今年9月、マイクロソフトは75億ドル(約7800億円)を投じて『The Elder Scrolls』や『Fallout』シリーズのBethesdaの親会社であるZeniMaxを買収することを発表した(参考記事)。有力なIPを多数抱える同社がXbox Game Studiosの傘下となったことで、一部のユーザーが「特定のタイトルが独占販売されるのではないか」と危惧する様子も見られた。
一方で、先週実施された「ジェフリーズ・インタラクティブ・エンターテインメント・バーチャルカンファレンス」にて、マイクロソフトのXbox部門最高財務責任者ティム・スチュワート氏は、BethesdaのタイトルをXbox独占として展開する考えはないことを明確に強調した。
スチュワート氏はカンファレンスの中で、「長期的に見ても、ソニーや任天堂のプラットフォームからBethesdaのコンテンツを引き離すつもりはありません」とコメントしている。
買収後に公開されたXboxのキーマンへのインタビューから、これまでは「少なくともZeniMax傘下の開発会社の作品がXboxで完全に独占されることはない」ことが予想されてきた。
海外メディアKotakuによるスペンサー氏のインタビューでは、同氏がこの買収がプレイヤーからゲームを奪うものではないと説明。また、Bethesdaのトッド・ハワード氏も海外メディアGameindustry.bizにて、「『 The Elder Scrolls 6』がXbox専用になると想像するのは難しいです」と答えている。
しかし今回のように、「Bethedaのコンテンツをほかのプラットフォームから引き離さない」と、Xbox独占を公の場で明確に否定したケースは今回が初と見られる。
一方でスチュワート氏は、「私たちは長期的に見てコンテンツがXboxプラットフォームで“最初”か、”より良い”あるいは“最高”、または“差別化された”体験を望んでいます」とも語っている。たとえば今後『Fallout 5』が出るとして、ゲームがXboxで先行販売されたり、あるいはXboxの独占コンテンツが出る可能性は否めないことがこの発言から読み取れる。
また氏は、Xbox Game Passが大きな強みになるともしている。月額850円から加入できるサブスクリプションサービスは、Bethesdaのゲームも発売日から遊べるようになる予定だ。Bethesdaのゲームが、Game Passの加入者をさらに増やすと期待ている。
プラットフォームビジネスはXbox Series XとPlayStation 5、Nintendo Switchの時代へと移ったが、現在でも時限独占や独占コンテンツは存在し続けている。たとえばBethesdaが販売する『DEATHLOOP』と『Ghostwire: Tokyo』は、コンソールではPS5が1年間の時限独占権を獲得しているとEurogamerが報じている。
また、Activisionの『コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー』は、「Zombies Onslaught」モードが1年間PS5とPS4で時限独占となっているほか、いくつかのPSコンソール専用の特典がつく(参考リンク)。
今回の発言の音声はseekingalphaにアップロードされ、海外メディアArs Technicaなど複数のメディアがそれを報じている。『The Elder Scrolls 6』や『Starfield』など、Bethesdaの開発する超大作ゲームがリリースされるのはもう少し先になりそうだが、今後これらの作品はどうなっていくのだろうか。
背景には資金や技術提供、開発難度や契約などさまざまな面があるが、より独占が少なくオープンにゲームが遊べる日が来ることを願いたい。
ライター/古嶋誉幸