KONAMIの新作タイトルが、アイドル育成ゲームの皮を被ったガチめに難しい経営シミュレーションゲームらしい──。
その噂を頼りに『シャインポスト Be Your アイドル!』のプレイを始めた。
結果、難しいことには嘘偽りはなかった。本作のゲームとしての難易度はハードコア仕様と言っていい。ほとんどの人が初回プレイ時に満足のいく形でエンディングを迎えられないはずだ。
苦しかった。絶望した。心がぐちゃぐちゃになった。しかし、気づいたら60時間プレイしていた。いま私は『シャインポスト Be Your アイドル!』を最高に推したいほど愛している。
そして、読者のみなさんに私と同じ目に遭ってほしい……というのが本心だ。道連れがほしい。ひとりでも多くの人が本作の沼にハマってほしい。
『シャインポスト Be Your アイドル!』は、Nintendo Switch 2のローンチタイトルとして2025年6月5日に発売された新作タイトルだ。
この”作品”はあまりにも丁寧に作られすぎている。物語、人物、動き、感情、そして世界が。物語は超王道。とてつもなく厳しい条件を乗り越えてスーパーアイドルを目指す少女たちを、プレイヤーは本作の主人公として全力で後押ししていくことになる。
もちろん、ゲームとしても格段におもしろい。もはや「リアルすぎる」と言っていいほど、シビアな経営判断を絶えず求められる。そして、その先に最高の輝きが待っている。
じつは今回、本作のプレイレポートを執筆するにあたって、私はひとつのオーダーを承っていた。
「このゲーム激ムズなんで、初見一発勝負でクリアを目指してみてください」
時を巻き戻させてほしい。60時間以上プレイした今の私からひとつ言いたいことがあるんだ……。無茶言うな。
※この記事は『シャインポスト Be Your アイドル!』の魅力をもっと知ってもらいたいKONAMIさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
アイドルデビューから3年間で武道館を目指すなんて簡単なわけがない
終わりはあっけなかった。プレイ開始から3時間41分。スキップを駆使すれば20分程度で辿り着いてしまう場所だ。
突きつけられる「破産」の2文字。プロデュースするアイドルグループは解散。事務所は消滅。主人公は借金を返済するために命の危険を感じながらカニ漁に身をやつすことになっていた。
ようは「ゲームオーバー」というわけだ。
時を遡ること3時間41分前──。本作のメインモードは、主人公がアイドル事務所を設立したところから始まる。
「主人公の名前」「事務所の名前」「アイドルグループの名前」はプレイヤーが自由につけることができる。そのため、言ってしまえば主人公はプレイヤーの分身だ。全編を通して立ち振る舞いも中性的なので、誰でも没入できるようになっている。
主人公(プレイヤー)のおもな目的はふたつ。
ひとつ。プロデュースするアイドルを3年間で武道館に立たせること。
ふたつ。事務所を経営して5年のうちに成功を収めること。


事務所を開業したらまずはオーディションだ。集まった10枚の応募書類から、5人を選んで実際に所属グループを結成することになる。
ちなみに、登場するアイドルは総勢23人。メンバーの組み合わせパターンだけでも万単位。一期一会の出会いが待っているわけだ。


アイドルを育成するつもりが、待っていたのはシビアでリアルな事務所経営だった
実際のシミュレーションパートが始まってみて、最初に抱いた所感は「あー、そういうことね」だった。
これまでKONAMI発のシミュレーションゲームを通ってきたので、なんとなくだが直感でゲームシステムを感じとれた。もはや実家のような安心感があった。完全に理解したつもりになっていた。
画面左上に残りターンが表示されている。1ヶ月は上旬と下旬に分割されているので、5年が120ターンだ。ひとつのグループと過ごせるのは3年、72ターン。これが各種コマンドで消費される。
そして、画面右上に見えるオールF。これが、事務所の力を示すステータスだ。「事務所運営」コマンドを行い、能力を伸ばしていくことで、ようは“事務所としての力を強く”できるのだ。
他にも、運営するためのお金を稼ぐ「資金調達」、アイドルたちと交流して絆を深める「所属メンバー(交流)」などのコマンドがある。各ターン、コマンドを選択していくのが基本的な流れとなる。
まあ、まずは育成力の強化が鉄板でしょう。やはりアイドルを育てるゲームなのだから……。
……と、毎回パターン化できないのが本作の難しいところだ。ここに、確率と資金の壁がある。ターンごとに、コマンドの成功率や実行に必要な金額が変わってくる。
「事務所運営」だけではない。本作はなにをするにもお金がかかる。レッスンのための施設を強化するにも、楽曲を作るにも、衣装を作るにも、ライブを開くにも……あらゆる場面で、金が必要となる。


