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『FF5』ピクセルリマスターの「ビッグブリッヂの死闘」アレンジ版が最高すぎる。植松伸夫氏完全監修で、当時ハードの制約で表現できなかった部分を「再表現、復元」したアレンジが心に刺さる

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これぞ王道JRPG!とっつきやすくもグッと引き込まれる、クリスタルを巡るシナリオも本作の魅力

先述した植松氏の音楽とあわせて、『FF』シリーズを語る上で秀逸なシナリオも絶対に外せません。

筆者は『FF5』がシリーズでトップ3に入るくらい好きなんですが、本作が好きな理由のひとつとして「王道的なシナリオが面白い」というところがかなり大きいです。“ピクセルリマスター”で蘇るこの王道シナリオの冒頭を、ちょっとだけ紹介させてください。

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本作の物語は、ヒロインのひとりである「レナ」とその父である「タイクーン王」の会話から始まります。タイクーン王は世界に存在する火・水・風・土の4つのクリスタルのうち、風のクリスタルの異変を感じとり、風の神殿へと赴きます。クリスタルはそれぞれが自然の理を司っており、風のクリスタルになにかあれば世界中の風が吹き止んでしまうため、どれかひとつであろうとクリスタルが欠けることはあってはなりません。

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▲風が止まったことを察知する海賊の頭「ファリス」。風が止まれば帆船は動かなくなってしまうので、科学が発達していない時代では世界中が大きな痛手を負うことになります。
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▲こちらはレナとファリス同様、本作のメインキャラクターの一人「ガラフ」です。室内に居るはずなのに風が止まったことを察知している……?妙だな……。

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▲タイクーン王の健闘もむなしく、風のクリスタルは砕け散ってしまう。

場面が変わって、自由気ままに世界を旅する冒険者、そして主人公である「バッツ」が登場します。彼が相棒であるチョコボの「ボコ」と野営をしている中、近くの森に隕石が墜落。バッツが様子を見に行くと、そこにはモンスターに襲われているレナの姿がありました。

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▲初めての戦闘がゴブリンというのも王道ファンタジーを遊んでいる感があってとても良い。

さらに、隕石のそばにはオープニングでもチラッと映った「ガラフ」という男が倒れていました。彼は隕石が墜落した際の衝撃か、名前以外のすべての記憶を失っていましたが、レナの「風の神殿に向かう」という言葉を聞いた途端、自身も風の神殿に行かなければいけないと言い出します。

バッツ一行は風の神殿に向かうためファリスの海賊船を奪おうとするものの、あっさりと海賊一味に取り押さえられてしまい全員投獄。ところが、ファリスはレナが自分と同じペンダントを持っていることが気になり、翌日には一行の縄を解いて風の神殿への旅に協力することに決めます。

バッツたちが風の神殿に到着するとすでに風のクリスタルは砕け散っていましたが、突如クリスタルが輝きだします。ファリスは炎の心「勇気」、レナは水の心「いたわり」、土の心「希望」、そしてバッツは風の心「探求」を授けられ、一同は「クリスタルの戦士」として覚醒するのです。

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そして突如現れたタイクーン王の口からは、ほかの3つのクリスタルも風のクリスタル同様に砕け散ろうとしていることや、かつて封印された悪しき者が復活しようとしていることなどが語り、姿を消してしまいます。そうしてバッツたちは、残された三つのクリスタルを守るため、そしてタイクーン王の行方を追うためにさらなる旅に出ることとなるのです。

他のジョブのアビリティを使えるから、組み合わせは無限大。「ジョブチェンジ」というシステムの面白さからしか得られない栄養がある

クリスタルの戦士として目覚めたバッツたちは、クリスタルに宿っていたいにしえの勇者たちの力をその身に宿すことができるようになりました。平たくいえば「ジョブチェンジ」の解放です。待ってました!

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▲ジョブによって外見が変わるのもジョブチェンジの魅力の一つです。

まず獲得できるのは『FF』ではお馴染みの「ナイト」や「モンク」、「シーフ」、「黒魔道士」、「白魔道士」といったジョブです。余談ですが、本作ではクリスタルの神殿に辿りつくたびに新たなジョブが解放されていくのでついつい次に解放されるジョブが気になって長時間プレイしちゃうんですよね。

そして新しいジョブを手に入れたら一旦今日は寝よう!……とはならず、そのあとは楽しいアビリティポイント稼ぎの時間が始まります。やめどきがない……。やめどきってなんだ……?

