ゲームギアオリジナルソニックシリーズ5作品
さて、最初からかなりの変わり種に手を出してしまいましたので、ここから先は王道作品、ゲームギアで展開された『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズの作品をプレイしていきましょう。
まずはゲームを選択し、とんでもなく音割れしている「セーガー」を、起動画面で耳から摂取。雑音に感じる人も多いんじゃないかというくらいの音割れっぷりですが、これもまた、発売当時のゲーム技術に思いを馳せるための薫り高きスパイス。その奥深い味わいとともに、ありがたく拝聴しましょう。
さて、最初の王道ソニックは、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ 』。1991年に発売された、ソニックのデビュー作であるメガドライブ版『ソニック・ザ・ヘッジホッグ 』を、ゲームギア用にアレンジを加えつつ移植した作品です。
プレイ画面を覗いてみますと、敵の配置やソニックの動きなどは、メガドライブ版に比べてかなり控えめ。ですが、これは、画面の大きさと容量に対して据え置きゲームよりも強く制限がかかってしまう携帯機種のアクションゲームではよくある話。本作もその一員であるということを考えれば、自然な移植であると言えるでしょう。
ただ、敵やオブジェクトは少なめですが、処理落ちは多め。これもまた、本作に限った話ではなく、携帯機種のアクションゲームではよくあること。こういったところからも、当時のゲーム作品の風合いを感じることが出来ます。
もちろん、道中で取得したリングがそのまま体力になるというソニックシリーズ独自のシステムは、このゲームギア版でも健在です。
ただ、本作では、敵の攻撃などによって一度落としてしまったリングを再取得することができません。この仕様により、通常のソニックのアクションゲームと比較すると、難易度が上昇しているのが、ゲームギア版の特色の1つです。
そして、各ゾーンのボスとして登場するDr.エッグマンが操るメカたちは、どれも攻撃方法自体はシンプルながら、撃破するためにはそれなりの操作精度を求められます。
そのため、本作ではアクションゲーム特有のヒリついた緊張感もしっかりと味わうことができるようになっています。
また、メガドライブ版『ソニック・ザ・ヘッジホッグ 』では、真のエンディングを拝むためには、カオスエメラルドというアイテムを全種類入手する必要がありましたが、それはこのゲームギア版でも共通しています。
ただ、メガドライブ版では各ゾーン内のスペシャルステージでカオスエメラルドを入手することができましたが、ゲームギア版では各ゾーンに1つずつカオスエメラルドが隠されているという違いがあります。
ただステージを攻略するだけでなく、ステージをしっかりと走り回ってカオスエメラルドを探し出し、真のエンディングを目指しましょう。
続いてのゲームは、ソニックシリーズ第二弾かつゲームギアソニックシリーズ第二弾となる、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』。
タイトル画面にも大きくその姿が映し出されていますが、ソニックの相棒であるキツネの男の子、テイルスの初登場作品です。
この『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』は、メガドライブ版とゲームギア版が同時に発売されているのですが、そのストーリーは全くの別物。
メガドライブ版ではDr.エッグマンを倒すために、テイルスが常にソニックの後をついてきてくれるのですが、ゲームギア版では、Dr.エッグマンに誘拐されてしまったテイルスをソニックが助け出すというものになっています。
そして、本作の前作との違いの1つとして挙げられるのが、ソニックがダメージを受けた時に周囲に飛散するリングを再取得できるようになったこと。文字で見ると地味ーな変化ではありますが、ソニックシリーズでは、リングが1つあるかないかだけで危険度が大幅に変わるので、実際にプレイをしてみると非常にありがたい変更点です。
その他にも、スピンダッシュ状態のソニックが水面を跳ねながら移動することができる水切りのアクション、ハングライダーや歯車といったギミックが前作から追加され、アクションゲームとして進化しているように感じられます。
これらの点を踏まえると、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』は、前作よりも、より一層取っつきやすさが増し、ゲームとして遊びやすくなっているという印象。携帯機種のゲームということも相まって、カジュアルにソニックのアクションを楽しむことができるのではないでしょうか。
どんどんいきましょう。続いては、ゲームギアソニック第三弾にして、初のゲームギアオリジナルタイトルである、『ソニック&テイルス』。
本作から、ソニックだけでなく、テイルスでもゲームが遊べるようになりました。この点こそが、『ソニック&テイルス』の大きな特徴と言えるでしょう。
