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『メタファー:リファンタジオ』の戦闘は歯ごたえマシマシ、実は容赦ない‟令和のハードRPG”だった。『真3』を思い出すシビアさで、余裕ブッコいてたら雑魚敵にボコられたプレイレポート

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8月某日、言わずも知れたアトラス注目作『メタファー:リファンタジオ』(以下メタファー)をこの度取材で遊びに行くことになった。

今回プレイするのはかなり冒頭のダンジョンということで、正直に言えば高を括っていた……。

いや、すみませんでした。

つい謝罪したくなるほど、難しくて面くらった。
しかも、難易度はおそらくノーマル。

実際に『メタファー』を遊んでみると、本作の戦闘はかなり歯ごたえのある仕上がりだったのだ。筆者は『女神転生』シリーズや『ペルソナ』シリーズなど、数々のアトラスのRPGを遊んでいるが、『メタファー』の戦闘には、『真・女神転生III』に肉薄するレベルの遊びごたえがあると感じた。

『メタファー』先行レビュー。実は容赦ない‟令和のハードRPG”だった_001

だが、本作は決して「ただ単に難しくて、苦しい」タイプのゲームではない。

というのも難しいからこそ戦闘中の一手一手に緊張感が生まれ、戦闘がハードだからこそキャラクターとの交流といった成長要素へのモチベーションがグンと上がるのだ。

いわば、難しいからこそプレイヤーを“ゲームの世界へ引き込んで離さない”作品になってると感じた。

本作に関してはすでに、『ペルソナ』シリーズの開発陣が手掛ける点やグラフィック、設定などに特に注目が集まっている。本記事では“令和のハードRPG”としての『メタファー』を紹介しよう。

記事を通じて、歯ごたえのある戦闘の魅力が伝われば幸いだ。

文/fab
編集/りつこ

※今回の試遊版と完成版とでは戦闘の難度に差がある場合があります。

めちゃくちゃカッコいいアトラス完全新作ファンタジーRPG『メタファー』

『メタファー』は、ディレクターの橋野桂氏が率いるアトラス社内チーム「スタジオ・ゼロ」によって2016年より制作が開始されたファンタジーRPG。作中の主人公は幼なじみの王子にかけられた「死の呪い」を解くため、相棒の妖精「ガリカ」や仲間とともに世界を放浪しながら、王国で起きる大事件に立ち向かっていく。

今回の試遊では、本編の2番目に訪れる古城の街「マルティラ」に到着後のデータでプレイを開始。約2時間ほど自由にプレイさせていただき、メインストーリー中のダンジョンなどに挑むことができた。

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『メタファー』の注目されているポイントとしては、やはりスタイリッシュなアートワークが挙げられるだろう。実際に遊んでみると、あらゆるデザインがカッコよく、さらにはゲーム画面の至る所が動いている。そして、GUIもめちゃめちゃスタイリッシュでお洒落だ。

メニュー画面などにおいては、厚塗りのイラストがそのまま動いているようなアニメーションが多用されている点が特徴だ。これにより、『3』以降の『ペルソナ』シリーズのような“らしさ”は残しつつ、『メタファー』独自のカッコ良さを表現している。GUIのセンスの良さには、誰もが脱帽するだろう。

結果として「メニュー画面で操作をしているだけ」「ただ眺めているだけ」でもなんだか心地が良い。GUIを含む本作のアートワークは、間違いなく大きな魅力となっているだろう。

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RPGといえば敵との戦闘!⇒そこら辺の敵にフツーに死にかけた

RPGと言えば、敵との戦闘が重要な要素のひとつ。本作の戦闘システムはアトラスのRPGおなじみのプレスターンバトルが採用されており、選択した行動次第でターン内の行動回数が増減するシステムだ。

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また、本作では前列後列の概念があり、ターンが回ってきたキャラはいつでも配置を変更することができる。後列では受けるダメージを軽減することができるが、こちらも物理攻撃で与えるダメージの量が少なくなってしまう。逆に前列では受けるダメージも与えるダメージにも減衰がかかることが無いので、戦闘の状況やキャラクターの特徴に応じて配置を行う必要がある。

前述のとおり本試遊ではメインストーリー中のダンジョンに挑むことができ、こちらのパーティも18レベル程であった。

つまり、筆者がプレイした範囲はゲームの序盤に該当するのだが、結果から言うといきなりメチャクチャボコられた。

というのも、ダンジョンに登場する雑魚敵すら非常に厄介な性能をしているからだ。序盤のダンジョンであるにも関わらず、敵が「斬撃無効」「炎吸収」といった耐性を持ち合わせているのである。

さらに、敵は状態異常攻撃もかなり頻繁に使用する。そんなの聞いてない!

