ゲームパブリッシャーのPLAYISMは、韓国の個人インディーゲーム開発者Somi氏が開発する『レプリカ』と『リーガルダンジョン』のNintendo Switch版を世界的に販売することを発表した。
Nintendo Switch版は、両作とも日本語を含む複数の言語に対応する。PLAYISMによると、今後PlayStationプラットフォームでのリリースも控えているという。『レプリカ』は今秋に発売予定。『リーガルダンジョン』は2021年に発売予定。価格はともに未発表だ。
Somi氏の開発する「罪悪感三部作」の内の最初と二番目の作品だ。なお、今回の発表にはないが、三番目の作品は7月に発売された『The Wake: Mourning Father, Mourning Mother』となっている。
『レプリカ』は2016年に発売されたスマートフォンとソーシャルメディアをテーマにしたアドベンチャーゲーム。プレイヤーは政府の命令で正体不明のスマートフォンをハッキングし、ソーシャルメディアやメールなどの記録をのぞき見てテロ容疑の証拠を探すことになる。プレイヤーが取る行動で12種類のエンディングに分岐し、主人公やスマホの持ち主、関係する人々の運命が決まる。
さまざまな痕跡からパスワードやアカウントを割り出し、他人のスマホをのぞき見るという題材は高い評価を受け、IndieCade Award 2016のインパクトアワードや台北ゲームショウ2017 グランプリアワードなど複数の賞に輝いた。
「罪悪感三部作」の2作目にあたる、2019年にリリースされた『リーガルダンジョン』は、警察官として捜査書類を作成するゲームだ。
窃盗や殺人など、8つの事件と関係のある捜査書類を読んで事情聴取をし、関連法令と判例に従い最終的な捜査意見を作成するのがゲームの基本となる流れだ。現場に行って捜査する必要はなく、すでに作成された供述書などの膨大な書類を読んで事実確認を行い、ワードを選んで意見書のフォームを埋めていく。
その意見書をもとに検察は起訴するか否かを決定するため、プレイヤーは供述調書だけでなくさまざまな思惑の中で、自身と被疑者達の運命を決めることになる。
その後、被疑者に事情聴取を行うが、この部分が主人公と被疑者のRPGバトル風になっており、ゲームではこれを「ダンジョン」と呼んでいる。
起訴をすれば警察内部での評価である「成果ランク」は上がっていき、不起訴や敗訴などで「法機関評価ランク」が低下する。成果ランクと法機関評価ランクが最低値にまで達するとゲームオーバー。
自身の立場を考え、警察内部での評価を上げるため、証拠を上手く組み合わせて無実の被疑者を起訴に持ち込むことすら視野に入るだろう。ゲームを通じて、プレイヤーは治安のバロメーターは「検挙実績」ということを実感していくことになる。
『リーガルダンジョン』のローカライズは、『グノーシア』、『メゾン・ド・魔王』開発チームであるプチデポットが手掛けており、今回のコンソール版のメインビジュアルは、プチデポットによる書き下ろし作品となっている。
ローカライズにあたり、プチデポットからコメントも届いている。
リーガルダンジョンは、書類を作るゲームです。
主人公は警察の捜査チームのリーダーとして、捜査員たちの報告書や供述書などを読み、容疑者を起訴するか否かの意見書を作ります。
「書類には、人格も感情も存在しない」
ですが、この書類によって容疑者やそのまわりの人々、そして主人公の運命も変わっていくことになります。作者の SOMI さんは、実際に法執行に関わるお仕事をなさっているそうで、ゲームに登場する事件や人物からは、経験に裏打ちされた「強さ」を感じます。
そしてこの物語には、強さと共に、SOMI さん自身の「祈り」がこめられています。この「祈り」に触れた我々は、この物語がしっかり届くように、翻訳のお手伝いを申し出ることになりました。別に求められていたわけでも何でもなく、そうすべきだと思ったからです。
リーガルダンジョンの翻訳をしている間は、とても実り多く、充実した時間でしたよ。
(ちなみに拙作グノーシアのリリース直前だったので、リーダーには黙ってコッソリやってました)
『レプリカ』、『リーガルダンジョン』ともすでにPC版は発売となっているが、手軽にプレイできるNintendo Switch版がついにリリースされることとなった。
一方はスマートフォンという日常と個人に根付いたアイテムを扱い、他方は普段の生活ではあまりなじみのない捜査書類を作ることを扱う。これらをプレイすれば、なぜ全く異なる大罪が「罪悪感三部作」として数えられているかも見えてくるだろう。
ライター/古嶋誉幸