90年代の古き良きRPGが令和に蘇る。『聖塔神記 トリニティトリガー』は、丁寧に作り込まれた世界観に思わず惹き込まれる意欲作だった

  ───三人なら、運命も変えられる。───

 『ファイナルファンタジー』『クロノ・トリガー』『ロマンシングサ・ガ』『ライブ・ア・ライブ』……。
 スクウェア(現:スクウェア・エニックス)から発売された往年のRPGには数多くの名作が存在しています。そんな中の1作品として現在でも燦然と輝きを放っているのが、『ファイナルファンタジー』シリーズの外伝として発売された名作アクションRPG、『聖剣伝説』シリーズです。
 現在でも根強いファンの多いこの作品が与えた影響は凄まじく、「この作品の感動をもう一度自らの手で作り上げたい」と、令和のこの時代に完全新作として、本作への多大なるリスペクトを感じられる作品が発売されました。

 そのゲームというのが、2022年9月15日にフリューより、Nintendo Switch / PS4 / PS5で発売が開始されたアクションRPGゲーム、『聖塔神記 トリニティトリガー』

 王道アクションRPGを謳う本作の『聖剣伝説』への愛情とリスペクトは、そのタイトルからも溢れ出ています。

 電ファミにおいても既にインタビュー記事が掲載されていますように、本作では実際に『聖剣伝説』シリーズに携わったスタッフとして、『聖剣伝説3』以来のタッグとなる、結城信輝氏(世界観ビジュアル)と菊田裕樹氏(作曲)を招集。
 その他にも、キャラクターデザインに『ゼノブレイド』『パズル&ドラゴンズ』風間雷太氏、シナリオライターに『オクトパストラベラー』の久保田悠羅氏などなど……ゲーム好きであれば一度は聞いたことがあるであろう名作に携わってきた方々が、制作スタッフとして名を連ねています。

 そんな豪華メンバーで、「往年の名作RPGを令和の現代でもう一度新作として制作するぞ」という、並々ならぬ情熱と気概をもって制作された本作。
 本稿では、そんな本作の数々の世界観とゲーム性について、詳しくお話していきたいと思います。

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文/DuckHead


丁寧に作りこまれた、聖塔を中心とする世界観

 さて、早速ではありますが、『聖塔神記 トリニティトリガー』における大きな長所の一つとして、作品の世界観が緻密に作り上げられているということが挙げられます。

 ゲームにおいて、世界観の構築は作品への没入感を高めるために非常に重要な要素。特に本作は、 “王道ファンタジー” と銘打った異世界を舞台とする作品であるため、プレイヤー側としては、ここは必要不可欠、避けては通れない部分となってきます。

 そして、『聖剣伝説3』や『クロノ・クロス』で知られる結城信輝氏が世界観ビジュアルを手掛けるなど、強い情熱をもって世界観作りに取り組んだ本作の世界観は、素晴らしいの一言。高い完成度を誇ります。

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 例えば、物語の始まりである小さな田舎町ウッドルース。何の変哲もない、いかにもこれから物語が始まりそうなRPGにはよく出てくるのどかな集落ですが、本作においては、ここに町が形成された理由にしっかりとした設定があり、これが世界観とも密接に結びついています。

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 ここに集落が出来た理由というのが、本作のタイトルにもなっている “聖塔”。
 “聖塔”とは、ある日空から地上へ向かって落ちてきた、大昔に神様が使っていたという武器のことであり、ウッドルースは集落の近くに落ちた聖塔の影響により緑にあふれ、人々が生活を営み始めたという経緯があります。

 この聖塔は世界の各地に落ちており、その周囲の気候を大きく変動させています。

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 例えば、氷槍の聖塔が落ちてきた地域は、あたり一面のすてきな雪景色。

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 水を干からびさせる聖塔が落ちた地域は、元々湖だったにも関わらず砂漠地帯に変化してしまったといったような具合。

