Toge ProductionsとMojikenとPQubeとコーラス・ワールドワイドは、連名で90年代のインドネシアを舞台にしたアドベンチャーゲーム『A Space for the Unbound』に関するアナウンスを発表した。
ゲームスタジオのToge ProductionsとMojikenは連名で、パブリッシャーのPQubeと対立していたが、今回、各社が満足する形で合意に達したと発表している。
その結果、『A Space for the Unbound』の家庭用ゲーム機版のグローバルパブリッシングはコーラス・ワールドワイドが担当する。また『A Space for the Unbound』のリリース時期についてはまもなく発表されると伝えている。
— A Space for the Unbound 📕💫 (@ASFTUgame) October 14, 2022
Toge Productionsは『コーヒートーク』の開発・発売で知られるインドネシアのゲームスタジオで、『A Space For The Unbound』ではPC版のパブリッシャーを担当する。Mojikenは『A Space For The Unbound』を開発しているゲームスタジオで、同じくインドネシアに拠点を置いている。
『A Space For The Unbound』は、90年代後半のインドネシアの田舎町を舞台にした、人生の一幕を切り取ったようなアドベンチャーゲームとなり、美しいピクセルアートが特徴だ。日本ではコーラス・ワールドワイドから発売が予定されている。
これまでの経緯を簡単に振り返ると、Toge ProductionsとMojikenは『A Space For The Unbound』の欧米における家庭用ゲーム機向けのパブッシング権の契約をPQubeと結んでいたが、Toge ProductionsとMojikenは、PQubeとの間でさまざまな問題が起きたとして、日本時間8月24日付けで連名で声明を出してPQubeを告発した。
Toge ProductionsとMojikenの告発によると、PQubeはゲーム開発者を支援する目的の助成金を無断で受け取り、さらにそれを最低保証金として使用し、収益分配金の増額交渉に利用したという。
こうしたことを把握したToge ProductionsとMojikenは、PQubeとの家庭用ゲーム機向けのパブリッシング契約を解除しようとしたが、PQubeはパブリッシング権の返却を拒否した。そのため8月に告発する事態となったようだ。だが、PQubeはその告発に一部反論するなど両社は対立の様相を見せていた。
今回は、この出来事に大きな進展があり「各社が満足する形で合意に達した」という声明が発表された形だ。
声明は『A Space for the Unbound』公式Twitterアカウント(Toge Productions、Mojiken)、PQube公式Twitterアカウント、さらにコーラス・ワールドワイドの英語版公式Twitterアカウントから、それぞれが同一のものが出されている。
声明では『A Space for the Unbound』のPC版は引き続きToge Productionsが担当する。そして新たに家庭用ゲーム機版のグローバルパブリッシングは、日本に拠点を置いているパブリッシャーであるコーラス・ワールドワイドが担当する。また発売時期に関することもまもなく発表されるとのこと。
さらに「両当事者間の契約条件の一部に関して商業上の見解の相違があったが、すべての当事者は以下のことを明確にしたいと考えている」とした。それらは以下になる。
1.PQubeが受け取った助成金は、すべてToge Productionsが受け取った。
2.PQubeは、Toge Productionsへの権利返却を全面的にサポートする。
さらにこの件に関して、Toge ProductionsとMojikenとPQubeとコーラス・ワールドワイドの4社は、これ以上の公式声明を発表しないという。
アナウンスでは、Toge ProductionsとMojikenとPQubeの3社は、「コーラス・ワールドワイドが相互に合意できる解決策をまとめてくれたことに感謝しており、互いの今後の発展を心から祈っています」としており、コーラス・ワールドワイドが助け船を出したことが明らかとなっている。
助成金やパブリッシング権をめぐる一連の複雑な問題だったが、コーラス・ワールドワイドの助力により解決に至ったようだ。
なおコーラス・ワールドワイドによる公式サイトによれば、『A Space For The Unbound』は日本では今冬の発売が予定と記載されている。PS4、Nintendo Switch、Xbox Oneにて展開予定でパッケージ版も発売予定だ。
ちなみにPQubeは、ほかにもインドネシアの開発会社Corecellからも告発を受けている。こちらの進展にも期待したいところだ。