海外メディアPCGamesNが、Valveの運営するゲームダウンロード販売プラットフォーム「Steam」で販売されているゲームの数が5万を超えたことを報じた。北米地域の数字で、2月12日の時点で5万46本、2月16日の時点で5万97作品となっている。
日本からもSteamで売られているゲームの本数が確認できるが、2月16日現在で総勢は4万9773作品となっている。これはリージョンロックがかかっているゲームがカウントされていないためだと考えられる。
SteamはもとはValveの作品をプレイするためのサービスとして2003年に開始され、2005年にインディーゲーム『Ragdoll Kung Fu』と『Darwinia』の販売を開始した。この2本がSteamで販売される初めてValve以外のゲームとなった。
2006年からは大手パブリッシャー、デベロッパーとの販売契約にも力を入れ始めた。2007年には『DOOM』シリーズのid Softwareや『HITMAN』シリーズのEidos Interactive、カプコンのゲームも販売。市場調査会社Statistaによると、2007年にSteamでリリースされたゲームは100本を超えている。
そこから2012年までは年間200本から300本と、ほぼ一定数のゲームがリリースされ続けていた。しかし、2013年には500本を超え、2014年には3倍となる1700本を超えた。一気に本数を増やした理由は、ユーザー投票によってSteamでリリースするゲームを決定する「Steam Greenlight」がサービスを開始したことによる。
2012年にスタートしたSteam Greenlight以前は、Valveが社内でSteamにて販売するゲームを決めていた。しかし、ユーザーが本当に求めているゲームを判断することが難しいと感じた同社は、このシステムで本当にユーザーが欲しがるゲームを選び出すことにした。
2017年まで続いたこの試みは、大手開発会社だけでなく少人数の開発チームにもSteamでゲームを販売する機会を与え、結果としてSteamに並ぶゲームの本数は一気に増えた。
Steam Greenlightの後釜となったのが、2017年に始まった「Steam Direct」だ。Steamでゲームを販売するためにユーザー投票を経る必要がなくなり、100ドル支払えば誰もがSteamにゲームを並べられるようになった。ただしValveによる管理は行われるので、著作権違反や荒らしを目的にしたものなど悪質なゲームは削除されることもある。
Steam Directが始まった2017年は、2016年の2倍近い7000本のゲームがリリースされた。Steam Directは2021年現在も続いており、2020年にはついに大台の年間1万本のゲームがリリースされることとなった。
誰もがSteamでゲームをリリースできるようになった一方、作品が埋もれやすくなり、Valveが何の警告もなくゲームを削除するなど、問題も報告されている。Valveも現状を打破するため、表示したゲームと似たゲームをオススメするシステムや、ユーザーがゲームをオススメする「Steamキュレーター」、新しい検索システムなどでなんとか検索性を上げようとしている。
一方、開発者同士もどうすればSteamで目立つページを作れるかなど、さまざまな方法を研究・共有している(参考リンク:gameindustry.biz)。
さまざまな理由により、Steamではこれまで無数のゲームの販売が中止されているが、今回の数値はいままでに発売されたゲームの累計が5万本ではなく、現時点でSteamで販売されるゲームが5万本となる。さらにSteamではこのほかにも、DLCやソフトウェア、動画も販売されているが、ゲームのみの数値であり、驚かされる数字だ。
販売されるゲームの本数と比例するように、Steamのユーザー数も伸び続けている。2021年2月には、同時接続ユーザー数が初めて2600万人を超えた(参考記事)。2021年は果たして何本のゲームがリリースされることになるだろうか。
ライター/古嶋誉幸