ソニックを主役とした、異色タイトルたち
さて、『ソニックオリジンズ・プラス』で遊べる、ゲームギアソニック12作品紹介の最後のブロックは、一番初めに登場した『ミーンビーンマシーン』のような、一風変わった異色タイトルたちです。
まずは、日本でのみ発売されたゲームギアタイトルである『ソニックドリフト』。タイトル画面を見ての通り、本作はカーレースゲーム。「ソニックなら自分の足で走った方が速いんじゃないか?」と思ってしまうところですが、実はソニックを主役とするカーレースゲームはいくつか発売されていて、PS2の『ソニックライダーズ』やPS3の『ソニック&オールスターレーシング TRANSFORMED』、比較的最近のものでは『チームソニックレーシング』といった作品が存在します。
……『ソニックライダーズ』がカーレースかどうかは、非常に怪しいところですが。
さて、本作で選べるキャラクターは、ソニックとテイルスとDr.エッグマン。そして、ソニックシリーズのヒロインであるエミーの4人。
……となると、最初に選ぶキャラクターは完全に一択に絞られますね。
そう、Dr.エッグマンです!
何を隠そう、Dr.エッグマンは、私がソニックシリーズの中でもトップクラスに好きなキャラクター。こういったお祭り感の強いタイトルでなければ、彼のような敵キャラクターを操作できる機会はそうそう巡ってきません。
ということで、ソニックの宿敵Dr.エッグマンで挑むは、最も難易度が低いであろうGreen Cup。レーススタートのシグナルと共に軽快にコースを走り始めたのですが……
最初のカップの最初のコースの最初のカーブからとんでもない急カーブ。画像上部のミニマップをご覧いただければ分かるかと思いますが、そのカーブの曲がりっぷりは、直角を越えていて、V字を描いているようにすら見えます。
2つの意味で急すぎるカーブを目の前に、操作は全く追いつかず、あっという間にコースを外れてしまうという緊急事態に突入。
『ソニックドリフト』の恐ろしいところは、その走行スピードの速さ。携帯ゲーム機のレースゲームということで、まったりペースのレースゲームを想像していましたが、実情は真逆。体感ですが、『F-ZERO』よりもマシンの速度が速いような気さえしてきます。本作は携帯ゲーム機のレースゲームである前に、ソニックのゲームであるということを完全に忘れていました。
結局、最初のカーブからいきなりコースアウトという緊急事態に対応することができず、結果は、ぐうの音も出ないほどの惨敗。
『ソニックドリフト』の強烈な洗礼を浴びることとなってしまいましたが、このまま引き下がるわけにはいきません。
その後「何とか表彰台に!」と、レースに向き合うも、全6コースを走り終えた結果は、エミーと同率3位。誇ることもネタにすることもできない、なんとも微妙な結果に終わってしまいました。
『マリオカート』のクッパ、『ディディーコングレーシング』のクランチ、『F-ZERO』のブラックシャドー、『ミッキーのレーシングチャレンジUSA』のピート……。これまでにプレイしてきたレースゲームを思い返してみますと、悪役とは、常に車体が重く曲がりにくい存在でした。どうやら、Dr.エッグマンは最初に選ぶべきキャラクターではなかったようです。
プレイヤーが絶望の淵に立たされ、自分に酔っている途中ですが、ここで、『ソニックオリジンズ・プラス』のゲームギアタイトルを遊ぶ上で重要な機能をお伝え致します。
その重要な機能とは、『ソニックオリジンズ・プラス』のタイトル画面から見ることができる “マニュアル” 。
なんと、ここには、各ゲームタイトルの説明が詳細に記されているのです!
