黄衣の王、現る……
内山:
すると君の背後に、いきなり何者かの気配を感じる。振り向くと、そこには黄色いボロを着た、長身の人物が立っています。
しかし、そのローブの奥の顔は見えない。深い闇になっていて、そこからは隙間風のようなものが吹いて、君の方をくすぐります。
そして重々しく枯れた声で、君に問いかけます。
「9人の演者はどうした? まだ足りぬぞ」その途端、君の足元に、さっき蹴飛ばしたスタッフたちが……。
はしやん:
またかよ。
内山:
「讃えよ、讃えよ、いあいあ、いあいあ」(スタッフたち)
はしやん:
気持ち悪い。
内山:
ローブの男は君に対して、君の答えを待っている。
はしやん:
「もうちょいっす。いったん、もうちょいかかるんですよ」(高橋)
内山:
もうちょい(笑)。
はしやん:
「もうちょいかかります」(高橋)
内山:
なるほど。
はしやん:
「絶対出すんで。あと2人」(高橋)
内山:
では君はここで「アイデアロール」が振れます。「アイデア」いくつですか。
はしやん:
80です。頭いいぞ俺は。(ダイスを振って)79。
内山:
成功。
では君は、その黄衣の王と思しき、何者かの直感を感じ取ります。言葉に何かひらめきを感じます。
「9人の演者を用意せねば、この王に殺されてしまう。誰かを犠牲にしないと」とひらめくのですが、あなたは狂気に陥ってはいないので、別に実行を移さなくてもいいのですけれど、怖い考えに取り憑かれてしまいます。
はしやん:
そういう可能性があるよ、と。
内山:
あなたの行動の自由は奪いませんが、あなたはそういうことをひらめきます。よかったね、メリットしかなかったと。
一方その頃、唐突に高橋さんが後ろを振り向いたかと思うと、2人は異常なものを目撃します。
先ほどからスタジオの天井に黄色い風が渦を巻いているのですが、その中心から1本の白いイカの足のようなものがヌルヌルヌルヌルッと滑り落ちて、高橋さんの目の前にプランプランプランとしているのです。
そのイカの足に向かって、高橋さんは恐縮した顔で「もうちょっとっす」と。
はしやん:
「もうちょっとっす」(高橋)
内山:
イカの足と真顔で話しているのです。
コウノスケ:
「ハジメちゃん【※】、何を見てるの、いったい?」(桃園)
※高橋一の愛称
はしやん:
「もうちょっとっす」(高橋)
内山:
さて、全員「正気度ロール」をしてください。
コウノスケ:
我々も?
内山:
イカの足を見た人と、黄衣の王を見た人で、「正気度ロール」の結果が違いますので、お願いします。じゃあ、はしやんさんお願いします。
はしやん:
(ダイスを振って)バリバリ失敗っす。83です。
内山:
分かりました。では次。ぴゃんみつさんは。
ろうえなぴゃそみつ:
(ダイスを振って)55。成功です。
内山:
成功は1点だけマイナスです。失敗は後で言います。コウノスケさんは? 桃園姉さんは?
コウノスケ:
(ダイスを振って)67で失敗です。
内山:
では桃園姉さんと高橋さん。6面ダイス分「正気度」を減らしてください。これで5以上が出ると、狂気に陥る可能性がありますので、気をつけてください。
はしやん:
マイダイス振ります。
内山:
お願いします。
はしやん:
頼む、1、1……(ダイスを振って)4っす。そこそこだな。
内山:
成功です。じゃあ4点減らしてください。
コウノスケ:
振りましょう……5(笑)。
はしやん:
ガッツリ行ったな。
コウノスケ:
やばい。
内山:
さすがベテランの方はルールの説明をさせてくれてうれしいですね。
一度に正気度が5点以上減ると、「一時的狂気」という、パニック症状みたいなことを起こすことになってしまいます。
ただし、このイカの足が本当に恐いものかどうか、理解しなければ、そこまで取り乱す必要はありません。
これはでかいイカだと思っていると、馬鹿な子は大丈夫ですけれど、賢い子は、これはもしかしたらハスター【※】の一部ではなのではないかと、恐い考えに取り憑かれ、狂気に陥ります。
もう1回、真ん中で振ってもらいましょうか。「アイデア」はいくつですか。
※架空の存在の名称。作品によって、神、人、土地などを指す
コウノスケ:
「アイデア」は55です。
内山:
では、55。失敗してください。成功すると狂います。
コウノスケ:
では。あ、成功しちゃった(笑)。
正気度が一度に5減った桃園、狂気に陥る
内山:
横でうーぴゃーは「でっかいイカの足、イカの足」ってビビりながらも、大して怖くはないんですが、桃園姉さんは、そのイカの足に見えるものが宇宙を渡る、魔封の主である、ハスターのごくごく一部の爪の先の一部が、今ここに降臨して、もしかして高橋と真顔でしゃべりあっているんじゃないかという、変な妄想に取り憑かれてしまいます。
コウノスケ:
「あれはただのイカの足じゃないわ」(桃園)
内山:
狂気に陥ってしまいます。どのような狂気に陥るのか? 当然、これも天の神様に聞いてみましょう。狂気アンケート項目をお願いします。
コウノスケ:
アンケートなんですか?
