こんにちは。福田ナオです。
皆さんは「死に覚え系アクションゲーム」はお好きでしょうか。私は好きです。
強大なボス相手に度重なる敗北を喫して脳はストレスまみれ。
「そろそろ寝ないと」…「課題をやらないと」…募る焦りと「でも次は勝てそうな気がする!!」という希望。
そうしてもぎとった勝利のなんと甘美なことか…!!
さて、今回電ファミさんから「レビューやってみない?」とお話をいただいたタイトルも死にゲーの類らしいのです。その名も…
『Wo Long: Fallen Dynasty(ウォーロン フォールン ダイナスティ)』!!
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2023年3月3日(金)発売の本作は、三国志をベースとした死にゲー…「三國死にゲー」だとか(Steamの商品紹介文より)。
開発元はコーエーテクモゲームスのTeam NINJA。『仁王』シリーズプロデューサーの安田文彦氏が本作でもプロデューサーを、そして『Bloodborne』のプロデューサー山際眞晃氏(2021年にTeam NINJA参加)が本作の開発プロデューサーを務めたということで、「三國死にゲー」としての期待はMAXです。
山際氏いわく「本作が目指したのは、逆境を覆す達成感です。」とのことで、実際に20時間弱プレイしてみて感じたのは、まさしくそのお言葉通りの歯ごたえと爽快感でした。
というわけで今回のプレイレポでは、この「三國死にゲー」の”死にゲー”な部分(ゲームシステム)と”三国志”な部分(世界観)の二つの観点から本作の魅力をご紹介していきます。
文/福田ナオ
死にゲー要素…やりごたえ十分のゲームシステム編
歯ごたえのある敵が待ち受けるステージ制3Dアクション
本作では名もなき主人公が「三国志」ゆかりの各戦場を戦っていきます。
オープンワールドではなくステージ制で、主戦場(=メインステージ)のボスを倒してクリアするごとにストーリーが進行する形です。
つまりとにかく敵をブッ倒していけばゲームが進むので、三国志に詳しくない人(私のことです)でも安心!!
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倒すべきエネミーキャラとして出てくるのは、敵兵や敵将、そして「妖魔」と呼ばれる魑魅魍魎など様々。「妖魔化した人間」もめっちゃ出てきます。なんだかそういうダークファンタジー的な荒廃した世界観らしい…!
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そしてこの敵たちが…だいぶ強い!!特にボスが強い。
負けてしまうと「一敗塗地(再び立ち上がることができないほど退廃すること)」の文字が浮かびあがります。本作を遊んでいると「一敗塗地」を親の顔より見ることになる…。
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なぜ敵が強いのか?それはボスは攻撃力・防御力が相当高く、攻撃も結構ハイスピードなので、戦い方を工夫して上手に立ち回らないと歯が立たないからです。
「『ソウル』シリーズで死にゲーには慣れてるし~♪」と高を括っていたのもつかの間、「結構ちゃんと死ぬな!?」とびっくりしました。
しかし!もちろんこの絶望的な状況をひっくり返す方法はたくさんあります!
そして逆境を乗り越えたとき…脳汁がドバドバ出るのです!!
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さて、そんな骨太な『Wo Long』の戦闘において最も大切なのは…次に紹介する「氣勢(きせい)」システムを理解して立ち回ることです。
「氣勢」を削って「絶脈」を狙う戦闘システム
『Wo Long』の戦闘画面は、最近の3Dアクションとしてはオーソドックスな印象のあるUIです。
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本作のゲームシステムでユニークなのはHPバーの下部にある「氣勢ゲージ」の存在です。自分だけでなく敵や味方サポートキャラにもあります。これがこのゲームの戦闘のめちゃくちゃ気持ちいい部分を担っている……!
