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『エルデンリング ナイトレイン』では、”RPGの一周”を凝縮したようなマルチプレイが味わえる。これまでのフロム作品で数十時間かけて体験してきた”1周の満足感”を、40分で一気に駆け抜ける”RTA的疾走感”

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2025年5月30日、まもなく発売となる『エルデンリング ナイトレイン』(以下、『ナイトレイン』)。

本稿では、フロム・ソフトウェアの大ヒット作『エルデンリング』をベースにしながらも、大胆な改変を施し、3人同時マルチプレイを軸に据えた協力型サバイバルアクションとして生まれ変わった本作のプレイレビューをお伝えする。

結論から言うと、本作の最大の特徴は「エルデンリング1周の体験を、約40分程度の1セッションに圧縮したようなRTA(Speedrun)感覚の協力プレイ」を楽しめる点だ。

しかも、フロム・ソフトウェア作品特有の“白活”──召喚サインを出して他プレイヤーと共闘するお祭り感を一気に押し進めつつ、ローグライトやハクスラ要素を取り込んだことで、プレイするたびに新鮮な展開とアドリブ性がもたらされている。

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

今回のプレイでは、『ソウル』シリーズ経験者2人と完全初心者による編成で10時間分ほど出撃してみたが、「短時間で詰め込まれた死闘」の密度が凄まじく、終わったあとの満足感もかなり高い

本稿では、その魅力を掘り下げながら紹介していきたい。

文/Leyvan
編集/竹中プレジデント


RPGの一周を凝縮したようなマルチプレイ──RTA的疾走感と“白活”の面白さ、ハクスラ・ローグライト要素の融合

まずはじめに、『ナイトレイン』を象徴する根幹について触れておこう。

本作は『エルデンリング』をベースとしているものの、あくまでも「新しいゲームシステムを構築し直した、独立したタイトル」であり、単なる追加DLCや拡張パックとは立ち位置が異なる。

最も印象的なのは、「1回のセッションが約40分程度」という点だ。これまでのフロム作品の本編を遊ぶ場合、ひとつの周回をクリアするのに数十時間~場合によっては100時間以上かかるのが当たり前だったはずだ。

しかし本作は、それらの“1周の満足感”を凝縮したかのようなハイペース、ハイテンポでゲームが進行する。まるでRTA(Speedrun)を走っているかのように、「あれもこれもこなしつつ、短時間で一気に駆け抜ける」というプレイフィールが味わえるのだ。

さらに、フロム作品のファンが期待するであろう“白活”──ほかのプレイヤーと共闘する楽しさを、思い切り前面に押し出している。

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

召喚サインを出して強敵に挑む、あの体験をベースにしつつ、本作独自のハクスラ要素(ビルド構築)とローグライト要素(プレイごとに配置やドロップ内容が変化)を加味することで、何度もリトライしたくなるリプレイ性をしっかり確保しているところが大きい。

具体的には、出撃のたびに「敵拠点」「教会」「野営地」「祝福」などのスポット位置や、ランダムに出現する武器や「強化効果」などが変化するため、同じルートを辿ろうと思っても毎回状況が違う。

プレイする度に「今回のマップ配置はどうなっているんだろう?」「どんな武器が拾えるだろうか」とワクワクできる仕組みが嬉しい。

装備条件や重量制限からの解放。自由な武器選択と「遺物」によるビルド構築の楽しさ

ほかにも、ハクスラ的な側面として大量に手に入る武器の中から吟味して、次々と武器を乗り換えながら戦う体験も見逃せない。

『エルデンリング』では装備に必要な条件を満たしていないと性能を発揮できなかったり、装備重量があるので手に入れた武器を片っ端からセットするわけにはいかないが、『ナイトレイン』では装備重量の概念も能力値による制限もない【※】ため、両手の装備スロットいっぱいに武器を装備できる。

※唯一の制限として、レア度の高い武器は必要レベルに達していないと十分に性能を発揮し切れないというものはある

『ナイトレイン』でも、キャラクターによって筋力が高く重量級武器の扱いが得意だったり、技量に長けた者、知力や信仰が高く魔術、祈祷が得意な者など得手不得手はあるものの、いずれにしても入手した全ての武器を扱うことはできる。

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

なので、必ずしも初期武器のカテゴリーや得意武器に縛られる必要はない。入手した中でもっとも攻撃力が高いもの、レア度が高いもの、あるいは付帯効果が優れたものを装備するなど、自分なりの判断で柔軟に選択できる点が、自由なビルド構築の魅力を強めているのだ。

