ぐっと冷え込んだ初冬の日曜日。あらゆるVRゲームをプレイし尽くすドワンゴVR部の面々はある思いを胸に抱え、メンバーのひとりhaneda3の自宅に集合した。
日本時間11月9日に投開票が行われたアメリカ大統領選。ドナルド・トランプ氏の勝利というまさかの結果に終わったが、その影響はVRゲームの世界にも及んでいた。トランプ氏をテーマにしたさまざまなVRゲームが、雨後の筍のように続々と現れているのだ。
どんなクソゲーだろうとプレイしないわけにはいかないドワンゴVR部。トランプ氏とアメリカ大統領選をめぐる、知られざるディープな世界を一緒に体験してみよう。
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※記事中の発言はあくまで個人の見解です。
トランプが負けた世界に逃避しよう
まずプレイしたのはこのゲーム。「The Hillary Wins VR Experience」です。
トランプが負けてヒラリーが勝った世界を体験しようというゲームです。キャッチコピーが素晴らしいですね。「より良い現実に逃避しよう」(Retreat to the best reality)。
まさにバーチャル・リアリティという感じですね。 どんなゲームですか?
テレビで「ヒラリーが当選した」というニュース番組が流れています。
それだけですか?
それだけです。
他には?
ないです。
???
ヒラリーの勝利を伝えるニュース番組が無限にループされてます。
まさに一発ネタですね。
これっていくらなんですか?
無料です。さすがに。
Steamでも配布してなくて、公式サイトに行かないと落とせないです。
よく見つけましたね。部屋の中には ビール瓶 やヒラリーが表紙の雑誌がありますが……。
これもつかめないんですよ。何もできない。
やっぱりVRなんだし、モノを投げたいよね。
ビール瓶をテレビに投げつけて壊したいですね。
というわけで、リアルの瓶を持ってきました。ホッピーですけど。
おっ!
これ飲みながらプレイしましょう。
プレイ……?
シュールですね。
現実のにおいや味を感じるとさらに没入感が高まるんですよね。 これプレイするときはぜひ瓶ビールを買いましょう。
でもよく考えてみると、コントローラではなく何か現実のものを手に持つという方式は、今後のVRゲームでも増えていくかもしれないですね。
他にもクソゲーはあるのでどんどんやっていきましょう。
トランプを破壊し尽くそう
続いてのゲームはこちら。「トランピニャータ(TrumPiñata)」。
トランプの形をしたピニャータ(中にお菓子やおもちゃをつめた紙製の人形)をバットで殴りつけて、いかに早く破壊するかというゲームです。
実にいいですねえ。
楽しそうですね。
木に吊るされたトランプをひたすらバットで殴っていきます。
トランプが吊るされている絵がインパクトありますね。
かつて南部の黒人が木に吊るされていたのを想起させますよね。
なかなかブラックですね。
コントローラをバットのように持って振りまくるんですが、かなり楽しめますね。
バットでガッと殴りつけるというアクションが、今までのVRゲームにはあまりなくて新鮮ですね。
バイオレンスですね。
すごくシンプルだけど、想像していたとおりの楽しさがありますよね。VR的にはいいゲームなんじゃないかと思います。
これ、殴るたびにトランプが何か言ってますね。
殴られると暴言を吐くんですよ。「壁を作るぞ」とか「移民は排除しろ」とか。
殴れば殴るほどもっと殴ろうという気持ちになって、 心が痛まないのでいいですね。
なるほど。ちなみにこれはいくらですか?
1ドルですね。1ドルならぜんぜんありです。
ゲーセンに置いてあって1ドルで体験できたらかなり満足しますよね。
1~2分間全力で振りまくるのでけっこう疲れるし、ゲームとしてちょうどいいです。
でも1人でやると虚しいですね。
みんなが集まったときにワイワイやるのがいいですね。
パーティーゲームとしては星2つあげたいです。こういうクソゲーもあるんだよ、とVR初心者にプレイしてもらうにはぴったりですね。
鏡を覗くとトランプに…!?
