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体験版の意見、フィードバックは開発チームが果たすべき「約束」になる──『Wo Long: Fallen Dynasty(ウォーロン フォールン ダイナスティ)』開発陣が語る、体験版で感じてほしいこと

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 ユーザーの操作に対して「公平さ」を担保することで、爽快感が生まれる──。

 これはTeam NINJAが初めて三国志を舞台にした「ダーク三国志死にゲー」、『Wo Long: Fallen Dynasty(ウォーロン フォールン ダイナスティ)』(以下、『ウォーロン』)の発表直後のインタビューにて、本作のプロデューサーであり、Team NINJAブランド長を務める安田文彦氏が発した言葉だ。

 これまで数多くのアクションゲームを開発してきたTeam NINJA。その根底にある「触っていて気持ちいいもの」を言語化したのが先の安田氏の発言だが、『ウォーロン』ではまさにその操作感が体現されていた。

 このたび電ファミニコゲーマー編集部は、配信に先駆けて『ウォーロン』体験版の試遊と、プロデューサーを務める安田文彦氏山際眞晃氏のインタビューを実施する機会を得た。

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左から山際眞晃氏、安田文彦氏

 本稿では、『ウォーロン』体験版配信の意図、プレイしてわかったさまざまな要素について、おふたりに語っていただいた内容をお伝えする。

聞き手・文/豊田恵吾
撮影/佐々木秀二


操作の公平性が現実的にできているのか、体験版で確認してみてください

──体験版を遊ばせてもらって驚いたのがテンポの良さでした。今回PS5版を遊ばせてもらいましたが、60fpsでぬるぬると動いて、リスタートもほとんどロードがないですよね?

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安田文彦氏(以下、安田氏):
 世代の違いはありますが、どの機種も快適に遊んでいただけると思います。リスタートに関しては、これまでもご指摘をいただいていた部分ですし、死にゲーでは大事なところですので。

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──体験版のお話をうかがう前に、『ウォーロン』を発表されてからの反響についてお聞かせください。

安田氏:
 Xbox & Bethesda Games Showcase 2022で発表させていただきましたが、プラットフォームを跨いだという印象も持っていただけましたし、
 世界中の方に見ていただいて、おかげさまで大きな話題になったと感じています。『仁王』シリーズのファンからは「早く『仁王3』を作ってよ」と言われるのかなと思っていたのですが、予想以上に歓迎していただいて。とくに中国、アジア圏での反響が大きかったですね。

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山際眞晃氏(以下、山際氏):
 三国志が舞台ということに加えて、中国語音声に最初から対応しているというのが、受け入れられた要因かと思っています。

──なるほど。前回のインタビューでは初出内容との兼ね合いもあり、ゲームの中身をあまりうかがえなかったので、今回は答え合わせをさせていただければと思っています(笑)。

安田氏:
 前回はタイミング的にいろいろ縛りもあって、言えないことが多かったので(笑)。

──インタビューでおっしゃっていた「操作の公平性」、すべてのプレイヤーに同じ体験を提供したいというこだわりは、体験版をプレイして強く感じました。

安田氏:
 死にゲーというジャンルの問題もありますが、操作の公平性が現実的にできているのか、辛口過ぎではないかといった部分は、体験版で味見といいますか、確認していただきたかったところでした。

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 開発チームは当然、みんなプレイに長けているので、初見の方が触ったときにどういう反応をされるのか、新作ですので確認したいと思っていました。皆さんから意見をいただきたいので体験版を配信した、ということですね。

──体験版には中ボスもいて、ボスもいて、かなり豪華な内容だと感じました。このステージを体験版として選んだ理由はあるのですか?

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山際氏:
 中国らしいロケーションやスケール感を序盤でいちばん感じてもらえるステージとして選びました。敵やアイテムなどの配置は体験版用のもので、遊びやすいように調整しています。TGSの試遊バージョンでは、プレイ時間が15分ということで、時間内にボスまで辿り着けるように簡潔にしながら、要所要所で楽しめる内容としています。

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安田氏:
 『ウォーロン』はジャンプアクションがありますので、谷や岩山などの高低差を体験していただければと思います。ステージは中国の大自然を感じるものと中国ならではの巨大な建造物が並ぶもののどちらにするか迷ったのですが、より高低差を感じていただけるよう、自然が舞台のステージを選んでいます。

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──ステージが明るいですよね。死にゲーにありがちなおどろおどろしさがいい意味でないと言いますか。

安田氏:
 進んでいくと緊張感が増すビジュアルになっていきます。今回は、ロケーション、スケール感が大事だと思っていて。『仁王』で実感したのですが、デフォルメはやりすぎると破綻してしまったり、情報量が減ってしまって日本らしさがなくなってしまう。ただ、『ウォーロン』は舞台が中国ですので、特にスケール感を味わっていただきたいですね。

──そういえば、スタート前のキャラクタークリエイトで、髪の毛の毛先のカールまで設定できるのを見て「細かいな〜」と感じました(笑)。

山際氏:
 体験版にはすべての機能は入っていないのですが、進化は感じていただけると思います。キャラクタークリエイトを気にされている方が多いことは認識していますので、ご期待に添えるように製品版ではより作り込んだものを用意する予定です。

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安田氏:
 1時間ほどプレイしてもらったと聞きましたが、クリアはできましたか?