 そもそもRPGは、その構造のみに目を向けてみますと、レベルアップして装備を整えて敵を倒すという流れを、次から次へ、町から町へ繰り返していくという単純なシステムになっています。そのため、同じ作業の繰り返しになってしまうことで途中で飽きたりしてしまわないよう、ストーリーや世界観でプレイヤーを物語に惹きつけ続ける工夫が施された作品が、RPGには多く存在しています。

 そんな世界観でプレイヤーを惹きつけるアプローチの1つに、極端に熱い、極端に寒いなど、特徴的な地域をプレイヤーにとっての新たな刺激としてストーリーに登場させるということが挙げられます。見える景色が大きく変わるというのは、それだけでも新鮮さを感じますし、これにより、世界を旅しているという感覚も強くなりますからね。
 そして、通常、先ほど例に挙げたような雪景色から砂漠に行くには、通常であればかなりの長距離を移動しないといけません。これがまさに“世界を旅している感覚”であり、RPGではこの間の移動を列車・船・飛行船など様々な方法を使って行い、旅の感覚を演出しています。

 しかし、本作における雪原地帯から砂漠地帯への移動は、徒歩でエリアを1つ変えるだけ。こういったある種の暴挙とも思えるような設定を実現することができているのは、世界各地の特徴的な地域、気候変動という部分を、いかにもファンタジーという趣たっぷりの “聖塔”一本で解決してしまっているから。この聖塔と地上世界の関係性は非常に面白く、「凄いなぁ。良い設定だなぁ」と感動しました。

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 更に、先ほども少し触れましたが、聖塔は“秩序の神々”“混沌の神々” による戦争で大昔に神様によって使われていた武器。地上世界の気候にまで大きな影響を与えたこの戦争は未だに決着を迎えておらず、しびれを切らした神々は、自分たちの代理人として地上に “秩序の戦士”“混沌の戦士” を誕生させ、両者の直接対決をどちらかが死ぬまで行わせることで戦争の代理とすることを考え、実行します。
 そして、この話に登場する “混沌の戦士” こそが本作の主人公であるシアン

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シアンの瞳の赤い輝きと紋章が、混沌の戦士の証

 のどかな田舎町で暮らす彼が自らの運命を知るはずもなく、知らぬ間に神々の代理戦争に巻き込まれてしまい、自らの運命に抗うべく、エリスザンティスという仲間と共に、自分たちを強くするために聖塔を探索し、旅を続けていく……というのが、本作の大まかなあらすじ。そう、世界観を構築するキーとなっている聖塔が、ストーリーとも密接に絡み合っているのです。

 この神々の代理戦争という作品のストーリー根幹をなす要素が、神々の戦いの終結を望まない者たちや戦いを積極的に望む者たちなど、様々な思惑を持って動く勢力を枝葉として導き、ストーリーに深みを与えています。

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シアンの命を狙う謎の勢力

 また、丁寧に作りこまれたゲームの世界観をより色彩豊かなものにしてくれているのが、BGMです。私の口から改めて言うまでもありませんが、BGMはゲームにおいて非常に重要な要素の1つ。プレイヤーのテンションを上げてくれる戦闘音楽など、魅力的なBGMはゲームの面白さを更なる高みへ押し上げてくれるのです。
 そして、『聖剣伝説2』『聖剣伝説3』などで知られる菊田裕樹氏が作曲したBGMは聴きごたえ抜群。個人的な話にはなってしまいますが、サウンドトラックに収録されていて曲名が分かる楽曲の中では、『砂塵を上げて』がお気に入りです。

作品を色鮮やかにする個性的なキャラクター

 さて、続いて触れておきたいのが、本作に登場する個性的なキャラクターたちです。

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 まず、主人公のシアンは、クールな雰囲気を身にまといながらも非常に心優しい性格の持ち主。RPGの主人公らしいキャラクターです。旅に出る前は、聖塔で素材を集めお金に換えるという、“ブリンガー” という仕事をしていました。

