北尾泰大氏への質疑応答。本作の気になるところを聞いてみた
今回の取材では、フロム・ソフトウェアの宣伝・制作を担当する北尾泰大氏が本作について紹介してくださった。その紹介のなかでメディア合同での簡単な質疑応答が行われたので、北尾氏に伺ったお話を掲載する。
──フィールドで拾うことができるアイテムは早い者勝ちですか。
北尾氏:
宝箱などからフィールドに落ちるアイテムは早い者勝ちです。ただ、ボスを倒したときに特別なオブジェとして出現するアイテムはプレイヤー全員が獲得することができます。
あとは、ルーンなども共通になっています。仮に自分がずっと立っているだけでも、仲間が敵を倒してくれたらどんどんルーンが手に入ります。
──では、魔術師塔などのギミックを解除した際に報酬としてもらえるアイテムは、他プレイヤーに先取りされてしまうのでしょうか。
北尾氏:
魔術師塔のギミック解除で手に入るアイテムは、ボスを倒したときと同様のものなのでプレイヤー全員が入手することができます。
──聖杯瓶の使用回数は増えるのでしょうか。
北尾氏:
聖杯瓶は使用回数を増やすことができます。リムベルドには教会があって、そこに立ち寄ると聖杯瓶の使用回数を増やすことができます。
地図を開くと教会の場所が表示されているので、聖杯瓶を増やすために教会へ寄るのか、強敵を倒すために別の道を行くのかの取捨選択をすることになります。
──装備重量はありますか。
北尾氏:
装備重量はないですね。ただ、武器にはレア度が設定されていて、レア度によっては自分のレベルが達していないと性能が発揮できないという制限だけはあります。
なので、レディキャラのような明らかに軽量キャラでも大剣を最初から振るうことができます。
──戦技や魔術に使うFPは自動回復するのでしょうか。
北尾氏:
FPはアイテムの使用か、祝福に寄って回復する形になっています。本作では、FPの立ち位置を少し“辛め”と言いますか、ここぞとばかりに使うようなものにあえてしています。
ただ、今回のネットワークテスト版には「魔女」のキャラクターがいるのですが、このキャラクターは魔女なのでバンバンFPを使うようなデザインになっています。しかし、このキャラクターにはFPを回復できるスキルがあるので、自分で回復しながら戦うことができます。
──魔術は手に入れた杖に付帯しているのですか。
北尾氏:
そうです。なのでどのキャラでも最初から魔法を使うことができます。
──魔術のほかにも祈祷はありますか。
北尾氏:
あります。ゲーム内で祈祷のアイテムがランダムであって、それらを取得することで使うことができます。
──今回のネットワークテストはどのようなハードで行われますか。またクロスプレイはありますか
北尾氏:
ネットワークテストはPS5とXbox Series X|Sで実施します。クロスプレイはできません。製品版ではPS4とXbox Oneでも発売するのですが、『エルデンリング』と同じようにPS4とPS5のような縦でのマルチプレイは可能になっています
──ボイスコミュニケーションはハード依存になるのでしょうか。
北尾氏:
そうですね。そこはユーザーさんにお任せするという形になります。『エルデンリング』と同じようにPC版以外はボイスチャット機能は入っていません。
──本作は3人協力プレイですが、ひとりでのシングルプレイも可能なのでしょうか。
北尾氏:
できます。補足としては、もともとは3人マルチで開発していて、今も開発を進めています。なのでゲームデザイン的には3人で遊ぶように作られています。
ですが、どうしてもひとりで遊びたい方もいますし、そういう時もあるよねということで、一応シングルモードも付けています。
シングルモード時には、敵のパラメーターや強さが少し下がるなどのバランス調整も行っていますが、敵の行動などは変わらないので、基本キツイと思います。(笑)
──弓やクロスボウなどの弾やボルトは消耗品でしょうか。
北尾氏:
いえ、無限に撃つことができます。
──本作は、繰り返しプレイすることによってだんだん敵が強くなることはありますか。
北尾氏:
基本的には敵が段階的に解禁されていき、全8ボスが登場予定です。ただ、ボスは段階的に強くなるかというと、「全部強い」ですね。
あとは敵によって常に飛んでたりとか、アグレッシブに殴ってきたりするので、ユーザーさんの個性との相性はあると思いますが、段階的に強くなるということは無いですね。
