格ゲーマーは、戦っているときが一番カッコいい。
今回、『ストリートファイター6』における日本最高峰の舞台「ストリートファイターリーグ」を観戦に行った筆者の一番の感想は、それだった。
残酷なほどに一瞬で決まる真剣勝負の舞台に漂う、なんとも言えないピリついた空気。誰もが固唾を呑んで見守るなか、ふいに訪れる静寂、一拍遅れて轟く歓声。そのひとつひとつの音と、光景が、1日たった今でも目から離れていない。バッテリーが切れるまで撮り続けた写真はお世辞にもうまいものではないが、見直せばその瞬間が脳裏に浮かび上がってくる。
この大舞台で戦うプレイヤーは、全員がカッコよかった。もちろん、試合が終われば勝ちと負けに分かれ、勝った側は喜び、負けた側は悔しがる。それでも、今日にいたるまでの戦いと、彼らの「たゆまぬ努力」という言葉では陳腐すぎる日々の一切れを見てきた一般人として、これだけは譲れない。
結局のところ、本気で戦っている人間というのが、一番“良い”のだ。
そんな現場の熱にあてられ、彼らから聞いた言葉をなるべく失うことなく、まとめようと奮闘していたら……なぜかインタビューを中心に30000文字をオーバーするクソ長記事になってしまった。
#SFリーグ プレイオフ⚔️
— CAPCOM eSports (@CAPCOM_eSports) December 22, 2024
ご視聴ありがとうございました。
2025年2月11日開催 グランドファイナル
──Good 8 Squad(@good8squad)
──Yogibo REJECT(@RC_REJECT)
グランドファイナル 観戦チケットはこちらから🎫https://t.co/fryvpekQo8#スト6 #ストリートファイター6 pic.twitter.com/isZoqN0BTd
というわけで本稿では12月21日(土)・22日(日)に行われた「ストリートファイターリーグ シーズン2024」のプレイオフの模様をお届けしていく。また、当日の試合終了後に選手たちに向けて行われたメディア合同インタビューについても、プレイオフに進出した6チーム分、ほぼすべての質疑応答を掲載している。
そもそも「ストリートファイターリーグ」というのは『ストリートファイター6』における日本最高峰のカプコン公式チームリーグ戦だ。そして今回のプレイオフでは、ふたつのディビジョンから上位3チームずつが決勝進出をかけて戦う。ざっくり言えば、ちょっとルールが特殊な「準決勝」みたいなものである。
しつこいほどに同じ言葉を使ってしまうが、ここに集まる選手たちはいずれも日本最高峰のプロゲーマーたち。リーグ本節だけでも約4か月という長い時間、練習に次ぐ練習と、負けられない試合が続くシビアな日々を過ごし、勝ち抜いてきた者たちだ。
ちなみに本リーグの最終決戦・グランドファイナルは2025年2月11日(火)にパシフィコ横浜で開催予定。オンライン観戦チケットのほか、現地観戦チケットも記事執筆時点でB席のみ販売が続いているので、本レポートおよびインタビューで気になった方は、ぜひ購入を検討してみていただきたい。
取材・文/久田晴
DAY1ーMatch 1:Saishunkan Sol 熊本 vs FUKUSHIMA IBUSHIGIN
スコア:70-20
1巡目
・先鋒 ふ~ど:エド(C)vs 翔:ベガ(C)
2ー1
・中堅 ウメハラ:豪鬼(C)vs ヤナイ:ベガ(C)
1-2
・大将 ひぐち:ガイル(C)vs ササモ:エド(C)
3-22巡目
・先鋒 ふ~ど:エド(C)vs cosa:ケン(C)
0-2
・中堅 ひぐち:ガイル(C)vs 翔:ベガ(C)
2-1
・大将 ネモ:ベガ(C)vs ササモ:エド(C)
3-23巡目
・先鋒 ウメハラ:豪鬼(C)vs ヤナイ:ベガ(C)
2-0
ついに幕を開けたプレイオフの第1戦、「Saishunkan Sol 熊本 vs FUKUSHIMA IBUSHIGIN」。最初にこのプレイオフのルールだけ軽く触れておくと、先鋒・中堅戦(BO3)の勝者に10ポイント、大将戦(BO5)の勝者に20ポイントが入る形で進行し、先に70ポイントを超えたチームの勝利となる。
両チームはホーム・アウェイに分かれ、アウェイ側は先にプレイヤーとキャラクターの申告をしなくてはならない。そのためホーム側はキャラ相性での有利を得やすいぶん有利となる。70ポイントに達するまで、先鋒・中堅・大将の3戦をホーム・アウェイを入れ替えながら続けるが、本節での順位が下だったチームが1巡目・3巡目にアウェイとなるので、勝負が長くもつれこまない場合は不利になりやすいという形式だ。
本節2位の「Saishunkan Sol 熊本」(以下、SS熊本)は、リーダーのネモ選手と若手ながら圧倒的な安定感を持つひぐち選手、そして業界のレジェンド・ウメハラ選手と、過去にもたびたびその隣で活躍を見せてきたふ~ど選手というメンバー。
対する「FUKUSHIMA IBUSHIGIN」(以下、IBUSHIGIN)は、SFLに関しては今シーズンが初参加。2023年にサウジアラビアで行われた国際大会で優勝を飾った翔選手をリーダーに、スピードスケート選手という異色の経歴の持ち主・cosa選手、「ヤナイやないかい」の愛称(?)で親しまれるヤナイ選手、“格ゲー以外も強い”マルチゲーマー・ササモ選手と、平均年齢低めの実力派が並ぶ。
試合はSS熊本のふ~ど選手が先鋒戦を制して流れをつくり、1巡目の大将戦では2-2までもつれ込みながらも、ひぐち選手が冷静な削りKOで勝利。2巡目の大将戦も2-2のフルセットフルラウンドまで行きつき、劣勢からササモ選手が大きく追い上げるも、一歩届かずSS熊本・ネモ選手が勝利してリーチをかけた。
そして3巡目の先鋒戦、SS熊本・ウメハラ選手が1巡目で敗れたヤナイ選手にリベンジ成功。70-20のスコアでSS熊本がマッチ2への進出を決める。
試合後のインタビュー中、最後になってしまった試合で敗れ、涙ぐむヤナイ選手を他のチームメンバーがねぎらう姿が非常に印象的だった。