『原神』を遊ぶことになりました。
バージョンは最新の5.0。つまりは最新バージョンの先行プレイです。
リリースされたのは2020年、リリースされてからもう既に4年という事実に驚きます。もう本作に対して、「ああ、最近出たあのゲームか」という言葉は使えないということです。
現在は『崩壊:スターレイル』や『ゼンレスゾーンゼロ』など様々なタイトルを有するホヨバですが、今なお『原神』はホヨバの大黒柱であり看板タイトルです。ホヨバと言えば『原神』、原神と言えばホヨバ、それくらい知名度のある作品だと思います。
しかし、恥ずかしながら私は本作にほとんど触れることなく現在までのゲーム人生を過ごしてきました。
仕事を受けたときは「そんな私に本作の最新バージョンを紹介する役目が務まるのか……?」と逡巡しましたが、よく考えればこの記事が公開されるのはバージョン実装日であり、最新情報を得るのを目的としてこの記事を読むユーザーはそれほど多くないだろうという結論に至りました。そもそも、ファンはこの記事を読んで情報を入れる前にプレイするはずですから。
ですので、この記事は私がバージョン5.0を遊んで感じたこと、あるいは初めて『原神』を遊ぶユーザーにとって本バージョンがどのように映るのかという、「ミリしら状態」から見るバージョン5.0について記していきたいと思います。
竜に変身して、陸・海・空を自由に駆け回る。自由で爽快な新エリア「ナタ」を探る
まずは、今回の最新バージョンで実装された「ナタ」エリアへ向かうことにしました。ナタはマップ南西の砂漠地帯からさらに西へ向かい、小さな海峡を挟んだ先の大陸(半島かも)に位置しています。
他のマップとの区切られ方が、いかにも新エリアという感じ。他のエリアを歩きつくしたわけでもなくワクワクする、明らかにここから西側へ広がっていくことが予想されるマップです。
『原神』の広大なマップはこれまでのアップデートで追加されてきたエリアの集積なわけで、ナタがこのように飛び地的な広がり方をしているのにはなにか新しい仕掛けがありそう(素人が勝手に言ってるだけですが)。
実際のところ、かなりの仕掛けがあります。それを象徴するのが、竜に憑依してエリアを移動するゲームプレイです。
ナタでは特定のロケーション下で竜に憑依し、移動速度や探索のバリエーションを増やすことができます。バージョン5.0で実装されるのは3種類の竜たちで、それぞれが陸・海・空を自由に駆け回ることができます。
地面を潜る「テペトル竜」になれば、地中に潜り込み断崖絶壁や急な坂道などあらゆる立体的な地形を踏破することが可能に、水中を泳ぐ「ユムカ竜」になれば水上をスイスイと高速移動できるように、空を飛ぶ「コホラ竜」になればワイヤーアクションを使った爽快な空中機動を楽しめます。
バージョン5.0では大きく3つの地形特徴を備えたエリアが実装され、それぞれの竜がそれぞれの地形で輝くよう設計されています。上掲した地図を見ても、大きく草原、岩山、海と分かれているのがお分かりいただけるでしょう。つまりナタは、複雑な地形を竜に乗って探索する、それ自体が一つのアスレチック的なエリアとなっているのです。
この移動手段の多様化は、UBIの『ライダーズリパブリック』と似た感触を覚えます。あちらはスキーやウィングスーツなどが楽しめる巨大な「公園」をみんなで楽しむゲームでしたが、今回実装されるナタにもそれらと同じ設計思想を感じます。
おそらく、これからナタは非常に大きな規模に広がる「公園」になっていくのでしょう。オープンワールドゲームにおいて、実際のゲームプレイ内容の多くを占める移動は重要な要素の一つです。馬や船などの移動手段はプレイヤーに楽しさを与えると同時に、その後のマップ設計をも基礎づけます。
その点で、今回の竜という移動手段・アクティビティを追加したことは、『原神』の今後のアップデートにも非常に意味のあるもののように感じます。バージョン5.0の段階ではまだ出来ることはそれほど多くはないでしょうが、この追加要素によってこれからこのゲームがどう生まれ変わっていくか、それを想像しながら遊ぶのも楽しいでしょう。
100体近いキャラがいるのに、こんなに個性が際立ってるの?個性が繋ぎ合わり、今の『原神』を紡ぐ
と、ここまではナタまでのお話。竜を乗り回すのは今のところナタ内が限界であり、竜が行ける領域は「ナタの面積を増やす」ことで達成されていくように見えます。
しかし、今回のバージョンで実装されるキャラクターたちに限って言えばそうではありません。
バージョン5.0で実装される「ムアラニ」、「カチーナ」、「キィニチ」は、竜の力を借りずともそのキャラクター単体で竜と同等程度の移動スキルを始めから持っています。
「カチーナ」、「ムアラニ」、「キィニチ」の元素スキルはそれぞれ陸・海・空の竜と同等程度の移動スキルとなっているため、ナタ以外のエリアで非常に重宝します。特にムラアニとキィニチの移動スキルはかなり竜の挙動を再現しているので、戦闘能力以上にプレイヤーを有利にするキャラクターかもしれません。
