アイドルたちが尊くて、応援したくて、リベンジを心に決める
理由もよくわからないまま終わって、そしてただただ悲しくなった。その日はもうコントローラーを握ることができないくらい打ちのめされた。
翌日復活。リベンジのために立つ。しかし、このあと何度も打ちのめされることになる。事務所経営が本当に難しい……。
しかし、それでもプレイをやめることができなかった。それはひとえにアイドルたちが尊かったからだ。
記事冒頭でもお伝えしたが、『シャインポスト Be Your アイドル!』は丁寧に作られすぎている。
本作のアドベンチャーパートはフルボイスなだけでなく、アイドルたちが本当によく動いてくれる。彼女たちの表情の動き、口の動きは、それ以外の全部も含めて驚くほどに”本物”だ。
本作を外から見れば、ひとつの完成されたアニメーションとさえ言える。しかし、それに留まることなく、私は”そこにいる”とすら思ってしまった。
そして、彼女たちが心の内に秘めた想いも嘘も願いも苦悩も喜びも、その全部が“本物”だ。私は情けないことにそのすべてに共感しまった。
そして、そのどれもが、彼女たちの仕草と表情にありありと表れるのだ。ヤバくないわけがない。だから応援したくなってしまう。
ゆえに、私はなかなか特定の「推し」を選ぶことができなかった。読者のみなさんはどうか気を強く持ってほしい。
メンバーたちがどんなバックグラウンドを持っているかの深堀すら始まっていない時点で、登場するアイドルたちに夢中になっていた。見てるだけで幸せだったし、いてくれるだけで幸せだった。
冒頭からここまで魅せてくれるゲームが、このあと一体どれほど楽しませてくれるんだろう? と、ものすごくワクワクしていたと想う。
彼女たちがアイドルとして輝く場、ライブパートが本当に素晴らしいんだ
そしてなにより、このゲームはライブパートが本当に素晴らしい。もう見てくれとしか言えない。
彼女たちが本物のアイドルとして輝く場だ。すごいんだ。やばいんだ。神が降りている。てぇてぇ。しんどい。大の男が涙を浮かべて語彙力を失うんだ。それも何度も。
あまりにも輝きすぎていて感情のダムが無理だ。あと、ここまでがしんどすぎるのもいけない。感情のサウナだ。
もちろん、ライブはゲームとして攻略しなくてはならない関門ともなる。事務所の、そしてアイドルたちの未来へと進むには冷徹な計算が必要だ。
しかし、ライブが始まってしまえばそんなことはどこかへと吹っ飛ぶ。
とにかくエンターテインメントとしてのクオリティが高い。見てるだけで、聴いてるだけで楽しい。
加えて、苦楽をともにしてきて、アイドルたちの想いを全部知ってしまっているからだろう。彼女たちの努力が報われる瞬間を目の前にして、感情がどこかへいってしまう。心が揺さぶられる。
ライブこそ、『シャインポスト Be Your アイドル!』をプレイする理由のすべてだ。これまでの苦労も、今この輝く瞬間も、そしてその先も全部だ。全部が道として繋がっている。だから行くしかない。
まだまだ伝えたいことはある。
もう、モーションの作り込みがすごい。アドベンチャーパートですらものすごく動いてくれるのだから、当然ライブには一分の隙もない。
どのポジションにも違った魅力があり、”作られた感”がまったくない。俯瞰すると完璧にシンクロして見えるダンスも、細部には違いが出る。だからこそ、それらがバチッとハマったときの尊さがすごい。
そしてリップシンクも完璧だ。本当に彼女たちがそこで歌ってくれている。違和感を抱く余地がまったくない。
この細部へのこだわりには、本当に感謝しかない。圧倒的“そこにいる感”のなくてはならない源泉だ。歌は聞くだけじゃなくて、見るものでもあるのだ。
尊いアイドルたちがパフォーマンスに合わせて全く違った仕草も表情も魅せてくれるのだ。もはやこれだけで特級のコンテンツと認めてしまっていいのではないだろうか?
加えて、普段のメンバーらしさであったりとか、ギャップであったりとか、今抱いている楽しさとか真剣さ……いろいろなものが見え隠れする。アイドルとして、プロとして、完成度の高いパフォーマンスを見せてくれるほどそれは色濃い。
だから見えてしまう輝きがある。あまりにも眩しい。これが夢を後押しするということなんだ。夢をそばで見せてもらえているんだ。
また、会場によって演出も全く違ってくるし、カメラワークも会場ごとに違っていて毎回イイところを押さえてくれるので、飽きることがない。
アイドルゲームなのに足元を写されたときは、プロのカメラかよと思わず唸った。このおかげでタメと余韻がすごい。
大きい会場の演出はとにかく素晴らしい。しかし、武道館の演出はそのなかでも別格だ。ハコとして大きければいいというわけではないということがわかる。
会場が大きくて、演出が派手で、さらに密度があるのがイイのだと学んだ。これを見るためなら何度だってがんばることができる。
会場と言えば、多くのライブ会場が実在するのもとてもいい。知っている場所が出てくると、それだけでワクワクは段違いだ。彼女たちの道と自分のいる世界は繋がっていると感じられる……これって禁じ手では?
