過去の名作のデジタルリマスター『ソニックオリジンズ』
さて、最後になりますが、『ソニックオリジンズ・プラス』には、ゲームギア12作品以外にも追加要素がありますので、そちらについてもお話していきたいと思います。
冒頭でも簡単に触れましたが、『ソニックオリジンズ』は、家庭用据え置きゲーム機メガドライブで発売された、初期のソニック・ザ・ヘッジホッグシリーズ作品のデジタルリマスター版であり、4タイトルが収録されています。
まずは、ソニックシリーズ第一弾『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』。
その続編である『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』。
先ほどもご紹介しましたように、こちらの2作品についてはゲームギア版も収録されているため、『ソニックオリジンズ・プラス』では、2種類の『ソニック・ザ・ヘッジホッグ 』と『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』で楽しむことができるというわけですね。
続いて、ソニックシリーズ第三弾、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ3&ナックルズ』。
これは、オリジナルのメガドライブ版では、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ3』と『ソニック&ナックルズ』という前後編的な扱いだった2つのゲームソフトを、1つにまとめたタイトルです。
そして、『ソニックCD』。こちらは、メガドライブCDにて発売された、ソニックシリーズの外伝的な作品。
この『ソニックCD』が当時画期的だったのは、メガドライブCDへの移行により、ゲーム本編内にムービーを挿入することができるようになったこと。
この技術を使って挿入されたのが、アニメーションによるオープニングムービーです。
『メガドライブミニ2』に収録されている『ソニックCD』との比較ではありますが、リマスター前とリマスター後のアニメーションを見比べてみると、明らかに画質や音質が良くなっており、メガドライブCDでは映しきれていなかった細かなアニメーションまでしっかりと映し出されていました。当然のことかもしれませんが、オープニングムービーもデジタルリマスターされているというわけですね。
また、『ソニックオリジンズ』で用意されているゲームモードは、大きく分けて3つ。
1つ目の “アニバーサリーモード” は、大画面でゲームを楽しめ、タイムオーバーとコンティニューの概念が無くなった、初心者にも非常にプレイしやすいモードで、2つ目の “クラシックモード” は、オリジナル版の画面比をそのまま残し、残機を全て失うとゲームオーバーという、発売当時のソニックのテイストを強く残した、よりやりごたえのある難易度を求める熟練プレイヤー向けのモードとなっています。
最後の3つ目は。『ソニックオリジンズ』に収録されている全てのソニック作品を、ソニックを操作して物語の時系列順に通しで一気にクリアすることを目指す、 “ストーリーモード” 。これは、どう考えても歯ごたえたっぷりのモードであり、高みに到達したプレイヤーでなければ、クリアすることはかなり難しいのではないでしょうか。
そして、『ソニックオリジンズ』のデジタルリマスタータイトルには、オリジナルゲームには無かった、中間セーブやキャラクターセレクトなどの機能が追加されています。
これまでに紹介してきたゲームギアタイトルと同様、各キャラクターには固有のアクションが用意されているため、それぞれのキャラクターで異なるプレイ感を楽しむことができます。この点こそが、『ソニックオリジンズ』を語る上でのポイントの1つと言えるでしょう。
また、直前に選んでいたキャラクターによってタイトル画面が変化するという、思わずニヤリとさせられるお楽しみ要素も搭載。ファンを喜ばせるための仕掛けが随所に見られます。
そして、アクションゲーム苦手勢、やり直し苦手勢の私にとってありがたいのが、真のエンディングに辿り着くために必要なアイテムがある “スペシャルステージ” のリトライ機能。
オリジナル版ではそれらのアイテムを獲得できずにスペシャルステージが終わってしまうと、時を戻す方法がありませんでした。
本作では、使用回数に制限はあるものの、リトライが可能となっていて、真エンドへのハードルがかなり下がっています。
更に、各タイトルには、オープニングとエンディングで、アニメーションムービーが用意されています。これらのアニメは思わず見入ってしまうようなものばかりで、どれも素晴らしいクオリティの作品に仕上がっています。
更に更に、『ソニックオリジンズ』では、『ソニックオリジンズ』そのもののオープニングアニメーションも制作されています。
このオープニングムービーは、1分程度の長さのアニメーションなのですが、その内容は1分間ということを感じさせない濃密なもの。短時間ながらも、それぞれのキャラクターの良さが的確に表現されている、素晴らしい映像作品だと思います。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここからが『ソニックオリジンズ』から『ソニックオリジンズ・プラス』で追加された、新要素についてのお話です。
その新要素は大きく分けて2つ。まず1つ目の新要素は、ソニックシリーズのヒロインのエミーを操作して遊べるようになったこと。
ソニックのガールフレンドを自称する彼女は、『ソニックCD』で初登場。この時は、Dr.エッグマンがソニックを模して作った超高性能ロボットのメタルソニックにさらわれてしまうというシーンがありました。
改めて言うまでもないことかもしれませんが、彼女を使えば、ソニック・テイルス・ナックルズの3人とは一味違うソニックが、また新たに楽しめるのです。
さて、エミーの参戦により、各タイトルにつき4パターンのゲームを楽しむことができるようになった……というのが単純計算ですが、
テイルスを相棒とした協力プレイも可能な『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』では、操作キャラクターの組み合わせが更に増加し、キャラクターセレクト画面が鮨詰め状態に。
それぞれの組み合わせを試していくだけでも、7周、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』を楽しめるわけですから、そこを考えるだけでも、『ソニックオリジンズ・プラス』のやりごたえはかなりの物であると言えます。
また、ゲームによっては、どのキャラクターを選択したかで、ゲーム本編のイベントシーンに変化が現れます。細かい部分ではありますが、こういったところにまで配慮が行き届いたゲームを見るとテンションが上がってしまうのは、ゲーマーの性というやつなのでしょうか。
そして、『ソニックオリジンズ・プラス』もう1つの追加要素が、『ソニックCD』で、ナックルズを操作キャラクターとして選択できるようになったこと。
これだけ聞くと、ちょっとしたオマケ要素かのように聞こえてしまいますが、『ソニックCD』を、ナックルズで遊ぶと、『ソニックオリジンズ・プラス』で追加された新規ルートもプレイ可能とのこと。新鮮なプレイ感どころか、新たなルートで楽しめるというのは、非常に魅力的ですね。
更なる追加要素……というわけではありませんが、最後の最後に、私が『ソニックオリジンズ』の中で好きなモードについても触れておきたいと思います。そのモードというのが、“サウンド” 。このモードでは、本作に収録されたタイトルを中心とするソニックのゲーム作品で使用されたBGMやジングルを聞くことができます。
ソニックのBGMと言えば、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』と『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』では、DREAMS COME TRUEの中村正人さんが作曲を担当されたことでも知られており、そのクオリティの高さは折り紙付き。耳に残る名曲ぞろいです。
そして、このサウンドモードで何より嬉しかったのが、好きな曲をピックアップして自分だけのプレイリストを作れること。
今回の記事の作成にあたっては、このプレイリストを作業用BGMとして使用させていただきました。この文章をキーボードで叩いている今もまさに使っています。
ゲームギア、デジタルリマスター、サウンド、イラスト……様々な形で、ソニックの歴史を感じることのできる『ソニックオリジンズ・プラス』。
当時を知るファンはもちろん、ソニックをプレイしたことが無い人まで、幅広く楽しめるゲームとなっていますので、是非本作をプレイして、ソニックの沼へと片足を突っ込んでみてはいかがでしょうか。