『ディスクロニア: CA』がもたらした”VR×アドベンチャーゲーム”の境地 ― VRならではの体験もさることながら、SF系ADVの新たな名作となる可能性を秘めている

 VR元年が叫ばれて数年の時が経ち、ミリオンを記録するヒット作が何本も出ている一方で、ゲームというジャンルとVRをどのように組み合わせるのか、今もまだ模索と進化が続いています。

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 そんなVRゲーム業界の中で、まるでその世界に入り込むようなリアルなVR体験と、現実では決して味わえないシチュエーションの融合を目指したADVゲームを数々作り上げた「MyDearest」が、今年の9月23日に『DYSCHRONIA: Chronos Alternate』(以下、ディスクロニア: CA)をリリースしました。

VRゲーム会社MyDearest、「メタバースくそくらえ」と宣言。「メタバース」が胡散臭い言葉として広まりつつある現状を憂い、「面白いゲーム」を作ることこそがメタバースの未来を切り拓くと信じて

 同社は「メタバースくそくらえ」と宣言して話題となったVRゲーム会社で、これまでに『東京クロノス』や『ALTDEUS: Beyond Chronos』といった高評価のVRアドベンチャーゲームを開発。そんな同社の最新作である『ディスクロニア: CA』では、VR×アドベンチャーゲームという掛け算がさらにパワーアップされており、Meta Questストアで世界一の評価を受けるなど、過去作以上に高く評価されています。

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 MyDearestの新たな挑戦は、VRゲームにどのような進化をさせ、またSFアドベンチャーゲームとしていかなる刺激と魅力を創造したのか。クリアまでのプレイを通して味わった体験を、レポートとしてお届けします。

 なお、物語が主体のADVゲームなので、物語に関するネタバレは極力留めますが、一部の展開への言及や終盤の画像などが含まれているので、その点にご注意ください。

文・臥待弦

VRアドベンチャーゲームだからこそ、最後まで「探偵」であり続けられる素晴らしさ

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 興味深いSF設定やその世界観と展開をリンクさせる物語が本作における大きな柱となりますが、VRを活かしたゲーム性も注目すべきポイント。設定や物語に関する魅力は後述するとして、まずは『ディスクロニア: CA』で味わえるVR要素から触れていきます。

 詳しい情報は後で改めて解説しますが、本作の目的はとある事件の真相に迫り、その謎を解き明かすこと。その過程で様々な展開を迎えますが、プレイヤーの基本的な行動は事件の捜査が中心になります。

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 ADVの捜査といえば、十字ボタンでのコマンド入力や、マウスによるカーソル入力が主流です。しかし本作の場合、遺留品や現場にある様々な物体がVR空間上に存在。この重要なアイテムに、VRを介して直接触れることで、本作の謎や真相へとアクセスしていきます。

 一般的なコマンド型ADVの場合、いわゆる「コマンドの総当たり」でクリアできてしまうケースもあります。ですが本作は、チェックできるアイテムこそ限定的ですが、それをどのように使うか、自力で考えないと次のステップには進めません。例えば、ロックがかかった端末を解除するには、VR空間を丹念に観察し、文字通り「自分の手で」解決しなければなりません。

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 ──といっても、捜査の難易度そのものは程よい感じで、ヒントもしっかりちりばめられているのでご安心を。また、主人公の特殊な能力“過去視”(詳しくは後述)を通して答えを覗き見るケースもあり、行動が正解へとたどり着く何よりの近道になります。

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 そして、VR空間で推理・行動する努力は、正解を見つけた時の喜びへ直結し、解法を見つけた手応えをより大きく感じさせてくれました。

 本作の大半は、この捜査モードのプレイになりますが、このほかに用意されている「ステルスパート」と「検証パート」も、『ディスクロニア: CA』を支える大事な要素。

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まずステルスパートは、ハルの命を狙う相手と対峙し、身を隠しながら逃亡を図る場面になります。

 ルールそのものはシンプルで、相手の視線から逃れるように動き、物音で注意を逸らしてルートを確保する──突き詰めれば、これだけです。いずれもステルスアクションにおける基本ですが、VRによる主観視点で挑むだけで、臨場感が格段に跳ね上がります。

