いよいよ探索者が自由に行動する
内山:
さて、導入が終わりましたので、ここからは探索者たちの自由な行動となります。
行動の宣言が自由に行われますので、思いついたものから言っても構わないですし、ボクから「全員に話聞いていきましょうか」という風に進めるかは、これはキーパーの性格によります。
ちなみに、何かやりたいことがある方、いらっしゃいますか?
はしやん:
1回、状況確認なんですけど。スタジオに入って来て、今、さらに個室みたいな、控室みたいな? それともこのスタジオ自体を今バリケードして?
内山:
広い部屋が、ひと部屋しかないと思ってください。
はしやん:
そこにいっぱいのスタッフと、我々3人、そしてサヤマD。了解です。
内山:
ではコウノスケさん、何かありますか。
コウノスケ:
じゃあまずは、同じ出演者の高橋さんですね。高橋さんの足にしがみついているヤツらを、足蹴に追い払います。
内山:
彼らは暴力的な存在ではないので、オネエが足蹴にすると、「ああ、ああ」とか言いながら、地面を転がりながら、涙ぐましい努力で、それでも天に向かって、「いあいあ、いあいあ」と言っています。
オネエはそれにちょっと足蹴をしてみると、やつらの腕がグネグネなんです。
本当に骨が1本もないぐらいの、そんな軟体動物のようになってしまっているにもかかわらず、こいつらはまだ生きて、そして声を発している。
いったい何が起きているのか。どう考えても超常的な現象としか思えないという感じです。
コウノスケ:
気持ち悪いですね。
「気持ち悪いわねえ」(桃園)って言って、高橋さんに「大丈夫?」(桃園)って声をかけます。
はしやん:
「ボク、オカルト系の作品を書いているので、見るのは慣れているんですが、実際触られるとちょっと気持ち悪いですね。今、相当気分が悪いです」(高橋)
コウノスケ:
「そりゃあそうよね。こんなもの生で見るなんて初めてですもの」(桃園)
はしやん:
いきなり語尾が変わってません? そういう感じですか。
コウノスケ:
「あなた聞いてないの? 私オカマでエンターテイナーやっている「桃園」っていう者だけど」(桃園)
はしやん:
「はじめまして、高橋一(はじめ)です。1回こんなグニャグニャの気持ち悪いのを見た後だと、オカマ見てもそんなに響かないですね。でも、こんな状況どうすればいいんですかね」(高橋)
コウノスケ:
「そうねえ」(桃園)
はしやん:
こえーな。
内山:
サヤマが、そんな2人で話しているところに、「このイエロウウィンドを流した途端、スタッフたちがこんな風になってしまって……」と説明をします。
はしやん:
「音楽を流したら?」(高橋)
内山:
「そうなんです。音楽を流しはじめたときは、特に何も起きなかったのですが、その後、外に出て行こうとしたスタッフが突然強い風に吹き飛ばされるかのように、扉から弾き飛ばされ、床に転がった……と思ったら、このありさまですよ。だから、あなた方も扉に触れてはなりません」(サヤマD)
はしやん:
外に出ない方がいい? バリケードのギリギリまで行って、技能を使っても?
内山:
どういったことを調べたいですか。
はしやん:
「聞き耳」を立てたいです。
内山:
では「聞き耳ロール」をどうぞ。何%ですか。
はしやん:
85です。
内山:
いいですよ。
はしやん:
(ダイスを振って)23です。
内山:
成功しました?
はしやん:
はい。
内山:
風の音とかは聞こえませんね。ただ近づくとやはり、何か得体の知れない気配を感じております。
はしやん:
気配はする……。
内山:
いわゆる、ここが神聖なる場所の真逆みたいな。何らかの結界的なものが張られているのではないか。その間にも、さんざんとキエロウの音楽は流れ続けています。
はしやん:
「外の様子ははっきりと分かりませんが、何か嫌な気配がします。外には出ない方がいいみたいです」(高橋)
音楽を止めようとする探索者
内山:
では、うーぴゃーさんはどうかな。
ろうえなぴゃそみつ:
今、音楽が流れているんですよね?