皆さん楽しそうですね。続いてのゲームは「Trump Simulator VR」です。
トランプになりきって、時間内に部屋の中でさまざまなミッションをこなしていくというゲームです。
脱税に関する書類をシュレッダーにかけて隠蔽するとか、アルファベットが書かれたブロックを積み上げて「TRUMP」タワーを作るとかですね。
実際のトランプもやってそうですね。
まずVR内の鏡を見ると、自分がトランプの顔になっていてギョッとします。
嫌だな……。
部屋の中にいろんなしょうもない小ネタが仕込んであります。机の中から金髪染めが出てきたり、プーチンからの贈り物でハートマークのチョコレートがあったりとか。
個人的にかなり好きなのは、スピーチを考えるミッションですね。冷蔵庫にマグネットでキーワードが貼ってあるんです。「ヒラリー」とか「ウォール」とか「メキシコ」とか。
それを適当に組み合わせるとトランプ本人の声で読み上げてくれるんです。
これは本当に面白いですね。このスピーチ作りだけでいつまでも遊べますよ。「ヒラリー・イズ・ノット・グレート」とか。
ハマりすぎですね。
ちなみにクリアすると一応ボーナスゲームがプレイできるんですが、これは何というか……。
説明しづらいですね。
どう説明しづらいんですか?
日本語に直訳すると「子猫をつかむ」ゲームです。
これは完全にアウトですね。
というわけで、皆さんのご想像にお任せします。これも1ドルですが、払った価値はありましたか?
まあワンコインと考えればこんなもんかな。
私はけっこう満足しましたけどね。ただマグネットどうしがくっついてうまく動かせないことがあるのが難点ですね。
あのスピーチ作りをそこまで真面目にプレイする人greenspaさんくらいですよ。
でもお馬鹿シミュレーターゲームって実はみんなこんな感じなんですよね。Goat Simulator(ヤギになりきって街を動き回るゲーム)とか。
限られたシチュエーションで小ネタがいくつか仕込まれているというね。
そういう意味では「シミュレーターゲーム」と「トランプ」と、二重のパロディになっているんですよね。
なるほど。なかなか奥が深いですね。
トランプもヒラリーも両方叩こう
いよいよ最後のゲームとなりました。プレイしてもらったのはこちら。「Whack-a-Vote: Hammering the Polls」です。
文字通り、立候補者を「叩く」(Hammer)ゲームです。
なるほど、モグラ叩きゲームですね。
まず投票所に入るところからスタートするんですが、そこに書いてあるのが「あなたは文字が読めますか?」。
低所得者層の識字率を風刺しているわけですね。
しばらくすると投票ブースに連れて行かれるんですが、そこになぜか投票箱ではなくモグラ叩きマシーンがあるんです。
???
モグラ叩きのモグラはヒラリーとトランプの2人です。
どちらかではなく両方叩くんですね。
ハンマーはいろんなバリエーションがあって、トイレのスッポン、叩くと割れる風船、大声で鳴く鳥のおもちゃなどなど……。
しかもそれぞれ叩く時の音がちゃんと違うんですよね。
無駄にオプションが充実してますね。
そしてこのモグラ叩きがめちゃくちゃ難しいんですよ。
すごく難しいよね。0.5秒くらいしか出てこない上に、たまに全然関係ないキャラが出てきて、それを叩いてしまうとマイナス10点になる。
トランプとヒラリーはプラス1点なのに。プラスにするのはかなり難しいですね。普通にマイナスになります。
人間の反射神経の限界を超えてますね。
ちなみにこれはいくらですか?
最初は1ドルだったんですけど、最終的に無料になって、全額返金されました。
無料のモグラ叩きゲームとしてだけ見ても結構クオリティ高いですね。
コンセプトと方向性もいいですね。大統領選を笑ってやろうという意図がちゃんと伝わってきて。
こういうものを作る人はある程度ちゃんと政治について考えてる人なんでしょうね。
プレイする側もリテラシー高そうですよね。
そもそも高収入じゃないとVR買えないですからね。
確かに。
VRゲームって、無料・有料にかかわらず低収入の人はプレイできない、けっこう閉じた世界なんですよ。
というわけで4つのトランプVRゲームをプレイしましたが、どうでしたか?
楽しかったですね。ちゃんと動くし。
そこですか。
有料でも動かないVRゲームは普通にたくさんあるんですよね。
起動すると毎回クラッシュするVRゲームが世の中には溢れてるんですよ!(怒)
あらゆるVRゲームをプレイしてきたgreenspaさんならではの怒りですね。
そういう意味ではプレイできただけで合格点ですね。
ちなみにおすすめはどれですか?
え? 今までのゲームで一個でも人に勧めたいやつありました?
このゲームをやっている時間でネコを撫でていた方が幸せだったかもしれないですね。
まあ、VR部的にはこんな休日の過ごし方もいいんじゃないかということで。ドワンゴVR部では今後もさまざまなVRゲームをプレイし尽くしていきたいと思います!
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