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氣勢はめちゃくちゃざっくり言うと「うまくやると増える」「しくじると減る」ものです。例えば通常攻撃を当てると増えて、食らうと減ります。
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相手の氣勢を削りきると大きな隙ができて、「絶脈」という大ダメージの一撃を与えることができます。
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絶脈は通常攻撃よりもはるかに大きなダメージを与えることができます。
氣勢を削り絶脈を狙うのが、ボス相手だけでなくほとんどの敵キャラに対しての基本戦術になってきます。
この絶脈が……めちゃくちゃ気持ちいい~んです。
今回のレビューまでにステージを6つほど攻略しましたが、どのボスも絶脈を4回前後食らわせて倒す!という感じでした。
もちろん、主人公も氣勢が完全に削られてしまうと行動不能の大ピンチに陥るため、自分と敵の両方の氣勢ゲージを常に意識しながら戦っていくことになります。
奥が深いぞ!氣勢バトル
相手の氣勢を削るかたわら、自分の氣勢は大事に大事に守り切ればいい…というわけではないのも『Wo Long』の戦闘の面白いところ。
なぜなら氣勢は戦闘を有利にする様々なアクションのコストとしても使用するからです。
氣勢は失ったら困るものであると同時に、ガンガン使ったほうがいいものでもあるのでプレイヤーの戦略性が問われます。
氣勢を消費して使うアクションには「化勁(かけい)」「氣勢攻撃」「仙術」「武技」などがあります。
ありますが…
…もうこの記事中で新しい単語がかなり登場してしまっている!!
そう、このゲームは戦闘中にできることがめちゃくちゃ多い!!!
なのでこれ以上詳しくシステムを説明しちゃうと未プレイの方はパンクしかねない!!
だからこの場ではなんとなく「はぇ~いろいろできるんだなぁ」と思っていただけるようそれぞれの要素はざっくりとしたご紹介にとどめておきます。
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プレイし始めたころは手札の多さに戸惑いましたがすぐに慣れましたし、
こういう技を次々に繰り出しているときの「やってる感」がかなり気持ちいいです。
特に相手の攻撃のタイミングに合わせてボタンを押して攻撃をノーダメージで乗り切る「化勁」は便利なだけじゃなく、テンポが良くて小気味よい楽しさがあります(『SEKIRO』の”弾き”に近い印象)。
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というわけで、氣勢を活かしていい感じにできた戦闘があるので動画を置いておきます。ぜひご覧ください(音が出ますので注意してください)
最初は手も足も出なかったボスにあらゆる技を駆使して優勢に立ってそのまま倒しきれたときの喜びはすさまじい…。
探索のがんばりがちゃんと報われる「士気」システム最高!
戦闘システム面でもうひとつだけご紹介したい要素が「士気ランク」です。
「士気ランク」はステージごとに毎回ゼロにリセットされて、敵を倒したり探索を進めていくことで積み上げていくランクです。
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士気が高まると能力全体にバフがかかり、戦闘がグッと楽になります。
たとえば士気が低い状態だと即死だった敵の攻撃が、士気をきっちり高めてから挑むと耐えられたりします。次の画像はその実験の様子です。
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これはだいぶすごい補正効果ではないでしょうか。
しっかりと士気を上げる…つまり敵をひとりひとり倒したりステージを隅々まで探索することが、レベリングや装備の見直しに匹敵するかそれ以上の効果を持っているわけです。
ちまちまとした戦闘や探索をこなすモチベーションって難しくて、多くの場合がアイテムコンプ目的だったり、あるいはそうしないと気が済まない性分だからなんとなくやっちゃう…といった流れが多いんじゃないかなと個人的には思っています。
しかし『Wo Long』は強敵に立ち向かうための一つの手段として探索や戦闘の意味が確立されているのでやりがいがあるなぁと感じました。
本作は前述のとおり各ステージが独立しているタイプのゲームですが、その形式とこの士気ランクのシステムがガッチリハマってて良かったです。
味方武将を上手に活かそう
味方武将(NPC)にフィールドを同行してもらうとさらに有利に戦いを進めることができます。
ストーリーの進行上自動的に味方武将がついてくれることもしばしばありますが、アイテムを使って任意の味方武将を呼び出すこともできます。
ザコ敵の相手を任せたりボス戦で壁役にしたりとものすごく楽に立ち回ることができます。
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というわけで、本作のシステム面は山際氏がコメントしていた「逆境を覆す達成感」のための仕掛けがあの手この手で仕込まれているような印象でした!