内山:
流れています。
ろうえなぴゃそみつ:
ちょっとこれ、止めてみていいですか。
はしやん:
確かにこれを流した瞬間になった、っていうことは、止めた方がいいですね。
内山:
当然、うーぴゃーさんはそういった機材にも詳しいでしょうから、サイコロを振るまでもなく「この辺のスイッチだろう」と思って押すのですが、音量を下げても下がらないし、スイッチを消しても消えない。
ここでうーぴゃーさん、「コンピューターロール」を振ってください。うーぴゃーさんは何%?
はしやん:
1%。
内山:
サイコロ振ってみてください。
ろうえなぴゃそみつ:
(ダイスを振って)16。
内山:
さすがにどうして止まらないのか、理由までは分からないですが、とにかく止まらないですね、この音楽。
コウノスケ:
じゃあ、それを見てうーぴゃーさんに尋ねますね。「うーぴゃーさん、どうだった? 止まりそう?」と。
ろうえなぴゃそみつ:
「全然止まんない」(うーぴゃー)
コウノスケ:
「おかしいわね」(桃園)
内山:
このオネエに慣れるまで、時間かかりそうだな(笑)。
コウノスケ:
(急に素に戻って)本当ですか?
はしやん:
唐突(笑)。
コウノスケ:
ボクはもう慣れっこですけど(笑)。
はしやん:
すいません、その機材もう少し詳しく見てもいいでしょうか。
内山:
大丈夫ですよ。
はしやん:
「機材に関してはボクも詳しいので」(高橋)
内山:
さすがインテリですね。
はしやん:
コンピューター技能は67%あります。
内山:
意外とコンピューターマニア(笑)。お金好きなクセに(笑)。
はしやん:
(ダイスを振って)48です。
内山:
成功?
はしやん:
はい。何か少し機材に関して詳しいことが分かれば。
内山:
それは驚きですね(笑)。
そうするとあなたは、このコンピューター、ちょっとした細工がされていることがわかります。
よそからの操作を受けつけないように、超常的なパワーではなく、オカルト的な、コンピューター的な、ウィルス的な、そういった操作によって、エンドレスでキエロウの曲を流し続けるように細工がされています。
はしやん:
「機械的に、外から止められない」(高橋)
内山:
コンピューターに成功した高橋さん、もう1つ分かる。
こんな細工をするには、この現場に来て、プログラムをぶち込まないとだめ。要は遠隔では無理だ、と。
はしやん:
直接手を下している、と。「どうやらこの機材には直接手を加えた痕跡があります。どのボタンを押しても、反応しないようになっている」(高橋)
内山:
では、サヤマDは心外そうに「そんなことが。ボクたちスタッフはそんなことしませんよ」と。
はしやん:
「あんたたちがちゃんと見てないからだろ」(高橋)
内山:
「すみません。」(サヤマD)
はしやん:
「役に立たない!」(高橋)
内山:
「申し訳ない。おかしいな。そんな悪意がある人間が、このニコニコ生放送にいるはずがないのにな」(サヤマD)
はしやん:
「今は犯人探しをすることよりも、この機材を止めることを考えましょう。ただ、俺の知識を持ってしても、これを止めるのは難しい。
物理的に壊すしかないのかな。でも俺はあんまり体格がよくないし、女性でも難しいだろう。誰か体格のいい男がいればいいのだが」(高橋)
コウノスケ:
その隣でマッチョポーズを取ってますね(笑)。
はしやん:
「その格好は?……桃園さん!?」(高橋)
コウノスケ:
「私、ちょっと腕っぷしには覚えがあるけど、STR(筋力)16ぐらいかしら」(桃園)
はしやん:
「ちょっと、この機材をどうにかできないですかね」(高橋)
内山:
壁に埋め込まれたスピーカーとかもあるので、1個1個しらみつぶしで壊すのは、さすがに時間もかかるだろうという感じではありますが。
コウノスケ:
「でも、私のこの腕は商売道具だから、ジャグリングの」(桃園)
はしやん:
「ジャグリング!?」(高橋)
コウノスケ:
「言ってなかったかしら。とにかく手で壊して回るっていうのは、現実的じゃないわ」(桃園)
はしやん:
「なるほど」(高橋)
キエロウの音楽を聴いてみるか……?