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 そんな彼の旅の仲間となるのが、シアンの命を狙う調和の神の一派と同じ神殿に仕える神官でありながら、シアンを救うためにはるか遠くの地からやってきた、しっかりしていそうに見えながらもどこか天然で間の抜けたところがあるエリスと、

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 混沌の戦士であるシアンの敵方の秩序の神々に仕える戦神官でありながら、「神のお告げがあった」とシアンを守るために仲間に加わった、テキトーな性格でお酒が何よりも大好きなザンティス

 その立場も性格も大きく異なる彼らですが、シアンの身を守るという共通の目的を胸に、世界各地を旅します。
 「三人なら運命も変えられる」。RPGのパーティーメンバーとして、3人というのはちょっと少ないようにも感じられますが、彼らにはそれぞれ “トリガー” と呼ばれる、動物のような見た目をした相棒がいるので、旅の仲間は実質6人となります。
 このトリガーというのは、力あるものの意思によって姿を得て、力ある者に力を与える存在のこと。ちょっと何を言ってるか分からない部分は多々あるかと思いますが、雑にまとめてしまいますと、彼らは 、“武装転身” と呼ばれる自らの姿を武器に変える能力を持ち、それによって力ある者と共に戦ってくれるのです。

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武装転身
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 そして、このトリガーたちもまた個性的。

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 自身の名前以外の記憶をすべて失っており、シアンの目の紋章に見覚えがあったことから、記憶を取り戻す手がかりになるのではないかとシアンのパートナーになった、記憶が無いせいなのか物凄く飄々としているフラム

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 エリスの召喚により彼女の相棒となった、とてつもなく真面目な性格で、心配性なところもあるウィズ

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 ザンティスの相棒であり、普段は元気いっぱいで明るいが、それと同時に感情の起伏も激しいライ

 シアンたちの旅の目的は、シアンの混沌の戦士としての運命に抗うこと。ここだけを切り取ると、どうしても重いストーリーという感触が拭い去れないのですが、彼らが本作の癒し担当、マスコット枠として物語に彩を加えています。

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 そして、そんなトリガーたちのデザイナーには、ピカチュウのデザインに携わりピカチュウの名付け親として知られる、にしだあつこ氏をはじめとして、『ポケットモンスターシリーズ』で人物やポケモンのデザインに携わった、北風友裕氏水谷恵氏が参加しているのです。

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 ……なるほど。道理でトリガーたちが、こちらのツボをこれでもかというくらい的確に刺激してくるような可愛いキャラクターに仕上がってるわけですね……ポケモン好き、 動物好きとしては本当にたまらないデザインです。

 ちなみにですが、トリガーにはそれぞれ属性があり、フラムは火属性ウィズは水属性ライは雷属性。ライは見た目そのまんまで特に問題はないんですが、色味だけで判断すると、フラムが水でウィズが火って感じがします。
 この点が少し気になったので調べてみたところ、元々フラムは赤色のデザインで、後に青色に変更されたとのこと。つまり、青い炎というわけですね。
 ……ウィズの赤色の件につきましては、私の調査力では迷宮入りいたしましたことをご報告申し上げます。

 閑話休題、ここまでは旅の主要メンバーについてお話してきましたが、本作に登場するキャラクターは当然彼らだけではありません。義理の妹、墓守、義賊、貴族、王女など、様々なバックボーンを持つサブキャラクターたちも個性的かつ魅力的であり、本作のシナリオにより一層深みを与えています。