続いては「三國死にゲー」の「三国志」の部分…世界観についてレビューしていきます。
三国志あまり知らなくても安心、知ってたらもっと楽しい世界観編
後漢末期以降の乱世を生き抜いての影の功労者になろう
黄巾の乱からスタートする本作では主人公は名もなき義勇兵として描かれます。ゲームの進行に従っておなじみの武将と次々に関わりを持つことになります。
そして彼らから一目置かれる展開が結構多いのも嬉しいです。
女主人公ではじめたので、武将たちから「ふ~ん、おもしれー女……」の波動を感じる…。
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各武将は仲間としてゲームの攻略をかなり助けてくれます。
主戦場(=メインストーリー)で共闘したりすると他の戦場でも武将を呼び出せるようになり、結義Lv(友好度)を上げると「義兄弟」になれるそう。
義兄弟になれば装備品のコピーをもらえたりするらしいです。三国志にそれほど詳しくない私でもテンションがあがるので、これはファンにはたまらない要素なのではないでしょうか。
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このリストにいる武将はアイテムを消費していつでも戦場に呼び出すことができます。
「オレ関羽とダチだからさぁ…ちょっと連絡してみるわ。もしもし? 今ちょっと曹操といるんだけど…来れる?来るよね?」みたいなノリで関羽を呼び出してみましょう。優越感がありますね。
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仙道の秘宝「丹薬」をめぐるストーリー
三国志をベースとした本作品にダークファンタジーなテイストを与えているのが、人間の氣を爆発的に増大させる「丹薬(たんやく)」の存在です。秦の始皇帝も不老不死を求めて丹薬を望んだとか…。
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古代から中国の統治の歴史の陰には丹薬があり、絶大な力をもたらす一方で大きな災いの種にもなってきた…ということらしいのです。
ゲーム序盤で戦う黄巾の乱の首謀者たちも丹薬をオーバードーズして妖魔化してしまっていました。
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三国志の流れを汲みながら、その背景にあるとされる丹薬の謎をつきとめるのが本作の大筋になっていきます。
レベルの仕組みが「木・火・土・金・水」の五行思想
経験値とレベルアップの仕組みは、敵を倒すと手に入る仙氣をがんばって集めて好きなステータスに割り振る形式。かなりソウルライクな趣です。
ステ振りが可能な項目は「木徳・火徳・土徳・金徳・水徳」の五つ。レベルアップ画面を見ると「うお~中華感のあるアレだ!」とテンションが上がります。
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たとえば木徳の能力を上げると体力量が増えたり敵からの攻撃で失う氣勢が減ったりフィジカル面の補強といった印象。いっぽう火徳は攻撃成功時に得る氣勢の量が増えるなど攻撃的な能力が増えていきます。
各系統のレベルを上げていくと、対応する「仙術」も使えるようになります。
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仙術には攻撃術のみならず回復や隠遁のようなサポート術もあります。手持ち武器に属性を付与するエンチャントもあったり、こういうのはリストを眺めているだけでワクワクする…!
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武器も「中国武術のアレ」感バツグン!
