 ややゲーマー向けで、日本の多くのソシャゲとは少し異なります。

 アプリ本体は無料ですが、ソーシャルゲームですので課金・ガチャ・スタミナが存在します。

 IPモノのソシャゲによくある「オールスター」なゲームで、ガチャから過去作のさまざまなキャラクターが出て来ますが、本編の物語はオリジナルのキャラによる、新作のストーリー。
 『ラングリッサー』は(派生的な作品を除くと)『I』~『V』まで発売されていますが、今作はそれらより後の時代になります。

 原点に戻ったかのような、「聖剣ラングリッサー」と「魔剣アルハザード」を巡る光と闇の戦いを描いた、戦記ファンタジーで少し古風な物語が展開され、ちゃんとワールドマップや背景付きの会話シーンが用意されています。
 前述したようにメインシナリオはフルボイスで、セリフ量も多め。

 日本のソシャゲにありがちな、リストからクエストを選ぶだけといった味気ないものではありません。

メイン画面兼ワールドマップ。こうした綺麗なマップがあったほうが、物語の展開がわかりやすいし、戦記物らしくて良いですね。描き込みも細かいです。
キャラクターリスト画面。「うるし原智志」さんの描く、この露出過多な女性キャラも『ラングリッサー』の特徴でしょう。
下半身の布面積の少なさで当時の男子の心をわしづかみ。
男性キャラも少なくはなく、しっかりイケメンです。声優陣も豪華。

 そしてメインストーリーに加え、過去作のストーリーも楽しめるようになっています。
 「時空の裂け目」というモードで、まずは「ラングリッサーII 光輝ルート」の一連のステージをプレイすることになり、さらに「ラングリッサーII 帝国ルート」、「ラングリッサーI」、「ラングリッサーIII」のステージが登場します。

 ダイジェスト版と言えますが、「ラングリッサーII 光輝ルート」には前編・中編・後編にわかれた21のステージがあり、その合間に小さなステージも挟まれていて、これだけでもボリュームは十分。
 もちろんこちらも会話シーンはフルボイス。
 原作未プレイでも、物語の背景や各キャラの出自などを知ることができます。

 メインストーリーと「時空の裂け目(過去作モード)」は平行して進めるようになっていて、「時空の裂け目」をある程度まで進めていないと、メインストーリーは途中で進められなくなってしまいます。

 ゲームが進めばサブクエスト(ワールド事件)や特訓クエスト、PvP戦であるアリーナなども追加され、プレゼントで各キャラの親密度を上げるとキャラ別クエストもプレイできるようになります。

過去の『ラングリッサー』の物語も盛り込んでいるのはポイント高い。
ルート分岐はありませんが、「II」は光サイドと帝国サイドの双方のストーリーを収録。
経験者は懐かしさに浸れ、新規の人も未知の物語として楽しむことができます。
筋肉キャラ「アドン」と「サムソン」登場!
『ラングリッサー』は「メサイヤ」というゲームブランドで展開されていましたが、そこから発売されていた筋肉がテーマのおバカシューティング「超兄貴」の人気キャラクター。
特訓ステージでは彼らが筋肉を追い込んでくれます。

 戦闘シーンは四角いマスの上に配置されたユニット(コマ)を動かして、敵のユニットを攻撃していくターン制の戦略シミュレーションゲームの形式。
 『ファイアーエムブレム』『ファミコンウォーズ』と同じスタイルです。

 インターフェイスに優れていて、タッチパネルでも快適に操作でき、敵の移動範囲や攻撃範囲を簡単に確認可能、攻撃を受ける可能性がある「危険範囲」も表示できます。
 これらは『ファイアーエムブレム ヒーローズ』でも確認できましたが、それと同様の情報表示の良さを備えます。

 他のゲームと異なるのはユニット構成で、HP制ではありますが、ひとつのユニットがひとりの英雄と、10人の兵士で成り立っています。
 ダメージを受けるとまず兵士が減っていき、これにより攻撃力が減少。
 しかしHPの半分ほどは英雄が受け持っていて、兵士が全滅しても英雄はなかなか倒れません。
 そしてHPを回復させれば、その割合に応じて兵士も(つまり兵士分の攻撃力も)復活します。