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シアンの義理の妹、フィルン

 これらのように、本作では、3人の物語を紡ぎあげていくキャラクターという角度からも世界観をより強固なものに作り上げており、プレイヤーをそこに惹き込んでいるのです。

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“発見” を重視した探索システム

 さて、ここまでは作品の世界観について主にお話をしてきましたが、ここからはそんな世界を探索するゲームシステムについて触れていきましょう。

 まず、本作では、ゲームプレイを通じたさまざまな “発見” に重点がおかれているということが重要な要素の1つとして挙げられます。

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 例えば、町やフィールド、聖塔などの各エリアには宝箱が設置されています。ここだけ聞くと、ほぼ全てのRPGにある探索要素ですが、本作が通常のRPGと少し違うのは、画面右上に表示されているミニマップで、宝箱の総数と発見し開けた宝箱の数を確認することができるということ。
 このシステム、意外と他のゲームでは見かけない気がします。この表示のおかげで探索忘れや無駄な探索がなくなるので、ダンジョンを隈なく探索して宝箱を全部開けたいタイプの私にはありがたい限り。全ての宝箱を発見する手助けをしてあげようという制作の優しさと、是非ともお宝の全てを発見してほしいという心意気を感じます。

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違和感の中には隠された道が

 そして、これらの宝箱は、隠された道や障害物を破壊した先に置かれていることが多いのですが、この隠し通路は、木の葉っぱの色が周囲と違うなど、フィールド上のオブジェクトにある “違和感” を意識的に探していくことで発見することができるようになっています。

 これは、本作における重要なシステムの1つであり、この違和感に気がつかなければ先に進めないという局面もあったりするので、隠し要素とは関係のない正規ルート探索においても考慮しておくべき重要な要素となります。周囲の状況やミニマップとにらめっこをして、正規ルートや隠し要素を発見していく過程を通じて、世界を旅している感覚、聖塔を探索している感覚が本作では得られるのです。

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 また、このようにして進めていく探索では、隠された宝箱を開けたり道中に出現する魔物を倒したりすることで、素材を発見することができます。こうして見つけた素材を商店へ持っていけば、クラフトによりアイテムを作成することが可能。レシピと素材とお金が必要になりますが、普通にアイテムを購入するよりも割安です。

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クラフト大成功

 さらに、クラフトでは一定確率で “成功”“大成功” が発生することもあり、これが起きると、ボーナスとして通常よりも多くのアイテムが手に入ります。となると、素材に余裕がある状態でクラフトをしない理由はありません。道中の小さな発見が、冒険の大きな助けになるというわけですね。

 ちなみにですが、中には特定の武器で魔物を倒さなければ落とさない素材が存在するため、全ての素材を集めたい場合は、魔物の撃破に色々な武器を試してみる必要があります。こういったところにも発見が仕込まれている徹底っぷりには目を見張るものがあります。

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 本作に隠されている発見は、フィールドの隠し要素だけではありません。
 例えば、メインストーリーとは関係のないサイドストーリー的な要素である “クエスト” を受注してクリアしていくことで、以前に訪れた聖塔のさらに奥へと足を運ぶことができるようになったり、サブキャラクターたちとの物語が進んでいったりするのですが、

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 聖塔の奥に進むことで、これまでに無かった新たな能力が手に入り戦略の幅が広がったり、

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 サブキャラクターとのストーリーを進めることで、彼らの人となりをより深く知ることができたりするなど、こちらにも新たな発見が豊富に用意されています。

 メインストーリーを先へ先へ進めていくというのが一般的なゲームプレイではありますが、一休みする意味でも一度立ち止まり、ボリュームたっぷりのクエストを少しずつ進めていくというのもオススメですね。
 ちなみにですが、私はクエストにどっぷりと浸かりすぎてメインストーリーをおろそかにしがちなタイプです。だってメインストーリーをやっていったらゲームが終わっちゃうじゃないですか。

 また関係のない話をしてしまいましたが、本作には、街に住む人々の何気ない会話の中にも、魔物の倒し方や集落の成り立ち、人間関係といったような新たな発見があります。普通の会話やクエストで積極的に人々と交流し、冒険に行った先では積極的に聖塔を探索することで、冒険のヒントや世界観を構築するピースを発見することができるのです。