そして、さらにビルド構築を深めているのが「遺物」の存在だ。

遺物は、おもにセッション終了後に報酬として得られるもので、円卓の「遺物儀式」から各キャラクターのスロットにセットすることで効果を発揮する装備品のようなシステム。同社タイトルで例えるなら『Bloodborne』における「血晶石」を想像していただければ概ねイメージは正しいだろう。

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

遺物の効果には「アーツゲージ蓄積増加」や「物理攻撃力上昇」のような汎用的なものから、特定のキャラクターのスキルを強化するといった、アクションを拡張するものまで実に多様。さらには、同じ効果のものでも補正値が付いていて、より高い効果を発揮するものもある。

自分が好む戦法に合わせて遺物をセットし、自身のプレイスタイルを先鋭化するのもいいし、攻略対象の弱点属性となる属性攻撃力を高める特化ビルドを組むなど、臨機応変に使い分けてもいい。

最終的には、より良い遺物を求めて周回するのが『ナイトレイン』のエンドコンテンツになることは想像に難くない

3人マルチプレイを基本としたサバイバルアクションという挑戦

本作は、原則として3人での協力プレイを想定しており、シングルプレイで単独出撃も可能だが、あくまで前提は3人がかりで攻略していく難度設計になっている。

仲間とともにアイテムや武器を探し、各拠点を制圧し、ボスが出現する夜に備えてキャラクターを強化していくという流れは、『エルデンリング』やこれまでの『ソウル』シリーズの協力プレイとは体験が大きく異なる。

3人が同時に動き回り、各々で敵を倒してルーンを稼ぎながら進み、次の目的地をピンで表示しながら意思を示し合わせる──そうしたチームプレイならではの要素が濃縮されている点は本作の大きな魅力だ。

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

とりわけ、ボイスチャットを繋げていれば「教会で回復手段を増やそう」「途中に拠点があるから攻略しよう」「そろそろ夜が近いから安全地帯を確認しつつ後退しよう」など、作戦会議が盛り上がる。

また、自分よりも味方が使った方がいい装備がドロップしたときはアイテムの位置を伝えたり、直接受け渡すというようなやり取りも生まれた。

このように、ハクスラ・ローグライト的な側面だけでなく、協力ゲームとしてのやり取り自体が大きな楽しさになっているので、仲間同士でワイワイ楽しみたいプレイヤーにはピッタリではないかと感じる。

リムベルドの地形は固定だが、拠点の位置などはランダム。さらに、「地変」が攻略に大きな変化をもたらす

本作の舞台であるリムベルドの地形──つまり霊脈の位置や大枠の構造などは固定されているが、拠点やスポット、敵の配置は毎回ランダムに変化する。

いわゆる完全な自動生成ダンジョンではなく、固定マップ+ランダム要素のハイブリッドシステムを採用しているのが特徴だ。

この設計が面白いのは、“すべてが手探りで毎回カオスになる”わけでもなく、かといって“毎回同じルートで攻略できてしまう”わけでもないというバランスを保っている点だ。

リムベルドの地理を覚えれば、霊脈を使った大ジャンプなどのショートカット戦略が活きてくるが、どの場所に教会があるか、どの野営地に強敵が潜んでいるかは出撃ごとに異なるため、その都度「今回はこのルートがよさそうだ」と判断する必要がある。

とりわけ、回復アイテム(聖杯瓶)の使用回数を増やす教会は生存率を大きく左右するため最重要スポットだ。理想を言えばすべての教会を回りたいところだが、時間経過に伴って夜の雨が迫り、安全地帯が縮小されるうえ、どの方向へ安全エリアが寄っていくかも運次第。どこまで教会を欲張るかは常に良い意味で悩まされた。

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

さらに、「地変」と呼ばれる大規模な地形変化が発生するケースもある。たとえば「火口」という地変が出現すれば、リムベルド北側の一部が噴火の火口エリアに変化し、敵の種類も一新されてしまう。

火口の深部には強力な武器強化を行える祭壇があるため、そこまで到達できれば戦力を一気に底上げ可能。とはいえ、火口付近は手強い敵が待ち構えており、時間をかけすぎると夜の雨によるマップ収縮で脱出がままならなくなるリスクも大きい。