それもそのはずで、本作はアビリティポイントを稼ぎたくなるような仕様になっているんです。本作ではジョブごとのレベルを上昇させることで、各ジョブに対応した「アビリティ」を獲得することができ、異なるジョブにも自由にセットすることが出来るようになります。(アビリティを自由にセットすることができる枠は基本的に一枠のみで、一部例外もあります)

例えば、ナイトのジョブレベルを上昇させてアビリティ「りょうてもち」を獲得することで、シーフや黒魔道士など、他のジョブへチェンジしたあとも「りょうてもち」を使うことができる、といった具合です。

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▲現在のジョブによって固定される「ジョブコマンド」とあわせて、「アビリティ」を自由にセットできます。

これを利用することでナイトに白魔道士のアビリティ「白魔法」をセットして回復呪文を扱えるタンク役に仕立てたり、モンクのアビリティ「カウンター」をセットすることでタンク役特有の手数の少なさをカバーしたりなど、パーティー編成の形は無限大に広がります。

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▲筆者が序盤に好んで使用する組み合わせは赤魔道士+風水士のアビリティである「ちけい」の組み合わせです。「ちけい」は現在戦っている場所に付随した様々な効果がランダムで発動するアビリティなのですが、MPを消費せずに使用することができるのが非常に強力です。

ちなみに、ジョブチェンジというシステムが初登場したのは『FF3』からですが、別のジョブで獲得したアビリティを自由に着脱することができるようになったのは本作からとなっています。

ジョブチェンジというシステムは「『FF』といえばコレ!」と言っても過言ではないほどのシステムだと個人的に思っているのですが、本稿を執筆するにあたってジョブチェンジが実装されている作品を調べてみたところ、すべての作品に搭載されている機能ではありませんでした。

しかし、前述したようにオンラインゲームである『FF11』『FF14』『FFタクティクス』など外伝作品にも採用されているシステムですので、ジョブチェンジというシステム自体に馴染みのある方は多数いらっしゃるのではないでしょうか?

近年の作品だと『オクトパストラベラー』などさまざまなRPGに近しいシステムが取り入れられていますが、好きなアビリティを自由に着けて良いよ!って言われるだけで、一気に作品の面白さや自由度が増すんだから本当にすごい発明だとつくづく感じます。

ジョブチェンジの元祖となる『FF3』はもちろんですが、システムの基盤が完成したとも言える『FF5』も、無限の選択肢から自分だけの組み合わせを探すのが本当に楽しい作品です。ぜひこの機会に“ピクセルリマスター”に触れて、自分だけのパーティーを組む楽しさ、感動的な音楽、王道のシナリオという三つの大きな魅力を感じていただきたいです。

「面白さ」においても『FF』シリーズ最新作に遜色のない作品

元より『FF5』という作品自体はシリーズの中でも遊び方の自由度が高く、やり込み要素や様々な攻略方法が用意された完成度の高い作品ではあるのですが、「スーパーファミコン」というハードの壁でおすすめしづらい一面もありました。

しかし、今回“ピクセルリマスター”として装いも新たに復活し、より美しくなったグラフィックやBGM、便利な機能の追加やゲームバランスの調整など、様々な要素がブラッシュアップされています。より遊びやすくなった本作で、より多くの人に『FF5』の魅力が伝わるのかと思うと、とてもうれしいです。

今回改めて『FF5』をプレイした中で、ゲームにおいて重要となるシナリオ、BGMシステムのすべてのクオリティが高く、「面白さ」において最新作に遜色のない作品だと感じました。せっかくお手軽に遊べる“ピクセルリマスター”として復活していますし、『FFピクセルリマスター』は本稿で紹介した『FF5』だけではなく、『FF1』『FF6』も発売されています。『FF』シリーズはどのナンバリングから始めても非常に楽しめる作品となっていますので、気になる作品があればぜひとも実際に遊んでいただきたいです!

© SQUARE ENIX

LOGO & IMAGE ILLUSTRATION:© YOSHITAKA AMANO

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ライター
幼少期にスーパーファミコンと出会い、それ以来ゲームの虜となる。 気になったタイトルはジャンルや年代を問わずに遊ぶことが多いが、特に好きなジャンルはRPG、ACT、ローグライク、メトロイドヴァニアなど。

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