Unity Technologiesは8月11日、新たな技術デモ映像「Lion: A glimpse of the future with Unity Art Tools」を公開し、あわせて海外向けに技術デモを解説する記事を公式ブログに公開した。
今回発表されたデモ映像はUnityが買収したWeta Digital社のWigとZiva Dynamics社のZive、SpeedTree.、SyncSketch、そしてUnity Editerを使用して制作されたもの。技術デモはPS5で4K、30fpsで動作するプロジェクトとなっている。
上記の制作ツールを使用し、本作ではモデリングした物体を動かす仕組みを制作する作業であるリギングと筋肉の動きに合わせてオブジェクトを変形させるデフォーメーション、体毛の制作、ビジュアルとして出力するレンダリング、オブジェクトの質感や描画方法を設定するシェーディングを連動したワークフローで制作しているという。
技術デモで着目すべきポイントは、ライオンの筋肉の表現と緻密で大量の体毛がリアルタイムで動く表現だろう。
筋肉の表現は、まず『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ゴジラvsコング』などの映画作品にも使用される軟組織シミュレーション プラグイン「Ziva VFX」を活用して再現したのち、『Marvel’s Spider-Man: Miles Morales』にも使用されているZivaの機械学習技術「ZivaRT」を使用することで肉体のなまめかしい筋肉の動きをリアルタイムで表現しているという。
いっぽう、体毛は現在プレアルファ版として公開されているWeta FXのグルーミングツール(オブジェクトに体毛を生やすツール)Wigを活用して作成されている。
また、本技術デモではリアルタイムで体毛がふさふさとなびいているが、これはUnity editerの新機能によるものだそうだ。この機能はGPU 駆動のヘアシミュレーション機能であり、何百万もの体毛をリアルタイムで動的に反応させ、動かすことを可能とする。
このアプローチは、以前公開された技術デモである「Enemies」で使用されたものだが、体毛の数は数ケタおおくなっている。そして「Lion」では、何百万もの体毛を正しく描画すべく、Unityの物理ベースのレンダ―パイプラインの改良されたバージョンも使用されているという。
Unityは技術デモ「Lion」向けに開発された新しいヘアシミュレーションとレンダリングテクノロジーを来年に配信を予定しているUnity 2023.1 で一般公開する予定だ。技術デモの映像は一見トリプルAAAタイトルに向けた技術であるように感じるが、体毛のシミュレーション技術は公開されれば誰でも無料で使用可能となる。
Unityを使用してフォトリアルなビジュアルのゲームや映像、グラフィックを制作している方は、Unity 2023.1 の配信を待とう。