内山:
しかし、スピーカーに興味を持った君たちの耳に、否応なく流れてくる曲が入って来てしまうわけです。
「絶対に聴きたくない」というのだったら、耳を塞いだって構わないが、「俺は聴いてるよ」という人には、「母国語ロール」か「芸術音楽ロール」を全員に振らせてあげましょう。「俺は聴かん」っていう人間は振れない。どうしますか?
はしやん:
振って成功すると聴ける?
内山:
歌詞を理解できる。
コウノスケ:
私のキャラクターはキエロウの大ファンなので、こんな状況でも「せっかく新曲を聴ける機会だから」と聴きます。
内山:
なるほど。ぴゃんみつさんはどうします? うーぴゃーさんは聴きますか?
ろうえなぴゃそみつ:
「私もミュージシャンだから、聴かないとね(笑)」(うーぴゃー)
内山:
すばらしい。さて、2人は聴くと言っていますが。
はしやん:
発狂したこんなグニャグニャなっているところを見ていると、怖いので。俺は様子を見たいです。何か2人にあったときに、自分がサポートしたい。
内山:
それでいいかな? では、桃園さんとうーぴゃーさん。「母国語」か「音楽」の得意な方のロールをお願いいたします。成功率が高い方でけっこうですよ。
コウノスケ:
じゃあ「母国語」で。
内山:
では、お願いいたします。成功率何%ですか?
コウノスケ:
65です。で、(ダイスを振って)28が出ました。
内山:
成功ですね。では、うーぴゃーさんお願いします。
ろうえなぴゃそみつ:
音楽85で、(ダイスを振って)15が出ました。
内山:
成功。では2人は歌詞を理解できます。
イエロウウィンド。
星辰正しき時がやって来る。
さあ、黄衣の王を讃える9人の演者を揃えろ。
王がやって来てからではもう遅い。
演者の欠けた舞台では王は満足しない。
変わりに、王自らが舞いを披露する。
その舞いに民衆の魂は奪われ、誰もが王を讃えるだろう。
といった意味合いの歌詞でした。では、もう耳を塞がなくていいですよ、高橋さん。
はしやん:
「分かった?」(高橋)
コウノスケ:
「相変わらずと言ったらそうかもしれないけど、何だかモノモノしい歌詞だわ」(桃園)
内山:
そういった歌詞を理解した探索者の2人には、強制的にイベントが起きます。
アンケートなんですけれども、ここからは神様が――普段だったらキーパーが――サイコロを振って、どっちにイベントが起きるのかな、とランダムで決定するのですが、今回は、我々にはもっと心強い神様が画面の向こうについていらっしゃいますので、アンケート項目を出していただきたいんですが……。
曲を聴いた探索者に、強制イベント発生
内山:
高橋さんは尻込みをして聴かなかったので、今回はコウノスケさんとぴゃんみつさんのキャラクター――桃園さんとうーぴゃーさんのキャラクター――のアンケートだけが出るのだったら出していただけたら。二択で。
では、君たち2人は、そう言った歌詞を聴いていると、だんだんとトランス状態に陥って来るんです。
そして、それを見ている、幸いなことに高橋さんは耳を塞いで見ているんで、2人の目つきがだんだんとおかしくなって、足元で「讃えよ」「いあいあ」って言っているヤツらと……。
はしやん:
似てくる。
内山:
似たような目つきになりつつあるんですが、天の声が、どっちをより「いあ! いあ!」させたいのか。生贄に欲しいのかは、天の声に決めてもらいたいと思います。
より神様の生贄としてふさわしいと思う方に投票していただきましょう。その人に恐ろしい災いがふりかかります。
ちなみに会場の方は、ぴゃんみつさんの方がいいと思う人は手を挙げて。ではコウノスケさんの方がいいと思う人、手を挙げて。
コウノスケ:
(コウノスケに挙手が多くて)いやいやいやいや(笑)。
内山:
もうダメですね、これ(笑)。コウノスケさんの大人気です。じゃあアンケートも締め切っちゃっていいですかね。結果の方お願いいたします。
内山:
意外と会場は9:1ぐらいで桃園が大人気だったのですが。会場よりは、神様は優柔不断ということですね。
