第3回クトゥルフ神話WSTRPG編~今宵、ニコニコ本社が狂気に包まれる~ | |||
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配信チャンネル | ニコニコワークショップ | ||
配信日時 | 2016/10/20 18:00〜 | ||
備考 | タイムシフト視聴可能(2016/12/10現在) |
<以下、番組の一部を書き起こしたものを、そのまま掲載しています>
これからはじめる『クトゥルフ神話TPG』を簡単に紹介
天の声(スタッフ):
今回もニコニコで大人気の『クトゥルフ神話TRPG』を取り扱います。今回の講師は内山靖二郎先生です。
まずは簡単に、内山先生から『クトゥルフ神話TRPG』をご紹介いただきます。
内山靖二郎先生(以下、内山):
TRPG=テーブルトークRPGとは、ゲームの進行役とプレイヤーが一緒になって遊ぶゲームです。
進行役は、ボクが今回務めるのですが、ゲームの舞台とか、ゲーム内で起きる事件とか、そういったものを用意する。そして運営していくのがボクの役目。
プレイヤーは、3名の皆さんです。ボクの用意した舞台の中で活躍する、自分の分身としてのキャラクターを用意して、難題を乗り越えたり、そういったプレイをしてもらいます。
プレイヤーは、どんなことを自分のキャラクターにさせたいのかは、ボクに言葉で伝えてくれて、ボクはその行動に対して、どんなことが起きたのか、また言葉で説明する、と。その言葉のやり取りでゲームが進んで行くのがTRPGです。
『クトゥルフ神話TRPG』では、進行役のことを「キーパー」、プレイヤーの分身となるキャラクターのことを「探索者」と呼びます。これからはずっと「キーパー」と「探索者」で出てくるので、覚えてもらえたらと思います。
TRPGといっても、イロイロと種類がありますが、『クトゥルフ神話TRPG』では、“ホラー”をテーマとしています。
恐怖。そういったものは事件の原因にあって、人が恐怖に陥ったり、もしくは禁断の知識に触れてしまう。そして『クトゥルフ神話』と呼ばれる、人知を超越した存在に触れてしまって、人の魂は打ち砕かれてしまう。そういった体験を、このTRPGを通じてしてもらいます。
ただし、当然、探索者も黙ってやられているわけではないです。事件の真相を暴いて、何とか恐怖から逃れることもあるでしょう。禁断の知識に触れて、正気を失ってしまう人もいるでしょう。すべてはプレイヤーしだい、と。
あとは、習うより慣れろで、実際の『クトゥルフ神話TRPG』の実プレイを見ていただいて、視聴者の皆さんにはTRPGを「意外と簡単そうじゃないか」とか、「こんなグダグダでもいいじゃないか」といったことを感じ取ってもらえたら、と思います。
なるべくハードルを高めにするのではなく、誰でもできる簡単なゲームだということを、今日は皆さんに理解してもらえたらなと思っています。
では、早速、『クトゥルフ神話TRPG』をはじめていきたいと思います。
探索者=皆さんがプレイヤーされるキャラクターの方は、事前に準備していただいておりますので、まずはどういったキャラクターが揃ったのか見てみましょう。
探索者の自己紹介
コウノスケ:
ボクの使うキャラクターは「桃園はる」という、ジャグリングが得意なエンターテイナーです。「男性(?)」と書いてありますが、要するにオカマです。
内山:
オネエキャラをいきなりぶちかまして来るんだね(笑)。やりますな(笑)。実はこの中ではイチバンのマッチョで肉体系という(笑)。あとは一応、交渉担当という噂なんですけれども、これは後ほど、ということで。
はしやん:
はしやんのプレイヤー、探索者名「高橋一(はじめ)」。作家です。オカルト系の作品を書いているキャラで、頭でっかちキャラです。
内山:
あと、ちょっとイケメンなんですよね。
はしやん:
そうです。顔はまあまあマシって感じですかね。
内山:
才能あふれる、ちょっとむかつくやつとか(笑)。
はしやん:
ちょっと嫌味なやつです。
内山:
頑張ってください。では今回、“完全”初心者という、うーぴゃーさん。フルネームはうーぴゃーワールド。
ろうえなぴゃそみつ:
探索者名は「うーぴゃーワールド」で、職業はミュージシャンです。プロに近いミュージシャンです。
内山:
「芸術音楽のパラメータが、もしかしたら役に立つよ」っていう忠告をしたら、ガッツリと80いくつ入れるという、ガチな感じがたまりませんね。使いドコロを見極めて、今日は活躍していただけたら。
今回のゲームの導入部分を紹介
内山:
さて、こんな3人の面々が今回事件に巻き込まれるのですが、ちょっと描写をしていきましょう。
本日この探索者たちは全員池袋ニコニコ本社にやって来ています。
最近独特の退廃的な空気を漂わせる曲をアップしてブレイク中の、「キエロウ」という作曲家。
その人物が、新曲を今日お披露目するのです。そのタイトルは「イエロウウィンド」というタイトルです。
そのお披露目イベントに、この三者は皆その作曲家のファンということで、「せっかくですから生放送のお披露目イベントに来てくださいよ」と、プロデューサーにお願いされてやって来たのが、今回の導入となります。ただ今回の生放送、開始時間が19時14分と言う半端な時間が指定されていました。