──では、プレイヤーレベル間での敵の強さが変動するという要素もないのでしょうか。
北尾氏:
そうですね、ないです。ボスが解禁されたら、どれに挑むかの順番はユーザーさんの自由になります。
──初期武器やキャラの外見のカスタマイズ要素はありますか。
北尾氏:
初期武器は固定となります。キャラの外見は「ソウルズ」みたいには選べませんが、いわゆる「スキン」が各キャラに複数用意されています。ゲームの進行やゲーム内通貨を使ってショップで購入することで使用可能となります。
──本作で語られるストーリーはありますか。
北尾氏:
基本的に、本作は何度もミッションを繰り返していくというゲーム性と、『エルデンリング』本編でかなり濃厚なロアを語ってしまっているという部分があります。それらに干渉してしまうということろから、“世界を語る”といったことはあまりやっていないです。
もちろん、この世界についてなどの簡単な背景は円卓にいるキャラクターとの会話で分かるようにはなっています。世界を語ることはあまりやっていないのですが、各キャラクターのちょっとしたシナリオが用意されています。
キャラクターを使ってシナリオモードを進めると、お話が進行してキャラクターの背景やドラマを除くことができます。本作ではそういったストーリーの語られ方はあります。
──では、NPCなども存在しないということでしょうか。
北尾氏:
厳密には存在します。通常の8キャラ以外に、円卓には“喋る人形”がいます。喋る人形と言っても『ブラッドボーン』のものとは違いますが(笑)。
この機械兵みたいな人形が少し語るなどの要素はありますね。ただ、これまでみたいに複数のNPCが出てくる形ではありません。
──本作の扱いとしては、シーズン制を用いた運営型のタイトルになるのでしょうか。
北尾氏:
いわゆる運営型やライブサービスでの検討はしていません。ゲームをスタートして、ボスを倒して、ゲームをクリアするというものを目指しています。その中でリトライしたり複数のキャラを使ったりして遊べるように、大体15時間~20時間しっかり遊べるように開発を進めています。
そして、1本のゲームとして楽しんだという満足感をユーザーさんには楽しんでいただけるのではないかと思っています。もちろん、ラスボスを倒したあとに何度プレイしても新しい遺物は手に入りますし、繰り返し遊んでいただくことも可能です。
それこそ『ブラッドボーン』の聖杯ダンジョンを今でも遊んでくださるユーザーさんがいますけども、あのような形で、本作を気に入ってくれたユーザーさんにはぜひ、繰り返し遊んでいただければと思っています。
もちろん、『エルデンリング』発売後もバランスや不具合の調整は行ってきましたので、本作でもそれは継続する予定です。また、多少のモード追加なども検討はしています。
──なるほど、8キャラクターで8つのステージを繰り返し楽しめるようなゲームになっているのですね。
北尾氏:
そうですね。なのでライブサービスやゲーム内での課金コンテンツは検討していないです。ただ、DLC自体は検討していて、なるべく早く新しいコンテンツを遊んでいただくために、年度内には配信できるようにしようという方針です。
DLCでは新しいキャラクターや新しいボスの追加などを検討しています。
──本作の戦闘の難度は、ほかのフロム・ソフトウェア作品と比較してどれくらいの調整になっているのでしょうか。
北尾氏:
基本的にはシビアかつ学習が必要な作りにはなっています。初回のテストプレイで突破されたらさすがに驚いてしまいますね(笑)。
ただ本作はマルチプレイなので、他のプレイヤーが上手いとか、自身または他プレイヤーがすごく強い武器を持っているとか、探索の中でビルド構築がめちゃくちゃ上手くいったとかの要素で強さの変動は起こると思います。
ですが、それをやるにしても慣れが必要なので、フィールド探索をどう計画を立てるかという点も経験と学習が必要になってくると思います。
──これまでのシリーズでは、アクションが苦手な人でもレベルを上げれば多少は何とかなりましたが、本作ではそのような人のための学習サイクルはどのようなものになっていますか。
北尾氏:
ひとつはマルチという点です。最初は難しくても、上手い人の動きを見て学ぶことができると思います。