──ボスまではいったのですが、システムをちゃんと理解しないと勝つのは難しいという印象でした。氣勢、化勁は駆使できるようになったのですが、仙術も使いこなさないとキツそうだなと。

山際氏:
 士気ランクが上がると仙術が解放されているのは気づきましたか?

──あー、仙術も戦い方に合わせてプレイヤーがビルドできるのですね。

山際氏:
 比較的序盤から使いやすい士気ランクが低くても解放される仙術をセットするのか、我慢して後半に威力を発揮する士気ランクが高くないと解放されない仙術をセットするのか。そういった楽しみ方、攻略法がプレイヤーごとにあるものになっています。

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 体験版ではプレイ開始時に五行を選べるようになっていますが、これは遊びやすいように用意したもので、製品版では自由に育てることができます。神獣は武将との絆の象徴のようなものでストーリーを進めることで増えていきます。

──操作していて、モーションや衣装も非常に凝っていると感じました。

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山際氏:
 当社が培ってきたイメージを大きく崩さないようにしながら、ダークで荒廃した世界観にあうような本作らしいアレンジを積極的に入れています。時代考証もしっかりとやっていますので、いろんな武器や衣装を装備してみるのも楽しいと思います。

安田氏:
 中華武術のケレン味は動きにあるので、演出だけで手触りの悪いものではなく、手触りと演出が融合したものにしています。アクションとしての見栄えもいいので、体験版の配信動画でスーパープレイを見てみたいですね(笑)。体験版ではいつも驚かされているのですが、みなさん攻略もアクションも想定以上のプレイをされるので。

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体験版の意見、フィードバックは開発チームが果たすべき「約束」になる

──武器は直刀、双剣、大刀を見つけたのですが、製品版ではどのくらい武器種があるのですか?

山際氏:
 10種類以上用意しています。有名武将の名のある武器なども用意しています。

──体験版をプレイしてとくに実感できたのが士気ランクの仕組みでした。触るまでは理解が薄かったのですが、遊んでみて士気ランクの重要性が身に染みてわかりました(笑)。

安田氏:
 触ってみないとわからない、いちばん説明が難しい要素でしたので、体験版をプレイして、理解してもらえると嬉しいです。触っていただければ「要素としての肝なんだな」と感じていただけると思っています。

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山際氏:
 士気は強さの指標で、基本は敵を倒して士気ランクが上がれば強くなります。リスクはありますが、自分より士気ランクが高い強敵を倒すと一気に士気を上げたり、レアリティの高いものをドロップしたりすることがあります。ただし、倒されてしまうと士気ランクは下がってしまうので、士気ランクの高い敵にあえて挑むのか、無視して探索を優先するのか、プレイヤーそれぞれの攻略を楽しめると思います。

──敵の士気ランクをちゃんと見ていないと「あれ? こいつやけに強くない?」と驚くことがあり、そのシチュエーションもおもしろいなと感じました。

山際氏:
 演出的な側面もあって、例えば、ひとりだけやけに士気ランクの高い敵がいると「なんだ、こいつは?」と思いますよね?そうしたちょっとした舞台装置としても有用だと思います。

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──最初はやれることの選択肢が多くて戸惑ったのですが、理解が深まるにつれて楽しさが増していくと感じました。攻略ルートを模索する楽しさ、武器の違いの楽しさ、士気ランクによる戦略要素など、幅が広く、多角的な楽しさがありますよね。

安田氏:
 そうですね。そこがいちばん『仁王』と比べての大きな違いですし、『ウォーロン』の基軸だと思っています。

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山際氏:
 化勁と氣勢ゲージの運用がバトルの軸になるとは思いますが、せっかくの新作ですから、手探りの試行錯誤を楽しんでほしいですし、攻略の自由度は高いと思うので、自分のスタイルにあった方法を見つけてほしいです。

安田氏:
 『ウォーロン』ならではの「新しさ」が伝わって欲しいです。アートや世界観は映像を見ていただければ伝わると思うですが、ゲーム特有の手触りだったり、プレイの流れは実際に遊んでいただかないと伝わらないので、体験版を通して、レベルデザインや『ウォーロン』のテンポを感じてもらえれば、新しさや違いは伝わると思っています。