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 episode1で遭遇するステルスパートは、相手の視線が銃のレーザーサイトで推測できるので、直接顔を出さずにすみます。が、あのサイトが自分に当たった……と思うだけで、コントローラを握る手にじっとりと汗が。物陰の隙間から相手の様子を窺うだけでも、妙な緊張感が背筋を駆け抜けます。

 システム的にダッシュなどができないため、少しでも早く逃げたいのにもどかしい……と感じる方もいるかもしれませんが、今回は狭い部屋というシチュエーションもあり、イライラよりは緊張感が勝る体験が味わえました。

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 そしてもうひとつ、事件の解決を目指す検証パートでは、VR空間をふんだんに駆使します。事件現場を俯瞰視点で再現した立体映像が浮かんだり、その空間内へ実際に入り込み、自分が犯人となって犯行を再現するといった演出は、VR内VRといった趣で、事件の検証をSFらしさ満点で楽しめます。

 操作情報を元に組み上げた仮説をVR上で再現・提示する「検証パート」はさながら、推理小説の終盤で探偵がその推理を披露するがごとく。プレイヤーが直接“真実への道筋”を突きつけるので、そのカタルシスも段違いです。

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 普通のADVなら、プレイヤーがどれだけ苦労して情報を集めても、その真実に迫る推理を語るのは「主人公」。その見せ場を、プレイヤーは見ていることしかできません。しかし、この『ディスクロニア: CA』では、事件の真相を明かす最後の瞬間まで、プレイヤー自身が探偵役であり続けられる、稀有な作品なのです(実際の立場は監察官ですが)。

MyDearestの魅力である「設定の妙」は健在

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 『ディスクロニア: CA』の舞台は、一度文明が崩壊してからさらに200年が経過した遥か未来。MyDearestが過去に手掛けた『東京クロノス』や『ALTDEUS: Beyond Chronos』との直接的な繋がりは薄いので、この2作品を知らずともプレイには何の支障もありません。

 ですが、前2作でプレイヤーを魅了したSF設定の手腕は、本作でも遺憾なく発揮されており、最近では少なくなったSF系ADVの良さをたっぷりと感じられる内容になっています。

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 地表の大半が人類の生存に適さない土地となり、残された人々は生存圏としてドーム型の都市を建造。そのひとつ「アストラム・クローズ」が、本作の舞台となります。この都市では、ごく一部の例外を除き、すべての住民に生体ナノマシンが埋め込まれており、その行動からメンタルケアまで、すべてが監視・管理されています。

 この部分だけ見ると、とんでもないディストピア世界を連想させますが、徹底して監督する悪しき面をドラマティックな要素として活用した多くのSF作品とは異なり、住民のほとんどは前向きにこのシステムを受け入れており、ここでの生活に安らぎを覚えています。

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 その理由のひとつが、「拡張夢」とそこで行われるケアによる恩恵です。ナノマシンの働きにより、住民は「拡張夢」と呼ばれる仮想空間で「夢」を共有し、精神に揺らぎがある場合、そこでメンタルのケアが行われます。

 「拡張夢」のケアを通して精神が癒されれば、抱えていた不安は収まり、危険な思想も鳴りを潜めます。その結果、この都市では30年にわたって犯罪が起きておらず、犯罪発生率はわずか0.001%。夢のような楽園──ではなく、夢見ることで「アストラム・クローズ」という楽園が守られているのです。

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 管理社会を分かりやすい悪役に仕立てあげるSFゲームも多い中で、その世界に没頭できるVR作品で敢えて“楽園足り得る管理社会”を切り口とした点は、SFファンの心を絶妙にくすぐる変化球と言えます。こうした設定の妙は、作品全体のSF観に及んでおり、MyDearestが提案し続ける“興味深いSF設定”を本作でも味わえます。

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 しかも、こうした下地を提示した上で、「30年間犯罪がなかった楽園で発生した、犯人不明の殺人事件」をきっかけに物語が幕開け。SF的な世界観と、それに一石を投じる展開の合わせ技で、プレイヤーを『ディスクロニア: CA』の世界へと引き込みます。