そして、本作におけるひとつのゲームオーバーが破産だ。所持金がマイナスになると問答無用で破産となってしまう。
コマンドで所持金がマイナスになることはないが、その状態のままライブで赤字を出してしまうと、破産しかねない。だから、アイドルたちに投資しすぎるのはヤバい。


お金がなければ会社は終わるが、お金を余らせて投資しなければ先細りだ。そして、その前提として営業や政治の力なども要求される。
お金だけで物事が動くのではなく、信頼やコネも必要となってくる。


また、事務所を経営する以外にも、所属メンバーと交流することもできる。交流すると、信頼度アップ&ステータスも上昇といいこと尽くめ。お金もかからない。
そして、信頼度がMAXになると、そのメンバーが自分の殻を破って『覚醒』する。ステータスが爆増するなどの恩恵があり、追加でイベントを見ることもできる。推しているならマストだろう。
なお、初回プレイ時の私は、ひたすらお金稼ぎばかりに追われていたため、あまり交流している余裕がなかった……。
初回プレイ時の序盤は、思った以上に硬派なシステムに頭がこんがらがってしまった。
しかし、今振り返ってみると「シビアでリアルな経営」を「カジュアルなゲームプレイ」に落とし込んだ奥深いシステムに感じる。
それでいて、慣れてしまえばそんなに難しくはないし、仕様がわかってくるとめちゃくちゃおもしろい。
ライブパートは本作の「命」と言っていい
事務所経営をある程度進めていくと、ライブを開けるようになる。本作の「命」と言っていい。とはいえ、最初から自由にライブを開けるわけではない。
まず、新人アイドルたちは「CLASS1」に所属している。この状態で、ライブを開けるのはCLASS1の会場だけだ。そこから、同クラスの会場でライブを成功させることで、CLASS2、CLASS3……とクラスアップしていく。
そして、活動3年目の武道館ライブ(の申し込み)までに、武道館ライブが可能となる条件である「CLASS5」を目指していくことになる。
ライブでは常にすべての会場が使えるわけではなく、時期によってライブを開ける会場が決まっている。早めに予約をすることで、割引が入るため、あらかじめ会場をおさえておくと出費を抑えられる。
会場については、どこかのグループに先に押さえられてしまうということがないので、そのターンに気まぐれで開くことができる。ここはとても優しい。
私が最初に選んだ会場は代アニLIVEステーションだった。一番お値ごろな箱だった。
ライブ開催にあたって、会場の選定が終わったらセットリストを組むことになる。個人的には、ここはすぐ理解できた。
曲を選んで、順番を決める。そしてその曲におけるメンバーのポジションと衣装を決める。それだけでライブを始めることができる。セトリに関しては、最初のうちはよくわからずなんとなく設定していた。かかる時間もほぼ一瞬だ。
だが、慣れてくると時間を使うようになる。普通は逆なのかもしれないが、本作において屈指の楽しい時間なのだから仕方がない。もちろん、ライブの成否にも影響するのだから、攻略としてもちゃんと重要だ。
また、セットリストでメンバーのアイコンに表示されているサークルが体力を表している。
アイドルは体力勝負なので、なければもうパフォーマンスをすることはできない。加えて、低いほどミスが出やすくなる。今は駆け出しなので一曲歌って踊っただけでバテバテだ。
続いて、曲を披露する際のメンバーのポジションと衣装を決める。ポジションは自由だ。衣装も自由で、ばらばらにすることさえできる。
しかし、お金がないので今は一着しかない。それでも十分かわいい。
ポジションで重要になってくるのは、誰を一番目立つセンターに置くかということになる。センターのパフォーマンスは、楽曲全体の出来を大きく左右する。
曲との相性による適性をゲーム側が提示してくれるので、自分はこれを信じた。しかし今だから言えることだが、本作において最適と最高は違う気がしている。
ポジションが違えば担当する歌唱とダンスのパートがまったく違う。
「この子にこのポジションで歌って踊ってほしい」
この思いを大事にしていいと思っている。そのほうが心が整う。