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──『仁王』シリーズの体験版もそうでしたが、Team NINJAは体験版を遊ばれた方の意見、フィードバックをすごく大事にするじゃないですか。遊んだ方が改善点を伝えれば、ちゃんとそれに応えるという。

安田氏:
 我々にとっても「約束」になるんですよね。意見をいただいて無視するってあり得ないじゃないですか。開発チームにとってもいいことなんですよ。私たちが開発チームに意見を伝えてもなかなか言うことをきかないので(笑)。

──(笑)。

山際氏:
 実際に遊んだ方の声のほうが開発チームに刺さるのは間違いないですね(笑)。

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安田氏:
 開発チームに方針は伝えていますが、細かな手触りや難易度はなかなか共通の認識が持てないんですよね。難しすぎても簡単すぎてもダメですから。体験版でどう受け取られたのかというのはフラットなものですし、客観的な意見をいただけるのは本当にありがたいですね。いただいた意見をしっかり検証して、製品版に反映させていければと思います。

──その真摯さは「Team NINJAらしさ」のひとつですよね。

安田氏:
 そこはずっと大事にしています。ただ、けっして早い時期に体験版を配信すればいいというわけではなくて。今回で言えば、化勁を含めた中国武術のアクションだったり、士気ランクを含めたレベルデザインだったり、伝わるものができていないと配信する意味がないんですよね。『仁王2』のときはいろいろ間に合わず、「『仁王2』らしさ」をしっかりと味わえる体験版になっていなかったという反省があって。これまでのタイトルと比べて、新しくなっていないと意味がないですし、体験版をプレイした方に「前のタイトルといっしょじゃん」と思われてはダメですから。

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 そういう意味では今回の体験版はちょうどいいタイミングになったと思っています。『ウォーロン』はXbox Game Passにもラインナップされますので、これまで以上に長く、広く遊んでいただけるはずですし、リリースしたあともアップデートを続けていきたいと考えています。中長期的に対応していきますので、まずは体験版を遊んだ感想、ご意見を伝えてほしいですね。

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──体験版の配信はフルオープンなのですか?

安田氏:
 最初から最後まですべて配信OKです。みなさんのプレイを見るのは我々も楽しみですから(笑)。できればいいコメントともに最高のプレイを配信してみてください。

山際氏:
 体験版配信に合わせて、Twitterにてプレイ動画の投稿キャンペーンを行っています。30秒以内ならどんな動画もOKですので、ぜひみなさんの『ウォーロン』を見せてください。

プレイ動画投稿キャンペーン「Wo Long Highlights」は9月26日(月)15:59まで開催中。10名にTGS会場試遊クリア特典のオリジナルTシャツをプレゼント。

──すごいプレイが見られそうですね。では、最後に改めて体験版を遊ばれる方へひと言ずついただいて締めとさせてください。

安田氏:
 中国武術のアクション、士気のレベルデザイン、『ウォーロン』の戦略性は触っていただかないと伝わらないと思いますので、この機会にプレイしていただいて、感想を述べていただいたり、配信を行ってみてください。我々も気づきがたくさんあると思うので楽しみにしていますし、ぜひ楽しんでいただければと思います。

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山際氏:
 体験版を通じてプレイヤーの方とコミュニケーションをとることは、大いに刺激や参考になりますので、ぜひ体験版をプレイしてご意見いただければと思います。みなさんからの声は開発のモチベーションや励みになりますので、たくさんの方にプレイしていただけると嬉しいです。

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──ありがとうございました。


 誤解を恐れずに言えば、『ウォーロン』の操作は覚えることが多い。だが、それはマニュアル車を運転するのと同様、慣れてしまえばオートマチックのクルマに物足りなさ、レスポンスの悪さを感じてしまうほど、「触っていて気持ちのいい操作」となる。

・「プレイヤー自身がケレン味のあるアクションに酔いながら、高揚感の中でギリギリの戦いを制する感覚」
・「プレイヤーがもう1回やりたいと思うかどうか、そもそも触っていて気持ち良いものになっているか」

 発表直後のインタビューで安田氏、山際氏が述べていた上記の発言は、体験版を遊べば誰もが感じるところだろう。Team NINJAが数多のアクションゲームを開発してきた中で生み出された最新のプレイアビリティ。

 『ウォーロン』の体験版はプレイステーション5、Xbox Series X/Sにて9月26日(月)15:59まで配信中となっている。この機会に、『ウォーロン』が掲げる「操作の公平性」を体験してみてほしい。そして、「あー、操作が気持ちいいって、こういうことなのね」と実感していただきたい。

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https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/220916a

全力疾走のせいで息も絶え絶えにコーエーテクモの会議室っぽいところに入ったら、いつの間にか「安田氏と山際氏とコーエーテクモの広報さんを前にしながらインタビューの横で私がウォーロンの体験版を遊ぶ」という状況になっていました。

副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。
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電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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