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物乞い、家を建てる。何でもできるMMORPG『逆水寒』で一端の物乞いになれたので、ハウジングを楽しむ。理想の住まいを作るため、コピペハウスを大量に建築しては取り壊す

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ハウジングができるオンラインゲームが好きだ。

自分だけの拠点を築くために家を構え、仲間と集い雑談する……
まさにゲーム内での“暮らし”をコーディネートするステキなコンテンツだ。

筆者は、「100通りの生き方」があるというド級のMMORPG『逆水寒(ぎゃくすいかん)』を隠しクラス「物乞い」として遊んでいた。

結果として、筆者はクローズドβテストを通じて「物乞い」の弟子までできて、多くの方々と本作のコンテンツを楽しむことができた。

ただ、まだ触れていない要素がたくさんある。その中のひとつが、ハウジング機能だ。

ここで言うオンラインゲームにおけるハウジングとは、ゲーム内のキャラクターが自分の家や部屋、お庭などを所有して好みの見た目や外装、内装に編集することのできる『どうぶつの森』的なシステムを差す。

『逆水のハウジングシステムは、“荘園(そうえん)”と呼ばれている。
どんなものかざっくり解説すると、「更地の島に自由に家とか建てちゃっていいよ」という内容だ。好きに建てちゃって、いいんですか?……

さっそく「荘園」のエリアに入ると、ハウジング機能で夕陽を一望できる茶室や温泉、遊園地まで作り楽しんでいる様子がオープニング映像として視聴できる。

それにしても、本作は古代の中国が舞台になっているゲームなのだが、遊園地まで作れるとは驚きだ。この調子なら、いわゆる「西洋ファンタジー」な家も建てることができてしまうのではないだろうか。

え?……(キュン)
この家、モチーフはホビット庄【※】では?……

※ホビット庄
J・R・R・トールキン氏の描く長編小説『指輪物語』に登場する地域。「小さい人」ことホビット族が牧歌的な暮らしを謳歌している。彼らは地面に掘った穴の中を住処としており、物語の主人公ビルボ・バギンズが住んでいる地域もここになる。

いけるじゃん……。もしかしたらホビット庄的な風景を作ることができるかもしれない!
物乞いだけど、ホビット庄的な風景の片隅でひっそり生きる。
良いかもしれない。
よし!さっそくやってみよう!

結果

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どうしてこうなった……

おかしい……俺はホビット庄を目指して奔走していたはずなのに
なんだこのコピペタウンは。いったい、どうしてこんなことになってしまったんだ?

目の前にあるのは、大量のコピペ建造物。
この異質な光景になってしまった原因とは、いったい何なのか。
その答えは、ぜひ本稿を読んで確かめてみてほしい。

取材・文/TsushimaHiro
編集/実存

※この記事は『逆水寒』の魅力をもっと知ってもらいたいNetEase Gamesさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


更地から農家としてスタート。気分は牧場主

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さて、時は私が「荘園」に降り立った時へと遡る。

専用のエリアへと辿りついた先は見渡す限りの広大な更地。「どうぞなんでも建ててください」と、そういうメッセージと受け取ってもいいですよね?

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ところが、いざ建造物のレシピを見てみると、ホビット庄的な建物を設置するには「荘園」のレベルを「8」まで上げないといけないことがわかった。どうやらキャラクターだけではなく、「荘園」自体にも評価レベルのようなものがあるらしい。

「荘園」でレベルを上げるための流れとしては、基本的にふたつの工程に分けられる。

【生産】
・「農園」で作物を育てて商人に売却し、資材ポイントを獲得する。
・「牧畜」でどうぶつたちから資源を得て、商人に売却して資材ポイントを得る。
・加工場で収穫物を組み合わせて加工品を作り、商品の付加価値を高める。
(荘園レベル4が必要)

【建築】
・資材ポイントで建造物を建てる⇒総合評価値が上昇する。
・資材ポイントで「農園」「牧畜」「再加工」「商人の買収」のレベルを上げる。
・総合的な評価が一定の値まで到達することで「荘園」のレベルを上げられる。

という仕組み。

端的に言うと、レベルを上げるためには“めっちゃ畑仕事して作物うっぱらって建物を設置しまくれ”ということだ。

ということで、作業着に着替えていざ農耕作業に勤しもう。

……と言っても、この時にプレイヤーが行う作業は非常にシンプルなものだ。

最初の作業は、畑をたがやすこと。
次に、シーズンにあわせた作物の種を植えて水をやり、必要に応じて肥料を撒いてあとは待つ。それだけだ。本作の「荘園」には季節の概念があるため、季節ごとにシーズンも決まっている模様。