はしやん:
これもアンケか。
内山:
今回4択にしました。
はしやん:
割と。
コウノスケ:
きついな。
内山:
「幻覚と妄想」「異常な執着(フェチ)」「疑心暗鬼」「幼児退行」。
はしやん:
これ、割と2択でしょ。
コウノスケ:
いやいやいやいや、やめてくださいよ(笑)。
内山:
ここはコウノスケさんに演じてもらいたい狂気を、天の邪心が決めます。
コウノスケ:
ただでさえオカマなのに。
はしやん:
やっぱり2択じゃないか。
内山:
イカが決めます。そろそろ大丈夫でしょうかね。コウノスケさん一言、どれがイチバン嫌ですか。
コウノスケ:
「幼児退行」がキツイんじゃないかな(笑)。
内山:
「幼児退行」は嫌だそうです、皆さん(笑)。
はしやん:
4が嫌だってよ。
コウノスケ:
やばいやばやばい。
内山:
では結果、そろそろお願いします。
はしやん:
あれ。
コウノスケ:
あらら。(笑)。
内山:
「異常な執着(フェチ)」と出ました。
はしやん:
やっぱり2択じゃないか。
内山:
何に執着するタイプですか。オネエは。
コウノスケ:
どうなんでしょう。やっぱり、ハジメちゃんが突然とっても可愛らしく見えちゃったということで。
はしやん:
来たか。俺フェチか。
イカはスルスルと天井に消えていったが……
内山:
いいですね。じゃあはっきり言って、うーぴゃーと加瀬から見たら、もうこの2人ダメですよね。(笑)。
この後、高橋さんが「もうちょっとっす」って言ったら、そのまま黄衣の王は消えてしまいますし、イカもまるで話が終わったかのようにスルスルスルっと戻っていきます。
ただ、あなたの心には「あと2人」という嫌な暗示が残っていて……。
はしやん:
これは伝えても伝えなくても?
内山:
伝えても伝えなくてもいい。そしてオネエの心には、素敵な何かが芽生えます。
はしやん:
俺か。
内山:
ハジメのどこがいいのかな。
コウノスケ:
「ハジメちゃん、とってもチャーミングな顔をしてるのね」(桃園)
はしやん:
「今っすか!?」(高橋)
コウノスケ:
「今、唐突に目覚めちゃったわ」(桃園)
はしやん:
「何なら俺、今恐いの見て、辟易してますけど」(高橋)
コウノスケ:
「そんなことどうでもいいわ」(桃園)
はしやん:
「この野郎、この危機で」(高橋)
内山:
むしろ怯える顔が可愛いんじゃないかな。庇護欲を……。
コウノスケ:
「怯えた顔がとっても可愛いわ」(桃園)
はしやん:
「いったん、それ置いといてよ。今の状況を整理しようよ。怖かったぁ……。今、俺の目の前に、恐らく……口にするのもこええな……」(高橋)
コウノスケ:
ホニャララの王を――黄色だから、プーさんとか呼んどきましょう。
はしやん:
黄色いしね。
コウノスケ:
そう(笑)。
はしやん:
「プーさんが来たんよ。プーさん来て、チョロチョロっとしゃべった」(高橋)
コウノスケ:
「あら。何て?」(桃園)
はしやん:
「何て言っているか、あんまり分かんなかったんだけど、ゴチャゴチャ、ゴチャゴチャって言ってて。見えてた?」(高橋)
コウノスケ:
「私たちには、何かね……」(桃園)
はしやん:
「見えてないの? 俺にしか見えてない?」(高橋)
コウノスケ:
「その黄色い何とかではなくて、イカだったわよ」(桃園)
はしやん:
