ついに桃園が印を描き終える……
コウノスケ:
描き終わります。
内山:
スケッチブックを描き終えた。いいんですね? 本当に。
コウノスケ:
はい。
内山:
あなたは、その黃の印、ハスターを象徴する、恐るべきパワーを持った印を描いたことにより、一瞬、「黄衣の王」と繋がってしまいます。
「お前は我が信徒か」と、「黄衣の王」が君のことを認めてくれたのです。
あなたの「正気度」が一気に吸い取られます。
大いなる代償、それは……「正気度ロール」をすることなく、自動的に「正気度」が1D100ポイント削られてしまいます。
通常、こんなひどいことはめったに起きないのですが、今回は生放送ということで、お祭りイベントですので、激しめにやっております。
これを見ているキーパーの方々は、絶対に真似しないでください。あくまでも訓練されたプレイヤーによる、デモプレイでございますので。
ではサイコロを……いくつあるんですか、正気度は。
コウノスケ:
正気度は48しかありません。
内山:
つまりここはよく考えれば、48以下を出せば、あなたの正気は残るのです。
コウノスケ:
確かに。
内山:
では、見せてもらいましょう、オネエパワー。48以下。
コウノスケ:
「ハジメちゃん、私をディズニーに連れてって」(桃園)
はしやん:
「連れてってやるぜ」(高橋)
コウノスケ:
(ダイスを振って)43! やったー!!
ろうえなぴゃそみつ:
「おめでとう(笑)」(うーぴゃー)
内山:
申し訳ないのですけれど、確実に「不定の狂気」にいきなり陥りますので、すべてをぶっ飛ばして、オネエがさらに何になってしまうのか、狂気のアンケート表を出していただけますでしょうか。
オネエはどんな狂気に陥りたい? 幼児オネエもいいんじゃない?
コウノスケ:
幼児オネエ(笑)。いやいやいや。
内山:
幼児オネエ、ディズニーランドへ行く(笑)。
はしやん:
楽しそう。
内山:
「幻覚と妄想」もいいよね。なかなか楽しそうですね。「疑心暗鬼」もいいね。「あんた嘘でしょ。刺し殺してやる! ……高橋、路上で刺殺されるの巻」。
どれも楽しそうです。ちなみにコウノスケさんはどれがやってみたいですか。
コウノスケ:
「幼児退行」に行きたい気持ちも出てきています。
内山:
分かりました。では、そろそろ皆さん神様の採点は終わった頃でしょうか。では、発表をお願いできますか。
内山:
神は望んでおられます。あなたは、これは別に赤ん坊になるっていうよりは、責任を負わない、子どもの時代に心を戻して、無責任なワガママを言い続ける、そんな純朴なオネエになると思っていただければ。
そして目の前にいる高橋さんが、今度は急にお兄さんキャラに見えてくるよ。
コウノスケ:
「ハジメお兄ちゃん、ディズニー行こう」(桃園)
はしやん:
「何回も連れてってやるよ」(高橋)
内山:
すばらしい。何て美しい光景なんだろう。しかし……。
この多大なる犠牲を払ったことにより、その印が力を持ち始めます。
スケッチブックに描いたはずの印が、うねうねと動き始め、これが勝手に動き始めるんだから、もはや怪奇現象ですね。
しかし周りに転がっているスタッフどもよりも、むしろすごい勢いで讃えています。
「いあ! いあ! はすたあ! はすたあ くふあやく ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ」
盛り上がって来ております。
ただし、加瀬は君たちを見下したかのように言います。
「9人の演者を揃えて王を満足させたところだって、もう遅い。なぜならば、『黄衣の王』はその姿を見ただけで、人の魂を打ち砕く、大いなる存在。今、生放送を見ている人たちは何人いるのかしらね」と勝ち誇った顔をします。
最後のイベント、視聴者を説得できるか?