作物ごとに成長速度は異なり、確認したところ長くても植えてから360分で成熟し、収穫が可能となる。

作物のバリエーションも多い。
トマトやガボチャ、ぶどう、麦、とうがらし、なす、たけのこ、とうもろこし。もはやなんでもありだ。

中には、椰子(ヤシ)の実なんていうものもあった。水田で育つ品種改良されたヤシなのかもしれない。また、やろうと思えば、冬に小麦を実らせることも可能。実際にやってみて、ナウシカごっこを楽しむこともできてしまう。

次は「牧畜」だが、こちらもやることはいたってシンプル。

指定した家畜を購入して飼育し、撫でてあげたり餌をやったりすることで収穫物を獲得できる仕組みだ。うさぎはひよこはかわいらしい見た目なのに、なぜかクジャクがやたらとリアルでシュール。

また、豚さんをナデナデしてご飯をあげたらお肉がプリッと生み出される。どういう仕組みでお肉を生み出しているのだろう。これが、中国4000年の歴史が誇るアジアンファンタジーの世界なのか。

次に「加工」だが、こちらも構造自体はシンプル。さまざまな作物が染料の原材料として使えるほか、加工品の材料としても扱える。

一例として「小麦」は「砂糖漬け」という加工品の原材料となる「砂糖がけ」を作るために使いえる。「砂糖がけ」は特定の作物を組み合わせると「砂糖漬け」が作れる。

加工品は通常の作物をそのまま売るよりも多くの資材を獲得できるため、利用したいところだ。

景観なんて概念はない。無数にそびえるコピペタウンの完成

生産⇒売却⇒資材の確保という一連の進め方はわかった。
次は、どのようにして「総合評価」を上げるかだ。

いざ建築画面に入ってみると、それぞれの建物に評価の数値がしっかりと定められていることがわかった。

読者の皆さまも、もうお気づきのことだろう。
冒頭でコピペタウンができてしまったのはこれが理由である。

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なんだこれ

より効率的に「荘園」のレベルを上げるためには、自分の好きな家だけを建てるわけにはいかない。より高い評価値の建物をひたすら設置しまくり、総合評価を引き上げてから「荘園」のレベルを上昇させる必要があるのだ。

どうせなら、色々と建てられるものを開放してからじっくりとハウジングを楽しみたい。その個人的な欲求が、このコピペタウンを生み出してしまった。

そこには景観とか、癒やしとか、個人的なスペースなんてものは存在しない。
この「荘園」は、たちまち寸分違わず同じ見た目の建物を生産し続ける工場と化した。

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おかしい……

ホビット庄っぽい家を建てたかっただけなのに。

そんな心の叫びも虚しく、その後も資源を集め、クローン建築をひたすら大地に「植えて」いく作業が続く。気がつけば、マップを埋め尽くす無個性な建物群。

それは、ハウジングの神髄に触れるために『逆水寒』の開発者が用意した、一種の修行なのかもしれない。

「いいか、好きに建築がしたいのならまずは都市開発だ。農場を運営しろ。加工販売して稼げ、住む場所を作れ」と、そうささやいているのかもしれない。

遠い、あまりにも道のりが遠い……。
だが、この工程を乗り越えた者だけが真のハウジング要素にたどり着けるのだ。

……とはいえ、ただひたすらに農作業に勤しまなければいけないわけではない。

「荘園」のレベルが「5」まで上がると、夜間以外はNPCに依頼して自動的に作物を育ててくれるシステムもある。これは楽だ。さらにレベルが上がると、より広い範囲を指定して、複数回の収穫も依頼できるようになる。

また、「荘園」のレベルが上昇すると作物を植えれるスペースも広くなるため、一度の収穫量は倍増する。基本的には放置要素として、作物が育つのを待つ間はのんびり本編を進めたり、フィールドの探索に勤しむなどして楽しめることだろう。

ここはもう、焦らず急がずの精神でのんびりと進めていこう。

巨大ブラックボックス、リゾート、現代建築となんでもアリ

労働力も手に入り、増産体制に入った荘園はいったん放置しても良い。
余裕ができると、気になってくるのは「ほかの人が作った荘園」だ。

作物が育っている間に、さっそく「荘園」を極めし者たちの建物群を見に行ってみよう。

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!?