それにしても。『原神』ほぼ初見の私にとっては、これらのキャラクターが持つ画期的な移動手段よりも、実装されているキャラクターの多さに驚きました。
ほとんど100体近いそれぞれのキャラクターを見ると、このゲームの歴史の長さが伺えます。
見渡してみると、多数のキャラクターにそれぞれ固有のアクションがあり、物語があり、際立った個性があることは素人の私でも分かりました。そしてそれはこのゲームにおける「年輪」なのではないかと思うのです。
さきほどマップの話をしましたが、これもキャラクターと同様です。マップをざっと見てみると、一見非常にまとまった一つの巨大なマップに見えますが、良く目を凝らしてみるとそれぞれが実はナタのように一つずつ個性的な「部分」のつなぎ合わせだということが分かります。
このプリコラージュ的なゲーム進化の軌跡、つまり「年輪」が、今の『原神』ではどのような場面でも見られるのです。キャラクターでも、マップやエリアの構造でも、そしてゲーム内に見られるあらゆる種類のコンテンツについてもです。
これは「知らない間にこんなに大きなゲームになっていたのか」という素朴な感想を述べているだけではありますが、やはりこの規模の大きさは初見の人間にとっては驚きです。
そしてこの規模の大きさ、拡張された跡が感じ取れることが、サービスの運営型のゲームを見る際、私にとって非常に大きな魅力に映ります。
バージョン5.0は、きっと大事な「区切り」のひとつ。既存プレイヤーには新鮮な喜びを、新規ユーザーにはより広大な楽しみを与える
私は基本的に「後入り」の人間で、サービス開始から継続的に遊び続けているという作品をあまり持っていません。流行りの作品をとりあえず遊び続けるという習慣もあまり持っていない。では、私は何を基準に後入りするゲームを選考しているのでしょうか。
『原神』を遊んでとりあえず分かったことは、私が何かを始めるときは「十分な土台が固まっているゲームに何か新しい面白いことが起こりそうなとき」だということです。
今年に入って私は『ファイナルファンタジー14』と『ストリートファイター6』を遊び始めましたが、この2つは先ほどの条件をどちらも持っていました。
実際、『FF14』は「一つの大きなサーガが終わり、新しい物語が始まる」時期でしたし、『スト6』もそれまでの歴史がありながら、格闘ゲーム人口が爆発的に増える転換点でした。
今、『原神』はそうなりつつあるのではないでしょうか。ここまで本作の最新バージョンを遊んでみて私が感じた歴史の長さ。そして最新バージョンで実装されたナタの地と、それと同時に実装された移動に関わる新要素。これはファンにとっても、新規のユーザーにとっても、非常に大事な一つの「区切り」であるように私は思います。
ゲームプレイの道中、私はエリア内の景勝地(撮影スポット)を巡る一連のイベントクエストを遊んでみました。様々なロケーションを有するナタならではの遊びで、オープンワールドである本作と非常に親和性の高い、ある意味で原点回帰的なものであるように感じました。
このゲームプレイから素人目に私が予想するのは、これから『原神』は世界を探索する面白さをさらに押し出したゲームを作っていく蓋然性が高いということです。これは先ほど説明した竜のゲームプレイや、ナタが持つエリア的な特性、そしてこれからのバージョンで明かされるであろう広大な土地を勘案すればほとんど自明のようにさえ思えます。
これまでとこれから、今までの歴史ある場所から新たな場所へ。この転換点となるのがバージョン5.0なのだとすれば、今このゲームを遊んでいない人にとってはとても面白い「始め時」になるかもしれません。
今回あえてストーリー部分やキャラクターの外見的魅力について触れなかったのは、もちろんゲームプレイ上のネタバレを避けるためというのも理由の一つですが、何よりも『原神』のゲーム的な部分について「ミリしら」の状態で語りたかったからです。
ホヨバはキャラクター造形が非常に上手いというのは『スタレ』や『ゼンゼロ』を見れば誰でも分かりますし、ここまでサービスが続いているということは、おそらくストーリーについても非常に高い評価をこれまで得てきたでしょう。
では、これからの『原神』を『原神』たら占めるモノとは一体何なのでしょうか。私はこれを、もっぱら「オープンワールドであること」だと思います。
広い場所を、自由に駆け抜ける。これまで当然だと思っていたその根幹的なゲーム部分が、このバージョンでは強調されている気がします。「いや、今までもそうだったよ」という方もいるかもしれませんが、私がミリしらの状態で本作を遊んだ末抱いた感想はまさに次のようなものでした。
これからの『原神』は、これからの『原神』よりさらに「オープンワールド的」なゲームになっていくと、私は予想します。これを機に、拡張されていく広大な世界に飛び込むべし。