……となると、プレイするのは当然テイルス。騙して悪いが、私はテイルスが大好きなのだよ。
さて、テイルスには、一定時間空中を自由に飛び回る “ヘリテイル” という独自のアクションがあり、これを駆使して、ソニックとは違う方法でステージを攻略していくことができます。
テイルスを操作することができるようになったこと以外にも、3作目で追加された要素は色々とあり、
そういった物の中には、足場が斜めになり2Dアクションながら奥行きが感じられる通路や、螺旋状になった通路などといった、走っているだけでワクワクしてくるような楽しいギミックも。こういうコースの面白さもまた、ソニックシリーズの魅力の1つです。
ちなみにですが、テイルスにはDr.エッグマンを倒すことまではできても、真のエンディングに辿り着くことはできません。真のエンディングに必要なカオスエメラルドのあるスペシャルステージには、ソニックでしか行くことができないのです。
というわけで、最初にテイルスをプレイしてから、ソニックで真のエンディングを目指すのがオススメです。
次のタイトルは、ゲームギアソニック第四弾『ソニック&テイルス2』。名前の通り、『ソニック&テイルス』の続編にあたる作品です。
当然、こちらの作品でもテイルスを操作キャラクターとして使用可能。前作よりもスタイリッシュなキャラクター画面に、テンションが高まります。
加えて、ソニックのライバルであるハリモグラ、ナックルズが今作では敵として登場。
……それにしても、高笑いを決め込むナックルズも、そのナックルズを下から見上げるテイルスもそうですが、基本的にキャラクターのグラフィックがたまらなく可愛いんですよね。
当然主人公のソニックのグラフィックも素晴らしいものであり、改めてスタイリッシュさの中に可愛さも同居するデザインには、頭が下がるばかりです。そういった部分が、携帯ゲームでも損なわれていないのが素晴らしいですね。
そして、本作にはこれまでのゲームギアソニックには無かった趣向のステージも登場。
この『ソニック&テイルス2』で、ソニックアクションも4作目になりますが、ゲームの礎となる基本システムがしっかりと構築されている中で、各作品にバリエーションがしっかりと生まれているというところに、ゲームシリーズとしての強さを感じます。
なお、今作では、真のエンディング到達に必要なカオスエメラルドのあるスペシャルステージに、ソニックだけではなくテイルスも行くことができるようになりました。
これは、テイルスにも真のエンディングを見る権利が与えられたということ。前作のような悲しみを背負う必要はもうありません。テイルスはソニックよりも初心者向けのキャラクターなので、真のエンディングが、より手の届きやすいところに来てくれたということになります。そういった意味では、本作は前作よりも易しく、初心者に優しいゲームと言えるでしょう。
そして、ゲームギアオリジナルソニック第5弾は『Gソニック』。
タイトル画面に登場するキャラクターが、テイルスからナックルズに変わっているところからもお分かりいただけますように、本作での操作キャラクターは、前作のソニック&テイルスから、ソニック&ナックルズへとチェンジしています。
そんなナックルズ固有のアクションは、滑空と壁登り。これらのアクションにより、ナックルズのプレイ感もまた、ソニックとは異なるものとなっています。
そして、本作を紹介する上で特筆すべきポイントの1つが、グラフィック。
『Gソニック』のグラフィックのテイストは、これまでの4つのゲームギアソニックシリーズの作品とはかなり異なるもの。これが適切な例えかどうかは怪しいところですが、そのグラフィックは、スーパーファミコンソフト『スーパードンキーコング』を彷彿とさせるような、より一層立体感が感じられるCGチックな仕上がりとなっています。
また、本作は、これまでの作品よりも、画面に対するキャラクターのサイズが明らかに大きくなっており、この点も違いとして挙げられます。新たな操作キャラクターに一新されたグラフィック。前4作にはないプレイ感を楽しむことができるタイトルが、『Gソニック』なのです。
ちなみに、『Gソニック』は、ゲームギアで発売された最後のタイトルであるとのこと。そのため、本作をもって、ゲームギアソニックシリーズ並びにゲームギアは、その歴史に終止符を打つこととなります。
ファン歓喜、テイルスを主役にしたスピンオフ
続いて紹介していくゲームは、先ほどから登場しているソニックの相棒のテイルスを主人公としたタイトル。私のようなテイルスファンが大歓喜するスピンオフ作品です。
まずはこちらの『テイルスアドベンチャー 』。
本作は、テイルスを操ってココアアイランドという島を冒険し、平和を脅かす敵に立ち向かうという内容のアクションゲーム。
本作は、道中で入手できる攻撃アイテムやお助けメカを使い分けながら、ステージの探索と攻略を進めていくゲーム。これらのアイテムは全部で26種類あり、それぞれの特色を活かして、道を切り開いていく必要があります。これは、ソニックが主役のゲームではほぼ見られないシステムですね。
