ソーシャルVR(仮想現実)プラットフォーム『VRChat』を運営するVRChat社は日本時間11月23日(木)、同社が導入を予定している「クリエイターエコノミー」の一環として、クリエイターが有料サブスクリプションを販売・提供できるようにするサービスの試験提供を開始した。本サービスは約2週間のオープンベータ期間を経て正式にリリースされる見込みだ。
クリエイターエコノミーの最初の要素!VRChatオープンベータのアップデートで、有料サブスクリプションが導入されました!今後、より多くのクリエイターにこのシステムへのアクセスを開放し、クリエイターエコノミーに関するさらなる発表を2024年1月に予定! https://t.co/izwFSNWMTK
— VRChat 日本語公式 (@VRChat_JP) November 23, 2023
『VRChat』は、仮想空間上での幅広い体験や世界中にいるユーザーとのコミュニケーションを楽しめるソーシャルVRプラットフォームだ。本プラットフォームはVRヘッドセットで一人称視点の体験を楽しめるほか、オンラインゲームの感覚でPCからも接続可能だ。
本プラットフォームでは自分の外見となるアバターや衣服など、クリエイターの制作した数多くのコンテンツが商品として取引されている。しかし、プラットフォーム内に独自の通貨や決済システムは存在せず、BOOTHをはじめとした外部サービスに依存してきた現状がある。
今回発表された有料サブスクリプションは、『VRChat』内で完結するクリエイター主体の経済圏を構築する「クリエイターエコノミー」 の取り組みの一環であり、プラットフォーム内には現実のお金で購入できる独自通貨「VRChatクレジット」が実装された。
ユーザーは任意のクリエイターにクレジットを支払うことでサブスクリプション加入者だけ入れるエリアの利用やオブジェクト、イベントにおける優先・独占アクセス権など、クリエイターが用意した特典を受けられるという。ただし、サブスクリプションに自動更新の機能は用意されておらず、有効期限が切れた際にはWebブラウザ上から手動で更新する必要がある。
一方、クリエイター側は『VRChat』独自のプログラミング言語「Udon」を活用してほぼ無制限にサポーター向けの特典を構築可能。クリエイター側に入る収益の配分率は50%で、残りの50%はVRChat社やパートナー企業、Steam・Metaなどの配信プラットフォーム側へ分配される。
なお、オープンベータ版では誰でもサブスクリプションを購入できるが、販売できるクリエイターは制限されている。利用できるクリエイターの範囲は段階的に拡充されていき、最終的にはだれでも販売者としてサービスを提供できるようだ。
いわゆる“メタバース”への経済システムの導入ということもあり、つい身構えてしまう人もいるかもしれないが、VRChat社の広報リーダーを務めるStrasz氏は告知映像のなかでクリエイター制作のコンテンツにおける重要性や先述のクリエイター経済の現状を踏まえたうえで「『VRChat』の性質が変わるわけではない」と断言。サブスクリプション機能の追加によって「クリエイターとサポーターの生活がより楽になると確信している」と伝えている。
なお、『VRChat』における「クリエイターエコノミー」導入の取り組みは今後も続いていく。2024年1月にはさらなる開発者向けのアップデート情報を伝えるようなので、興味があるクリエイターの方はチェックしておくとよいだろう。