SF設定を生かした物語は、3つのスケールでプレイヤーを導く

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 人類の住居環境が著しく狭められた要因の影響で、「変異体」と呼ばれる人間が誕生しました。彼らはそれぞれ異なる力を持っており、本作の主人公「ハル」もその一人。ハルは、特定のアイテムを通して過去を視たり、限定的ながら過去に干渉する力を持ち合わせています。

 この都市を守り、管理する「特別監察官」となったハルは、就任早々に「30年越しに発生した殺人事件」の捜査を任されます。新人監察官には荷の重い任務とも思えますが、“過去視”の力は殺人事件の操作にうってつけ。異例とも思える抜擢も頷ける話です。

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 こうして物語は、これまであり得なかった殺人事件の捜査から始まります。この事件の調査が本作における主軸的な役割を担い、事件の真相に迫るという分かりやすい目標を追いかける形でゲーム全体が進行します。

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 ADVゲームにおける殺人事件なので、初動で得られる情報は少なく、また多少捜査した程度では事件の全容には到底辿り着きません。ですがSFの世界とはいえ、事件の内容そのものは飛躍した超化学などが影響することなく、現実の範囲、もしくはその延長上にある範囲に留まっています。その意味では、かなり正統派なSF系ADVと言えるでしょう。

 そして、本作の物語を彩るのは、ハル(=プレイヤー)の目的である殺人事件の捜査だけではありません。実は、事件の被害者である「アルバート・ラムファード」博士は都市の創始者であり、ハルをはじめとする変異体たちを幼い頃から見守り続けてきた人物。彼のその立場が、事件をより複雑な方向へと導きます。

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 しかもラムファード博士は、3年前にハルともうひとりの被験者を対象とした実験を行い、大きな事故を起こしました。その事故がきっかけでハルは過去の記憶を失い、ラムファード博士に対して警戒心を抱くようになりました。

 しかし殺人事件の手がかりを見つけるために“過去視”を行う中で、そこに出てくる過去の博士はいつもハルたちに優しく、時には一緒になって遊ぶ姿も見受けられます。3年前に非道な実験を行った博士と、“過去視”の中で穏やかに接する博士。このミッシングリンクにハルが悩み、真相に迫ろうとするもうひとつの物語も、捜査と平行しつつ紡がれていきます。

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 さらに、比較的序盤から描かれるため言及させていただきますが、この都市の崩壊を示唆する映像やシミュレート結果などが、作中にたびたび登場。管理された楽園の終わりが、誰にも気づかれぬまま訪れる──そんな、静かな恐怖が世界の根底に横たわっている得体の知れなさも、静かに忍び寄ってきます。ただし、崩壊については明確な提示ではなく、またハル自身も特別監察官としての立場を重視して行動しているため、あまり触れる機会はありません。

『ディスクロニア:CA』9月21日に発売直前生放送が配信決定1

 物語に占めるウェイトは事件の捜査が大半で、その意味ではサスペンス的な作品と言えるでしょう。また、捜査によって徐々に明かされる過去には多くの謎が隠されており、かつての博士は何を考え、どのような決断を下したのか……ハルとの関係性も含め、時間の壁を越えたミステリアスな展開も、時に顔を覗かせます。

 そして、もし事実なら最も大きな問題といえる、都市の崩壊。この不気味で危険な示唆は本当なのか。現実に起こるとすれば、それを回避する術はあるのか。情報が少ないので判断しにくい分、余計に不気味な恐ろしさを感じさせます。

『ディスクロニア:CA』9月21日に発売直前生放送が配信決定7

 「殺人事件の捜査」を進めることで、「謎めく過去」に触れ、その時々に「都市の崩壊」を匂わせる。現在と過去、そしてあるかもしれない未来と、3つのスケールに編み上げられた『ディスクロニア: CA』の物語は、前述の力強い設定に支えられ、SF系ADVの新たな名作となる可能性を秘めているように感じました。

 ただし、現段階ではあくまで「可能性」という言葉を置かざるを得ません。というのも、本作はまだepisode1しか配信されていません。殺人事件については一応の目途がつくものの、新たな謎も浮かび上がり、予断が許されない状況です。また、過去や崩壊する未来についても情報が断片的で、その答えについては、今後登場するepisode2、episode3はもう少し待つ形になります。