桃園さんの方に、何かイベントが起きます。
あなたは曲がどんどんどんどん理解できるのです。そして「これはキエロウらしいわ」とトランス状態にどんどん陥って行きます。
ここで、ぴゃんみつさんは普通の状態に戻れますので、高橋さんと同じように、どんどん目つきのダメになって行くオネエを……。
はしやん:
目つきがダメになってくオネエを見ている。「恐ろしいっすね」(高橋)
内山:
では、ここからは桃園さんだけの見える光景だと思ってください。
あなたの視界はだんだんと暗くなり、立ちくらみしたかのように目がチカチカして来る。そしてスタジオの天井が、一瞬星がギラギラと輝く宇宙空間に見えるのだ。
しかも、あり得ないことに、真空の宇宙に何故か冷たい風が吹き渡っているのです。その強い風は、星々の輝きを捻じ曲げ、黄色とも黄金ともつかない、グネグネとしたものに変化させていきます。
まるでそれは、星々が何か大いなるものを讃えるために舞っているかのようでありました。
グネグネした形がどのようなものかであるかは、画像も出るのですが……。
内山:
出ましたね。このようなものがオネエの方には見えてくるんです。要は、
星々が風に渦巻いて、光が混ぜられて、このような形を作っていくわけなんです。
そして他の2人は、完全にオネエの目がグルグルして……。
はしやん:
オネエ、完全に飛んでますね。
トランス状態の桃園を助ける高橋
内山:
2人は、「オネエは音楽に聴き入っていて、このまま止めないとダメになっちゃうんじゃないか」という気もします。
ここでまともな行動ができるのは、高橋さんとうーぴゃーだけです。
コウノスケ:
「光が見える……」(桃園)
はしやん:
はい、「精神分析」。
内山:
淡白ですね。
はしやん:
「大丈夫ですか、桃園さん」(高橋)
コウノスケ:
「光が見えるわ」(桃園)
はしやん:
「よく観察しないと」(高橋)
コウノスケ:
「黄色い光が見えるの」(桃園)
はしやん:
「桃園さん、目を覚まして」(高橋)
内山:
「精神分析」っていうのは、非常に便利な技能で、このように精神に錯乱を催した人間を治すことができる技能。で、普通の人はあまり持っていないのですが、この作家さんはどうしてなのか、持ってらっしゃるんですかね。
はしやん:
作家をやるにあたって、大学のときに一浪してまで入ったんですけれど。心理的な授業も取っていたので、若干、人の気持ちを分析したりする授業を取っていたので。
内山:
大学、まじめに行っていてよかったですね(笑)。
はしやん:
大学はまじめに行っていました。一浪してまで行ったので、大丈夫です。
内山:
「精神分析」の成功率を教えてください。
はしやん:
85です。
内山:
ドヤ顔ですな(笑)。
はしやん:
(ダイスを振って)11っす。「桃園、目を覚ませ!」(高橋)
コウノスケ:
殴るんですか?(笑)
はしやん:
「物理」、「物理」で。「目ぇ覚ませ!」(高橋)
コウノスケ:
「はっ。戻って来たわ」(桃園)
内山:
ほどよい殴り具合だったね(笑)。
君の心をこちらに引き戻してくれるかのような、ほどよい殴り具合でしたが、しかしあなたはそのような恐ろしい宇宙の光景を目撃してしまったことにより、桃園さんだけ、「正気度ロール」です。
しかし早く戻って来たので、この「正気度ロール」は易しい「正気度ロール」です。では、何%ですか。
コウノスケ:
55です。
内山:
55の「正気度ロール」をお願いします。
コウノスケ:
(ダイスを振って)3です。
内山:
意外とオネエは肝っ玉が太いようで。
あのような宇宙空間の光景を見ても、魂が打ち砕かれることはなかった。
しかし。あなたは明らかに人知及ばぬ宇宙空間を目撃したことにより、成功しても正気度が1点下がってしまいます。1減らしておいてください、「正気度ポイント」を。
とはいえ『クトゥルフ神話TRPG』は、このようにひどい目にあった人間には、素敵な情報が与えられることが多いのです。
やっぱり、危険をあえて踏み抜こうというのが、探索者の心得の1つでもあります。