内山:
さて、時間も迫って来ましたので、ここで最後のイベントです。
生放送を見ている皆さんに、これから現れるであろう、『黄衣の王』を、姿を見せないように、説き伏せてください。画面の向こうの方々に、言いくるめてください。
はしやん:
マウスを無言で右上に持ってけ。そして左クリックを押せ。それで大丈夫(笑)。またはウィンドウズマークを押し、キーボードのUのボタンを2回押せ。それで大丈夫。
内山:
それで、コメントの方々、納得するのかな(笑)。とりあえず、これは代表者が「言いくるめ」の5分の1を振って決めてもらいます。
ただし、これは非常に難しいロールですが、この人たちの言うことを聞くかどうか決めるのは、サイコロよりももっと上位の存在がいます。それは当然、画面の向こうの視聴者です。
最後のクライマックスアンケート項目を出していただきましょうか。
内山:
これから探索者たちは、代表者が君たちに向かって説得、もしくは言いくるめをします。その言葉を信じて、「画面を見ない」「探索者を無視して、見る」――このアンケートのパーセンテージが、「言いくるめ」の5分の1のボーナスになります。
つまり、探索者を信じて見ない人が60%もいっていたら、「言いくるめ」の5分の1に60%足されて、かなりの成功率。
はしやん:
5分の1にしたのに足せる?
内山:
そうです。
はしやん:
神!
内山:
3人は、誰が視聴者に向かってそれを言うのか、決めてください。そして一言言って、アンケートの結果を出します。
コウノスケ:
じゃあ、誰が「言いくるめ」を振るかっていうことですね。
内山:
ゲーム的には「言いくるめ」がイチバン高い人がやるのがセオリーではありますが、むしろここは、画面の向こうの人たちに心響かせるようなことが言える人を選んだ方がいいかもしれないし、なかなか難しいトコロですな。
うーぴゃーさんなんてどうですか。「言いくるめ」が得意ですけど。何か視聴者の心に訴えるような。
コウノスケ:
そうですね。ここはでも、やっぱり最も美しいPCであり、最も美しいプレイヤーでもある……。
内山:
高橋さん?(笑) オネエ的には、イチバン美しい(笑)。
はしやん:
あいつの基準だと俺かも。でも、世間の基準に合わせたい。
内山:
なるほど。じゃあ、うーぴゃーさん。
今、視聴者たちはゲーム世界の中で、何かこいつらバタバタバタバタ揉めやがって。キエロウが亡くなったことに関係して、混乱してるのかな……と、まんじりもせず、見つめています。
そんな彼らに語りかけてください。画面を見ないように。嘘でもいいんですよ。真実を言ってもいい。どっちにしても「言いくるめロール」になります。
ろうえなぴゃそみつ:
「……皆、目を瞑って」(うーぴゃー)
はしやん:
エロいぞ(笑)。
コウノスケ:
これは言うこと聞くでしょう(笑)。
はしやん:
こんな可愛い子に「目閉じろ」って言われているんだぞ。想像しろ。
内山:
これは思わずキーパーも赤面(笑)。あまりの言いくるめ力に、思わず目を瞑ってしまいましたね。
ろうえなぴゃそみつ:
「いいから瞑りなさい」(うーぴゃー)
内山:
若干お姉さんになった(笑)。なるほど。では、これでよろしいですか。今の彼女の言葉を聞いて、断じて目を瞑るか、だが断るか? 「はい、女王様」っていう人もいますが。1か2か、決めましたね、皆さん。じゃあ結果、お願いいたします。どうぞ。
内山:
すばらしい。しかし半々でしたね。うーぴゃーさん、「言いくるめ」は何%でした?
ろうえなぴゃそみつ:
85です。
内山:
5分の1にすると17ですかね。
ろうえなぴゃそみつ:
17、はい。
内山:
17+切り上げで53は。
ろうえなぴゃそみつ:
70です。
内山:
では画面を消して……70%。これ最後のロールです。泣いても笑っても最後のロール。70以下が出れば、世界は滅びないかもしれない。どうぞ。
ろうえなぴゃそみつ:
行け!(ダイスを振る)
はしやん:
あれ。
内山:
09……。
はしやん:
クリティカルだ! クリティカルじゃねえけど。
コウノスケ:
9です。
はしやん:
9だ。すげえ。
コウノスケ:
すごい。
内山:
すばらしい。
コウノスケ:
持ってるぅ。
内山:
むしろ視聴者の声など要らなかったってこと(笑)。自分の技能だけで成功です。
コウノスケ:
さすがお姉さま!