このように、“地変”が攻略ルートの選択やリスク管理をさらに複雑化させている。

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

弾きアクションが気持ちいい「執行者」と、初心者でも活躍できる「鉄の目」に注目

本作には8人のプレイアブルキャラクターが実装されており、それぞれアビリティ・スキル・アーツの組み合わせが異なる。

今回のプレイで新しく触れられた「執行者」と「鉄の目」は、対照的なプレイスタイルを体現する代表例だ。

まずは「執行者」。刀をメイン武器にしながら、敵の攻撃をジャストタイミングで弾いて無効化し、体勢値を削り取るスキル「妖刀」を使いこなすことで、一方的な制圧力を発揮できる。

まるで同社タイトルの『SEKIRO』を彷彿とさせる弾きアクションであり、バチバチに決まればかなり爽快だ。

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

弾きを数回連続で成功させると妖刀が解放されて光り輝き、L2ボタンで強烈な一撃をぶち込める。

これが決まったときの気持ちよさは格別だが、一度でも弾きに失敗するとスタミナをゴッソリ持っていかれるうえ、硬直中に被弾すると一気にピンチに陥るリスクがあるので、中~上級者向けという印象を受けた。

加えて、アーツ「坩堝の諸相・獣」はHPや攻撃性能を大幅にアップさせる変身技。雑魚や中ボス程度ならゴリ押しで蹴散らせる反面、無敵ではないので被ダメージが蓄積すれば変身が解けてしまうし、そこで大きくHPを削られていれば即死に直結する。

スキルにしてもアーツにしても攻める力が強い一方で、使い所を間違えればあっという間に崩れる脆さを併せ持つキャラクターで、ピーキーな性能でヒリつく緊張感が味わえる魅力的なキャラクターだ。

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

一方の「鉄の目」は、フロム作品においてはサブ武器的なイメージが強かった弓矢を主軸に戦う珍しいキャラクター。

矢を発射する速度が従来作よりも速く、矢の本数にも制限がなく、さらに致命の一撃を狙うことも可能。敵との距離を取りながら着実にダメージを与えられるため、初心者でも比較的扱いやすいと感じた。

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

スキル「マーキング」は、ダガーで切りつけた敵にデバフを与え、味方全員の与ダメージを上昇させるという強力なサポート効果を持つ。

ボス戦でマーキングを入れるだけでも、パーティ全体の火力が跳ね上がるため、仲間から感謝されること間違いなしだ。

また、アーツ「ワンショット」は大弓をド派手に構えて撃ち抜く一撃必殺のような技で、直線上の雑魚を一掃したり、ボス相手に大ダメージを狙ったりと汎用性が高い。

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

さらに遠距離からでも倒れた味方を蘇生できるのが非常に便利で、混戦状態の中に突っ込まなくても支援できる。

そのため、フロム作品が初めてだったり、近接戦闘は苦手というプレイヤーには理想的なキャラクターと言えるだろう

実際に、今回ともにプレイしたメンバーの一人は『エルデンリング』も『ソウル』シリーズもプレイ経験がない完全初心者だったが、「鉄の目」を使用することでうまく順応して貢献してくれた。

懐かしのボスが続々登場! 過去作の知識が活きる新鮮な再会

1日目と2日目の夜に登場するボスは、『エルデンリング』本編でおなじみの敵が中心となる。過去作のフロム作品を遊んできたプレイヤーであれば、「おっ、あいつか」と思い出せるため、まったくの初見殺しではなく、ある程度の攻略法を想定しやすいのが面白いところだ。

加えて、『ダークソウル』シリーズからも「貪食ドラゴン」「百足のデーモン」、『ダークソウル2』の「熔鉄デーモン」「公のフレイディア」、そして『ダークソウル3』の「冷たい谷の踊り子」「無名の王」など、おなじみの強敵が顔を揃える

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

モーションや攻撃パターンは「ほぼそのまま」で、基本的には昔の記憶が通用するため、シリーズ経験者なら戦いながら対処法を思い出すことができて、懐かしくも新鮮な再会を楽しめることだろう。

とはいえ、本作はマルチプレイ前提のシステムゆえ、ソロプレイが基本だった過去作とは勝手が違う部分も多い。

『ダークソウル2』では一つの壁として名高い難敵だった熔鉄デーモンも、本作で3人がかりで挑むと「案外楽に倒せるかも?」と油断してしまうケースがある。その一方で「冷たい谷の踊り子」のように高火力・多彩な攻撃を持つボスもいて、不用意に突っ込むとあっという間にパーティ全滅の危機に陥る。