あとは遺物ですね。遺物の効果によって立ち回りが大きく変わったり、キャラクターの性能をガラッと変えたりすることが可能なので、ある程度キャラビルドを作ってから出撃することできます。
──なるほど、さまざまな手段が用意されているから色んな方法を試してほしいということですね。
北尾氏:
そうなります。基本そこはユーザーさんを信じています。実際『SEKIRO』もかなりハードだったと思うんですけど、多くの方にクリアしていただので(笑)。
──3日目までのボス戦は1ゲーム大体何分くらいになるのでしょうか。
北尾氏:
夜のボス戦によって変わってくる点もありますが、ミッションクリアまで1ゲーム大体35分から40分くらいを想定しています。
ここら辺は我々もかなり試行錯誤して悩んだ部分でして、この時間自体は少し長めに設定されていると思っています。
たとえば、1日目と2日目だけで終わるように短く調整して、15分~20分で終わるように調整していた時もあったのですが、成長していく感覚がかなり薄れてしまったというところがありました。
また、ボードゲームみたいに週末にゆっくり1~2セッションやるくらいなら許してもらえるんじゃないかという気持ちでこれくらいの時間に調整しています。
──セッション途中の保存はできますか。
北尾氏:
できません。ただ、ネットワークテスト時には入っていないのですが、製品版ではエラーなどで落ちた場合の復帰は可能になっています。
──シングルプレイ時に、ゲームを止めることは可能なのでしょうか。
北尾氏:
それもできません。マルチ時と同じようにゲーム内時間が流れていきます。
──遺物の種類はどれくらいあるのでしょうか。
北尾氏:
具体的な数値は覚えていないですが、かなり多くあります。効果がバラバラのものがたくさん登場します。
──では、いわゆる「ハクスラ」的な遊びができるということでしょうか。
北尾氏:
そうですね、まさに「ハクスラ」的な遊びが楽しめると思います。
──本作は過去作のボスが登場しますが、過去作の武器は登場するのでしょうか。
北尾氏:
武器は、『エルデンリング』からですね。くわえて『ナイトレイン』のキャラの初期武器のみになっています。
──『エルデンリング』DLCの武器は入っているのでしょうか。
北尾氏:
DLCの敵は少し入っているのですが、武器は入っていなかったと思います。全武器が訓練場で試せるようになっています。
──今作では侵入者などの要素はありますか。
北尾氏:
いわゆるPvPはありません。ただ、製品版では地図上に明らかに強そうな砦が表示されていたりすることがあるのですが、そこへ行くと自分たちと同じような恰好をした敵と戦うことはあります。
──これまではレベルでのマッチングシステムを採用していましたが、本作はどのようにマッチングするのでしょうか。
北尾氏:
マッチングは完全ランダムになっています。
──この類のゲームは味方依存になりがちな面がありますが、初心者と経験者の練度の格差についてはどうお考えでしょうか。
北尾氏:
初心者の方には臆せず遊んでほしいとは思っています。理由として、プレイがあまり無駄にならないように設計しているからです。強い人がボスと戦っているなかで、初心者の方はとりあえず雑魚敵を倒しておくことで、ルーンを稼ぐこともできますし、強い武器や装備を手に入れたら、ほかのプレイヤーに渡すといったことも可能です。
このように様々な協力の方法がゲーム内には用意されているので、初心者の方でも貢献できると思います。
『エルデンリング ナイトレイン』は、フロム・ソフトウェア作品の初心者の方も仲間に貢献できて、経験者の方も歯ごたえのある戦闘が楽しめるようになっていることは、先ほどの北尾氏への質疑応答でもお分かりいただけるだろう。
実際に筆者がプレイした時も、いつもの操作感は残しつつ、新たなシステム・アクションによってこれまでにない新鮮な『エルデンリング』新作の体験を得ることができた。
本作は2025年にPS5・PS4、XboxSeries X|S、X box One、PC(Steam)向けて発売予定だ。また、2月14日より対象者に向けたネットワークテストが実施される。
参加資格をお持ちの方は、新たな『エルデンリング』の戦闘を楽しめる本作をぜひプレイして、ハイテンポに展開されるバトルやアクションを体験してみてほしい。