そしてこの会場を訪れるファンがまた、尊い。彼らはガチだ。
とにかく反応が素直でリアルだ。ものすごく盛り上がってくれる。それでいてサイリウムの振り方にもひとつひとつ個性があるのだから、いてくれる感がすごい。高まりすぎているのか逸脱してぶん回しているファンもちらほらいたりする。ちょっと落ち着いてほしい。
本作におけるファンは数字以上の意味をもつ。熱心なファンはメンバーの名前をコールしてくれる。それも愛称で呼んでくれる。こっちとしては感極まってウッとなる。歌にあわせて合いの手をいれてくれたりもするし、盛り上がる曲だと大合唱まで起こってしまう。
ものすごい熱意が、自分が後押しするアイドルたちに向けられているのだ。ここまでされたら、喰らわないわけがない。
そして反面、ファンの存在によってハラハラさせられることもある。じつは、攻略の成果がそのまま反映されてしまうのだ。動員が少ないとちゃんと会場がガラガラになっていて、とても悲しくなる。
また、大きい会場での初めての上演だったり、普段と違った観客も訪れる。だから盛り上がりにくい。だから、出だしの選曲次第ではそのまま会場がスン……となることがある。
極めつけは、歌だ。収録されているのは、本作を体現するような曲ばかりだ。なんでそうしてしまったのか。あまりにもあんまりだ。
これまでの苦労やメンバーたちのがんばりといった思い出が呼び起こされる瞬間があるのだ。これが一番クる。勝手にファンの数倍の勇気をもらってしまってやばい。
苦労を重ねたうえにすごいステージを見せられて歌詞がシンクロしていてファンが盛り上がるのだ。おかげさまで、プレイ終盤になってくると1曲1曲、まともに聞いていられなくなる。
私は、本作におけるひとつの区切りとなるライブで「絶対王者チョコレート」という曲をセットリストに入れることにしている。アイドルたちの尊みがありえん爆増するからだ。会場のファンが一緒になって盛り上がってくれるからというのもある。
『シャインポスト Be Your アイドル!』、徹頭徹尾しんどい。
本当にありがとう。
リベンジは果たした。ここまでの道のりも、全部が全部最高だった
初回プレイで破産して以来、「初回プレイ時と同じメンバーで武道館を目指す」を目標にプロデュースをくり返した。このリベンジを果たすまで、とにかく大変だった。
何度倒産したかは数えきれない。しかし、気づけば3年連続で武道館ライブまで導けるマネージャーに成長していた。
しかし、今度は別の壁が立ちふさがった。オーディションだ。いける……と思っているときに限って、5人が揃ってくれないのだ。
そのおかげでたくさん遊べた。アニメのIFユニットができてしまうこともあった。最強歌唱ユニット、最強ダンスユニットを生み出そうとしてみたりもした。
それまでの試行の全部が素敵な思い出になったのもまた確かだ。
ちなみに、23人から5人を選ぶ組み合わせは、なんと3万通り以上。本作の道程と結末を総計するなら、そのパターンは宇宙にある星の数よりも多い。
そうして……
ようやくその機会が巡ってきたとき、私は正直震えた。
彼女たちに出会えたことだけじゃない。事務所の体制が最高に整っている3期目だったからだ。
しかし、あまりに感傷がすぎるかもしれないが、最初につけたグループ名をつけることはできなかった。同じだけど違うんだ……。代わりに「リベンジ」の意を込めた名前をつけた。
知識もある。体制も万全。慎重さも身に着けた。未来は決まっていた。
私としては、この瞬間こそが、本作からの最高のプレゼントだと思っている。このために、すべての痛みも苦しみも喜びも全部あった。そして、いま……決着がついた。
ゲームとして純粋におもしろかった。なんかライブがすごかった。なんとなくメンバーがかわいかった。起点はそんなものだ。だから、叶えられない夢があった。だから、叶えられた夢もあった。

本作は、『シャインポスト』として、きっと満点だ。
本作をゲームとしてみると、少なくとも私にとっては満点だった。
やっぱり、ファン(の描写)がガチなのがいい。だからこそ、アイドルたちが輝いて見えてしまった。
『シャインポスト Be Your アイドル!』を作ったのは、ガチのファン。
私は勝手にそう思っている。
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