……なんとも基本的な話ではありますが、実は、ゲームギアタイトルで遊んでいる間は、このマニュアルを確認できないのです。ポーズ画面を開けば操作説明を読むことはできるのですが、そこに書かれているのは必要最低限の情報のみ。アイテムの効果やゲームの目的などといった、詳細な内容は確認することができません。
そのため、ゲームギアタイトルで遊ぶ際には、あらかじめマニュアルでゲームシステムを確認しておくのがオススメです。
さて、『ソニックドリフト』のマニュアルを確認してみますと、登場キャラクターのマシン性能が記載されていました。それによれば、Dr.エッグマンは加速性能が低く、最高速度は高いとのこと。やはり、彼も他作品の悪役たちと同様の性能を持つキャラクター。迂闊に手を出すべきではありませんでした。
せっかくなので、他のキャラクターの性能も確認してみますと、テイルスは全体的にバランスが良く、エミーは加速が優秀。そして、主役のソニックは、加速性能と最高速度が高いが、カーブを曲がるのが苦手という性能でした。主人公らしからぬ尖ったマシン性能ですが、ソニックというキャラクターを鑑みると、こういった設定になるのも納得しかありません。
全マシンの性能を確認して改めて思ったのは、「Dr.エッグマンで勝ちたい。たまにはDr.エッグマンを勝たせてあげたい。」ということ。
コーナリングさえしっかりとしていれば、コースアウトによる減速が無くなり、無類の最高速度を誇るDr.エッグマンなら必ず勝てるはず。これは、加速型のマシンにはない最高速型マシンの強みです。
自己陶酔を終え、襟を正し、気持ちも新たにコース取りを意識してレースに取り組むと、先ほどの大敗が嘘かのように、最初のV字カーブからを難なく曲がり切ることができました。
そして、結果は堂々の1位。悪かったのは、Dr.エッグマンの性能ではなく、プレイヤーの性能だったということが、見事に証明されました。
……嫌になるくらい実力がハッキリと出る、素晴らしいゲームです。
更に、基本操作を確認してみると、ドリフト走行が使えることも発覚。ドリフト走行を使えばカーブを曲がりやすくなるということは、レースゲームの常識ともいえる話。道理で曲がりにくいはずです。
急カーブを曲がるのに便利なドリフト走行ですが、本作では長時間ドリフトをしていると、車体がスピンしてしまうので注意が必要。そうなってしまうと、一気にライバルたちに追いつかれてしまいますから、慎重に、小刻みにドリフトを決めていきます。
そして、ようやく念願の総合優勝を獲得!
……『ソニックドリフト』、面白いです。
失礼な話、このゲームにはあまり期待せずにプレイを始めていたのですが、予想以上でした。
コースとシステム自体はシンプルながらも、走破にはしっかりとしたテクニックが必要な上、スピード感は抜群。メチャクチャ楽しかったです。
続いては、『ソニックドリフト2』。見た通り、『ソニックドリフト』の続編にあたるタイトルですね。
今作で使用できるキャラクターは、初代『ソニックドリフト』の4キャラに、ナックルズ・メタルソニック・ファング3キャラを加えた7名。
……となると、最初に選ぶキャラクターは完全に一択に絞られますね。
そう、ファングです!
何を隠そう、ファングは、私がソニックシリーズの中でもトップクラスに好きなキャラクター。彼に関しては、他のタイトルにはあまり登場しないので、この機を逃す手はありません。『ソニック・ザ・ファイターズ』では持ちキャラの1人でもありました。
ちなみにですが、ファングは先ほどの『ソニック&テイルス2』にも登場しています。
さて、この『ソニックドリフト2』、基本的なシステムは前作から変わっていませんが、新たな要素が多数追加されています。
例えば、周回のない一本道の長いコースや、
コースの両サイドに地面が無く、コースを外れるとマシンが落下してしまうコース。
その他にも、新たなコースギミックや攻撃アイテムが追加されており、前作をレースゲームとして正統進化させた、素敵な続編となっています。
CPUに華々しく勝利を譲り渡したところで、『ソニックドリフト』シリーズの紹介はおしまい。
なお、どちらのタイトルも2P対戦で遊ぶことができるので、対戦ツールとしてもオススメです。
続いては、『ソニックラビリンス』。
この『ソニックラビリンス』は、奥行きが付与されたステージを駆ける、3Dアクションのようなゲーム。3Dアクションと言うと、そこまでの異色さが感じられないかもしれませんが、そのゲームシステムはかなり独特。
