さながら“熱血ロボアニメ”な展開を味わえる「白祇重工」の物語
「白祇重工」は本作の第2章から登場する4人組で、名前からも分かる通り建設会社です。
熊さん、ヤンキー、お姉さん、姉御肌タイプのロリの4人組という、邪兎屋に負けず劣らずな個性爆発集団です。しかもこの中で一番偉いリーダーがロリです。とんでもないですよ、ホントに。
第2章はカッコいいメカがモリモリ登場する、全体的にロボアニメっぽいテイストが特徴。そして、「そのテイストでやるならキャラはこれしかないっしょ!」というぐらい全員がシナリオに“馴染んで”います。なんというか全体のデザインセンスがTRIGGER作品っぽいなと思いましたが、恐らく気のせいではないでしょう。
第2章の物語は父親から白祇重工の社長を継いだ「クレタ・ベロボーグ」(ロリ)ちゃんが中心となって展開されていきますが、彼女も邪兎屋のニコちゃん同様、仲間にとても慕われています。
ただ、その慕われ方は尊敬する社長というよりも「気の強い末っ子と、それをかわいがる兄姉たち」といったイメージで描かれます。これも、私が白祇重工を好きな理由のひとつです。
クレタちゃんは父親との確執を抱えたひとりの少女として、物語の中でかなりがっつり過去編が挿入されるキャラクターでもあります。というか第2章は実質的にこの親子の物語なんですが……物語終盤の彼女の成長は、めちゃくちゃアツいロボアニメを見ているような感覚になりました。画面の前で「いっけえ!」と叫んだのはいつぶりだったか。そんな激アツロボアニメ、ゼンレスゾーンゼロは基本プレイ無料です。
ゲーム的な触り心地にも触れておくと、彼女は建設会社の社長らしく(?)ハンマーで敵を攻撃するスタンダードな近接キャラクターです。ハンマーと言えば大ぶりのピーキーな性能を想像しますが、彼女の場合ハンマーのあの重たい操作感はロリ属性と相殺する形で消えています。まあ、チーム内に見るからに重そうな熊さんがいますからね。
で、その熊さんは「ベン・ビガー」というキャラクターです。
白の作業着・片目に傷・ゴールドのチェーンを付けたケモ男という、明らかにホヨバ制作陣の性癖わんぱく少年が作ったキャラクターです。しかもこのコワモテな見た目に反し、チームの中で一番礼儀正しく気の弱そうな、いつもペコペコしてる感じの愛想のいいキャラクターというギャップもあります。
ぶっこみすぎだろ、性癖を。作ってるとき、楽しかっただろうな〜。
そんなベンさんの性能ですが、先ほど紹介した通り非常に重たいキャラクターなので、取り回しは結構難しいです。彼のスキルは盾を構えてカウンターするというものなので、見た目通りタンクキャラのような操作感で遊ぶことができます。
キャラチェンジが実質パリィの役目を担っている本作では色々と使い所に悩みそうなスキルですが、こいつしか使いたくねえ!という方にとってはありがたいスキルかもしれません。
次は「グレース・ハワード」さんを紹介しましょう。
グレースさんは白祇重工でメカニックの役割を務めるダウナー系お姉さんキャラです。でっか……という声をあげたのは言わずもがなですが、彼女のもっとも素敵なポイントは、何といっても社長であるクレタちゃんとの関係性です。
これは白祇重工の全員に言えることですが、彼らの関係性の一番の魅力は妹的な年下社長と姉・兄的な従業員という、役職と年齢の逆転にあります。もしあなたが「そういうのが好き」な方なら、ゼンレスゾーンゼロの第2章を遊べば泣いて喜ぶことができるでしょう。
その中でもクレタちゃんとグレースちゃんの絡みはとても素晴らしいのひと言。クレタちゃんにとって、グレースさんは自身の下で働く懸命な従業員であると同時に、父が会社を経営していたころから自分の成長を見守ってくれた大切な“姉”でもあるのです。
グレースさんも普段はクールなメカニックとして振る舞いますが、クレタちゃんにだけ時おり「姉」の顔を見せます。その時、グレースさんの表情ににじみ出る“母性”っつーの? そういうのがめちゃくちゃ良いと思ったね、おいらは。
グレースさんの性能についてですが、彼女は「女性版ビリー」といった感じの性能で、小型のサブマシンガンを片手に遠距離から攻撃を行います。射撃中のステップ移動もビリーの操作感をそのまま持ってきた感じです。本作にはキャラクターごとに属性の概念があるので、いくつかのキャラは似たような操作感だけど属性が違う、という具合に差別化されています。
白祇重工の最後は「アンドー・イワノフ」くんです。
彼は少々ガラの悪い熱血ヤンキー的なキャラクターで、時おり天然というか、少々おバカな発言を行います。破天荒ですがまっすぐな性格で義理堅く、憎めない兄貴分といったかなり深みのあるキャラ付けとなっているのが特徴です。
彼のゲーム内での武器は「ドリル」ですが、私が白祇重工の面々にTRIGGER成分を感じるのは恐らく彼の存在が大きいんだと思います。みんな、結局のところ彼みたいな熱血漢が一番好きだったりしますからね。
話がそれましたが、彼のドリル攻撃は多段ヒットでめちゃくちゃ気持ちいいです。前回の記事で本作のアクション部分の気持ちよさについて解説しましたが、彼の攻撃はそんなアクション部分の良さを存分に体験できる性能になっています。
個人的に『ゼンレスゾーンゼロ』の中でも、第2章は本当に素晴らしいお話だと思いました。メカがぶつかり合うアツいバトル、親子のすれ違いと修復、血がつながっていなくても誰より互いを思い合う兄妹の絆。さまざまな要素が詰まった感動的な物語なので、ぜひとも遊んでいただきたいです。