はしやん:
持ってる。
黄衣の王、現る!
内山:
画面の向こうで、いったい視聴者たちがどうしているのか。それは、想像はつきません。
ただ、コメントはピタリとやんで、君たちに対しての戸惑いの声とか、そういったおもしろコメントもなくなり、画面は静かになります。
一方、天井に響く渦巻きの風鳴りは、さらに強さを増していきます。
天井からは1本、また1本と、あの恐ろしいイカの足が伸びていきます。
そして1人1人のスタッフたちを絡め取ると、上に吊り下げていくのです。その足は、9本しかないのです。1人、1人、1人と……。
まず先に、演者の方を優先してさらっていくので、8人の人間がさらわれ、イチバン最後、桃園が命を賭けて出したその印を、回収していくのですが……。
はしやん:
え? マジか? マジか? すげえの来るぞ。すげえの来るぞ!
コウノスケ:
すごいことになってる……。
はしやん:
すげえの来るからな!!
内山:
もう親に見せられませんな(笑)。
何と幸いなことに、あのスケッチブックはさらって行きました。見ていて分かりましたね(笑)。
ハスターを讃える演者たち9人がさらわれて行くと、やがてスタジオにも静寂が治まります。
まるで、すべてが悪い夢であったかのようだが、それが夢ではない証拠に、生放送が続くモニターには、探索者に説明を求めるコメントが再び溢れかえります。よかった。視聴者たちは無事ですよ。のんきなコメントを続けています。
内山:
皆さん、探索者たちに説明を求めるコメントを流してあげてください。ノリがいいですね。皆さん。(笑)。
探索者から視聴者にひと言
内山:
幸いなことに、君たちは大いなるハスターに演者を捧げることができたので、犠牲は9人も出てしまいましたが、君たちは生き残ることができた。何より多くの視聴者たちを救うことができた。それは君たちにとっての大勝利であることができましょう。
しかし、この画面を見ると、炎上しまくっている、このコメントの嵐に対して、君たちが何と答えるのか。
最後の締めとして、皆さんひと言ずつ、言い訳というか、説明というか、怒りの声でもいいし。あと今後、俺はこうするつもりだと、画面を無視して2人でイチャイチャしても構いません。
最後の締めの言葉を順番に述べていただけたら幸いであります。思いついた人から順番に手を挙げていただければと思います。
コウノスケ:
はい。
内山:
出ましたね。イチバン幸せ者が。幼児退行でフェチですね、今(笑)。お願いします。
コウノスケ:
「私、ハジメお兄さんと結婚します」(桃園)
内山:
爆弾発言が出ましたね(笑)。ディズニーをすっ飛ばして、ディズニー結婚式ですか。
これは高橋さんにすぐ答えていただかないことには。
はしやん:
「結婚生放送にお越しの皆さん、ありがとうございます。高橋一(はじめ)です。本日は紆余曲折を経まして、こちらにいらっしゃいます、桃園はるさんと、めでたく籍を入れさせていただくことになりました」(高橋)
内山:
今までのすべて、その前フリ?(笑)
はしやん:
「この先、夫婦生活というのは、さまざまな困難に見舞われることがあると思いますが――皆さんちょっと分からないかもしれないですけど、本日のように超自然的な存在に挑むことはないと思いますので――今日の経験を生かし、さまざまな問題を乗り越え、2人で幸せに暮らして行きたいと思います。結婚式はディズニーランド、ディズニーシーでツーデイズ開催でございます。皆さん奮ってご参加ください。ありがとうございました」(高橋)
内山:
さっき画面が消えていたのは、その間に誓いのキスをしてたんだ(笑)。
はしやん:
放送コードに触れてたんで。
内山:
恐ろしい。
では、そんな2人の門出を、目を瞑って応援してあげてと言っていた、うーぴゃーさんは、炎上して「何これ、何だ」と問いかけているコメントの人たちに、何て語りかけるでしょうか。
ろうえなぴゃそみつ:
「ごめんなさいね。オネエがもっとオネエらしくなるように、全力でサポートするわ」(うーぴゃー)
はしやん:
「メイクさんで入ってもらいます、当日」(高橋)
内山:
素晴らしい。
加瀬は隅っこで呆然としていて、廃人化しています。
「あとは3人でディズニーシーでもどこにでも行ってくれ」と。「ハロウィンパーティーでも行ってくれ」。
ということで、ハスターの御姿が蔓延することを止めた報酬として、君たちは、「正気度」を1D10ポイント獲得します。
このゲームで宇宙的恐怖を退けることができた場合、正気度が多少回復することがありますが、残念ながら心に傷を負った桃園さんはかなりひどい目に。黒字になることは絶対ないでしょう。
一応、ここまでがゲームですので、最後にダイスを。
はしやん:
6面?