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ちなみに、プレスターンバトルにおいて「敵の耐性が強力である」ことは戦闘における攻略難度を高める。相性を意識せずに攻撃をすれば大きなデメリットを負うこととなるため、「ただ殴って回復して勝つ」ようなスタイルは決して通用しない。

近年のアトラスが手掛けたRPGでは、強力な耐性を持つ敵は早くても中盤以降に登場する印象が強かった。なので、筆者がプレイしたような序盤で「強力な耐性」に苦しめられるのは、かなり「序盤からトバしている」と言える。

これまでのアトラスのRPGを例に出すなら、特に難しいと評される『真・女神転生III』『アバタール・チューナー』に体感では肉薄するレベルではないかと思う。

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つまり、本作は戦闘の一手一手の選択が非常に重要であり、甘えた行動をするとすぐピンチに陥ってしまう。だからこそ強い緊張感を味わえるし、勝利した際の喜びは凄まじい。

そして、緊張感があるからこそ、勝つために集中し、戦闘に没頭できる。

このように、『メタファー』の戦闘は、かなりハードであり、ハードであるからこその魅力が詰まっていた。厳しい戦いを勝ち抜いた末に、勝利の美酒を堪能しよう。

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高性能なリトライ性で難しい戦闘もスムーズ

プレスターンバトルというシステム上、敵の弱点を素早く見抜く必要性がある。だが本作は敵の耐性が豊富で攻撃も苛烈であり、筆者も思うように戦闘を有利に進めることができないシーンも多かった。

しかし、本作はバトル中いつでも戦闘をリセットできる“やり直し”システムが搭載されている。

たとえば、「炎吸収」の相手に炎攻撃をしてしまい、相手のターンに移行してしまった場合や、キャラの行動を間違えてしまった場合など、選択をやり直したい場面でいつでも“やり直し”を発動することができる。やり直しを発動することで、戦闘開始時まで遡ることが可能だ。

前述のとおり本作の戦闘はハードだ。しかし、テンポよくリトライできる機能により、不必要なストレスを感じることなく攻略に集中できる。

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また、もし戦闘で全滅してしまっても、全滅した戦闘の直前から再スタートをすることができる。

このように、戦闘が難しい分、本作はかなりリトライ性が高められている。

後述する成長要素も多分に用意されているため、RPG初心者の方、難しいゲームに苦手意識がある方も恐れずに挑戦してみて欲しい。

今回の“ペルソナ”枠「アーキタイプ」を使いこなして戦闘を有利に

本作最大の特徴とも言える要素が「アーキタイプ」だ。

本作の主人公や仲間は、カッコいい「アーキタイプ」と呼ばれる存在に変身して敵との戦闘を行っていく。アーキタイプには「シーカー」「ファイター」「ナイト」など様々な種類が存在し、アーキタイプ毎に使用できる技が異なる。

アトラスのRPGファンの方であれば、「アーキタイプ」に主人公たちが”変身する”という設定から『アバタール・チューナー』を思い出す方もいるだろう。

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主人公に設定されていた「シーカー」は風属性の魔法を覚えつつ、単体回復や攻撃バフなど汎用性の高い技を手広く習得できるバランス型だ

いっぽう「ファイター」は、その名の通り物理攻撃に特化した能力を持ち、高威力の単体攻撃で敵を圧倒するアタック型となっていた。このように、それぞれの「アーキタイプ」が特徴を持っている。

バトルでは、アーキタイプが習得している技を使って攻撃することはもちろん、アーキタイプ同士による合体技「ジンテーゼ」と呼ばれる特殊行動が存在する。

「ジンテーゼ」はパーティに発動条件を満たすアーキタイプの組み合わせが存在する場合に発動することができる強力な技だ。

発動条件さえ満たしてしまえば気軽に使うことができ、攻撃しながら相手のステータスを下げる技や、全体にバフをかける技、属性攻撃を一度だけ無効化する技などが存在する。今回確認できた範囲でも、かなりの種類が用意されていた。

どれも強力な「ジンテーゼ」だが、ただ強いだけではなく相応の対価を払う必要がある。

たとえば、2人技であればプレスターンアイコンを2個消費して発動、消費MPが18であれば、技を使用する全てのキャラクターがMPを18消費する必要がある。ふたり技であれば、実質的には36消費することになる。

なので、「ただ強い行動」ではなく、引き続き本作の戦闘のシビアなスタンスが窺える。

試遊の範囲でも多数のジンテーゼが用意されていたことを踏まえると、物語の後半では膨大なコストを要求されるが、より強力な性能を持つ「ジンテーゼ」が登場するのではないかと思われる。

なので、本作の戦闘では基本的に、大量のコストを消費して「ジンテーゼ」を使用するか、はたまた個別で行動するのか、その時々の戦況に応じてシビアな選択が迫られることとなる。

「ジンテーゼ」を軸とした戦闘のデザインは、大技を打ちたい欲望とコストを天秤に掛ける独特の緊張感を作り出す。適切なタイミングで「ジンテーゼ」を放ち、戦局を一変させんと奮闘する形式は、本作ならではの楽しさ、面白さがあると感じた。

豊富な育成要素を駆使してまだ見ぬ強敵への勝利を目指せ

そんなアーキタイプは、なんと全員が自由に付け替えることができる。つまり『ペルソナ2』に似たような形式であり、『3』以降の『ペルソナ』で言えば‟全員ワイルド能力持ち”と言った具合だろうか。

