掲載以降、おかげさまで各所で話題となっていたアトラス橋野桂氏とHoYoverse『崩壊:スターレイル』プロデューサーとの対談記事。
じつは東京ゲームショウ2023開催直前、HoYoverseから編集部宛に以下の連絡があった。
「TGSで来日するので、アトラスさんへ対談のお礼・表敬訪問したいと思っています。電ファミニコゲーマーで取り持ってもらえませんか?」
希望を叶えるため編集部からアトラスに確認をとったところ、突然のお願いにもかかわらず、快く承諾をいただくことができた。ちなみに、同じく以前対談記事にてご協力いただいた日本ファルコムにも表敬訪問をしており、その様子はこちらで記事にしている。
ということで、9月某日に電ファミニコゲーマー編集部は、『崩壊:スターレイル』開発チームとともにアトラスのある東京・大崎へ。『崩壊:スターレイル』開発チームはプロデューサーのDavidさんを含めて総勢7名が来日。
出迎えてくれたのは、『ペルソナ3』『ペルソナ4』『ペルソナ5』、そして『メタファー:リファンタジオ』でディレクターを務める橋野桂氏とキャラクターデザインを担当している副島成記氏。名刺交換のあと、さまざまな話題について意見交換が行われた。
また、サプライズとして、『崩壊:スターレイル』の人気キャラクター「三月なのか」を副島さんが描いたサイン色紙も開発陣にプレゼントされた。
訪問中、お互いに聞いてみたいこととして、以下のような会話が繰り広げられた。
橋野氏:
『スターレイル』チームは最初に設計をしっかりと作り込むのですか? それとも作りながら変わっていくのでしょうか?
『崩壊:スターレイル』開発チーム:
段階を分けて作っていきます。プロトタイプ時では、議論を重ねて毎日やり直すこともありますが、その段階が終わったあとに決めたことを変えることはありません。私たちが手がけるのは長期的な運営タイトルですので、定期的に新しいゲームプレイ、キャラクターを導入できる環境、条件を揃えるようにしています。ただ、新しさは提供しますが、根本的な部分は変えません。
橋野氏:
日本と中国の好みの違いについて教えてください。
『崩壊:スターレイル』開発チーム:
日本のアニメは世界的に人気があり、その層が基本の客層だと思っています。グラフィックは一定の人気がありますね。たとえば、2000年代は熱血タイプの主人公が多かったと思いますが、そういうキャラはグローバルでも受け入れられる。いまはそこからさらに進んで、好みが分かれるようになっていて、中性的な男性キャラなどを好む人も生まれてきています。2016年に配信した『崩壊3rd』は、当時幅広く受け入れられなかった部分があったのですが、いまは違いますね。
橋野氏:
いまは受け入れられているということですが、ブレイクスルーとなるきっかけがあった?
『崩壊:スターレイル』開発チーム:
どの作品とは言えませんが、アニメが公式にネットで配信されるようになったのが大きいのかもしれません。(好みのアニメ作品を)探す必要がなくなり、たくさん観られるようになり、タイムラグもなくなりました。アニメフェスイベントなども一般的になり、飲み込みが早くなったことが影響していると思います。
電ファミニコゲーマー:
橋野さんとの対談記事の中国での反響はどうでしたか?
『崩壊:スターレイル』開発チーム:
すごく話題になりました。中国では『ペルソナ』シリーズファンがたくさんいますので、かなり注目を集めました。中国では“『ペルソナ5』は天下第一のゲーム」”というネットミームのフレーズがありまして、それくらい『ペルソナ』は高く評価されています。
橋野さんが作られるゲームはUIデザインが特別です。どういうことを経験してここに行き着いたのでしょうか?
橋野氏:
羊の皮を被った狼、という言葉が中国にあるのかわかりませんが、表面はポップで大衆的だけど、中身はこれまでアトラスが作ってきたもの、としています。ギャップ、対比を強く出したかったんですね。当時、おしゃれなホームページにはフラッシュが多様されていたのですが、そういったものに影響を受けて、ゲームの入り口はポップに、フラッシュ的なアニメーションにしようと考えて作りました。
機能的な面でいっても、アクションゲームなどの没入感を大切にするゲームはUIをすごくおさえめにしていますよね。それは流行りといいますか、いまの常識。JRPGの場合、カスタムを動かす時間が長いので、UIと割り切らず、インターフェース自体をゲーム画面と捉えています。
日本の場合、UIのデザインは新人が担当することが多いんです。トップデザイナーはキャラや背景のグラフィックを担当して、UIはオマケと考えるところが多い。でも、それは間違いだと思っています。だからアトラスのUIデザイナーはとても給料が高いです(笑)。
『崩壊:スターレイル』開発チーム:
ターン制コマンドバトルのポテンシャルについてどう思われますか?
橋野氏:
対談でも話しましたが、意味があればいいのかなと。アクションでもスローな演出で睨み合いを演出する、ゆっくりと撮る時がある。演出的に意味があれば、いつの時代でもハマると思っていて、『メタファー:リファンタジオ』ではそれに挑戦しています。
表敬訪問は1時間ほどで終了となり、最後はアトラス受付で記念写真を撮影して幕を閉じた。アトラスのみなさん、ご対応いただき、ありがとうございました!