また、アイテムを使い分けるという要素以外にも、ヘリテイルといったテイルス固有のアクションが、ゲーム攻略の鍵を握ります。
こういった、ソニックがやらない、ソニックにはできない、テイルスらしい冒険譚が『テイルスアドベンチャー 』にはあり、本作は、スピンオフの醍醐味がこれでもかと言うほど詰め込まれたゲームとなっています。
さて、本作のキャラクターデザインについても触れておきましょう。
テイルスが元来持つ素材そのものの可愛さは大前提として、本作は、登場する敵キャラクターもかなり可愛らしい印象です。
しかしながら、その可愛らしいキャラクターデザインとは裏腹に、その難易度は高め。 ソニックが主人公のアクションゲームと同様、本作もリングによる体力制となっているのですが、リングがステージの道中に落ちていることはほぼなく、敵を倒した時にたまーに出現するか、壊すことのできる壁の中に隠しアイテムとして埋められているかといった感じで、取得機会はそんなにありません。
回復手段が乏しい上に、テイルスの動きがソニックと違いモッサリしているため、ノーダメージで切り抜けることは至難の業。かなりの歯ごたえがあるアクションゲームとなっています。
続いては、『テイルスのスカイパトロール』。こちらは、先ほどの『テイルスアドベンチャー 』よりも前に発売された作品です。
本作は、これまでに紹介してきたアクションゲームとは少々毛色が異なり、シューティングゲームに近いゲーム性となっているという、突出した個性を持つゲームタイトルです。
画面左上に黄色のバーで表示されているのがテイルスの体力で、敵の攻撃を受け、0になってしまうと残機を1つ失うこととなります。
そして、本作で見られるシューティングゲーム要素の1つが、地面や壁に接触した瞬間、残りの体力に関係なく残機を失うということ。ゲーム画面は半強制スクロールしている上、テイルスは前進するスピードと比べて後退するスピードが非常に遅いため、少しの判断ミスで取り返しのつかない状況になることもしばしば。
また、敵の攻撃を食らうと、テイルスは墜落状態になってしまい、操作不能のまま地面へと真っ逆さま。この墜落状態は、ボタン連打により解消することが出来ますが、場所によっては、連打が間に合わず地面に激突し、残機を失ってしまうことも。体力に余裕があるからといって、敵の攻撃を侮ってはいけないのです。
そんな本作でのテイルスの攻撃方法は、足に掴んだリングを投げつけること。リングはヨーヨーのように、一定距離まで飛んだあと、テイルスのもとへ戻ってくるのですが、この軌道がまた独特。リングが戻ってくるまでは次の攻撃ができないため、一般的なシューティングゲームのように、むやみやたらにリングを発射し続けることは御法度です。
また、このリングには、テイルスを上昇させる風船や、逆にテイルスを下降させる重りなど、ステージ中に配置されたアイテムを引っかけることもできます。
スクロールし続けるゲーム画面の中で、壁に激突しないよう、テイルスを素早く適切な位置へと移動させるため、必要なアイテムを引っかけていかなければならないのですが、この大事なタイミングでリングを前方へ発射していると、当然アイテムを引っかけることはできません。テイルスが壁と正面衝突し、残機一つ消滅という結果を招いてしまうことでしょう。
……かといって、アイテムを見かけたらリングを発射せずに待機すればいいのかというと、そういうわけでもありません。中には、取ると逆に面倒な結果を招いてしまうアイテムもあるのです。
そのため、見えているアイテムをあえてスルーするという技術も必須であり、本作では、仕掛けやアイテムをスルーするためのアクションも用意されています。
道中の時点で忙しなく、何かといっぱいいっぱいになりがちな本作ですが、ボス戦も相当な難易度。
ボスを倒すためには、リングを一定回数ぶつけるのが基本なのですが、リングをぶつけると、ボスがその場で少しの間停止するのが非常に厄介。常に前進し続け、ほぼ後退することができないテイルスが、一時停止中のボスにぶつかってしまうということが起こるのです。
その結果……
テイルス、ボスにリングをぶつける → ボス、静止 → テイルス、ボスに激突 → テイルス、地面に激突 → テイルス、残機消滅 → プレイヤー、心が折れる。
そんな鮮やかなコンボが完成し、今宵、伝家の宝刀、セーブ&ロードの刃がその煌めきを放つことと相成ったのでございました。
この『テイルスのスカイパトロール』、個人的には、今回の12タイトルの中で、最も難しく、最も新鮮な楽しさを感じたゲームでした。システムに取っつきにくさはあるのですが、その中身を理解し、慣れてきますと、そこからは湯水のごとく面白さが湧き上がってくるのです。
シューティングともアクションとも断じがたい、深い味わいがある珍味のような『テイルスのスカイパトロール』。口に合わないという方もいらっしゃるかもしれませんが、一度ご賞味いただきたい作品です。