ナニコレ……
次に訪れたのは超巨大な謎の黒い立方体
あまりの巨大さに圧倒される。中に入ったら『Cube』【※】が始まるってことはないよね?
おそるおそる、中に入ってみる。

※『Cube』
国内では1998年に公開された脱出映画。
数人の男女は、目覚めたら正体不明の立方体に閉じ込められていた。複数の方向に向けて立方体は通路が繋がっており、幾多のデストラップが仕掛けられている。彼らは脱出するため、そして生き延びるために恐るべき手段をとり始める。

わぁ~~~すご~~~~い

こんなに美しい光景を見せてくれるなんて……デスゲームを想像していた筆者も熱い手のひら返し。あの黒い立方体は、背景を漆黒にして明かりがよく見えるようにする撮影スタジオの設備だった、というのか……。

まさにアイディアの勝利。正式サービス版でも、このような職人が出てくるのかと思うと、とても楽しみだ。

最高~

次に訪れたのは、常夏リゾートスタイルの「荘園」。照り返す太陽、弾ける水飛沫……あまりにも常夏すぎて、バナナとパイナポーの香りが漂ってくるようだ。ここには椅子も設置されており、実際にキャラクターを座らせることもできるので、のんびり夏気分を味わえる。

また、見ての通り「荘園」には水辺を作ることも可能。地形を編集すれば、地面を高く盛り上げて小高い場所に家を建てるといった『シムシティ』めいたこともできる。

「こりゃすげぇ」と感銘を受けた建てものはほかにもいくつかあったが、突出していたのはこのコンクリート構造で作られた現代建築風の荘園だ。

改めて紹介するが、『逆水寒』は北宋時代(大体960年~1127年)というイニシエの中国を舞台としたタイトル。限られた建築素材を駆使して、まさか現代建築っぽいものを建ててしまうとは脱帽である。

ハウジング職人の皆さん。お待たせしました。
このゲームがあなたの沼です。ようこそおいでくださいませ。

そう言えるほどに、自由度が高く、そして作り甲斐のありそうな内容だった。

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建物だけじゃなくて、森を作ってる人もいたよ

憧れのホビット庄は完成したのか?その目で確かめてくれ

できた……なんとかできたぞ……それっぽいものが……。
ここまで来るまで普通に数週間はかかったが、なんとかレベルを「8」まで到達させてホビット庄っぽい建物を荘園に設置することができた。

そして、実際に色々と配置してみるとわかるのだが、本作の設置物はサイズの大小を調節可能。デフォルトでは小さい家かと思いきや、ハチャメチャなビックサイズにすることもできる。

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コピペタウン量産体制の先に待っていたのは、好き放題に建物や家具を設置できるハウジング天国だった。

さて、改めて考えてみる。
筆者は今まで「物乞い」として本作をプレイしてきた。

物乞いの師匠的な存在である「荘九老」は、町の隅っこに焚き火を置いて暮らしていた。その生活スタイルを見習うとするならば……答えはひとつだ。

かぁぁ~~~……これこれっ

ほどよく巨大な建物の裏で隠れてて、焚き火に、雑木林に、勝手に育った野菜
この安心感。たまんねぇな……これだからやめらんねぇんだ、物乞いってやつぁ……


しかし、作ってみて気づいたが本作のハウジング要素は、自分のお気に入りの家を作る……というよりは、木や石なども設置して多数の家を配置するジオラマ制作に近い感覚を覚えた。もちろん、家も当然のように複数設置できる。

まさに景観そのものをデザインする「マイワールド」の創造だ。

『逆水寒』の「荘園」は「風景をまるごと」を作れてしまうだけのポテンシャルを秘めている。 地獄のコピペタウン量産体制は、この広大なキャンバスを自由に塗りたくるための画材を集めるための儀式だったのである。

物乞い、家を建てる。何でもできるMMORPG『逆水寒』で一端の物乞いになれたので、ハウジングを楽しむ。_042

もちろん、これはまだ序の口だ。
超巨大ブラックボックスや、常夏リゾート、コンクリート構造物まで生み出す「荘園の魔術師」たちに比べれば、筆者など赤子同然。

だが、それでいい。 「100通りの生き方」が用意されたこのゲームで、筆者は「ホビット庄(っぽいもの)の村長」という101通り目の生き方を見つけることができた。
『逆水寒』のハウジング沼、恐るべし。

本稿を読んでくれているあなたも、自分だけの「荘園」でコピペタウンの先にある景色を見に行きませんか?

なお、『逆水寒』は11月7日よりPC(Steam、Windows)ならびにモバイル(Android、iOS)に向けて配信中だ。基本プレイは無料となっている。

編集・ライター
『MOTHER2』でひらがなを覚えてゲームと共に育った生粋のゲーマー。 国内外問わず、キャラメイクしたりシナリオが分岐するTRPGのようなゲームが好き。『Divinity: Original Sin 2』の有志翻訳に参加し、『バルダーズ・ゲート3』が日本語化される前にひとりで全文翻訳してクリアするほどRPGが好き。 『ゴースト・オブ・ツシマ』の舞台となった対馬のガイドもしている。 Xアカウント(旧Twitter)@Tsushimahiro23
デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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