武器や装備にもかなり種類があって、しかも敵から結構ボロボロとドロップします。
気になった武器をどんどん触ってみる遊び方ができそうです。私は数が種類や性質を把握しきれなかったのでまずはノリで選んでいます。
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また、武器には装備重量の概念がないので好きなものをチョイスできるのも嬉しいところ。兜や手甲といった防具は装備重量によって動きの速さなどが変動します。
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ゲーム内での解説やフレーバーテキストも充実
各ステージの前後のムービーやステージ中の味方武将のちょっとしたセリフなど、世界観を楽しめるポイントは数多く用意されています。
また、人物・敵キャラ・武器などの補足説明や、三国志そのものの解説などもストーリーの進度に合わせて適宜解放されていきます。
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というわけで『Wo Long』を死にゲー・三国志ゲーの両方の面からレポしてきましたが、最後に個人的にここいいな~と思ったポイントを紹介していきます。
個人的にここめっちゃいいわ~のポイント編
ステージ制なのは個人的には嬉しい。
最近はオープンワールドのゲームをプレイすることが増えていましたが、本作がステージ制のゲームというのは個人的には嬉しいポイントでした。
次に何をすればいいのかが常に「道を進んでボスを倒す」だけなので単純明快。
三国志の武将たちと関わりながら進行していくストーリーとのバランスもちょうどいいと思いました。
デスペナが軽い
死にゲーではありますがデスペナルティが軽く、特にボス戦に関しては一度敗れた後にすぐ再戦すれば失った仙氣や士気を会敵時に全回収させてくれる太っ腹ぶり。
シンプルなステージ制といい、とにかくひたすら戦うことに重きを置かせてくれる作りだなと思います。
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動きが軽快
戦闘の各動作、移動速度などどれも軽快で気持ちがいいですね。大振りでダメージの大きい武器を使っていてもモッサリとした感じはありません。
戦闘で多用する「化勁」も、キンキン敵の攻撃を受け流していくスピーディかつスリリングな面白さがありました。
また、氣勢が高まっている状態で放つ氣勢攻撃中は被弾しても攻撃が中断されない仕様などもストレスの少ないバトルを実現していると感じました。
非同期のオンライン要素、「復仇」システムが面白い
先行プレイではガッツリとオンラインプレイをすることはできませんでしたが、それでも非同期通信の「復仇」システムが面白かったです。
これはほかのプレイヤーが負けた場所と負けた相手が可視化されるもので、それを倒すとアイテムと交換できるポイントなどの報酬が受け取れます。
誰かが負けた相手に自分はノーミスで勝てたぞ、みたいな喜びも感じられて嬉しいシステムです。
また、他のプレイヤーが負けた場所と敗因は「冥旗」と呼ばれるオブジェクトで可視化されるのですが…
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しかし謎に大量に冥旗が刺さりまくっているところがあったりすると「絶対敵隠れてるやん…!!」ってことも分かってしまい視覚的におもしろいです。
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レベルの振りなおしが良心的
ゲームを少し進めると五行それぞれに割り振ったレベルを無料で何度でも振りなおせる施設が解放されます。
基礎能力だけでなく、武器の威力補正や仙術の利用条件にもレベルは大きくかかわっているので、いろんな戦い方を楽しめる工夫だと感じました。
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キャラメイクが細かくできてうれしい
私はキャラメイクに相当こだわるタイプなのですが、本作はキャラメイクの自由度が高くて素晴らしい!!
あとプリセットがかなり可愛くて、それを微調整するだけで相当納得のいく出来になりました。もちろんこれも後から修正できるので本当に助かります。
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BGMがいい
中華風のBGMって私は麻雀ゲーム以外でなかなか聴く機会がないんですけど、本当はだいぶ好きなんですよね。
メインテーマをはじめとしてBGMがとても良いので、ぜひこれも体感してみてほしいですね。
パンダがかわいい
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※この子はアイテムをあげるとそれを食べて別のアイテムをくれる「食鉄獣」という存在です
まとめ
というわけで『Wo Long』の最序盤をガッツリと遊ばせていただきました。
15時間くらい丁寧にプレイして黄巾の乱が一応の終息をみせ次のエピソードが始まるくらいまで進んだ…という感じでしたので、まだまだ結構なボリュームがありそうですね。
「逆境を覆す達成感」を味わえる作りと三国志をベースとしたダークファンタジーのテイストのマッチした、やりごたえのあるゲームだと思います。
理不尽な難易度というわけでもなく、やればやるほどキッチリ成果が返ってくる手ごたえがあるのも良いバランスだと感じました。
特に、最初はコテンパンにやられていたボス戦でテンポよく氣勢を削れているときの爽快感はたまらないものがありますね。
戦い方や武器・仙術のチョイスなど選択肢がものすごくたくさん用意されているので、自分好みの攻略法を見つけて楽しめると思います。
いわゆる三国志ゲーが好きな方・そして死にゲーが好きな方はぜひ遊んでみてはいかがでしょうか。どっちも好きだという人は…マジでうらやましいです。最高に楽しめると思います。
そんなわけで以上『Wo Long: Fallen Dynasty』レビューでした。
私はYouTubeで三国志の解説動画を見てさらに世界観を味わおうと思います。
それでは!!
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