「『スプラトゥーン』の話じゃない?」(高橋)
コウノスケ:
「イカの足みたいなのがニョロって出てるのに」(桃園)
はしやん:
「俺にしか見えてなかったってことは、やっぱりプーさんのことは、口とかに出さない方がいいんじゃ……」(高橋)
コウノスケ:
「そうよね。あなたがイチバン、ホニャララの王って言ってたから」(桃園)
はしやん:
「俺にイチバン来た、みたいな。恐い。どうしよう」(高橋)
コウノスケ:
「でも、どうにかした方がいいわ」(桃園)
サヤマDが混乱し、バリケードをどけはじめた
内山:
サヤマDから見たら、そんな君たちは頭がおかしい状況ですね(笑)。まず、
うーぴゃーと加瀬が2人でイチャイチャとしながら、うーぴゃーが「私の方が美人よ」と圧倒して、女王様タイプになっている、と。
そして、桃園が突然イカの足を見た途端、高橋を熱烈と口説きはじめ……。
はしやん:
「何か、手を絡ませてくんだよな」(高橋)
内山:
そして高橋は高橋で、「黄色い男が見えた」とか言い出すと。
はしやん:
「こええんだよな」(高橋)
内山:
そうするとサヤマDは、君たちを真顔で見ます。
「あんたらおかしいよ。お前らだな、これを仕組んだのは。俺は今日、娘の誕生日なんだ」(サヤマD)
コウノスケ:
「あら可愛そう」(桃園)
内山:
「帰らせてもらう」(サヤマD)
コウノスケ:
「それはマズイんじゃないかしら」(桃園)
内山:
サヤマDは、「もう嫌だ、こんなところにはいられねえ」と言って、自分で作ったバリケードをガリガリとどけて、逃げ出そうとしております。
一方、生放送はあと4分で始まります。
はしやん:
つまり今、現在19時10分。
内山:
そうなんです。リアル時間と同じなんですね。さて、ここからはクライマックスになる一歩手前です。
各自行動宣言をしていただきましょう。
整理をすると、加瀬とうーぴゃーは、今、加瀬がちょっと劣勢で、うーぴゃーが問い詰めているところ。
桃園と高橋はイチャイチャして、高橋はすごく嫌がっている。
はしやん:
サヤマは、逃げようとしてる。
内山:
サヤマはバリケードをどけようとしている。
思いついた人から手を挙げて、また全員行動が出たら処理して行きましょう。
「妹も来ているんだ。妻も待っているんだ。早く娘の誕生日に行かないと」とサヤマDは涙ながらにバリケードをどけています。
はしやん:
「うーぴゃー。うーぴゃー、加瀬を説得して、加瀬にサヤマを止めさせに」(高橋)……っていうか、加瀬もバリケードの方にやれない。
内山:
何を企んでいる?(笑)
はしやん:
俺らが止めに行くとかじゃなくて、加瀬さんに止めに行ってもらおうかなっていうだけで、別にそんな下心とかはない。
けれど、様子を見よう。俺ら3人で。ちょっと加瀬さんね。加瀬さん語気が強いから、今ちょっと混乱状態のサヤマさんも説得できると思うから。
「ちょっと君(うーぴゃー)、加瀬さんにサヤマさんを押してもらって……」(高橋)
ろうえなぴゃそみつ:
「OK」(うーぴゃー)
内山:
具体的には?
はしやん:
具体的には、うーぴゃーに加瀬を説得してもらいます。
ろうえなぴゃそみつ:
「もうちょっと美しくなりたいんだったら、その秘訣を教えてあげるから、代わりにあっち行ってよ」(うーぴゃー)
はしやん:
頭いい!
内山:
サヤマを止めろって?