 最初は英雄が剣士なら、兵士も剣士なのですが、キャラクターを育成すれば異なる兵士を率いられるようになります。
 たとえば、英雄は剣士、兵士は槍兵、という組み合わせも可能で、この場合は兵士が全滅するまでは槍兵の属性で、全滅してからは剣士の属性で防戦することになります。
 剣士は槍兵に、槍兵は騎馬に、騎馬は剣士に強く、敵に合わせた兵士の選択も必要です。

移動可能範囲は青、攻撃可能範囲は赤で表示されます。危険範囲の表示ボタンは左下に。
敵の攻撃範囲に無闇に入らないようにするのがセオリーですが、敵が動いてこない場合は、相性の良いキャラをわざと入れて誘き寄せましょう。
攻略するうえで重要なのが、グリムやフレアが持つ「槍陣」や、アーロンやバルガスが持つ「鉄衛」といった、周囲2マス以内の味方をかばうガード系スキル。
これで守れば、相性の悪い味方や、非力な部隊も前線に出すことができます。
ただし、ガードを無視する暗殺者の「強奪」、ガード不能にさせる騎兵の「衝突」といった、ガード破りの攻撃スキルもあるので注意。
騎兵のガードを不能にさせる技は、「移動力ダウン」に対する免疫があれば防げます。

 育成の自由度が高いのも『ラングリッサー』シリーズの特徴。
 他の多くのSRPGはキャラが歩兵なら、最後まで歩兵であることが多いですが、このゲームは「クラスチェンジ」により異なる職業に変化させることができます。
 キャラによっては騎兵が弓兵になったり、飛行型になったりすることも。

 そして選んだ職業によって習得するスキルと、率いられる兵士が変わります。
 よって同じキャラを持っていても、人によってユニットの性質は異なります。

 ツリー形式の「兵士の訓練」も用意されていて、ユニットの強さは「英雄の強さ+兵士の強さ」なので、こちらも重要。
 さらに装備と、装備の強化、装備への特殊効果の付与もあり、多彩な育成要素が用意されています。

 複雑そうですが、ゲームの進行によって徐々に追加されていく形なので、わかりづらいということはありません。
 ソーシャルゲームであるため、困惑しているライトユーザーも少々いるようですが。

クラスチェンジはLv20とLv35で可能。ただし3ルートのうち、選べるのはひとつだけ。
変更する(複数のルートを選ぶ)には貴重アイテムの「魔導石」が必要になるので、選択は慎重に!
魔導石を使ってアンロックした職業には、以後コインだけで変わることができます。
1段階目と2段階目の進化があり、どちらもふたつ目の選択には魔導石が要ります。
英雄に率いられる兵士も、ツリー形式の「兵士スキル」を習得することで強くなっていきます。
英雄と兵士が異なる種類の場合、移動力は低い方に合わせられます。
徒歩の英雄が飛兵を率いても、飛べるようになったりはしません。

 ストアレビューで批判が多い「Lv25~Lv35の難易度バランスの問題」についてですが……。
 このゲームはLv25まではスムーズに進められるのですが、その辺りから敵のレベルが追い付いてきて、苦戦しはじめます。
 そしてLv30になると「ワールド事件」と呼ばれるサブクエストの敵のレベルがプレイヤーよりも高くなり、正面からぶつかっても勝てなくなります。

 このゲームはレベルによる戦力差が大きく、相手のレベルが2~3ほど高いと苦戦は免れません。
 プレイヤーがLv30のときにサブクエストの敵のレベルが32、Lv35のときに37になるため、ここで多くの人が行き詰っているようですが……。

 でも、ある程度のところで育成しないと勝てなくなるのは、ソーシャルゲームではよくある話。
 ソシャゲは最初は簡単にして人を集め、しかしずっと簡単なままではすぐに終わってしまうので、途中から難しくして長期的な育成を要求する、というパターンが多いです。
 このゲームだけが特別なわけではなく、私自身、実際にLv35以上までプレイしていますが、そこまで無理な難易度という印象はありません。