多くの要素が盛り込まれながらも、シンプルで分かりやすい戦闘システム

 さて、『聖塔神記 トリニティトリガー』について、最後にお話していきたいのが、王道アクションRPGである本作のゲームとしての最も根源的な部分である、戦闘システムについてです。

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相性抜群だとダメージ値が赤色に

 本作の戦闘アクションは、常にリアルタイムで進行。フィールド上を歩いていると、魔物がその場にいたり急に出現したりするので、それらを倒しつつ目的地を目指して突き進むというのが基本になります。

 そして、戦闘の基本は、“トリガーアタック” と呼ばれる3連コンボの攻撃と、ローリングによる回避。攻撃によって魔物に与えたダメージは、画面上に数値で表示されるのですが、魔物と武器には相性があり、それによって数値の色が変化します。白は通常、赤は相性抜群、青は耐性あり……といった具合。

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トリガーアタック編成

 また、主人公たちの主な攻撃手段であるトリガーアタックは、1、2、3発目の各攻撃がそれぞれ2種類ずつ用意されており、コンボの組み合わせをいつでも自由にカスタマイズする事ができます。
 そのため、トリガーアタックには、それぞれの技の効果や威力や出しやすさなどを考慮し、状況に合わせてコンボを組み立てていく楽しさがあります。技の説明文だけ読んで「微妙かな」と思った攻撃も、実際に組み込んでみると意外と使いやすくて驚くなど、小さな発見ができるのも楽しいですね。

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 更に、このトリガーアタックは、敵を倒すと入手することができるTPを消費することで技の強化をしていくことが可能。強化回数の上限は、ストーリーを進めて特定のボスを倒していくことで上昇します。
 トリガーアタックの強化は、トリガーアタックのカスタマイズと違い、いつでも好きな時にできるというわけではないため、今はどのトリガーアタックを強化していくべきなのかということを慎重に考えていく必要があります。この頭を悩ませる時間も、ゲームをプレイしているときの楽しい時間の1つ。

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 そして、本作において非常に重要なシステムの1つが、“シンクロゲージ”。これは、操作キャラクターの頭上に表示される青色の円形のゲージで、攻撃をすることにより消費されていきます。

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シンクロゲージが空の状態では、ダメージ値は灰色で表示され、その値は著しく低下

 このシンクロゲージというやつが中々の曲者でして、ゲージを消費しきった状態で魔物に攻撃を加えても、与えられるダメージが著しく低下してしまうのです。
 アクションゲームをプレイしていると、隙があれば矢継ぎ早にどんどんと敵に攻撃をしていきたくなってしまうというのが人情というものですが、連続攻撃をすると意外とあっという間にゲージが無くなってしまうので、そこは我慢が必要。シンクロゲージは、時間経過や敵の攻撃をタイミングよく回避する “ジャスト回避” を成功させることで回復するので、落ち着いて行動することが求められます。無理に近づいて攻撃を続けたところで、どうせ雀の涙ほどのダメージしか出ないのですから、ゴリ押しするメリットが何一つとしてありません。

 アクションゲームでは熱狂的なゴリ押し教の信者である私ですが、こういったシステムである以上ヒットアンドアウェイ教に改宗せざるを得ず、これによって結果的に戦闘不能になる回数を押さえてゲームを進めていくことが出来ました。それでも気を抜くと、一気に戦闘不能にまで追い込まれてしまうことがあるのですが。

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 そして、本作では聖塔内部の探索によって発見した祭壇に祈りを捧げていくことで、トリガーが転身することのできる武器の種類を増やすことができます。

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 トリガーが転身する武器の変更は、攻撃モーション中や戦闘不能中以外であれば、戦闘にポーズをかけつつ任意のタイミングで行うことができるため、敵の数や武器との相性など、その場の状況を判断して適切な武器選択をして、攻略を進めます。

