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魂になって肉体を乗り換え、無念を晴らす憑依アクションアドベンチャー『雨魂 – AMEDAMA -』。「侘び寂び」を感じさせるドット絵と物語がガチッとハマった趣ある作品【TGS2023】

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 雨が降りしきる江戸の町と人魂、妹を遺した無念。そんな渋く切ないモチーフが詰まった『雨魂 – AMEDAMA -』は、イザナギゲームズとアクワイアが手がける箱庭型・横スクロール憑依アクションアドベンチャーだ。

 琵琶法師の語りから始まり、死にゆく最中に妹をさらわれる序章。そして幕を開けるのは、魂だけになってしまった主人公・ゆうしんがさまざまな存在に乗り移りながら妹を探すという過酷な物語だ。

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 9月21日(金)より開催されている東京ゲームショウにて、イザナギゲームズのブースで本作を試遊させていただいた。本作ならではの新鮮なグラフィックや、「侘び寂び」に合致した戦闘パートなど、試遊部分でもその魅力を存分に感じることができた。

文・取材/anymo

 番傘屋を営む兄と妹、ふたりの貧しいながらも幸せそうな生活は、突如押し入った謎の男たちによって破壊される。妹の目の前で殺されてしまった兄のゆうしんは、魂として江戸の町をさまようこととなる。

憑依アクションアドベンチャー『雨魂 - AMEDAMA -』試遊レポート_002

 ゲームが始まってすぐに驚いたのは、ドット絵でなめらかに動くキャラクターだ。ドット絵がそのまま3Dモデルになったようなキャラクターグラフィックと、精細なドット絵の背景が合わさることで、リアルな奥ゆきとドット絵のレトロさが同居する独特の表現が実現されている。

 ドット絵というデジタルな描き方と「侘び寂び」を感じさせる世界の組み合わせは非常にスタイリッシュで、ゲーム画面を見ているだけでも楽しい。公開されているスクリーンショットからもその魅力は伝わるだろう。

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画像はSteam『雨魂 – AMEDAMA -』より

 中でも特筆したいのは、「雨」が降っているシーンの水面と光の表現だ。リアルなグラフィックで表現されている水面はドット絵のグラフィックに馴染んでおり、見ているだけで思わず「綺麗!」と言いたくなるほどの存在感を放っている。

 雨がモチーフとなる本作では、フィールドのいたるところに水溜りができている。水溜りに反射する街並みや踏んだ時の水飛沫、流れる血が滲むなど、雨ならではの演出がちりばめられている。

 また、光の表現も特徴的だ。湿った空気の中で光る町の灯りは普段よりも煌々としており、切なさや焦燥を駆り立てる。

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画像はSteam『雨魂 – AMEDAMA -』より

 作中で大きな役割を果たす「魂」は、ドット絵ではなくリアルな炎のエフェクトを使用しており、水の表現が多いプレイ画面の中で異彩を放つ。プレイ中、ふり続ける雨や湿度までも感じられる背景の中で炎が揺らめくとき、ゆうしんの復讐心や無念さを感じられた。

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 物語の始まりで謎の男たちに立ち向かう場面が、そのままチュートリアル兼プロローグとして機能しているのも大きなポイントだ。このイベントはいわゆる「負けイベント」であり、勝つことはできないがこの無力さがスピーディに本作に没入させてくれた。

 戦闘パートの要は「カウンター攻撃」となっており、これが時代劇のような「間」を感じさせる。

 本作の戦闘では強攻撃と弱攻撃の両方が用意されているが、どちらもあまり攻撃力は高くない。ゆえに効率的に敵を倒すには「カウンター攻撃」を使いこなすことが必須となる。蛙に取り憑いて体格差の大きい犬に立ち向かうという、カウンター攻撃が必須の場面が用意されていることからも、本作における重要性が伺えるだろう。

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 カウンター攻撃は敵の攻撃をガードしたあとに攻撃することで発動できるもので、ジャストガードでなくとも使用できるのがポイントだ。しかし、ジャストガードでないからといってひたすらガードして待っていればいいのかと言えば、そうではない。

 ガードと攻撃は「集中ゲージ」を消耗するので、これらを乱発しているとあっという間にゲージが切れてしまい硬直時間が発生する。そのためほどよい位置で敵の動きを読んで攻撃をガードし、そしてカウンターを発動する。この一連の流れを繰り返すことで効率的に敵を倒すことができるのだ。

 また、サイドビューながらもフィールドには道幅分の奥行きが存在している。横だけではなく縦の座標も気にしながら相手との間合いを詰めなければならない。じっくりと集中してプレイする必要があるのだ。「ハイスピード」や「爽快感」とは異なる、独特な余韻を残す新鮮な戦闘パートは、無念さを胸にひとつひとつ着実に進んでいくゆうしんの物語にピッタリだ。

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 今回の試遊でプレイできたのは、プロローグから最初のボス戦までの最序盤ながら、グッと作品世界に引き込まれるような体験ができた。雨が降っている休日に家でじっくりプレイしたい、そんな作品であった。

 『雨魂 – AMEDAMA -』は、2023年中にPC(Steam)向けに配信予定。ウィッシュリストに登録のうえ、引き続き本作に注目したい。

ライター
ベヨネッタとロリポップチェーンソーでゲームに目覚めました。 3D酔いと戦いつつゲームをする傍ら、学生をしています。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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