内山:
10面ダイス1個分です。まず、イチバンダメな人は最後にしましょう。高橋さんお願いします。
はしやん:
(ダイスを振って)2ですね。
内山:
赤字、2しか回復しないですね。赤字何点でしたか。
はしやん:
45から2回復で、47なので、計8マイナス。
内山:
8点赤字でしたね。うーぴゃーさん何点減っています? 今日のゲームで。
ろうえなぴゃそみつ:
2です。
内山:
2点?
コウノスケ:
強い。
はしやん:
ほぼ正気やん。
内山:
10面ダイス1個分回復しますので、もしかすると黒字になるかもしれません。どうぞ、お願いします。
ろうえなぴゃそみつ:
(ダイスを振って)0、だから10。
はしやん:
黒字じゃねえかよ。
内山:
合計するといくつですか。
ろうえなぴゃそみつ:
どれ?
はしやん:
現状の正気度が63だから……。
コウノスケ:
これに10足して。
ろうえなぴゃそみつ:
73です。
内山:
73、むしろ恐ろしい体験が彼女を強くしたということで、世にも珍しい黒字で終わる探索者ということで、これからもまだ強く鉄の女として生きていくことでしょう。
では、最後。残り初期度5でしたっけ。
はしやん:
ディズニー行くことでもっと正気にならないだろうか。
内山:
それはまた別の物語でございます。ではお願いします。
コウノスケ:
はい。(ダイスを振って)9回復した。
内山:
14点だったら、まだまだディズニーランドに行く間は持つよ。
はしやん:
ディズニーは行ける。
コウノスケ:
ホラー系の乗り物は、ちょっと止めた方がいいかも(笑)。
はしやん:
ホーンテッドマンションは止めよう。
内山:
かくして、心を強く持って、鉄の女として、そして新たな女王として目を閉じさせるパワーを持った女性が爆誕した。また、微笑ましいカップルがディズニーランドで結婚式を後日行った。そのときの真顔の高橋と、幼児退行したオネエが誓いの言葉をしている様子は、当然ニコニコ生放送で流されることでしょう。
そのとき、また宇宙的恐怖の事件が起きなければいいのですが……。
今回の事件はこれにて終了です。
外に出れば、満天の星空に、遠くにアルデバラン、ハスターがいるという星が輝いてはいますが、その輝きがこちらに向かって来ることはなかった。完全トゥルーエンド。
皆様、お見事でした。お疲れ様です。
と言ったところで、ゲームはこれでおしまいですので、あとはもうぶっちゃけでございますので、お疲れ様。
ネタバレもありますし、あと感想なんかも皆にもいただきたいと思うんですが。
最初に申し上げておきたいのは、今回2時間でゲームを終わらせなくてはいけないので、若干強制イベントが多かったり、皆のロールプレイ、もっともっと引き出して、人間同士の掛け合いなんてのもやりたかったのですが、ちょっと駆け足になってしまったのは、これは今回の時間制限と、私の不徳の致すところです。申し訳ないと思いますが……。
はしやん:
むしろこの時間制限の中、すばらしいシナリオ。拍手。
内山:
いいね高橋ちゃん、惚れちゃいそうだよ(笑)。
しかし、皆さんのノリのよさと、ものすごいドタンバでのダイスのよさで、何とかトゥルーエンドまで持って来てくれて、すべてのイベントもちゃんと見れたという感じですね。
充実した2時間を、キーパーとしては過ごさせてもらいまして、ありがとうございました。