『ディスクロニア:CA』エピソード2が12月9日に発売決定3
episode2は12月9日発売

 episode1の範囲で味わった物語は、3つの軸が絡み合うように進むことで、最後まで興味深く楽しめました。物語全体の完成度については、episode3までプレイしないと結論は出せませんが、少なくとも今後の発売に期待を抱かせるには十分な試金石だった、というのが個人的かつ率直な感想です。

 分割方式から察するに、この時点の物語的はまだ1/3といったところでしょうか。それでもクリアまでに8~10時間ほど没頭したので、VRアドベンチャーゲームとしては最大級のボリュームです。本作に興味が沸いたら、まずepisode1をプレイし、その先も遊ぶかどうかの判断材料にするのも一興でしょう。

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刺激的なVR空間の中に、やや残念なポイントも

 episode1の範囲だと、(チュートリアル的な部分を除き)ステルスパートと検証パートは1回ずつしかありません。頻繁に起きるとプレイの負担になるかもしれませんが、少なくともepisode1をクリアした時点では、もっと色んなシチュエーションで体験したいと素直に思いました。特に検証パートは、更に突き詰めれば新たなプレイ体験に繋がりそうな可能性も感じたほどです。

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 本作におけるVR要素のほとんどは、過去作と比べても一層磨きがかかった演出や没入感を備えていましたが、一方でやや残念な箇所もありました。まず、VR作品には避けて通れない「VR酔い」の問題は、本作も無縁ではありません。

 本作の移動は基本的にフリーなので、一般的な3Dゲームと同じように動き続けると、人によってはVR酔いが誘発されます。もちろんそれは、本作独自の問題ではありませんが、MyDearestの過去作と比較すると酔いやすくなっているので、以前の作品の感覚で挑むとやられてしまうかもしれません。

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 ただし、通常の移動だけでなく、任意で指定したポイントにワープする移動も可能。この方法なら、かなり酔いづらくなります。VR酔いは個人差も大きいので、自分に合ったスタイルで遊ぶのがベターでしょう。

 また、設定面で触れた「拡張夢」ですが、その光景はまさに夢のよう。光り輝く魚の群れやクジラ、時にはクラゲが視界を埋め尽くし、思わず目が奪われる光景です。しかし、この「拡張夢」の中で行えるメンタルチェックが、少々厄介です。

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 メンタルチェックはシンプルなミニゲーム形式で、特に難しくはありません。そのため、あまり手応えを感じないのも事実。操作自体、“メンタルを整えている”感じが薄く、全体的に物足りない印象を受けました。

 「手応えの薄い要素なら、触れずにスルーすればいい」という意見もあるかと思いますが、このメンタルチェックを行うと、本作の世界観や過去の出来事についてまとめたアーカイブを閲覧できるという報酬があります。世界観の把握はもちろん、物語に直結するアーカイブも存在するので、「スルーしても問題ない」と言えるほど軽い扱いではなく、悩ましいところです。

 「拡張夢」の演出そのものは素晴らしいだけに、物足りなさのあるメンタルチェックが非常に残念。この点が、episode2以降で改善されるよう願っています。


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 ちょっとした不満もありましたが、主軸たる事件の捜査とVRの組み合わせは良質な相乗効果を生み出し、本来存在しないはずのSF世界に没入する楽しさがここにありました。

 まだ完結していませんが、ツボを押さえた展開と優れたVR演出のおかげもあり、さらなるepisodeへの期待度が高まります。3部作ですが、その分価格面も分割されており、フルプライスの1/3程度でepisod1を試せる点も、ある意味では利点と言えるでしょう。

 全容が分からないため絶対的な評価は下せませんが、ここから先の展開が非常に気になるのも事実。様々な切り口と演出がVRと結びつき、仮想空間上を自由に動き回るSF系ADVとして確かな一歩を踏み出した『ディスクロニア: CA』が、episode2と3でどんな展開と結末を見せてくれるのか。VR世界の新たな1歩を、この現実世界で待ちわびるばかりです。

 『ディスクロニア: CA』のepisode2は12月9日発売予定です。

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