過去作の知識が活きるとはいえ、決して油断ならない難易度が絶妙だ。

3日目の“夜の王”との死闘は、圧倒的強敵に挑むレイド感覚

そして3日目には、『ナイトレイン』の山場とも言える“夜の王”と呼ばれる大ボスが待ち受ける。

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

3日間を生き延びて、最終決戦に挑むことがひとつの目標になっているわけだが、この夜の王たちが、まあ容赦ない。たとえ1日目と2日目で順調に強化を重ねていても、攻撃パターンが苛烈かつHPが高いため、ほんの少し連携が崩れただけであっという間にパーティが壊滅してしまう。

とはいえ、出撃前の画面で夜の王がどんな特徴を持ち、どの属性が弱点なのかはある程度明示されているので、2日間のうちに装備やアイテムを合わせて対策を練ることは可能だ。

時にはボス戦ならではのギミック(広範囲攻撃の安全地帯を探す、ターゲットを分散させるなど)も存在し、まるでMMORPGのレイド戦に似た緊張感がある。3人同時に役割を分担して挑まないと簡単には勝てないが、その分クリアしたときの達成感は格別というわけだ。

今回のプレイで撃破できた夜の王は、ネットワークテストでも登場した「三つ首の獣」と、新たに挑戦できた「喰らいつく顎」の2体。そのほかのボスにも一通り挑んではみたものの、ことごとく返り討ちにあうこととなった。

『エルデンリング ナイトレイン』レビュー・感想・評価:

ちなみに『ナイトレイン』は3人で遊ぶことを基本としているが、シングルプレイモードも選べる

単独出撃の場合は敵のHPや能力値が調整されるが、出現する敵の数が減るわけではなく、基本的には「3人で協力して倒すはずだった」集団に一人で立ち向かうことになる。これは正直かなりハードだ。

試しに単独で出撃してみたところ、やはり3人のときよりも攻略のペースは遅れがちで、1日目のボスを相手にする段階で既に苦戦を強いられた。何とか3日目に到達して「知性の蟲」というボスのHPを半分ほどまで削ることはできたが、あえなく失敗。

とはいえ、感触としてはソロ撃破も不可能ではなさそうだと感じたし、こういったソロクリアを目指すストイックな挑戦は、きっと発売後に猛者プレイヤーたちがこぞって研究を進めるのではないか

“困難を乗り越える達成感”と仲間との連帯感──フロム作品らしい醍醐味

以上、駆け足気味ではあるが『エルデンリング ナイトレイン』の概要を一通りお伝えしてきた。

約40分の1セッションで“RTAさながら”に濃厚な体験を味わえる本作は、とにかく目まぐるしく次々と展開が変わっていく刺激に満ちている。

そして、リムベルドの地形こそ固定ながらも、出撃する度に攻略ルートが変化して、入手できる武器も出現する敵も異なるローグライト要素と、遺物を集めて自分なりのビルドを構築していく楽しさが何度でもリプレイしたくなる中毒性を生んでいるのだ

本作がどんな人に刺さるのかというと、まず思い浮かぶのは『エルデンリング』や過去の『ソウル』シリーズなどで、召喚サインによる協力プレイを楽しんでいた人たち──とくに、ステージの最初からボス撃破までの道中を多人数で攻略する遊びを満喫していたプレイヤーだろう。

もうひとつは、近接ビルドや魔術師ビルド、信仰ビルドなどさまざまなタイプのキャラクターを育てて周回プレイを重ねる人にも、本作では多様なスキル、アーツを持つキャラクターたちを使いこなし、発見を楽しむことができると思う。

一方で、本稿でもお伝えしたように未経験者や初心者でも仲間と協力すれば十分に活路を見出せるよう配慮されているため、『ナイトレイン』から初めて入る人にも訴求する作品になっているはずだ。

そんな『ナイトレイン』は2025年5月30日より発売予定。価格は5720円。プレイ開始時刻は、PS・Xboxが午前0時から、Steamが午前7時となっている。

ライター
4Gamer、ファミ通、電撃、そして電ファミなど、いくつものゲームメディアで記事を書いてきたライター。自身の体験を踏まえて書いた「うつ病の自分が『DEATH STRANDING』を遊んで、“実感”を取り戻した話」をきっかけに、フィクションを自分事として捉えて糧にするということについて、改めて考えるようになる。
編集者
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事や特集記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident

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