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 さらに、本作では、3人の操作キャラクターをボタン1つでいつでも好きなタイミングで切り替えることもできます。プレイヤーが操作していないキャラクターは、コンピューターが自動で操作を行います。
  ストーリーの進捗状況によって、3人が使用可能な武器の種類は異なり、各自に設定されている得意武器を使うことで攻撃力がアップするという仕様もあるため、先ほどの武器選択と合わせて、誰をどの武器で操作して戦えば一番有利に進められるのかを常に考えながら、ゲームをプレイしていく必要があります。
 初めて出会う魔物と戦う場合、当然メンバーと武器の切り替えを駆使して相手の弱点を発見していくことになるのですが、もしも自分が扱うのが苦手な武器が弱点だった場合は、そのキャラクターの操作をコンピューターに任せ、自分は扱いやすく相手にそれなりに攻撃も通る武器を使うなど、柔軟にプレイを進めることができるため、プレイヤーが選択することのできる戦術の幅には、かなりの広さがあります。

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マナタイト装備

 更にもう一つ、戦闘に関わるカスタマイズ要素として、“マナタイト” があります。これは、隠された場所にある宝箱を開けたり、通常の消費アイテムと同じようにクラフトしたりすることにより入手できる、トリガーに装着することで装備者の能力を向上させるアイテムで、攻撃を強化する “ウエポンマナタイト” とステータスを強化する“アーマーマナタイト” の2種類が存在。このマナタイトのカスタム変更も、いつでも好きな時に行うことができます。

 また、厳密に言うとマナタイトは、トリガーごとではなくトリガーが転身する武器ごとにカスタマイズしていくため、どのマナタイトを誰のどの武器に装着していくのかを考えることとなり、プレイヤーが選択できる戦術の幅は更に広がります。

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 1つ1つ書き出していくと、盛りだくさんに見える戦闘システムですが、実際にプレイをしてみると、戦闘そのものはかなりシンプル。難易度自体はそこまで高くはないので、これらの要素にそこまでこだわらなくても攻略することも可能ではあります。
 しかし、少し気を抜くとプレイヤーの体力は一気に削り取られてしまう上、回復アイテムの所持数にはそれぞれ上限が設けられているため、適当なプレイは禁物。戦闘には常にヒリヒリとした緊張感が付きまといます。

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 さて、他の多くのRPGがそうであるように、本作にもボスキャラが登場し、シアンたちの行く手を阻みます。
 本作のボス戦が特徴的なのは、ボスの体力を削るためには、まず最初に体力の下に表示されているオレンジのゲージ、“アーマーゲージ” を削り切る必要があるということ。ボスにも相性があり、弱点武器で攻撃を加えていくことで効率的にアーマーゲージや体力を削っていくことが可能です。アーマーが取れたら攻撃を容赦なく打ち込んでいくわけですが、一定時間が経過することでアーマーゲージは全回復してしまうため、効率よく攻撃をしていく必要があります。

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 そして、ここが重要なポイントなのですが、ボスへの攻撃チャンスであろうと、シンクロゲージは容赦なく消費されてしまいます。そのため、ボスにダメージを与えていると思っていたのに、シンクロゲージがいつのまにか0になっていて、実はダメージが全然入っていなかったということもしばしば。苦労してようやく手に入れた攻撃のチャンスではあるのですが、一度のチャンスで倒しきることは不可能なので、落ち着いて、焦らずじっくりと攻撃していきましょう。急がば回れ。焦ると逆に勝利は遠ざかってしまいます。

 この限られた攻撃チャンスを有効に使うため、プレイヤーにはいくつか有用な技が用意されています。一定時間が経過するごとに使用可能になる強力な攻撃 “トリガーストライク”。武器によって効果は異なりますが、使えば戦闘を有利に進めることができる “ウエポンオーラ”。そして、専用ゲージが満タンになった状態で、3人が戦闘不能でない時に発動可能な合体必殺技“トリニティインパクト”

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トリニティインパクト

 どれも安易には使うことのできない重要な技になるのですが、特にトリニティインパクトは中々ゲージが貯まらないため、ここぞという時に使う必要があります。上手く決めることができればその威力は絶大で、非常に爽快感があります。