例を挙げると、『ペルソナ3』の伊織順平は「炎属性の物理アタッカー」という役割が決まっていて、『ペルソナ5』のモルガナであれば「風属性のヒーラー」という役割がゲーム内で定められていた。しかし今作は誰でも自由にアーキタイプを付け替えることができる。もはや装備の一種のような感覚だ。

さらに、なんと今作は他のアーキタイプが覚えている技を自分が使っているアーキタイプに「継承」することができる。

たとえば、今回共に戦ったストロールという青年は「ファイター」のアーキタイプを装備していた。

「ファイター」は通常では攻撃に特化したアーキタイプだが、ストロールはすで「ヒーラー」のアーキタイプレベルを上げていたため、全体回復も行うことができた。

おかげでストロールは全体回復しながらメイン火力も出すという獅子奮迅の活躍を見せ、本試遊で筆者を大いに助けてくれた。

つまり本作は無限にも思われるアーキタイプのカスタマイズ性を備えており、それぞれのキャラへ自由にロールを与えることができる。くわえてパーティ内のアーキタイプは“被りアリ”だ。「ファイター」4人などという脳筋編成も可能となっている。

そして、アーキタイプと密接に関わってくるのが今作の「フォロワー」というシステムだ。

これは『ペルソナ』シリーズにおける「コミュ」や「コープ」に該当する要素となっている。仲間や協力者たちと友情を深めることでさまざまな恩恵を得ることができる。

本作は「フォロワー」のレベル上げをすることで新たなアーキタイプを入手することができ、この点は「コミュ」や「コープ」とは大きく異なるところだ。

さらに、フォロワーレベルを上げていくと最大で3段階まで存在する「上級アーキタイプ」の獲得もできる。そのため、戦力に直結する非常に重要な要素と言えるだろう。今回はストロールと、何やらスゴそうな商人のお姉さん「ベルギッタ」と交流を深めることができた。

また、今回の試遊では「フォロワー」要素を深く掘り下げることは出来なかったが、新たなフォロワーを獲得する際に「王の資質」という主人公のステータスを要求される場合もあるようだ。

「フォロワーレベルを上げること」と同様に、「王の資質」も自由行動期間中に上げることができる。これは『ペルソナ』シリーズの「人間パラメータ」にあたるおなじみの要素だ。

なお、本作では「鎧戦車」と呼ばれる乗り物で各地の拠点を移動する時間が存在し、その間にもフォロワーとの交流や自分磨きを行える。くわえて、材料さえ揃っていれば便利な効果を有する「料理」を作ることも可能だ。

いずれの要素も戦闘におけるメリットを如実に生み出すため、「1日をどのように過ごしていくか」が攻略においても重要なファクターとなる。いわば、作中におけるすべての行動が、未来のまだ見ぬ強敵への勝利に繋がっていると言えるだろう。

このように、本作は戦闘が中々にハードな設計となっている分、アーキタイプを主軸とした様々なカスタマイズ要素、育成要素が多数用意されている。

そのため、プレイヤーの考え方次第でいくつもの攻略方法が見出せるし、強力な敵にそなえて気合を入れた育成を行うこともできる。

敵が強すぎれば「苦しさ」が楽しさに勝ってしまうし、主人公が強すぎれば戦闘は「作業」のようになってしまう。

しかし本作では、「敵が強い」一方で、非常に再挑戦しやすく、同時に自分たちが強くなる要素も豊富だ。つまるところ、『メタファー』はシビアな歯ごたえと快楽、そして遊び易さを共存させる巧みなバランス感覚を有している。

この感覚は、アトラスが長年数々のRPGタイトルを手掛けていたからこそ、実現できているのだろうと身を持って感じた。

くわえて『3』以降の『ペルソナ』シリーズに見られるアトラスならではのGUI、引き込まれるアートワーク、世界観にマッチした壮大な音楽など、すべてが「ファンタジー世界」を創り出す最高の使命を果たしている。本試遊を経て、筆者もひとりのアトラスファンとして、より一層発売が待ち遠しくなってしまった。


改めてお伝えしたいのは、今回紹介した要素は、あくまでも本作の一端でしかないということ。

どんな世界なのか、どういうキャラクターが出てくるのか、どんなストーリーが展開されるのか、まだまだ気になる情報ばかりだ。『メタファー』の全貌が明らかになる日が楽しみすぎる……。

本作は10月11日(金)にPS5/PS4、Xbox Series X|S、PC(Steam、Windows)向けに発売予定で、すでに予約受け付けを実施している。2016年より動き出した「PROJECT Re FANTASY」の完成が、ついに目前に迫っている。本作の発売を長らく待っていた方は、ぜひ10月の発売を心して待とう。

ライター
気になったゲームは古今問わず遊ばずにはいられない性格。シリーズ物も大好き。 中学生の時に東方Projectに触れてからゲーム音楽へ目覚め、アトリエシリーズと出会い覚醒。普段聴く音楽が9割ゲーム関連となってしまった。 幅広いジャンルのゲームを遊びながら、まだ見ぬゲーム音楽との出会いを求めて日夜探求し続けている。
編集者
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ニュースを中心にライターをしています。こっそり音楽も作っています。

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