何でだか分かりません。
はしやん:
19時14分。
内山:
そうですね。
しかしリハーサルがありますので、当然1時間ぐらい前に皆さんはスタジオ入りするわけです。
ただ1点だけ注意していただきたいのは、今回のゲームに登場するスタジオは、ちゃんと壁があって、個室になっていると思ってください。出入りするのは表玄関と裏口しかありません。
3者は当然スタッフですので、裏口からトトトっと中に入って、とりあえずリハ、全員3人揃って、中に入ろうとしたところからゲームが始まります。中に入ると、早速イエロウウィンドらしき曲が流れています。
聴く者の心をざわつかせる、独特の曲調におなじみのボーカロイドの人口音声が乗っています。
今回の曲は特にざわざわと心を落ち着かなくさせる曲であり、間違いなくキエロウの作品であると、君たちはファンであるから確信できますね。
ところがそこに、椅子を両手に抱えた、スタッフの責任者、サヤマダイジが──サヤマDと呼んでください──慌ててやって来ます。
そして、君たちにこう言うんです。
「入って来てしまったんですか。だったらもうダメだ。早くこっちに来てください」と言って、君たちを強引にスタジオに押し込むと、椅子を扉に向かってボンボンと投げつけ、バリケードのようなものを作り始めるのです。
そして君たちにこう告げます。
「あのようになりたくなかったら、ここから出ようとしてはいけません」
あなた方は足元に何かを見つけます。それは体がグニャグニャになって、あたりを這いずり回る、君たちも見覚えのある、ニコニコスタッフたちです。
まるで全身の骨がなくなったかのように、上半身の力だけでのけぞり、両腕を天に伸ばしては、また倒れることを繰り返しています。背筋で起き上がろうとするのです。そして天に向かって両手を「うわー」っと出して、「いあ! いあ! はすたあ! はすたあ くふあやく ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ あい! あい! はすたあ!」と唱えながら、ピョンコピョンコと上半身だけの力だけで跳ねているのです。
しかし、体に骨がないかのように、グネグネした体では体を起こすことはできず、そのまま地面にまた突っ伏してはまた祈りを捧げる、という感じになっております。
「正気度ロール」と「ダイスの振り方」をチェック!
内山:
さて、早速ですが、このような恐ろしい光景を見た探索者たちは、『クトゥルフ神話TRPG』おなじみの、「正気度ロール」をやってもらいます。では、順番にやっていきましょう。
「正気度ロール」というのは、恐ろしいものを目撃したときに、その人が正気を保っていられるかどうか、それを調べるダイスでございます。
「正気度ロール」――ネット上では「SANチェック」なんて呼ばれているかもしれませんが──今回はそう呼ばせてもらいます。
はしやんさん、高橋さんの正気度ポイント教えてください。
はしやん:
MAX55です。
内山:
つまり、「100面ダイス」で55以下を出すと、肝っ玉が太くて、正気を保っていられるということを表しています。
ダイスの振り方をちょっと視聴者さんにも説明させてください。
内山:
今回、10面ダイスを2個用意してあります。00〜90が刻まれている方が10の位を表すダイス。0〜9が刻まれている方が1の位を表すダイスです。これを同時に振りますと……。
内山:
90と6。96と出ました。
はしやん:
ファンブル【※】じゃないですか!
※「致命的失敗」のこと
内山:
こちらが2桁を表して、こちらが1桁を表して、96になります。
内山:
こちらですと、005ですので……。
はしやん:
クリティカル【※】じゃないですか。極端過ぎっすよ(笑)。
※「致命的命中」のこと
内山:
ボクぐらいになると自在に操れるんです(笑)。
こちらは2桁目が0ですので、1桁目だけ読んで、5という風になります。ときどき運命のダイスが笑うと、“000”と3つ0が出ることがあります。これだけは100となります。
100というのは、常に失敗。もうダメってことですね。
“000”は0と読まずに100、というところだけ今日覚えてもらえれば十分でございます。
先ほど高橋さんの正気度ポイントは55ということですから、このサイコロで55以下を出さないと、あなたはビビリます。
では、イケメンお願いします。55以下をお願いいたします。
はしやん:
(ダイスを振って)94っす。
内山:
失敗ということですね。
はしやん:
ギリギリファンブル回避っす。
内山:
では失敗は覚えていてください。では次、うーぴゃーさん。正気度いくつですか。
ろうえなぴゃそみつ:
65です。
内山:
うーぴゃーさんは実は、高橋さんよりも肝っ玉実は太い。美女なのに太いという(笑)。
ではお願いいたします。
ろうえなぴゃそみつ:
(ダイスを振って)34。
内山:
その通り。ということは成功ということで、このおぞましい光景を見ても、それほど心に傷を負わずに済みました。
では最後、コウノスケさんのキャラクターお願いいたします。桃園オネエ。
コウノスケ:
(ダイスを振って)20です。
内山:
桃園オネエの正気度は?