通常の3Dアクションソニックであれば、とりあえずゴールを目指してステージを突き進むのが定石ですが、本作では、ただゴールに辿り着くだけではクリアとならず、ステージの中に散らばった3種類の鍵をあらかじめ入手しておく必要があるのです。
しかも、各ステージには制限時間という名の悪魔が付きまとい、プレイヤーに焦りという呪いをかけてくるオマケ付き。悠長に歩いていては、時間が足りなくなってしまうので、急ブレーキをかけることが出来るスピンダッシュを駆使して、ステージを飛び回ることとなります。
更に、首尾よく鍵を入手できたとしても、ステージ内を徘徊する敵にぶつかってしまうと、持っていた鍵が全て飛び散ってしまうため注意が必要です。しかも、鍵を落としてから再度取得せずに一定時間が経過すると、鍵が元々置かれていた場所に戻ってしまうという鬼のような仕様。一度のミスで、かなり忙しない状況になりがちです。
鍵が見つからずに焦り、制限時間に追われて焦り、敵にぶつかって焦り、鍵が元の場所に戻って焦り……焦りのスパイラルに陥ったことで取り返しのつかない状況になり、ストレスを凝縮させた叫びを発してしまうこともしばしば。
敵にあたらないようにしつつ、鍵を全て集めて効率よくゴールを目指す。プレイヤーの焦りをこれでもかという位に引き出す本作は、ラビリンスという名を冠するにふさわしいゲーム性となっています。
さぁ、長くなってしまいましたが、いよいよゲームギアソニックも12作目の紹介となりました。最後のタイトルは、『ソニック・スピンボール 』です。
これまでにないおどろおどろしさや暗さをもつ本作。画面デザインの独特な雰囲気から分かる方もいらっしゃるかもしれませんが、このゲームは、欧州 / 北米のみで発売されたタイトルとのこと。このデザインセンスは、日本のレトロゲームではあまり見かけないタイプのものですよね。
そんな『ソニック・スピンボール 』のゲーム内容は、端的に言ってしまえば、ソニック自身がボールとなったピンボール。
プレイヤーは、フリッパーと呼ばれるボールを弾き飛ばすための器具を操作し、ソニックが下に落ちてしまわないようにしながら、各ステージの攻略を目指すこととなります。
ちなみに、ソニックとピンボールの組み合わせは本作だけではなく、『ソニックCD』にも、思いっきりピンボールをモチーフとしたステージが登場します。
さて、このゲームの目的は、ステージ内に散らばったエメラルドを集めること。エメラルドがある場所を目指して、ソニックを弾いて弾いて攻略を進めていきましょう。
エメラルドを全て集め、所定の場所へソニックを送り届ければ、その先にはボスが待ち構えています。たとえボスが相手だとしても、基本は同じ。フリッパーを操作してボスに向かってソニックを発射し、ボスの撃破を目指します。
本作の攻略において大切になってくるのが、根気と集中力。もちろん、ボールを的確な位置に打ち出す技術も大事なのですが、それを実行し続けながら、広いステージを探索しきるには、高い集中力と根気が求められます。はっきり言ってしまえば、プレイ時間がまあ長くなりがちです。
普通のピンボールも好きで、ちょくちょくプレイしているんですが、そもそもピンボール自体がボールを下に落とすことなく各所に設置されたターゲットに当ててポイントを稼いでいくという、根気と集中力が必要なゲームなので、この点は仕方のない部分とも言えます。ある種の原作再現と言ってもいいのかもしれません。
ただ、本作はピンボールではなく、あくまでピンボールっぽいゲームなので、着地をしているときはソニックとして歩くことが出来ますし、ボール状態の時に方向キーを入力することで、ある程度ソニックの軌道を調整することもできます。
また、本作の舞台はピンボール台ではなく、あくまでピンボール台っぽい施設なので、通常のピンボール台と比べて、かなりエリアが広くなっています。どこにソニックを打ち込めばどこへ移動していくのか、ソニックを打ち込んでいない場所はどこなのかといったことをしっかりと考えながらプレイしなければならないため、頭の中でしっかりとマッピングができるかどうかが、早期攻略の鍵を握ります。
説明文にも、“ソニックが出演しているゲームの中でも、きわめつきの異色タイトル”
と紹介されている本作が持つ独自の魅力は、計り知れないものがあります。その異色っぷりに、一度触れてみてはいかがでしょうか。