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 また、ボスが危険な攻撃をしてくる際には、その攻撃範囲が赤色で表示されます。普通に回避してもいいですが、シンクロゲージを回復させるためにジャスト回避を狙っていきたいところ。しかし、攻めすぎてダメージを食らいゲームオーバーになってしまっては元も子もないので、そこは自分のスキルと要相談ですね。私は諦めました。

 こういった親切な仕様もあり、ボス戦もそこまで難易度は高くないのですが、アーマーゲージを削り切ってから、ようやくボスの体力を減らすチャンスが生まれるため、戦闘はどうしても長期戦になってきます。つまり、集中力との戦いです。攻撃を1つ1つ見るとそこまで避けるのが難しくはないものの、ちょっとしたミスを一回しただけで、一気に体力を持っていかれてしまい、命取りに。常に気を張り緊張感をもって戦い続けることが重要になります。

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 ちなみにですが、当然のことながら本作のボス敵たちは、3人で戦っていい感じに倒せることを想定しているため、仲間が1人でも倒れてしまうと、非常に厳しい戦いを強いられることとなります。回復アイテムをしっかりと備蓄しておくのはもちろんのこと、こちらが不利な状況に陥らないよう、自分だけではなく味方にも気を配り、しっかりとケアをしていく必要があります。

 このように、本作の戦闘は、武器・技・キャラクターの選択、攻撃の回避やパーティー全体のケアなど、常に何かしらを考えながら進めていくこととなるため、シンプルながらも奥深いプレイ感となっています。
 また、ある程度の要素は無視していくこともできますが、こだわればどこまでも突き詰めていくことができるため、アクション初心者から上級者まで、様々なプレイヤーに適したプレイスタイルで進めていくことが可能になっているのも、本作の良いポイントであると言えるでしょう。

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マルチプレイ

 更に、本作ではストーリーを進めることでマルチプレイが解放され、なんと、最大3人まで同時に協力プレイを楽しむことができます!……やむにやまれぬ事情により、私にとっては無用の長物となってしまうのが残念なところですね。

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 さて、ここまでお話してきましたように、本作は、古き良きRPGを令和のこの時代に新作ゲームとして作り上げるという強い情熱をもって、ゲーム界のレジェンドたちを集結させて制作されました。

 そんなゲーム界のレジェンドたちと共に作り上げた緻密な世界観はプレイヤーを没入させるのに十分な完成度を誇り、個性豊かなキャラクターたちはプレイヤーを魅了します。

 そして、ゲームの世界の中を旅する時に重要視されている “発見”は、古き良きRPGを彷彿とさせ、ゲームというものが本来持つ根源的な楽しさをプレイヤーに気づかせてくれます。

 更に、戦闘システムでは、操作キャラクターや使用する武器をリアルタイムで切り替えていくという、昔ながらのRPGでは成しえなかった、令和の現代であるからこそ実現できる要素が盛り込まれており、昔を懐かしむだけに留まっていません。

 1990年代の名作RPGの流れを汲みながら、新しい要素を取り入れた仕上がりとなっている本作。
 是非とも実際にプレイしてその世界観に入り込み、ゲームの面白さを “発見” してみてはいかがでしょうか。

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『トリニティトリガー』のディレクターを務める礒部たくみ氏同席のもと『聖剣伝説3』以来のタッグとなった結城信輝氏と菊田裕樹氏のおふたりを取材して、自らの作品で育ってきたクリエーターが作る現代のゲームに対する思いをうかがった。

ライター
レトロゲームから最新ゲームまで、面白そうだと感じた家庭用ゲームを後先考えず手当たり次第に買い漁る男。500を越えてから、積み上げたゲームを数えるのは止めました。 ディズニーアニメ・お笑い・音楽・漫画などにも広く浅く手を伸ばし、動画投稿者としても蠢いています。
Twitter:@DuckheadW
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