コウノスケ:
55あります。
内山:
では成功、ということになりますね。
はしやん:
皆、肝っ玉が太いな。
内山:
では、成功した2人は、正気度は減りません。失敗したはしやんさん、高橋さん。
あなたの正気度は4面ダイス1個分減ります。これをお願いいたします。
はしやん:
あれ? 4面でいいんすか。
内山:
そうです。これは下に書いてある面を読みます。つまりこれは2と出ました。では2ポイント正気度が減ります。2ポイント正気度を減らしてください。
はしやん:
53です。
内山:
カンのいい人は気づいたと思いますが、現在正気度が53になってしまった高橋さんは、次の「正気度ロール」では53以下を出さないと成功にはならないのです。
つまり、失敗して正気度が減れば減るほど、「正気度ロール」にも失敗しやすくなり、さらに正気度が減りやすくなる、と。
このように、坂道を転げ落ちるように狂気に陥っていくのが、この『クトゥルフ神話TRPG』の醍醐味なのです。
この2人は肝っ玉が太かったので平気ですが、残念ながら高橋さんはヤベエこれは、と(笑)。
はしやん:
ビビりました。
内山:
……と、いう風になります。
これが「正気度ロール」のルール説明です。
そして、そんなビビっている高橋の目の怯えに気づいたのか、さっきから手を何度も何度も上げて、「いあいあ、いあいあ」と言っているスタッフの一人が、その怯える君の足を掴んで、まるで訴えかけるように――もしくは君の心の底を透かすかのように――こう言います。
「讃えよ」。これは何かを称えなさい、神様を讃えなさいとか、そういった意味の「讃えよ」だと思ってください。
何か彼らは讃えているのではないだろうかと。
NPC「加瀬さん」登場
内山:
ちょっと説明が長くなりましたが、最後にあと1個だけ。
皆さんと同じく、今回ゲストに呼ばれた女性が先にスタジオ入りしています。加瀬さんという女性です。スタジオの隅で青ざめた顔をして、立ちすくんでいます。
彼女について皆さんはご存じかどうか、「知識ロール」というのを振ります。
さっきのは「正気度ロール」といって、人の精神が耐えられるのかどうかですけれど、今度は“自分がどれだけものを知っているのか”を「知識ロール」といいます。
キャラクターシートの「能力値及び能力値ロール」の右側の方に「知識」って書いてあると思うのですが、その数字でサイコロを振ることになります。
高橋さん。「知識ロール」は?
はしやん:
知識85です。
内山:
この作家さん、さすが作家だけあって、なかなかの知識人なんです。振っちゃってください。
はしやん:
(ダイスを振って)57です。
内山:
では他の方も、「知識ロール」を振っちゃってください。
コウノスケ:
知識65で、3が出ました。
内山:
食い違い(笑)。
ろうえなぴゃそみつ:
知識80で……(ダイスを振って)88。
内山:
では、うーぴゃーは知らないんですけど――「何? この女」っていう感じなんですが――高橋さんはそこそこ知っていて、桃園さんは実はこの加瀬さんに関してはうるさい、ということが分かりました。
成功したら、その人についての“知識がある”ということを表しています。失敗した人は知らないよ、という。
加瀬さんについては説明しましょう。
この人、オリジナルゲームのゲームデザイナーなのです。1人で作れるような同人ゲーを作って、そのプレイ動画とかをアップして、ちょっと人気を博した人。
なので、そのことを知っている高橋さんは、「プレイしたことあるよ」ぐらい、「けっこうおもしろいゲーム作ってるよ」ぐらいなのですが。
桃園さんは出目がよかったので……この女性、実はキエロウの恋人と噂されています。それで、ヤバイぐらいの熱狂的なファンである、と。君たちのレベルを越えている、いわゆる狂信的と呼んでもいいぐらいのファンである、ということを知っています。
恋人疑惑もささやかれてる、と。そんな女性がスタジオの隅で震えています。
説明は非常に長くなってしまいましたが、整理しましょう。
生放送のスタジオ現場で、まずサヤマDは君たちを「出ちゃいかん」と言って、必死になって椅子を積み上げてバリケードを作っています。
足元にはスタッフたちが「いあ! いあ! はすたあ」とか言いながら高橋さんの足を掴んで、「讃えよ、讃えよ」と訴えかけています。
そして、桃園オネエがよく知っている、キエロウを狂信的に愛している女は、部屋の隅で青ざめた顔をして、この惨劇を見つめています。