 「敵が強すぎて『ワールド事』”をクリアできず、デイリーミッションをこなせない」という意見も見られますが、ワールド事件の中には敵と戦わなくてもクリアできるものがあり、そうしたものをこなせば達成可能です。
 訓練用のクエストは敵のレベルを選択できるので、自分の強さに合わせられます。

 ただ、このゲームは日々のプレイで着実に強くなっていけるシステムである反面、早急に強くするのは難しく、行きづまった人がすぐに対処できないのも批判の要因であるようです。

 このゲームのキャラクターのレベルは「プレイヤーレベル」以上にはならず、そしてプレイヤー経験値の入手量はスタミナの消費量と同じ。
 クエスト達成によるボーナスもありますが、基本的にはスタミナを100使ったら、経験値も100です。
 プレイヤーレベルが上がるペースはほぼ決まっていて、そのためキャラクターも集中的にレベルアップさせることはできません。

 課金通貨でスタミナを回復すれば進行を速められますが、回復を繰り返すほど通貨の消費量が多くなるうえに、回数の制限もあります。
 「意地でもゆっくりやらせたい」という意図を感じますね。

 こうしたゲームの進行を運営が半強制するシステムは、ソシャゲではたまに見られるのですが、たいてい批判されます……。
 今作もそのひとつ、といったところ。

 しかし、日々のデイリーミッションをこなしながら、ノンビリやるぶんには問題なく、むしろ気合を入れて何度もバトルを繰り返さなくても、一定のペースでスムーズに育成できます。
 「そういうゲームなんだ」と思ってプレイするのが良いでしょう。
 ストーリーに力が入っているだけに、早く先を見たいというのもあったりしますが。

プレゼントで好感度アップ……。男性キャラとも親密になれます。
親密になることでユニットの強化を行える「絆」を高められ、ステータスの底上げに必要な「破片」が手に入るキャラクエストも利用可能に。
中盤からは敵が強くなるため、兵士の訓練、装備の強化、絆、各方法で戦力を高めましょう。
洞窟を突破して宝箱を回収する「ワールド事件」のステージですが…… 「テレポート」の魔法を使えば、こんな風に壁の向こうにワープして、戦わずに回収できます。
テレポートを使えるのは「ジェシカ」。低レアキャラなので入手は簡単。クラスチェンジ後の「ヘイン」も使用可能です。
他にも飛兵で崖を飛んでいけば、敵を回避してクリアできるステージがあります。

 原作に対するリスペクトと、開発側の意気込みを感じられる作品です。
 昨今の日本のソーシャルゲームは成熟しすぎている感がありますが、中国のゲームには『アズールレーン』でも見られたような情熱を感じるものがあり、これも同様です。

 中国のソーシャルゲームには「VIPシステム」と呼ばれる、課金するほど有利になる制度があったりしますが、そうした日本では敬遠されそうなシステムは今作には見られません。
 メインキャラには有料のスキン(衣装)がたくさん用意されていて、そちらでの収益を考慮している点には、中国らしさを感じます。
 一方で、課金通貨の配布量が多く、無課金でもガチャをしまくれます。

 元が1990年代のゲームですし、普段あまりゲームをしない人には向いていないかもしれませんが、相応のゲームプレイヤーで、特にSRPGが好きな人なら、長く楽しめる作品でしょう。

ラングリッサー モバイル

名作シミュレーションRPGの新展開となるソーシャルゲーム

(画像はラングリッサー モバイル – AppStoreより)

・シミュレーションRPG
・Zlong Game(中国)
・ソーシャルゲーム

文/カムライターオ

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『Ultima Online』や『信長の野望 Online』、『シムシティ4』など、数々のゲームのファンサイトを作成してきた。
iPhone 解説サイト『iPhone AC』を経て電ファミニコゲーマーのお世話に。
シューティングとシミュレーションが特に好き。
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