ろうえなぴゃそみつ:
「止めたら私より美しくなれるわ」(うーぴゃー)
内山:
彼女は、意外にもサイコロを振ることもなく、
「確かにね。これ以上、演者が増えるのも面倒だわ」(加瀬)と言います。
なぜ彼女がそんなことを言ったのか分からないが、彼女的には演者を増やしたくないような素振りを、なぜかカリスマ美人のうーぴゃーにはぽろりと漏らしてしまいます。
そして彼女は、ツカツカツカとサヤマの方に向かいますが、探索者の目で見ると分かるのですけれど、サヤマは意外とちゃんとした頑丈そうなおっさんなので、加瀬じゃ抑えきれねえんじゃね? と思います。
なので、さすがに加瀬が本気で止めようとしても、止められない気はします。
コウノスケ:
「どうしましょう。止められなさそうだけど」(桃園)
はしやん:
「やっぱ俺行く。やっぱ俺が」(高橋)
内山:
コロコロと(笑)。
はしやん:
「やっぱ俺がサヤマを止めるしかないな。落ち着かせよう、サヤマの心を」(高橋)
内山:
彼は狂っているわけではないです。「精神分析」では止まりませんよ。
はしやん:
「どうしよう」(高橋)
コウノスケ:
「私は止めるのも行かせるのもありだと思っているんだけど、どっちに加担しようかしら」(桃園)
サヤマを止めるため、高橋はどうする?
内山:
では、そろそろ決を採ってください。
加瀬は変なことをつぶやいて止めようとしていますが、彼女の細腕では止まりそうにない。
桃園さんは意外に行かせるのもありかな、と割と思っていると(笑)。高橋さんはどうする?
はしやん:
「桃園。終わったらデートしよう。だから止めよう。サヤマを止めよう」(高橋)
コウノスケ:
「そんなこと言われたら、私もう、力いっぱい止めるわ」(桃園)
はしやん:
「でしょ?」(高橋)
コウノスケ:
「何だってするわよ」(桃園)
内山:
盛り上がって来ましたね(笑)。
コウノスケ:
「何だってするわ」(桃園)
はしやん:
「絶対デートしようね。だから止めよう」(高橋)
内山:
分かりました。では、運命のダイス。桃園さん、「組み付き」は何%ですか。
コウノスケ:
25しかない。
内山:
25%で「組み付きロール」をお願いします。
はしやん:
その前に、デートの愛の力で、力が倍になっている的なことは? 組み付き力が。
内山:
では、「APP(外見)」の5倍ロールをその手元で振ってもらいます。
はしやん:
APPの5倍は65なので……(ダイスを振って)86! くぅ〜。
内山:
残念。愛のパワーは足りないか。どうも上っ面でしゃべっていますね。
コウノスケ:
これ、「拳」じゃだめなんですか?
内山:
「拳」だと普通にダメージを入れて気絶させることになるから、一発だとちょっと無理かな、という気はします。
それとも、一撃でヤツを気絶させられるだけの破壊力があると思うんだったら、殴ってみてもいいですよ。
コウノスケ:
ダメージボーナスがあるので、行けるかもしれません。
内山:
どちらでも、もちろんけっこうです。
コウノスケ:
とにかく「止まんなさいよあんた」と言って……。
内山:
「拳」で殴る。
コウノスケ:
はい、「拳」で殴ります。
内山:
分かりました、どうぞ。
コウノスケ:
(ダイスを振って)54……これは初期値なので失敗です。
内山:
残念。今、コメントでカマパンチって書いてあるんだけど(笑)。
カマパンチ、割と追加ダメージがあって、この人はケンカには強いんですが、この混乱状況では的確にダメージを与えることはできなかった。むしろ、
桃園が後ろからバコーンと殴ったせいで、バリケードがガラガラと崩れ、サヤマは扉に触れてしまいます。
その途端。
扉から、あの天井にあった黄色い風がうなりをあげて、サヤマの体を吹き飛ばしてしまいます。
そして、サヤマは君たちの目の前で「誕生日にはちゃんと父さん帰るからね」とか言いながら……。
はしやん:
断末魔。
内山:
足元にビチャッと転げ落ちます。
その途端、彼の体も骨なしの人間になって、先ほどの謎の印と同じような姿となり、「いあ! いあ! はすたあ! はすたあ くふあやく ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ」と唱えながら、「讃えよ、讃えよ」と言いはじめます。
先ほど、黄衣の王と話した、高橋さんにだけは聞こえてくる。
「これで8人」。
はしやん:
やっぱりか。